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第六章・ミレフレ vs. 禁断の書
禁断の書の拡散
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連の霊能力をアップデートするには霊界への同調が不可欠であり、MOMOEがポルターガイスト現象を起こし、フクロウのペンの能力を発揮できるのも連への想いが関連している。
感情により、脳内物質が分泌され体に変化を及ぼすのと同じく、魂から湧き出るオーラで霊能力は倍増し、そのエネルギーを利用して工房のゴースト職人がアイテムを作り出す。
「ファーストキスなんて効果ありそう」
「姫が王子を目覚ませる逆パターンか?」
フクロウのペンは霊界の工房でゴースト職人が話し合っていたのを思い起こし、連のレベルアップには恋のファクターが必要なのかと悩む。
『こればかりは二人のタイミング』
土曜日の午前10時、連たちは五条駅で景子先生と待ち合わせをして、快速電車で渋谷にある『エディバー』へ向かった。連は文子と順也と久美子とボックス席に座り、車窓の縁で考えるポーズをするフクロウのペンを指差す。
「そこに居るの?」
「うん。最近、愚痴っぽくてさ」
毎晩、フクロウのヘッドセットをして初歩的な練習に励む連であったが、あの日から霊的なコンタクトには成功してない。
「不思議よね。ミレフレで活躍したアイテムが目の前にいるなんて」
「少女は見て触れた物をフクロウのペンで描いて実体化させた」
「ほんとにできるのかな?」
前の席の久美子と順也が首を傾げて、窓ガラスに連が描いたフクロウのペンのラフ画を眺めているが、水滴のラインは蒸発するように数秒で消えてゆく。
「レンがフクロウのペンを使えれば、司祭とも互角に戦えるって事か?」
「でも、ムズすぎる」
連はフクロウのペンを手にして描く事はできるようになったが、霊界交信より難解なのはフクロウのペンで描いた絵のリアル化である。
景子先生は連たちの横のボックス席に一人で座り、学園長から渡された童話の本をバッグから出して、似ていると思って駅前の書店で買った本と比べて盗作だと気付く。
『これって……?』
動揺で手に持っていたカップコーヒーがこぼれ、童話の緑色の表紙を少し濡らすと、黒いシミが覆い尽くすように広がり、カモフラージュが取れて暗黒の手引書へと変貌した。
「先生、どうしたの?」
本を投げ捨てて席を立つ景子先生を見た久美子が声をかけ、順也と文子と連も久美子の後から駆け寄り、フクロウのペンが窓枠から飛び立って黒い表紙になった手引書の上を舞う。
『危険だよ。レン』
その声を聴いた連が座席の黒い本に手を伸ばした久美子を止め、文子と順也も一歩離れさせてフクロウのペンの指示を待つ。
「まさか、暗黒の書物?」
『いえ、薄いので手引書でしょ』
フクロウのペンはまんまるの目で見て、工房のゴースト職人へ映像を送り、クルミたちはそれを解析して、禁断の書へ誘う手引書であると判断した。
景子先生は手を震わせて、文字が蠢いて黒い虫のように指先から腕に這い上がり、暗黒の世界へ誘われる感覚に襲われて呆然としている。
「学園長に渡された……童話が……」
「クリップ持ってる?」
連は景子先生の証言で、この手引書を司祭の計画を突き止める証拠として保持する事にした。霊的なコンタクトで見た赤い王冠を被った者が誰か分かるかもしれない。
「これでいいか?」
文子が連にヘアクリップを渡し、小冊子を挟み込むと更に久美子と順也が渡したゴムと紐でぐるぐる巻きにして閉じる。
しかしこの時点でネットサイトに掲載された『禁断の書』が公開され、書店や図書館に置かれた本もカモフラージュが解かれて本来の黒い表紙になり、生きた古代文字が増殖して他の書物にも影響を及ぼし始めた。
そして連たちが渋谷駅付近にある『株式会社エディバー』の受付に到着し、上階の会議ルームに通され、『ミレフレ』の作者について説明していると、『禁断の書』が拡散してネットサイトが混乱し、最優秀作品の受賞が危ぶまれる事態にまで陥った。
感情により、脳内物質が分泌され体に変化を及ぼすのと同じく、魂から湧き出るオーラで霊能力は倍増し、そのエネルギーを利用して工房のゴースト職人がアイテムを作り出す。
「ファーストキスなんて効果ありそう」
「姫が王子を目覚ませる逆パターンか?」
フクロウのペンは霊界の工房でゴースト職人が話し合っていたのを思い起こし、連のレベルアップには恋のファクターが必要なのかと悩む。
『こればかりは二人のタイミング』
土曜日の午前10時、連たちは五条駅で景子先生と待ち合わせをして、快速電車で渋谷にある『エディバー』へ向かった。連は文子と順也と久美子とボックス席に座り、車窓の縁で考えるポーズをするフクロウのペンを指差す。
「そこに居るの?」
「うん。最近、愚痴っぽくてさ」
毎晩、フクロウのヘッドセットをして初歩的な練習に励む連であったが、あの日から霊的なコンタクトには成功してない。
「不思議よね。ミレフレで活躍したアイテムが目の前にいるなんて」
「少女は見て触れた物をフクロウのペンで描いて実体化させた」
「ほんとにできるのかな?」
前の席の久美子と順也が首を傾げて、窓ガラスに連が描いたフクロウのペンのラフ画を眺めているが、水滴のラインは蒸発するように数秒で消えてゆく。
「レンがフクロウのペンを使えれば、司祭とも互角に戦えるって事か?」
「でも、ムズすぎる」
連はフクロウのペンを手にして描く事はできるようになったが、霊界交信より難解なのはフクロウのペンで描いた絵のリアル化である。
景子先生は連たちの横のボックス席に一人で座り、学園長から渡された童話の本をバッグから出して、似ていると思って駅前の書店で買った本と比べて盗作だと気付く。
『これって……?』
動揺で手に持っていたカップコーヒーがこぼれ、童話の緑色の表紙を少し濡らすと、黒いシミが覆い尽くすように広がり、カモフラージュが取れて暗黒の手引書へと変貌した。
「先生、どうしたの?」
本を投げ捨てて席を立つ景子先生を見た久美子が声をかけ、順也と文子と連も久美子の後から駆け寄り、フクロウのペンが窓枠から飛び立って黒い表紙になった手引書の上を舞う。
『危険だよ。レン』
その声を聴いた連が座席の黒い本に手を伸ばした久美子を止め、文子と順也も一歩離れさせてフクロウのペンの指示を待つ。
「まさか、暗黒の書物?」
『いえ、薄いので手引書でしょ』
フクロウのペンはまんまるの目で見て、工房のゴースト職人へ映像を送り、クルミたちはそれを解析して、禁断の書へ誘う手引書であると判断した。
景子先生は手を震わせて、文字が蠢いて黒い虫のように指先から腕に這い上がり、暗黒の世界へ誘われる感覚に襲われて呆然としている。
「学園長に渡された……童話が……」
「クリップ持ってる?」
連は景子先生の証言で、この手引書を司祭の計画を突き止める証拠として保持する事にした。霊的なコンタクトで見た赤い王冠を被った者が誰か分かるかもしれない。
「これでいいか?」
文子が連にヘアクリップを渡し、小冊子を挟み込むと更に久美子と順也が渡したゴムと紐でぐるぐる巻きにして閉じる。
しかしこの時点でネットサイトに掲載された『禁断の書』が公開され、書店や図書館に置かれた本もカモフラージュが解かれて本来の黒い表紙になり、生きた古代文字が増殖して他の書物にも影響を及ぼし始めた。
そして連たちが渋谷駅付近にある『株式会社エディバー』の受付に到着し、上階の会議ルームに通され、『ミレフレ』の作者について説明していると、『禁断の書』が拡散してネットサイトが混乱し、最優秀作品の受賞が危ぶまれる事態にまで陥った。
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