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第六章・ミレフレ vs. 禁断の書
ネット・トラブル
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【問い合わせの件】
株式会社エディバー 編集部・松田町子様へ 小説大賞のご連絡ありがとうございます。
『ミレフレ』の作者、Momoeの連絡先ですが、本名は乃南百恵で大学病院の難病センターで一年程前に不治の病で亡くなりました。
非常に込み入った事情もあり、詳細は直接会ってお話ししたいので、都合の良い日を教えてください。よろしくお願いします。 連サブレー(東野連)より
面談室で連がメールを書き終えて送信し、編集者とアポが取れたら全員で『ミレフレ』が投稿された経緯を説明する事に決めた。
「それまでにMOMOEが間に合うか?」
[もうすぐ目覚めると思います。疲れただけですから。]
「小説にも描かれてたけど、フクロウのペンを使ってアイテムを作り出すのはエネルギーを消費するんだ」
[それと私は奪われる危険性があるので、ダーク司祭には近寄れません。]
「だとすると、連の霊能力に頼るしかないわね。フクロウのペンは離れて偵察をお願いします」
文子の残念そうな意見で、連を中心にしてダーク司祭と江国先生の同行を探る事に決めて解散した。
午後の授業が始まり、江国先生は事務仕事を終えると指導員として校舎を見回り、休憩時間に連と順也と久美子で尾行したが特に怪しい動きはなかった。
学園長室へは景子先生と教頭先生が特別授業の件で呼ばれた時に、文子と連が同行して数分話を聞いたが授業の時間になって退出し、湊香奈江が景子に童話の本を一冊渡したのは見てない。
フクロウのペンは廊下の天井や柱の陰から偵察したが、校舎内にダーク司祭の気配は感じられず、暗黒のマスクで霊感を防御されて江国則子と学園長が入れ替わり、魔王の意識に湊香奈江が操られている事を見抜けなかった。
「部活、どうする?」
「何もなかったし、普段通りでいいんじゃない」
「じゃー、レン。何かあったら連絡して」
午後の授業が終わると帰宅部の連だけが、文子と久美子と順也に見送られて教室を出て玄関へ向かい、フクロウのペンを肩に乗せて帰って行く。
通りを歩いているとiPhoneにメールの返信があり、連は『Bi-hún』にも寄らずに急いで家に帰って二階の部屋に駆け上がり、エディバーに電話して編集部の松田町子と話し、今週の土曜日AM11時に渋谷の会社で会う約束をした。
「連サブレー様は高校生なのですね?」
「はい。クラスの友だちと先生と一緒に伺います」
「分かりました。着いたら一階の受付で私を呼んでください。乃南百恵様が亡くなったと聞いて驚きましたが、素晴らしい作品なので書籍化されるのが楽しみですね」
「ありがとうございます。きっとMOMOEもあの世で喜んでいるでしょう。ちなみにですが、僕の作品は落選ですか?」
連は連サブレーとして応募した作品の結果を聞いたが、選考過程については話せないと言われて電話を切られた。
「きっと予選落ちだ」
『あの~、元気出してください』
机の上でフクロウのペンが微笑み、「せめて、一次審査は通過したかった」と俯いて嘆く連にまんまるの目を向けて、小説の事よりも現実に集中するようにアドバイスした。
『レンには才能があるわ。みんな期待してるんですからね。ほれ、顔を上げて私の目を覗いてみてください』
連はそう言われて、白い翼を広げて腰掛けるポーズになったフクロウのペン先に顔を近付け、その目の中を覗くと万華鏡の鮮やかな模様の向こうに、ゴースト職人のクルミが居るのを見て思わず「スゲー」と感嘆の声を上げた。
この時、隣の部屋で妹の佳子が壁に耳を当てて盗み聞きし、何を騒いでいるのかとそっと通路に出て部屋のドアを開けると、連が机の上に目を泳がせて手を振っている。
「お兄ちゃん」
「ん?」
連は佳子が出入り口に立って呆然とこっちを見ているのに気付き、慌てて机の上のフクロウのペンを手で隠したが、そんな事よりもダーク司祭が江国に指示した効果が小説サイトで現れ始めていた。
「どうしたの?」
松田町子は唐突に連との電話を終えたが、エディバーの編集部の者が真っ黒な表紙の本が投稿され、非公開であるがこのデータの影響でサイトがフリーズする現象が起こっていると騒ぎ立てたからだ。
株式会社エディバー 編集部・松田町子様へ 小説大賞のご連絡ありがとうございます。
『ミレフレ』の作者、Momoeの連絡先ですが、本名は乃南百恵で大学病院の難病センターで一年程前に不治の病で亡くなりました。
非常に込み入った事情もあり、詳細は直接会ってお話ししたいので、都合の良い日を教えてください。よろしくお願いします。 連サブレー(東野連)より
面談室で連がメールを書き終えて送信し、編集者とアポが取れたら全員で『ミレフレ』が投稿された経緯を説明する事に決めた。
「それまでにMOMOEが間に合うか?」
[もうすぐ目覚めると思います。疲れただけですから。]
「小説にも描かれてたけど、フクロウのペンを使ってアイテムを作り出すのはエネルギーを消費するんだ」
[それと私は奪われる危険性があるので、ダーク司祭には近寄れません。]
「だとすると、連の霊能力に頼るしかないわね。フクロウのペンは離れて偵察をお願いします」
文子の残念そうな意見で、連を中心にしてダーク司祭と江国先生の同行を探る事に決めて解散した。
午後の授業が始まり、江国先生は事務仕事を終えると指導員として校舎を見回り、休憩時間に連と順也と久美子で尾行したが特に怪しい動きはなかった。
学園長室へは景子先生と教頭先生が特別授業の件で呼ばれた時に、文子と連が同行して数分話を聞いたが授業の時間になって退出し、湊香奈江が景子に童話の本を一冊渡したのは見てない。
フクロウのペンは廊下の天井や柱の陰から偵察したが、校舎内にダーク司祭の気配は感じられず、暗黒のマスクで霊感を防御されて江国則子と学園長が入れ替わり、魔王の意識に湊香奈江が操られている事を見抜けなかった。
「部活、どうする?」
「何もなかったし、普段通りでいいんじゃない」
「じゃー、レン。何かあったら連絡して」
午後の授業が終わると帰宅部の連だけが、文子と久美子と順也に見送られて教室を出て玄関へ向かい、フクロウのペンを肩に乗せて帰って行く。
通りを歩いているとiPhoneにメールの返信があり、連は『Bi-hún』にも寄らずに急いで家に帰って二階の部屋に駆け上がり、エディバーに電話して編集部の松田町子と話し、今週の土曜日AM11時に渋谷の会社で会う約束をした。
「連サブレー様は高校生なのですね?」
「はい。クラスの友だちと先生と一緒に伺います」
「分かりました。着いたら一階の受付で私を呼んでください。乃南百恵様が亡くなったと聞いて驚きましたが、素晴らしい作品なので書籍化されるのが楽しみですね」
「ありがとうございます。きっとMOMOEもあの世で喜んでいるでしょう。ちなみにですが、僕の作品は落選ですか?」
連は連サブレーとして応募した作品の結果を聞いたが、選考過程については話せないと言われて電話を切られた。
「きっと予選落ちだ」
『あの~、元気出してください』
机の上でフクロウのペンが微笑み、「せめて、一次審査は通過したかった」と俯いて嘆く連にまんまるの目を向けて、小説の事よりも現実に集中するようにアドバイスした。
『レンには才能があるわ。みんな期待してるんですからね。ほれ、顔を上げて私の目を覗いてみてください』
連はそう言われて、白い翼を広げて腰掛けるポーズになったフクロウのペン先に顔を近付け、その目の中を覗くと万華鏡の鮮やかな模様の向こうに、ゴースト職人のクルミが居るのを見て思わず「スゲー」と感嘆の声を上げた。
この時、隣の部屋で妹の佳子が壁に耳を当てて盗み聞きし、何を騒いでいるのかとそっと通路に出て部屋のドアを開けると、連が机の上に目を泳がせて手を振っている。
「お兄ちゃん」
「ん?」
連は佳子が出入り口に立って呆然とこっちを見ているのに気付き、慌てて机の上のフクロウのペンを手で隠したが、そんな事よりもダーク司祭が江国に指示した効果が小説サイトで現れ始めていた。
「どうしたの?」
松田町子は唐突に連との電話を終えたが、エディバーの編集部の者が真っ黒な表紙の本が投稿され、非公開であるがこのデータの影響でサイトがフリーズする現象が起こっていると騒ぎ立てたからだ。
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