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第六章・ミレフレ vs. 禁断の書
リアル・ファンタジー
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「大学病院の難病センターでゴーストになったモモエは僕のiPhoneでミレフレを執筆して投稿した。エディバーの編集者は作者がLen & Momoeで、アドレスが連サブレーになっていたので、賞の問い合わせメールがこのiPhoneにあったんだ」
「レンサブレーって?」
景子先生がお菓子かと素朴な質問をし、連が自分を指差して「ペンネーム」と微笑み、久美子と順也がずっと気になっていた感想を呟く。
「やはり、ミレフレが最優秀賞作品に選ばれたのね?」
「しかも連とゴーストの共同作品ってことか?」
「何かあるとは思ってたけど、私たちの想像を遥かに超えた内容だ。ミレフレの作者はゴーストの体験を物語に描き、こっちの世界へ警笛を鳴らしたのか?」
洞察力の鋭い文子が連の語るリアル・ファンタジーの概略だけで全体像を把握し、腕を伸ばして用紙の上付近へ人差し指を向けるがフクロウのペンの感触はない。
[はい。司祭と魔王は暗黒の世界に存在し、MOMOEはゴーストの仲間と戦っています。]
「レンにはフクロウのペンが見えるのね?」
「はい。霊感体質になりまして」
「やっば、ここで気絶した時に、ポルターガイストが起こった」
「幻の小説、ミレフレの投稿」
「ghostのパスワードは本当だったのね?」
順也と久美子と景子先生が連が面談室でゴーストのネットワークにコンタクトした時の事を思い出して考え込んでいる。
「それで江国先生はどうなの?」
文子がコピー用紙を捲って質問し、フクロウのペンがセリフを書き込んで答えた。文字が浮かぶのにも慣れたのか、驚きよりも好奇心の目で描き終えるのを待つ。
[暗黒の書物・禁断の書を読んで洗脳され、司祭の指示で動いてます。]
「こっちの世界も危険なんだ。今朝、ダーク司祭が学園長室に姿を現したそうだ。しかも司祭は難病センターで亡くなった少年で、モモエの友だちだったらしい」
「よく分からないけど、ノナン・モモエの名前なら聞き覚えがあるわ」
「えっ、先生知ってるの?」
「大学病院の難病センターで特別授業を配信した事がある筈です。資料があるので調べてみましょう」
連は夢の中で断片的に見た、モモエが病院のベッドで電気ショックを受けるシーンと、ファン1号になってくれたノナンが小説クリエイターの特別授業が配信されるのを楽しみにしているとコメントしていたのを想い出す。
景子先生が面談室を出て資料を取りに教員室へ向かうと、文子と順也と久美子が連のiPhoneに届いた賞の問い合わせメールについて問題にした。
「おめでとうと言いたいところだが、ミレフレはゴーストの作品だよな」
「棚ぼたですね」
「連の本来の作品は落選。でも、佳作の可能性は残されている。僕らもそうだけどね」
「まっ、そういう事であります」
「賞金はどうなるんだろ?」
「そもそも、編集者になんて返答する?ゴーストが書きましたって、信じてくれるかな?」
[MOMOEは少女の願いを聴いて欲しかった。賞金も名誉も不要ですよ。]
「ミレフレは希望のバイブル」
フクロウのペンのセリフに連がそう呟いてクールに微笑むと、文子も『ミレフレ』は『禁断の書』に対抗する唯一のパワーなんだと気付く。
「私たちで、ミレフレを広めて司祭の思惑を阻止するんだ。その為にはエディバーに受賞作品として認めさせる必要がある。レン、責任重大だよ」
「わかった。賞金は山分けだな」
「ここでそんなジョークいる?」
「でも、景子先生を入れて丁度一人百万円ですね」
順也が連の微笑みにつられてそう呟くと、景子先生が資料を持って教員室から戻って来て、難病センターで特別授業の配信を希望した生徒の名簿リストをデスクの上に広げ、ゴーストの少女の名前を探す。
「好評だったと病院から連絡があり、ある少女が次回も楽しみにしていると聞いた。確か、ノナンモモエだった気がします」
【五条大学病院・難病研究センター。小説クリエイター・特別授業(配信)参加生徒。】
・乃南百恵 14歳。将来の夢は作家だけど、今は普通に学校に通って友だちと授業を受けてみたいです。
全員がそのコメントを読んで少女の想いに心を打たれ、景子先生が大学病院に電話をかけて乃南百恵は特別授業の配信を観た数日後に心臓病で亡くなったが、生きていれば五条霧笛学園への入学を希望していたので、連たちと同級生になる可能性があった事を知る。
「少女はゴーストになっても、みんなと一緒に授業を受けたかったようね。でもこれでノナンモモエの存在が明確になり、連くんの証言が真実だと判明した」
「レンサブレーって?」
景子先生がお菓子かと素朴な質問をし、連が自分を指差して「ペンネーム」と微笑み、久美子と順也がずっと気になっていた感想を呟く。
「やはり、ミレフレが最優秀賞作品に選ばれたのね?」
「しかも連とゴーストの共同作品ってことか?」
「何かあるとは思ってたけど、私たちの想像を遥かに超えた内容だ。ミレフレの作者はゴーストの体験を物語に描き、こっちの世界へ警笛を鳴らしたのか?」
洞察力の鋭い文子が連の語るリアル・ファンタジーの概略だけで全体像を把握し、腕を伸ばして用紙の上付近へ人差し指を向けるがフクロウのペンの感触はない。
[はい。司祭と魔王は暗黒の世界に存在し、MOMOEはゴーストの仲間と戦っています。]
「レンにはフクロウのペンが見えるのね?」
「はい。霊感体質になりまして」
「やっば、ここで気絶した時に、ポルターガイストが起こった」
「幻の小説、ミレフレの投稿」
「ghostのパスワードは本当だったのね?」
順也と久美子と景子先生が連が面談室でゴーストのネットワークにコンタクトした時の事を思い出して考え込んでいる。
「それで江国先生はどうなの?」
文子がコピー用紙を捲って質問し、フクロウのペンがセリフを書き込んで答えた。文字が浮かぶのにも慣れたのか、驚きよりも好奇心の目で描き終えるのを待つ。
[暗黒の書物・禁断の書を読んで洗脳され、司祭の指示で動いてます。]
「こっちの世界も危険なんだ。今朝、ダーク司祭が学園長室に姿を現したそうだ。しかも司祭は難病センターで亡くなった少年で、モモエの友だちだったらしい」
「よく分からないけど、ノナン・モモエの名前なら聞き覚えがあるわ」
「えっ、先生知ってるの?」
「大学病院の難病センターで特別授業を配信した事がある筈です。資料があるので調べてみましょう」
連は夢の中で断片的に見た、モモエが病院のベッドで電気ショックを受けるシーンと、ファン1号になってくれたノナンが小説クリエイターの特別授業が配信されるのを楽しみにしているとコメントしていたのを想い出す。
景子先生が面談室を出て資料を取りに教員室へ向かうと、文子と順也と久美子が連のiPhoneに届いた賞の問い合わせメールについて問題にした。
「おめでとうと言いたいところだが、ミレフレはゴーストの作品だよな」
「棚ぼたですね」
「連の本来の作品は落選。でも、佳作の可能性は残されている。僕らもそうだけどね」
「まっ、そういう事であります」
「賞金はどうなるんだろ?」
「そもそも、編集者になんて返答する?ゴーストが書きましたって、信じてくれるかな?」
[MOMOEは少女の願いを聴いて欲しかった。賞金も名誉も不要ですよ。]
「ミレフレは希望のバイブル」
フクロウのペンのセリフに連がそう呟いてクールに微笑むと、文子も『ミレフレ』は『禁断の書』に対抗する唯一のパワーなんだと気付く。
「私たちで、ミレフレを広めて司祭の思惑を阻止するんだ。その為にはエディバーに受賞作品として認めさせる必要がある。レン、責任重大だよ」
「わかった。賞金は山分けだな」
「ここでそんなジョークいる?」
「でも、景子先生を入れて丁度一人百万円ですね」
順也が連の微笑みにつられてそう呟くと、景子先生が資料を持って教員室から戻って来て、難病センターで特別授業の配信を希望した生徒の名簿リストをデスクの上に広げ、ゴーストの少女の名前を探す。
「好評だったと病院から連絡があり、ある少女が次回も楽しみにしていると聞いた。確か、ノナンモモエだった気がします」
【五条大学病院・難病研究センター。小説クリエイター・特別授業(配信)参加生徒。】
・乃南百恵 14歳。将来の夢は作家だけど、今は普通に学校に通って友だちと授業を受けてみたいです。
全員がそのコメントを読んで少女の想いに心を打たれ、景子先生が大学病院に電話をかけて乃南百恵は特別授業の配信を観た数日後に心臓病で亡くなったが、生きていれば五条霧笛学園への入学を希望していたので、連たちと同級生になる可能性があった事を知る。
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