自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

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第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第511話 迷宮都市 地下15階 秘密のLv上げ5(地下30階~地下29階)

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 その後はいつもの薬草採取にはげみ3時間後、安全地帯に戻ってくる。
 父には私がハニーと魔力草を採っている間、従魔と一緒に魔物を狩りLv上げをしてもらった。

 ダンジョンの森で薬草採取をしている私を見て、父は「冒険者……なんだよな?」と首をかしげていたけど。
 既にLvが45あるので、地下15階の魔物を倒しても経験値が足りないんだよね~。
 異世界のお金も沢山あるし、魔物を狩るより自分の楽しみを優先させたい。

 ゲームのようにLvUPに必要な経験値の数字が見れたら、もう少し効率良く出来るのに残念。

 安全地帯にはテント前に旭達がいて、怪我人の治療に当たっている所だった。
 今回は旭のお母さんが治療しているらしい。

 雫ちゃんが病気だったから、旭のお母さんは医学書を沢山読んで勉強していた。
 普通の人より医療に関して知識は高いはず
 
 今まではダンジョン内で治療を行わず、ヒールを使用出来なかったので積極的に上げたいのだろう。
 それは何かあった時、直ぐに雫ちゃんを治療するためでもある。

 旭はヒールLvが10だけど、お母さんの方が基礎値が高い。
 MP値が多ければ、それだけ効果の高い治療が可能だからね。

 しかしよく考えたら、7人パーティー中3人も治癒術師がいるってすごい事だ。
 私達は本当に恵まれていると思う。

 治療をした女性から、旭のお母さんが金貨17枚(1千7百万)を受け取り戻ってきた。
 全員でテントに入り、兄を地下13階から連れ戻し自宅に戻って昼食だ。

 今日の昼食のメニューは、蟹のトマトクリームパスタ・照り焼きチキンピザ・コカトリスを使用した唐揚げ・シーザーサラダ。
 コーンスープと旭のお母さんが煎れた紅茶で頂きます。

 パスタに入っている蟹身は、ダンジョン産のタラバガニを使用しているので量もたっぷり入っている。
 それを食べた雫ちゃんが頬をゆるませて、

「今まで食べたパスタの中で一番美味しい!」

 と言ってくれた。

 蟹身が缶詰じゃなく生だからね~。
 食べごたえを重視してタラバガニの方を使用したし。
 ごろごろ入っているから兄達も満足するだろう。

 私もパスタをフォークでくるくると巻き取り、一口食べてみる。
 うん、自画自賛する訳じゃないけど美味しい!

「お兄ちゃん。ランダムで生る果物を調べてみたんだけど、地下15階に生るのはさくらんぼだったよ~。あれはきっと佐藤錦だと思うから、頑張って見付けてね!」

 私は今日発見した果物を兄に教えてあげた。

「えっ!? アメリカンチェリーの他にも、生っている果物があるの?」

 雫ちゃんとお母さんが、驚いた様子で尋ねてくる。

「森のダンジョンには、毎日生る場所が変わる果物の木が1本だけあるんだよ。その階層で生る果物とは違う種類だから、兄が発見する事を楽しみにしてるの」

「王都のダンジョンでは聞いた事がないよ! 迷宮都市のダンジョンが最高過ぎる!」

 ダンジョンには、その特色が強く出るから果物が生っているのはここだけかも知れないな。
 それは多分、ダンジョンマスターになった人の好みが反映されているんだろう。

「お前達は本当に自由だな。ダンジョンへ薬草採取と果物採取にきているのか?」

 父があきれたように言う。

「う~ん、いつも大体こんな感じだよ? 3人パーティーの時は、全員が別行動してたし」

「それじゃパーティーの意味がないだろう。冒険者として間違ってる」

「魔物は魔法で瞬殺しちゃうから、狩りはついでかな?」

 私の答えを聞いた父が、あきらめたように「……違い過ぎる」と呟いていた。
 
 そして今日も紅茶を飲んで吹き出しそうになる。
 苦いよ!

 茶葉は危険だからと、旭のお母さんにはティーバッグを渡しておいたのに何故なぜなのか……。
 食後のデザートは、チョコレートケーキにしておいた。
 
 2回目の攻略開始。
 先に兄を地下13階に送り届け、私達は安全地帯のテントに移動する。

 二手に分かれ、従魔に乗って別々の方向へ進む。
 旭達は川に向かい迷宮ウナギを狩る心算つもりらしい。

 私達は兄に内緒で地下30階へと移動する。
 1日中薬草採取をするのも時間が勿体もったいないと思い、予定を変更したのだ。

 地下30階の魔物をドレインで昏倒させ、魔石を抜き取ると父が唖然あぜんとしていた。

「……アンデッドが簡単に……」

 あぁ、地下15階にくるまでは兄がホーリーで倒していたからね。

「魔石を抜き取ると死ぬよ? お父さんも、ドレインで昏倒させれば出来るから」

「ドレインの魔法が万能過ぎる……」

 床に落ちているマントと杖は触れずにアイテムBOXへ収納。
 次は階段を上がって地下29階に移動する。

 景色ががらりと変わり、一面に砂漠が広がっている。
 この階層の魔物は砂の中に潜んでいるから、マッピングは役に立たない。

 従魔達の勘だけが頼りだ。
 砂漠の上を進んでいくと、突然砂ウサギが砂の中から現れた。

 泰雅たいがに乗った父が向かっていき、すかさず仕留める。
 その余りのスピードに、私は反応出来なかった。

 魔法を撃つより速いって……。

 泰雅たいがも父を乗せているからか、シルバーより行動が素早い。
 私を乗せたシルバーは、安全を優先してるのでスピードを出してくれないんだよね~。

 地下29階の魔物を倒した事で、Lvがかなり上がっただろうと思い父に聞いてみた。

「お父さん。Lvが上がっていると思うから、ステータスを確認してみて? 幾つになってる?」

「……Lv20だ」

 少し間があったのは、まだステータス画面を見慣れていない所為せいかしら?
 ダンジョンを攻略する前は、Lvが10だったので1匹倒しただけで倍になった事になる。

 やはり経験値が多く入ったのだろう。
 今日は父のLv上げを優先しよう。
 
 砂漠に出現する魔物は父に任せ、私は狩った獲物をアイテムBOXに収納していった。
 そして湖に辿り着くと、魔法のLvを上げるため父にサンダーボールを撃ってもらう。

 100匹の沢蟹と1匹のタラバガニが水面に浮きあがった所で、アイテムBOXに全てを収納。
 視界に入れば触れなくても収納出来るアイテムBOXは優秀だ。

 父がさっき食べたパスタの材料に気付き納得している。
 
「蟹は冷凍物じゃなかったんだな」

「うん、湖には食べられる魔物が生息しているんだよ。蟹食べ放題だからお得だよね~」

 私の言葉に苦笑しながら、父がうなずいた。
 どうやら蟹の味は気に入ったみたいだ。

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