自宅アパート一棟と共に異世界へ 蔑まれていた令嬢に転生(?)しましたが、自由に生きることにしました

如月 雪名

文字の大きさ
517 / 781
第4章 迷宮都市 ダンジョン攻略

第640話 迷宮都市 セイさんのリクエスト&飛翔魔法の練習

 シュウゲンさんを王都の武器屋へ送り荷物をまとめてもらった。
 弟子のバールさんに店を譲り鍛冶職人は引退していたらしく、

「儂は放浪の旅に出る」

 と言って、祖父は実家へ引っ越す事を決めたようだ。
 いつきおじさんへ10個のポシェットを渡し、またマジックバッグにしてほしいとお願いする。
 魔力は寝たら回復するので、攻略のない日ならMPを使用しても大丈夫だろう。
 旭家へ送った後3人を連れ実家へ戻り玄関を開けると、母が夕食の準備をしていたのか美味しそうな匂いが鼻をくすぐる。
 煮物を作っているのかな?
 
「お母さん、ただいま~。後でお兄ちゃんと旭が増えても大丈夫?」 

「おかえりなさい。2人増えても大丈夫よ」

「じゃあ、メインは私が作るね。今日は餃子にしよう!」

「あら、いいわね」

 セイさんのリクエストは餃子なので、沢山作れば残りをアイテムBOXに収納でき一石二鳥だ。
 私は材料を刻み種を作り、母と餃子の皮に包んでいく。
 7人家族だと100個は作る必要があるから、数が少なくて済むよう椎名家は大判の皮にたっぷり種を入れる。
 兄へ念話の魔道具で連絡を入れ、夕食は実家で食べる事を伝えた。
 旭がアイテムBOXに2人分のバイクを収納しているから、20分もすれば戻ってくるだろう。

 ホットプレートを出し餃子を焼き始めると、男性陣は母が作った筑前煮ちくぜんにをつまみにビールを飲み出す。
 祖父は異世界生活が長かった分、日本のビールが飲めて幸せそう。
 もしかして引っ越しの決め手はドワーフだけに、お酒だったりするのかしら?
 餃子が焼きあがる頃に兄達が戻り、よく食べる2人へ丼でご飯を大盛にして出す。
 人数が増えてにぎやかな食卓を見ながら母が嬉しそうに言った。

「早く、あかね遥斗はると雅人まさとに会いたいわ」
 
 日本にいる子供達が心配なのだろう。
 あぁ、雅人の名前は祖父の雅美まさみという名前から取ったのか……。

「3人の他に、まだ子供がいるのか?」

 双子達が生まれる前に亡くなってしまった祖父が驚いている。

「ええ、あれから双子を産んだの。2人の写真を後で見せるわ」

「そうかそうか、儂は孫が沢山じゃの」

 スパルタ勉強会は既に始まっているようで食後に、兄がまた病院へ戻ると言い嫌がる旭を連れ帰る。
 珍しく夕食にお酒を飲んでいなかったから、変だと思ったんだよね~。
 私はセイさんの所へいく必要があるため、祖父へアルバムを見せている母に気付かれないよう、父へ目配せしリビングから出てもらった。
 異世界には1人でいかないと兄と約束しているから、なるべく誰かと一緒に行動するように心がけているんだよ。
 母へ父とシルバー達の散歩に出かけると伝え家を出た。
 セイさんの所へいく前に、父にはガルムをテイムしてしまった件を話しておこう。

「お父さん。今日ガーグ老の所に騎獣が届いたでしょ? 魅了みりょうを使ってないんだけど、名前を呼んだら10匹共テイムしちゃったみたいなの」

「何だって!? 10匹分も、魔力が足りないだろう!」

「あ~、同じ種族の所為せいなのか魔力を消費するのは1匹だけみたいで、リーダーになってたよ?」

「群れをテイムした状態になっているのか……。じゃあガルム達は、お前の言う事しか聞かないんじゃないか? それはまずいだろう」
 
「ガーグ老の笛に合わせて行動するよう、お願いしたから大丈夫!」

「はぁ~。本当に、お前のテイム方法はバレたら大変だな。沙良、今回は仕方ないが、これからは充分気をつけるんだぞ」

「うん! 勝手にテイムすると、お兄ちゃんに怒られるから内緒にしてね!」

「あぁ、分かった」

「それで、ガルム達の飛翔魔法を習得したんだよね~。私、空を飛べるんだよ!」

「飛翔魔法だと!? ……いや、より安全に逃げられるようになるか?」

 新しい魔法を覚えたと伝えたら、父が何かを考えている。
 どうせなら父にも覚えてもらおうと、異世界の庭に移転して直ぐガルちゃん1号を呼びだした。

「ガルちゃん1号、ここにきて!」

「1号って……」

「全部同じ名前になっちゃったから、番号が付いたみたい」

 5分程で1匹のガルムが上空から庭に降りてくる。

「お父さんに、飛翔魔法を掛けてくれる?」

 ガルちゃん1号は一度軽く頭を上下させ魔法を掛けてくれたので、魔法を習得出来たか父にステータスを確認してもらう。
 お礼を言い体をでた後、ガーグ老の指示をよく聞いて、いい子にしてねとお願いし元の場所へ戻るよう伝えると、ガルちゃん1号は尻尾をフリフリさせながら空高く舞い上がり、しばらくして姿が見えなくなった。
 新しい魔法の練習をしたい所だけど、夕食を待っているセイさんの所へ先にいかなければ……。

 通信の魔道具で連絡をもらった町へマッピングで移動し、宿屋の場所を見付けセイさんがいる部屋に移転した。
 リクエストの餃子に炊き立てのご飯・筑前煮と中華スープ・デザートの杏仁豆腐を出すと、喜んで食べ出す。
 
ひじり、食事以外に困っている事はないのか?」

 父が長期の移動を心配してかセイさんに尋ねていた。
  
「馬車の旅は慣れていますから、他は問題ありませんよ。ただ日本食を食べてしまうと、どうしてもこの世界の食事を美味しいと感じられなくなりますね」

「そうか……悪いな。後2週間、迷宮都市で合流するまで頑張ってくれ」

「また来週、食べたい物を持ってきますね。これ、朝ごはん用のお握りです」

 鮭と昆布と明太子が入ったお握りを3個渡し、宿から再び家の庭へ戻ってくる。
 よし! まだ時間があるから飛翔魔法の練習をしよう!

「お父さん。飛翔魔法を使ってみよう?」

「まだLv0だから、そんなに高く飛べないと思うが練習はした方がいいか……。高さに注意しながら使用するんだぞ」

「は~い」

 元気良く返事をし飛翔魔法を唱えた瞬間、体が10cmくらい浮き上がった。
 特にバランスを取る必要もないらしく、空中に浮いたままでも静止した状態で助かる。
 後は飛ぶイメージを持てばいけそう。
 徐々に高さを上げ、最初は3mくらいで練習開始。
 私が落ちても大丈夫なように、飛翔魔法を使用した父がぴったりと隣についた。  
 
 まずは自転車の速さくらいで移動する。
 うん、問題なさそうかな? 次はもう少し高く飛んでみよう。
 家の塀は10mなので高さ10mまでゆっくり上昇し下を見ると、かなりの高さがある。
 高所恐怖症の人は飛翔魔法を使えないかも? 何せ支える物が何もない。
 この魔法は自分しか使用出来ないのかしら? 庭で待機しているシルバー達に掛けてみよう。
 
 思ったら直ぐに実行だ。
 一旦いったん地面に降りシルバー達が浮くようイメージし、浮遊魔法を掛けてみたけど駄目だった……。
 どうやら浮遊魔法は習得した人しか使えないらしい。
 便利な魔法だから、転移組のパーティーメンバーにも習得させたいなぁ。
 何か良い方法がないか考えておかなくちゃ。
 その後、30分ほど練習してから実家に父を送り届け自宅へ帰った。

 -------------------------------------
 お気に入り登録をして下さった方、エールを送って下さった方とても感謝しています。
 読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
 応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
 これからもよろしくお願い致します。
 -------------------------------------
感想 2,669

あなたにおすすめの小説

異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります

モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎ 飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。 保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。 そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。 召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。 強制的に放り込まれた異世界。 知らない土地、知らない人、知らない世界。 不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。 そんなほのぼのとした物語。

転生皇女は冷酷皇帝陛下に溺愛されるが夢は冒険者です!

akechi
ファンタジー
アウラード大帝国の第四皇女として生まれたアレクシア。だが、母親である側妃からは愛されず、父親である皇帝ルシアードには会った事もなかった…が、アレクシアは蔑ろにされているのを良いことに自由を満喫していた。 そう、アレクシアは前世の記憶を持って生まれたのだ。前世は大賢者として伝説になっているアリアナという女性だ。アレクシアは昔の知恵を使い、様々な事件を解決していく内に昔の仲間と再会したりと皆に愛されていくお話。 ※コメディ寄りです。

ネグレクトされていた四歳の末娘は、前世の経理知識で実家の横領を見抜き追放されました。これからはもふもふ聖獣と美食巡りの旅に出ます。

旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
アークライト子爵家の四歳の末娘リリアは、家族から存在しないものとして扱われていた。食事は厨房の残飯、衣服は兄姉のお下がりを更に継ぎ接ぎしたもの。冷たい床で眠る日々の中、彼女は高熱を出したことをきっかけに前世の記憶を取り戻す。 前世の彼女は、ブラック企業で過労死した経理担当のOLだった。 ある日、父の書斎に忍び込んだリリアは、ずさんな管理の家計簿を発見する。前世の知識でそれを読み解くと、父による悪質な横領と、家の財産がすでに破綻寸前であることが判明した。 「この家は、もうすぐ潰れます」 家族会議の場で、リリアはたった四歳とは思えぬ明瞭な口調で破産の事実を突きつける。激昂した父に「疫病神め!」と罵られ家を追い出されたリリアだったが、それは彼女の望むところだった。 手切れ金代わりの銅貨数枚を握りしめ、自由を手に入れたリリア。これからは誰にも縛られず、前世で夢見た美味しいものをたくさん食べる生活を目指す。

異世界に転移してしまった私、古民家をもらったのでカフェを始めたら大盛況。国王陛下が頻繁に来るのですが、どうしたらいいですか?

来栖とむ
ファンタジー
ブラック企業で疲れ果てた30歳の元OL・美里(みさと)が転移した先は、見渡す限りの深い森。 そこで彼女が授かったのは、魔女の称号……ではなく、一軒の**「日本の古民家」**だった! 亡き祖母が遺したその屋敷には、異世界では失われたはずの「お醤油」「お味噌」「白いお砂糖」という禁断の調味料が眠っていて――。 「えっ、唐揚げにそんなに感動しちゃうの?」 「プリン一口で、国王陛下が泣いちゃった……!?」 おにぎり、オムライス、そして肉汁溢れるハンバーグ。 現代日本の「当たり前」が、この世界では常識を覆す究極の美食に。 お掃除のプロな親子や、お忍びの王様、さらにはツンデレな宮廷料理人まで巻き込んで、 美味しい香りに包まれた、心もお腹も満たされるスローライフが今、始まります!

家ごと異世界ライフ

もちもちほっぺ
ファンタジー
突然、自宅ごと異世界の森へと転移してしまった高校生・紬。電気や水道が使える不思議な家を拠点に、自給自足の生活を始める彼女は、個性豊かな住人たちや妖精たちと出会い、少しずつ村を発展させていく。温泉の発見や宿屋の建築、そして寡黙なドワーフとのほのかな絆――未知の世界で織りなす、笑いと癒しのスローライフファンタジー!

夢のテンプレ幼女転生、はじめました。 憧れののんびり冒険者生活を送ります

ういの
ファンタジー
旧題:テンプレ展開で幼女転生しました。憧れの冒険者になったので仲間たちとともにのんびり冒険したいとおもいます。 七瀬千那(ななせ ちな)28歳。トラックに轢かれ、気がついたら異世界の森の中でした。そこで出会った冒険者とともに森を抜け、最初の街で冒険者登録しました。新米冒険者(5歳)爆誕です!神様がくれた(と思われる)チート魔法を使ってお気楽冒険者生活のはじまりです!……ちょっと!神獣様!精霊王様!竜王様!私はのんびり冒険したいだけなので、目立つ行動はお控えください!! 初めての投稿で、完全に見切り発車です。自分が読みたい作品は読み切っちゃった!でももっと読みたい!じゃあ自分で書いちゃおう!っていうノリで書き始めました。 2024年5月 書籍一巻発売 2025年7月 書籍二巻発売 2025年10月 コミカライズ連載開始

転生したので、今世こそは楽しく生きます!~大好きな家族に囲まれて第2の人生を謳歌する~

結笑-yue-
ファンタジー
『可愛いわね』 『小さいな』 『…やっと…逢えた』 『我らの愛しい姫。パレスの愛し子よ』 『『『『『『『『『『我ら、原初の精霊の祝福を』』』』』』』』』』 地球とは別の世界、異世界“パレス”。 ここに生まれてくるはずだった世界に愛された愛し子。 しかし、神たちによって大切にされていた魂が突然できた輪廻の輪の歪みに吸い込まれてしまった。 神たちや精霊王、神獣や聖獣たちが必死に探したが、終ぞ見つけられず、時間ばかりが過ぎてしまっていた。 その頃その魂は、地球の日本で産声をあげ誕生していた。 しかし異世界とはいえ、神たちに大切にされていた魂、そして魔力などのない地球で生まれたため、体はひどく病弱。 原因不明の病気をいくつも抱え、病院のベッドの上でのみ生活ができる状態だった。 その子の名は、如月結笑《キサラギユエ》ーーー。 生まれた時に余命宣告されながらも、必死に生きてきたが、命の燈が消えそうな時ようやく愛し子の魂を見つけた神たち。 初めての人生が壮絶なものだったことを知り、激怒し、嘆き悲しみ、憂い……。 阿鼻叫喚のパレスの神界。 次の生では、健康で幸せに満ち溢れた暮らしを約束し、愛し子の魂を送り出した。 これはそんな愛し子が、第2の人生を楽しく幸せに暮らしていくお話。 家族に、精霊、聖獣や神獣、神たちに愛され、仲間を、友達をたくさん作り、困難に立ち向かいながらも成長していく姿を乞うご期待! *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈ 小説家になろう様でも連載中です。 第1章無事に完走したので、アルファポリス様でも連載を始めます! よろしくお願い致します( . .)" *:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈*:;;;;;:*◈

追放された荷物持ちですが、実は滅んだ竜族の末裔でした~のんびり暮らしたいのに、なぜかそうならない~

ソラリアル
ファンタジー
目が覚めたら、俺は孤児だった。 家族も、家も、居場所もない。 そんな俺を拾ってくれたのは、優しいSランク冒険者のパーティだった。 「荷物持ちでもいい、仲間になれ」 その言葉を信じて、俺は必死についていった。 だけど、自分には何もできないと思っていた。 それでも少しでも役に立ちたくて、夜な夜な一人で力を磨いた。 だけどある日、彼らは言った。 『ここからは危険だ。荷物持ちは、もう必要ない』 それは、俺の身を案じた「優しさ」からの判断だった。 俺も分かっていた。 だから、黙ってそれを受け入れ、静かにパーティを離れた。 「もう誰にも必要とされなくてもいい。一人で、穏やかに生きていこう」 そう思っていた。そのはずだった。 ――だけど。 ダンジョンの地下で出会った古代竜の魂と、 “様々な縁”が重なり、騒がしくなった。 「最強を目指すべくして生まれた存在」 「君と一緒に行かせてくれ。」 「……オリオンを辞めさせた、本当の理由を知っている」 穏やかなスローライフ生活を望んだはずなのに、 世界はまた、勝手に動き出してしまったらしい―― ◇小説家になろうでも同時連載中です◇