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第六章・ミレフレ vs. 禁断の書
ノナン・モモエ
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『レンが面談室で気絶した時、ミレフレが投稿された』
『幻の小説は作者は不明だったのに、今回は作者がLen & Momoeになってる』
『偶然にしては出来過ぎだ。それに……』
文子は久美子と順也と昨夜LINEで話した内容を想い出し、斜め前の席でノートを取っている連を見て、『ゴーストに恋して』というタイトルの小説を読んでみたいと思った。
「恋はレンを成長させるか?」
「えっ?フミちゃん、何言ってるの?貴方たち二人がそういう関係だと思うよ」
「そうだよ。フミちゃんと連が付き合った方がいいと、よく二人で話してるんだ」
「いや、久美子と順也は友だちと恋人のバランスが保てるけど、私たちはダメなの。どっちかなんだって」
「まー、なんとなくわかるけど……」
休憩時間にベランダに出て文子と久美子と順也が話している時、連はフクロウのペンとトイレに行き、個室に入ってiPhoneをポケットから取り出してメールを見ていた。
【小説大賞について】
小説コミニュケーションサイト・エディバーのご利用ありがとうございます。実はお伺いしたい事がありまして、連サブレー様に連絡致しました。
長編小説『ミレフレ』が最優秀作品の候補に上がっていますが、作者の連絡先が連サブレー様のアドレスになり、他の情報が記載されていません。
【ミレフレ】作者:Len & Momoe
『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』
連サブレー(東野連)様とMomoe様が共作されたという事で宜しければ、Momoe様の連絡先を教えていただけますでしょうか?宜しくお願いします。
株式会社・エディバー 編集部・松田町子
連サブレーは連のペンネームで、MOMOEが『ミレフレ』をサイトに投稿する時に連のiPhoneを使い、そのアドレスが記載されて連に問い合わせがあった。
「コレはお手上げです」
『どうしました?最高じゃないですか?』
フクロウのペンはそんな事で悩むよりも、学園に現れたダーク司祭に注意を払って欲しかった。MOMOEが眠っている間は連の力を借りるしかなく、パワーアップして貰わないとこっちの方が困る。
『ミレフレ』は共作と言ってもMOMOEが書いた作品であり、連はアイテムのアイデアとiPhoneを貸しただけの事である。しかも自分の作品についての告知はなく、落選したと思わざる負えない。
「本物のゴーストライター。複雑な心境です』
『ラッキーだと思いますけどね』
フクロウのペンはゴーストはお金は使えないので賞金は連が全額貰ってくださいと提案し、五百万円と書籍化という甘い誘惑に連の心は揺れたが、クリエイターのプライドを捨てるつもりはなかった。
「正直に告白するか?」
江国先生の件で昼休みに面談室に集まって話し合う予定なので、その時に小説大賞の件も相談する決断をし、午前中の授業が終わるとフクロウのペンを肩に乗せて、文子たちと一緒に教室を出て教員室へ向かう。
「江国先生。登校の時、門の前にいなかったけど……」
「やはり来てますね」
順也と久美子が廊下側の窓から教員室を覗き込み、フクロウのペンも宙を舞って偵察している。
そして景子先生が出て来ると、全員で面談室に入って昼食を取りながら話し合いが始まった。それぞれが弁当や売店で買ったサンドイッチやおむすびをデスクの上に広げ、景子先生が最初に江国先生について喋り始めた。
「昨日の事が嘘のように悪意は感じられません。普段と変わらず事務仕事をして、口数も少ないですね」
「先生。実は重要な案件がダブルでありまして、僕の方から説明させてください」
連がそう切り出してドアの付近で廊下を見張っているフクロウのペンを手招き、デスクの上に呼び寄せてコピー用紙を横に置く。
「皆さんには見えないけど、ココにフクロウのペンがいます」
[はじめまして]と用紙にフクロウのペンが文字を書き、景子先生と文子たちが浮かび上がるセリフを見て唖然とした。
「フクロウのペン?」
「ミレフレの小説に出てきたアレ?」
「ファンタジーから抜け出てのか?」
「レン。マジックではないのね」
「これより不思議な真実を伝えるので、落ち着いて聞いてくれ」
連はクールな表情で小説サイト・エディバーから届いたメールを見せてリアルな物語を話した。ノナン・モモエという少女が病院で亡くなり、そのゴーストがミレフレを書いて最優秀賞作品の候補に上がっている。
『幻の小説は作者は不明だったのに、今回は作者がLen & Momoeになってる』
『偶然にしては出来過ぎだ。それに……』
文子は久美子と順也と昨夜LINEで話した内容を想い出し、斜め前の席でノートを取っている連を見て、『ゴーストに恋して』というタイトルの小説を読んでみたいと思った。
「恋はレンを成長させるか?」
「えっ?フミちゃん、何言ってるの?貴方たち二人がそういう関係だと思うよ」
「そうだよ。フミちゃんと連が付き合った方がいいと、よく二人で話してるんだ」
「いや、久美子と順也は友だちと恋人のバランスが保てるけど、私たちはダメなの。どっちかなんだって」
「まー、なんとなくわかるけど……」
休憩時間にベランダに出て文子と久美子と順也が話している時、連はフクロウのペンとトイレに行き、個室に入ってiPhoneをポケットから取り出してメールを見ていた。
【小説大賞について】
小説コミニュケーションサイト・エディバーのご利用ありがとうございます。実はお伺いしたい事がありまして、連サブレー様に連絡致しました。
長編小説『ミレフレ』が最優秀作品の候補に上がっていますが、作者の連絡先が連サブレー様のアドレスになり、他の情報が記載されていません。
【ミレフレ】作者:Len & Momoe
『見て、触れて、世界は鮮やかに輝き出す』
連サブレー(東野連)様とMomoe様が共作されたという事で宜しければ、Momoe様の連絡先を教えていただけますでしょうか?宜しくお願いします。
株式会社・エディバー 編集部・松田町子
連サブレーは連のペンネームで、MOMOEが『ミレフレ』をサイトに投稿する時に連のiPhoneを使い、そのアドレスが記載されて連に問い合わせがあった。
「コレはお手上げです」
『どうしました?最高じゃないですか?』
フクロウのペンはそんな事で悩むよりも、学園に現れたダーク司祭に注意を払って欲しかった。MOMOEが眠っている間は連の力を借りるしかなく、パワーアップして貰わないとこっちの方が困る。
『ミレフレ』は共作と言ってもMOMOEが書いた作品であり、連はアイテムのアイデアとiPhoneを貸しただけの事である。しかも自分の作品についての告知はなく、落選したと思わざる負えない。
「本物のゴーストライター。複雑な心境です』
『ラッキーだと思いますけどね』
フクロウのペンはゴーストはお金は使えないので賞金は連が全額貰ってくださいと提案し、五百万円と書籍化という甘い誘惑に連の心は揺れたが、クリエイターのプライドを捨てるつもりはなかった。
「正直に告白するか?」
江国先生の件で昼休みに面談室に集まって話し合う予定なので、その時に小説大賞の件も相談する決断をし、午前中の授業が終わるとフクロウのペンを肩に乗せて、文子たちと一緒に教室を出て教員室へ向かう。
「江国先生。登校の時、門の前にいなかったけど……」
「やはり来てますね」
順也と久美子が廊下側の窓から教員室を覗き込み、フクロウのペンも宙を舞って偵察している。
そして景子先生が出て来ると、全員で面談室に入って昼食を取りながら話し合いが始まった。それぞれが弁当や売店で買ったサンドイッチやおむすびをデスクの上に広げ、景子先生が最初に江国先生について喋り始めた。
「昨日の事が嘘のように悪意は感じられません。普段と変わらず事務仕事をして、口数も少ないですね」
「先生。実は重要な案件がダブルでありまして、僕の方から説明させてください」
連がそう切り出してドアの付近で廊下を見張っているフクロウのペンを手招き、デスクの上に呼び寄せてコピー用紙を横に置く。
「皆さんには見えないけど、ココにフクロウのペンがいます」
[はじめまして]と用紙にフクロウのペンが文字を書き、景子先生と文子たちが浮かび上がるセリフを見て唖然とした。
「フクロウのペン?」
「ミレフレの小説に出てきたアレ?」
「ファンタジーから抜け出てのか?」
「レン。マジックではないのね」
「これより不思議な真実を伝えるので、落ち着いて聞いてくれ」
連はクールな表情で小説サイト・エディバーから届いたメールを見せてリアルな物語を話した。ノナン・モモエという少女が病院で亡くなり、そのゴーストがミレフレを書いて最優秀賞作品の候補に上がっている。
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