自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第412話 迷宮都市 地下14階 大活躍するハニーのコロニー

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 食事が終了した後、もう一度今日のお礼を言って工房から出ていく。
 初めて槍の使い方を習えた稽古は楽しかったな~。

 槍は突くだけではなく、ぎ払いも出来る。
 それは長槍の方が向いているだろうけど、上手くなれば防御にだって使えるらしい。

 Lvが高いお陰で身体能力が上がった私にも、習得出来そうだ。
 これが、日本にいた頃なら年齢的に厳しかったかも知れない。
 48歳の体で槍術を習うのは無謀むぼうすぎる。

 36歳若返った体で良かった~。

 人気のない路地に入りホームの自宅に戻ってきた。
 沢山運動した後は、糖分が必要だろうとデザートタイムにする。

 コーヒーをれて、それぞれの食べたいケーキを聞き皿に出す。
 兄はピスタチオのケーキ、旭は定番のモンブラン、私はフルーツがたっぷり入ったミルクレープにした。

 これは以前、兄が教えてくれたホテルのケーキバイキングの物。

 時間ぎりぎりまで注文と収納を繰り返し、自宅のアイテムBOXへ登録し×365個にしておいたので、もう一生分くらいあるかも?

 毎日食べる訳じゃないし、種類も沢山あるからかなり贅沢だ。 
 『手紙の人』ありがとう!

 まぁ今度行く時、食べ放題の仕様は変更になっているかも知れないけどね~。 

「沙良、ガーグ老は明らかに統括する立場にいた人間だな。他の9人の職人達は命令に従っている雰囲気ふんいきだった」

「うん、この世界だと騎士団長? でもしていたんじゃないかな? それが、国に仕えていたのか個人に仕えていたのか判断は出来ないけどね。高齢で引退したんだと思う」

「嘘でしょっ! あれは引退したお爺さんの動きじゃないよ! 俺を教えてくれた人は、絶対今でも鍛錬してると思う。そして、ちょっと怖かった……」

 旭は完全な初心者じゃないから、指導に熱でも入ったのだろうか?
 
「お兄ちゃんの方は、どうだった?」

「俺は、本当に基礎から教えてもらったからな。別に問題はなかったぞ?」

「私の方も、優しく教えてくれたよ? 槍の持ち方が間違っていて、ちょっと恥ずかしい思いをしたけどね」

「何で、俺を指導してくれたお爺さんだけ厳しかったんだろう?」

「見込みがあると思われたんだろう。武術の心得がある分、基礎的な事より応用部分を重視したのかもな」

 そう言って兄は旭をなぐさめている。
 旭は兄に言われて納得したのか、ようやくモンブランに口を付けた。

 私は、話しながらミルクレープを完食してましたよ~。
 2個目は、夕食が食べられなくなるので止めておこう。

 午後からは、途中だった兄のセーターの続きを編む事にした。
 今から、少しずつ時間を見付けて編んでおかないと。
 
 兄達が、2匹と一緒に遊びたいというので駐車場に呼び出してあげた。
 シルバーはどうか分からないけど、フォレストは兄の体に尻尾を巻き付けて喜んでいる。

 2人が従魔を構ってくれるので、寂しい思いをする事はないだろう。
 ガーグ老の工房に行く時、2匹を連れて行っていいか聞いてみようかな?

 全員体格のよいお爺さん達だから、怖がる事はないと思う。
 ダンジョン内で連携を取るために、シルバーには槍の動きを覚えて欲しいんだよね。

 久し振りに予定のない休日の午後。
 ソファーに座って編み物をしている間に、槍の稽古で疲れていたのか眠ってしまったらしい。

 目が覚めると、外は暗く完全に夜になっていた。
 編みかけのセーターは、ソファーの前にあるローテーブルの上に置かれ兄の字で書かれたメモが隣にあった。

 『旭と一緒に飲みに行ってくるから、夕食は作らなくてもいいぞ。18:00 賢也』

 私の体に寒くないよう、毛布を掛けてくれたのは兄らしい。
 時計を見ると21時。
 
 2日続けてお昼寝? してしまったようだ。

 お腹が空いているので、アイテムBOX内にある鮭弁当を食べる事にする。
 味噌汁はインスタントでいいか……。

 少しぼ~っとした頭で夕食を食べ終え、お風呂に入ると目が覚めた。
 もう少しだけ、セーターの続きを編んでおこう。

 内緒にして渡すはずのセーターが、完全にバレてしまった事は残念だなぁ。
 大きさから、自分達の分だと気付いたわよね?


 月曜日。
 今日から5日間またダンジョン攻略。
 階段へ一直線に、地下1階から地下11・・階まで駆け抜ける。

 兄とフォレストを置いて、私と旭は再び地下11階から地下14階まで駆け抜けた。
 安全地帯に着いてマジックテントを設置後、休憩したら攻略開始。

 アマンダさん・ダンクさんと挨拶を交わしながら、子供達の話を併せ伝えていく。

 ダンクさんの家の子供が1人E級冒険者に上がった事を話すと、彼は嬉しそうに「武器と防具を買わないとな」と笑っていた。

 家が3軒もあるから、ダンクさんが面倒を見る子供の人数は多い。
 稼いでいる冒険者パーティーのリーダーだし、両親の建ててくれた家に住んでいる分、出費は少なかっただろう。

 初心者用の武器と防具をそろえるくらい、訳もないはず……よね?

 でもリリーさんと結婚するなら、新しい家が必要になるかも知れないな。
 子作りにも、迷宮ウナギを食べてはげんでいる。

 少しでも安く家を建てられるように、結婚祝いはトレントの資材をプレゼントしてあげよう。
 迷宮ウナギの追加は必要ないかしら?

 2人別々に安全地帯を出て、それぞれ午前中のダンジョン攻略を始める。
 まぁ、攻略というよりは半分遊びに近い感覚だけどね。

 13階にハニーを迎えに行ったら、増えたコロニーを見せてくれた。
 54匹もそろった状態のキラービーは、圧巻の一言。
 
 これだけの数がいるならと、少し考えていた事をハニーに聞いてみよう。

「ハニー、この子達も魔力草を見付ける事が出来るかな?」

 ハニーは、私の言葉に頭を上下に振って答えてくれる。
 おおっ、これはすごい発見だ!

「じゃあ皆で魔力草を取ってきて、このマジックバッグ3㎥に入れてくれる?」

 ハニーは首を少し傾げた後で、コロニー全体に指示を出したようだ。
 一斉にキラービーが地面から飛び立つ。

 5分程待っていると、最初の1匹が魔力草を口にして持って帰ってきた。
 皆、なんて賢いの!

 地面に置いたマジックバッグ3㎥(旭から貰った)に、キラービーが脚を触れると魔力草が消えた。
 この魔道具は、人間じゃなくても使えるらしい。

 使用者権限のついた物は無理だろうけど、普通の物なら魔物でも大丈夫みたいだ。
 最初に帰ってきたキラービーの首にマジックバッグをくくりつけ、「魔力草の他に癒し草も入れてね」とお願いしておいた。
 
 養蜂は無理だけど、これで薬草採取は任せる事が出来る。
 ダンジョン内は薬草も毎日生えてくるから採取し放題だ。
 1日で、どれだけの量が採取出来るか楽しみね! 

 意外な従魔の活用方法が見付かったので、コロニーを順調に増やしてくれたハニーをめてあげよう。
 大きなしま模様がある背中をでてあげると、2本の触角をピコピコ動かして喜んでくれた。
 
 色も随分ずいぶんクインビーに近付いてきている。 
 ピンクと黒の変わった色合いだけど、これがもう少し蛍光ピンクに変化すれば進化は終了しそうだ。
 
「ハニー、クインビーになったらコロニーのキラービーもキングビーに進化するの?」

 もうひとつ気になっていた事を確認する。
 これには、ハニーがはねを大きく震わせ同意してくれた。

 統率する1匹に合わせ、コロニーも進化するなんて本当に驚きの事実だ。
 魔物の生態は奥が深い。

 そして相変わらずテイム魔法は謎だらけであった……。
 
 『手紙の人』~!
 取り扱い説明書を下さい!!

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