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出会い編

第7話 少女

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今何時だろうか。

 日が差し込まないここでは、時間なんて分からない。

 と、自分の視界に想いもよらないものが映る。

 「あ、あれは…⁉︎ 
  光!?  光だ!」

 それは、暗闇の中で神様のように輝く松明たいまつの光。 それは、道を作るように2列、並んでいる。

 昨日からあったか……? 
 ともかく、いくに越したことはない。

 やっとここから出れるかもしれない。



「………にしても、長かったなぁ、」

正直僕は安心している。

 もしかしたらこれが罠かもしれないけど、冷静に考えよう、こんなとこにきて罠を仕掛ける人がいるだろうか。

 否、居ないだろう。「」というのは、僕が身を持って体験している。こんなところに人はいないだろう。

 そして仮に誰かいたとしても、僕はこんなとこの見張りに駆り出されたら、ものの数分で逃げ出す自信がある。

 「じゃ、じゃあ、行くか………」ブルブル

 歩いて、一つ目の松明のあるところを越える。
 最初見た時はわからなかったが、松明と松明の距離はかなりあり、恐らく100メートルほどだと思われる。それが、少なくとも8本はあるため、1kmくらいはあるのだろう。


 「僕、なんでこれに今まで気づいてなかったんだろう………」

 これは、幻覚を見せる魔法だろうか。
……僕、どんくらい寝てた……?

 なんだかんだ10分ほどで10本目くらいの最後の松明を越える。

 結局、なんもなかったなぁ、

カチッ

 さて、どうするか、

 あとは、僕が寝ていたあたりを探そうと、きたところを戻ろうとする。

 「はぁ、いつ出れんだか、フリムキ
  ………お?」

戻ろうとしたそこには、道はなく、とてつもなくでかい扉が造られていた。
 いや、現れたのだろう。それは、あまりにも精巧で一目で心奪われる代物だった。

 危険かもしれない、と言う意識とは裏腹に僕は扉へと動き出す。
 これは魔法ではない。自分の感覚が本能的に向かっている。

 一歩進むたびにその大きさが鮮明に視界に入ってくる。
 こんなにも暗い大部屋で、酷く存在感を放つになぜ今まで気づかなかったのだろうか。

 ここまであからさまだと罠かなとは思うが、僕にはもう好奇心しかない。

 扉の前まで行き、扉を押す。
ここで扉が開き、光が漏れる。ところなのだが……

 「フングァ!」

 トビラ「………」

 開かないなぁ……

 まるで僕を歓迎していないかのように扉はびくともしない。

 「僕、そういえば、まだ一般人だよな、」

 ここまで冒険すると、自分がなんでもアリな主人公ではないかと錯覚してしまう。

 「はぁ、一般人は一般人らしくしろってか………」

 僕はその扉を2回ノックし、

「すみませーん、誰かいますかー、開けてもらえませんかー」


 「…………………」

 「ははっ、いないっすよね……すみません……僕、誰に謝ってんのかなぁ、
こんなとこ、誰もいないのになぁ、
……………どうしよ!これじゃあ、ただの変人じゃん! 自分で誰もいないだろって言ったのに! 誰もいないのにはずなのに! なんでこんなこと言ったのかなぁ! ねぇ⁉︎  ………誰もいないんですけどね!!!!」早口

 自分の言動と行動の矛盾と、誰もいないのに段々と恥ずかしくなってくるのとで、発言が支離滅裂になる。

???「………そこに、誰かいる?」

 「えぇ、おりますよ! ここに寂しい  
  18歳がね!   …………え、、、
  !!え!?」

 少女の声が聞こえてくる。それも、この厚い鉄板とびらの中からである。

 「あの、生きてたらここを開けてくれないか……?」

 生きてるから話しているのに、なんて失礼なやつだろうか。
 ……まぁ、今の僕も半分死人みたいな顔だし、許してほしい。

 「ん……いいよ…」

 と、少女が言う。その発言の5秒後に、ゴゴゴと、ありきたりな音を立てて、その大扉が開く。その隙間から漏れ出る光はなかった。が、僕の目には
人の手によってできたものとは思えないものが目に入ってくる。

 少女が、裸で岩に下半身刺さっているのだ。



 

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みんなの感想(1件)

スパークノークス

おもしろい!
お気に入りに登録しました~

らいむぎ
2021.09.10 らいむぎ

ありがとうございます!
これからも頑張っていきます!

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