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<外伝> 椎名 賢也
椎名 賢也 64 迷宮都市での情報収集
リースナーの町から馬車で迷宮都市へ移動する夜は、ホームの自宅で寝るので思ったより快適な旅だった。
まぁ、舗装されていない馬車内は揺れが酷く俺達の尻は大変な事になったが……。
沙良にお願いされるまでもなく、何度もヒールで痛みを和らげた。
迷宮都市で冒険者活動をする旭にダンジョン内で怪我人がでたら、お礼の件は伏せたまま治療するよう伝えておく。
これは沙良が死亡者を見るのを回避するためでもある。
医者の俺達は一般人より死を目の当たりにする機会が多い。
慣れているわけではないが、沙良にとっては辛いだろう。
今のところ冒険者活動を楽しそうにしているから、止めたいと言われないようにしないとな。
俺のマンションがホームに設定できる迄、あとほんの少しだし……。
それに加えて、旭にはリースナーの町で起こった事件の詳細を教えた。
沙良を狙った奴隷商や冒険者に対してした処理を聞いた旭は、顔を青ざめさせ本当にそんな事をしたのかと問い詰めてきた。
真剣な表情で頷きを返すと、信じられないとばかりに目を見開いていた。
人を害する行為をしたと知り、涙もろい旭が目を真っ赤にさせて俺を抱き締める。
「賢也は何も悪くない。沙良ちゃんを守ったんだから……」
そう言われて、仕方ないと思いつつ罪悪感に苛まれていた俺の心が慰められた。
沙良には秘密にしていたから、旭に悪くないと言われた事で肩の荷が下りたのかも知れない。
「旭、異世界は日本より危険が多い。沙良は外見が幼いままだし、これからも狙われる可能性がある。だから、お前も覚悟を決めてくれ」
「うん、分かった。沙良ちゃんは俺達が守ってあげなきゃ! もう、綺麗になっちゃって大変だよね~」
暗い雰囲気を打ち消すかのように冗談めかして旭が笑う。
「そうだな、まぁ一応お前も注意した方がいいぞ?」
「えっ、何で?」
言われた意味が分からないのか、きょとんとして目をぱちくりさせている旭は、異世界で同性に人気が出るだろう。
背が低く童顔で可愛らしい容貌をしているからな。
特に男性冒険者には注意が必要だ。
いずれ身の危険を感じて納得するだろうと思い、この場では軽い忠告に留めた。
2週間後。ようやくリザルト公爵領内にある迷宮都市に到着した俺達は、沙良の案内で防具を買いに行く事にした。
迷宮都市内を歩く冒険者達は、大型ダンジョンを攻略するだけあって年齢層が高い。
多分、C級なのは俺達くらいのものだろう。
身に着けている鎧や武器は高そうに見える。
同じ冒険者の格好をしている俺達に視線が集まるのは、年若い所為か……。
リースナーの町で会った人間のように、沙良を狙っている者がいないか注意深く観察する。
何かあったら、すぐに行動できるよう旭と視線を交わした。
俺の意図を読み取った旭は、さり気なく沙良の後ろに回り後方を確認している。
妹の茜よりは弱いが、空手を習っていたので俺より喧嘩は強いと信じてるぞ?
初動は魔法の方が早いけどな。
防具屋に入ると、沙良がワイバーンの革鎧を見付けて嬉しそうにしている。
これを買いたいと大喜びで店主に伝え、「金はあるのか」と聞かれ憤慨していた。
見た目が幼い少女だし今着ている革鎧はリザードマンの物だから、金を持っていないと思われたらしい。
金ならあると言わんばかりに、両手に溢れるほどの金貨を見せる妹の態度が笑いを誘う。
旭には微笑ましく映っているのか、沙良を見る目が優しかった。
大量の金貨を見せられた店主はニコニコ顔で注文を受ける。
サイズがなく、作るのに1週間かかると言われた沙良はガッカリして肩を落とした。
ワイバーンの革鎧は金貨5枚で日本円にすると500万円もするが、どうせならと俺と旭も同じ物を購入し店内で着替えた。
あ~、沙良? そんな羨ましそうにされても、サイズがないんじゃしょうがないだろう?
大人しく1週間待ってろ。
それに、銀貨50枚分安くなったんだから儲けたと思えばいいじゃないか。
次に情報収集をするため冒険者ギルドへ足を運ぶ。
リースナーの町より大きく受付嬢の人数も多い。
中に居た冒険者からはジロジロと不躾な視線を向けられるが、俺達は無視して資料室のある2階へ上がった。
迷宮都市ダンジョンの最終攻略組は地下18階を拠点にしていると聞いたので、常設依頼を確認していく。
地下4階まではリースナーのダンジョンに出る魔物と変わらず、地下5階から迷宮都市ダンジョン特有の魔物が出現するらしい。
一見したところ手に負えないような魔物の名前はなく、いきなりモルボルとか厄介な魔物がいなくて助かった。
沙良はドラゴンの情報がないか目を光らせている。
いや、どう考えても30階層しかないダンジョンにはいないと思うぞ?
31階以降の情報が全くないから、これまでの経験上そこまで強い魔物が出現するとは思えない。
ワイバーンの革鎧があるので低級の飛竜くらいは、もしかしたらボスとして登場するかも知れないがな。
ダンジョンに入るための入場料は銀貨1枚で、冒険者ギルドからダンジョン前までの馬車も24時間出ているようだ。
ある程度、魔物情報を集めたあと1階へ下りる。
そこで沙良が、壁にパーティーメンバー募集の張り紙が貼ってあるのを見付けた。
【活動拠点 地下10階 募集2名】
剣士(男)・槍士(男)・盾士(男)の4人
追加で槍士(男)・魔法士(男女OK)募集中
連絡はリーダー ゴルゴまで
【活動拠点 地下15階 募集1名】
剣士(女)・槍士(女)・盾士(女)・魔法士(女)の5人
追加で槍士(女)募集中
連絡はリーダー マルサまで
【活動拠点 地下18階 募集1名】
剣士(男)・槍士(男2名)・盾士(男)・魔法士(女)の5人
追加で治癒術師(男女OK)募集中
連絡はリーダー アマンダまで
ほう、冒険者募集の張り紙は初めて見るな。
しかし6人パーティーが基本の冒険者が募集するって事は、欠員が出たからだ。
それは怪我で引退したか死亡した仲間がいるという意味でもある。
大型ダンジョンは思ったより魔物が強いのか?
これまで怪我もなく楽に階層を移ってきたが、気を引き締めた方がいいかも知れない。
旭も居るし、実際に潜ってから考えよう。
2人で攻略するより、3人ならもっと安全になるだろう。
俺と同じ魔法を使用できる旭なら、魔物を瞬殺するに違いない。
スキップ制度を受けた時に見た倒し方であれば、問題なく攻略可能な筈。
初めての冒険者活動に浮かれている旭を横目に、少しだけ不安が残る。
大丈夫だよな旭、俺は期待してるぞ!
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お気に入り登録をして下さった方、いいねやエールを送って下さった方とても感謝しています。
読んで下さる全ての皆様、ありがとうございます。
応援して下さる皆様がいて大変励みになっています。
これからもよろしくお願い致します。
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まぁ、舗装されていない馬車内は揺れが酷く俺達の尻は大変な事になったが……。
沙良にお願いされるまでもなく、何度もヒールで痛みを和らげた。
迷宮都市で冒険者活動をする旭にダンジョン内で怪我人がでたら、お礼の件は伏せたまま治療するよう伝えておく。
これは沙良が死亡者を見るのを回避するためでもある。
医者の俺達は一般人より死を目の当たりにする機会が多い。
慣れているわけではないが、沙良にとっては辛いだろう。
今のところ冒険者活動を楽しそうにしているから、止めたいと言われないようにしないとな。
俺のマンションがホームに設定できる迄、あとほんの少しだし……。
それに加えて、旭にはリースナーの町で起こった事件の詳細を教えた。
沙良を狙った奴隷商や冒険者に対してした処理を聞いた旭は、顔を青ざめさせ本当にそんな事をしたのかと問い詰めてきた。
真剣な表情で頷きを返すと、信じられないとばかりに目を見開いていた。
人を害する行為をしたと知り、涙もろい旭が目を真っ赤にさせて俺を抱き締める。
「賢也は何も悪くない。沙良ちゃんを守ったんだから……」
そう言われて、仕方ないと思いつつ罪悪感に苛まれていた俺の心が慰められた。
沙良には秘密にしていたから、旭に悪くないと言われた事で肩の荷が下りたのかも知れない。
「旭、異世界は日本より危険が多い。沙良は外見が幼いままだし、これからも狙われる可能性がある。だから、お前も覚悟を決めてくれ」
「うん、分かった。沙良ちゃんは俺達が守ってあげなきゃ! もう、綺麗になっちゃって大変だよね~」
暗い雰囲気を打ち消すかのように冗談めかして旭が笑う。
「そうだな、まぁ一応お前も注意した方がいいぞ?」
「えっ、何で?」
言われた意味が分からないのか、きょとんとして目をぱちくりさせている旭は、異世界で同性に人気が出るだろう。
背が低く童顔で可愛らしい容貌をしているからな。
特に男性冒険者には注意が必要だ。
いずれ身の危険を感じて納得するだろうと思い、この場では軽い忠告に留めた。
2週間後。ようやくリザルト公爵領内にある迷宮都市に到着した俺達は、沙良の案内で防具を買いに行く事にした。
迷宮都市内を歩く冒険者達は、大型ダンジョンを攻略するだけあって年齢層が高い。
多分、C級なのは俺達くらいのものだろう。
身に着けている鎧や武器は高そうに見える。
同じ冒険者の格好をしている俺達に視線が集まるのは、年若い所為か……。
リースナーの町で会った人間のように、沙良を狙っている者がいないか注意深く観察する。
何かあったら、すぐに行動できるよう旭と視線を交わした。
俺の意図を読み取った旭は、さり気なく沙良の後ろに回り後方を確認している。
妹の茜よりは弱いが、空手を習っていたので俺より喧嘩は強いと信じてるぞ?
初動は魔法の方が早いけどな。
防具屋に入ると、沙良がワイバーンの革鎧を見付けて嬉しそうにしている。
これを買いたいと大喜びで店主に伝え、「金はあるのか」と聞かれ憤慨していた。
見た目が幼い少女だし今着ている革鎧はリザードマンの物だから、金を持っていないと思われたらしい。
金ならあると言わんばかりに、両手に溢れるほどの金貨を見せる妹の態度が笑いを誘う。
旭には微笑ましく映っているのか、沙良を見る目が優しかった。
大量の金貨を見せられた店主はニコニコ顔で注文を受ける。
サイズがなく、作るのに1週間かかると言われた沙良はガッカリして肩を落とした。
ワイバーンの革鎧は金貨5枚で日本円にすると500万円もするが、どうせならと俺と旭も同じ物を購入し店内で着替えた。
あ~、沙良? そんな羨ましそうにされても、サイズがないんじゃしょうがないだろう?
大人しく1週間待ってろ。
それに、銀貨50枚分安くなったんだから儲けたと思えばいいじゃないか。
次に情報収集をするため冒険者ギルドへ足を運ぶ。
リースナーの町より大きく受付嬢の人数も多い。
中に居た冒険者からはジロジロと不躾な視線を向けられるが、俺達は無視して資料室のある2階へ上がった。
迷宮都市ダンジョンの最終攻略組は地下18階を拠点にしていると聞いたので、常設依頼を確認していく。
地下4階まではリースナーのダンジョンに出る魔物と変わらず、地下5階から迷宮都市ダンジョン特有の魔物が出現するらしい。
一見したところ手に負えないような魔物の名前はなく、いきなりモルボルとか厄介な魔物がいなくて助かった。
沙良はドラゴンの情報がないか目を光らせている。
いや、どう考えても30階層しかないダンジョンにはいないと思うぞ?
31階以降の情報が全くないから、これまでの経験上そこまで強い魔物が出現するとは思えない。
ワイバーンの革鎧があるので低級の飛竜くらいは、もしかしたらボスとして登場するかも知れないがな。
ダンジョンに入るための入場料は銀貨1枚で、冒険者ギルドからダンジョン前までの馬車も24時間出ているようだ。
ある程度、魔物情報を集めたあと1階へ下りる。
そこで沙良が、壁にパーティーメンバー募集の張り紙が貼ってあるのを見付けた。
【活動拠点 地下10階 募集2名】
剣士(男)・槍士(男)・盾士(男)の4人
追加で槍士(男)・魔法士(男女OK)募集中
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剣士(女)・槍士(女)・盾士(女)・魔法士(女)の5人
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【活動拠点 地下18階 募集1名】
剣士(男)・槍士(男2名)・盾士(男)・魔法士(女)の5人
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ほう、冒険者募集の張り紙は初めて見るな。
しかし6人パーティーが基本の冒険者が募集するって事は、欠員が出たからだ。
それは怪我で引退したか死亡した仲間がいるという意味でもある。
大型ダンジョンは思ったより魔物が強いのか?
これまで怪我もなく楽に階層を移ってきたが、気を引き締めた方がいいかも知れない。
旭も居るし、実際に潜ってから考えよう。
2人で攻略するより、3人ならもっと安全になるだろう。
俺と同じ魔法を使用できる旭なら、魔物を瞬殺するに違いない。
スキップ制度を受けた時に見た倒し方であれば、問題なく攻略可能な筈。
初めての冒険者活動に浮かれている旭を横目に、少しだけ不安が残る。
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