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第六章・ミレフレ vs. 禁断の書
ミレフレの反撃
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野上は会議ルームを出ると深野と石塚にクレーム処理とメンテナンスの告知を指示して編集部に戻し、自分はシステム部へ行き責任者の高木博之に状況を質問して対処を考える。
「高木、どうなってる?」
「ダメだ。こんなの有り得ない」
エンジニアの高木博之は席に着き、システムセキュリティのプログラム画面を開いてコマンドを打ち込んでいたが、頭を抱えて両手を上げて降参した。他の技術員はハードウェアの並ぶ室内でバックアップ作業に追われ、システム部は騒然となっている。
「ハッカーに乗っ取られた状態だが、普通のウイルスじゃないぞ」
プログラムのキーコマンドまでが文字化けし、古代ヘブライ語に変換された文字が黒い虫のように蠢き、じわじわと拡散して手の付けられない状態だった。
野上もショックで隣の席に座り込み、壁の大型液晶モニターの分割画面に次々と表示される黒い表紙と文字化けしたページを虚ろな表情で眺める。
「まるで魔術師の仕業だな?」
「プログラマーには禁句だが、呪いの文字が飛び交っているみたいだ」
「あの書物が原因なのか?」
野上と高木は【暗黒の書物『禁断の書】というタイトルで投稿された作品が原因ではないかと疑った。数日前にフリーズエラーが発生し、作者に削除の警告メールを送信したが、放置されて本日公開された。
「システムのシャットダウンは?」
「バックアップデータまで失う危険性がある。もし登録者全員の投稿作品が消えたら、信用を無くして運営不能になるぞ」
野上は高木の発言に呆然としたが、壁の大型液晶モニターの分割画面が切り替わり、唯一カラーで文字化けしてないページを見つけた。
「見ろ。ミレフレの小説が無事だ」
高木もそれに気付き、キーボードを操作して大型液晶モニターに『ミレフレ』と『禁断の書』を左右の位置に対極させて映し出す。
画面を細分化して表示数を増やし、モノクローム化してないページを検出して『ミレフレ』側に並べると、連と文子と久美子と順也の作品も含まれ、僅かながらも『ミレフレ』を中心にして、『禁断の書』に争う作品がある事が顕著になった。
「劣勢は否めないが、黒い書物の侵略をミレフレが守っている」
「モノクロームから、カラーに変換される作品もあるぞ」
野上と高木は席を立って、大型液晶モニターに映し出される攻防を驚嘆の表情で眺め、ミレフレ側の反撃に一縷の望みを託す。
編集部に戻った深野と石塚はクレームの対応に追われ、メンテナンス中のお知らせと不具合の謝罪を掲載したが、クレームの電話は鳴り止まなかった。
「システム部はどうなってる?」
「野上は?」
幹部が怒り出し、編集部とシステム部だけでなく、会社全体が混乱して運営自体が危ぶまれる状況に陥ったが、最大の問題は『禁断の書』にコンタクトしてスマホやタブレットで読んだ者が暗黒の書物に洗脳される危険性だ。
電車の席に座り、スマホを手にして『禁断の書』のページを開いた若者が瞳に古代ヘブライ語の文字を映し、突然白目を剥いて倒れ、他の車両でも同じ症状で気絶する乗客が発生した。
都会の街中の通り、大学のキャンパス、喫茶店やレストラン、自宅の室内でも起こってパニック状態になるが、『禁断の書』が非公開になり被害者は下火になる。
この時、工房のゴースト職人がMOMOEの意識をネットワークに転送し、『禁断の書』の情報ページに侵入させ、連のiPhoneにその画面を開示させ、非公開ボタンを連が押してセーブした。
『ヤッタぜー』
連がガッツポーズをして、画面の隅っこでMOMOEのアイコンが手を振って消えてゆくのを笑顔で見送った。
「高木、どうなってる?」
「ダメだ。こんなの有り得ない」
エンジニアの高木博之は席に着き、システムセキュリティのプログラム画面を開いてコマンドを打ち込んでいたが、頭を抱えて両手を上げて降参した。他の技術員はハードウェアの並ぶ室内でバックアップ作業に追われ、システム部は騒然となっている。
「ハッカーに乗っ取られた状態だが、普通のウイルスじゃないぞ」
プログラムのキーコマンドまでが文字化けし、古代ヘブライ語に変換された文字が黒い虫のように蠢き、じわじわと拡散して手の付けられない状態だった。
野上もショックで隣の席に座り込み、壁の大型液晶モニターの分割画面に次々と表示される黒い表紙と文字化けしたページを虚ろな表情で眺める。
「まるで魔術師の仕業だな?」
「プログラマーには禁句だが、呪いの文字が飛び交っているみたいだ」
「あの書物が原因なのか?」
野上と高木は【暗黒の書物『禁断の書】というタイトルで投稿された作品が原因ではないかと疑った。数日前にフリーズエラーが発生し、作者に削除の警告メールを送信したが、放置されて本日公開された。
「システムのシャットダウンは?」
「バックアップデータまで失う危険性がある。もし登録者全員の投稿作品が消えたら、信用を無くして運営不能になるぞ」
野上は高木の発言に呆然としたが、壁の大型液晶モニターの分割画面が切り替わり、唯一カラーで文字化けしてないページを見つけた。
「見ろ。ミレフレの小説が無事だ」
高木もそれに気付き、キーボードを操作して大型液晶モニターに『ミレフレ』と『禁断の書』を左右の位置に対極させて映し出す。
画面を細分化して表示数を増やし、モノクローム化してないページを検出して『ミレフレ』側に並べると、連と文子と久美子と順也の作品も含まれ、僅かながらも『ミレフレ』を中心にして、『禁断の書』に争う作品がある事が顕著になった。
「劣勢は否めないが、黒い書物の侵略をミレフレが守っている」
「モノクロームから、カラーに変換される作品もあるぞ」
野上と高木は席を立って、大型液晶モニターに映し出される攻防を驚嘆の表情で眺め、ミレフレ側の反撃に一縷の望みを託す。
編集部に戻った深野と石塚はクレームの対応に追われ、メンテナンス中のお知らせと不具合の謝罪を掲載したが、クレームの電話は鳴り止まなかった。
「システム部はどうなってる?」
「野上は?」
幹部が怒り出し、編集部とシステム部だけでなく、会社全体が混乱して運営自体が危ぶまれる状況に陥ったが、最大の問題は『禁断の書』にコンタクトしてスマホやタブレットで読んだ者が暗黒の書物に洗脳される危険性だ。
電車の席に座り、スマホを手にして『禁断の書』のページを開いた若者が瞳に古代ヘブライ語の文字を映し、突然白目を剥いて倒れ、他の車両でも同じ症状で気絶する乗客が発生した。
都会の街中の通り、大学のキャンパス、喫茶店やレストラン、自宅の室内でも起こってパニック状態になるが、『禁断の書』が非公開になり被害者は下火になる。
この時、工房のゴースト職人がMOMOEの意識をネットワークに転送し、『禁断の書』の情報ページに侵入させ、連のiPhoneにその画面を開示させ、非公開ボタンを連が押してセーブした。
『ヤッタぜー』
連がガッツポーズをして、画面の隅っこでMOMOEのアイコンが手を振って消えてゆくのを笑顔で見送った。
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