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第二部 魔法少女は、ふたつの世界を天秤にかける
第25話 やっぱり一緒がいいね その四
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カルチェジャポネの、魔法的インフラを支えるエネルギー源である魔力――現状それは、魔核を持つ者が体内魔素を供出し、集魔装置に蓄えることで賄われている。
しかし体内魔素を根こそぎに吸われることは、肉体的、精神的に大きな負担がある。
たとえ百人がかりで供給したとしても、長時間に及べば地獄の苦しみに匹敵するのだという。
それをたった独りで数日の間賄い続けてきた莉美が、今またもう一度、「手伝いましょうか」と申し出た。
「莉美、あなたの方は大丈夫なの?」
白音は、さすがに莉美の体が心配になってきた。
地下のソロライブで莉美のダイブを受け止めたあの時、莉美の体は汗だくでかなりの熱を持っていた。
それが魔力供給のせいなのか、ライブパフォーマンスのせいなのかは知らない。
けれどさすがの莉美にとっても、街ひとつ分の魔力供給がそんなに簡単なことだったとは思えない。
それを気軽に散歩にでも行くような調子で、またやろうかと言う。
しかしその申し出は、智頭が丁重に断った。
「今の体制で朝までなら平気だと思います。二十人も増えましたしね。それに夜間は魔力の消費が多少は減りますし、ケーブルカーも運行していませんから」
「深夜魔力でお得な時間帯なんだねぇ……」
莉美がなんだか、電力会社のCMみたいなことを言う。
「あんたは、あんパンひとつで稼働するお得な巨大発魔所でしょうに……」
白音はもう苦笑するしかなかった。
「はは。お世話になった大空さんには、ゆっくりお休みいただきたい」
智頭が、改めて深々と頭を下げる。
大魔道が斉木を連れて、再び転移陣の向こうへ消えた。
結局、智頭と斉木は何も言葉を交わさなかった。
「げう……」
大魔道を見送っていた白音が、突然変な声を出した。
見ればそらが白音に抱きつき、白音は綺麗にあごに頭突きをもらっていた。
目線を上に上げていたので、そらの突進に気づいていなかった。
「白音ちゃん!! 白音ちゃん!!」
そらは大事なことなので二回言ったらしい。
よく見れば、だぶだぶのストラの生地の下から青い色が透けているのが分かる。
どうやら魔法少女に変身した上で、その一枚布でできた衣装を身につけているらしい。
重ね着をしたところで、サイズが合わないことに変わりはないのだが。
白音は返事の代わりに、そらを抱きしめ返した。
大事な人なので二度、ぎゅうっぎゅうっと抱きしめる。
「白音ちゃん」
「ん?」
「これまでの記憶、共有するの」
「え、何? ふぁっ!! …………」
白音の脳内にそらの記憶が一気に流れ込んできて、軽い目眩を覚えた。
突然やられるとびっくりするが、精神連携の便利な使い方をまたひとつ、教えてもらった。
「白音ちゃんの方も見せて。恥ずかしいところはモザイクかけといてね」
かけ方が分からないから、あまりプライベートなところまでは見ないで欲しい。
そらがくれた記憶が詳細多岐にわたる膨大なものだったため、白音は少し混乱をきたしてしまった。
情報を整理するために少し放心したようになっていると、佳奈が椅子を運んできてくれた。
「座っとけば?」
「ありがと……って、佳奈の方こそ休んでなさいよ!!」
佳奈の顔を見れば、額がぱっくりと割れていたし、もう止まってはいるが鼻血も酷かったようだ。
「アタシはもう平気、それよりここでひと晩過ごすんだろ? 準備しないと」
「うん、そうね。下手に動くと、勘のいい人たちが察知して逃げちゃうかもだしね。朝までここでおとなしくしてましょう」
「あいよ」
謁見の間には控えの間がいくつか隣接して作られている。
今は資料展示室や備品室に改装されているのだが、そこから皆で椅子やテーブルを運び出した。
白音がふと見れば、佳奈とアルトルドがふたりで大きなテーブルを運んでいる。
「…………いや、仲良くしてくれて嬉しいんだけど、アル、あんたももう平気なの?」
アルトルドは佳奈以上に満身創痍でぼろぼろだったが、やはり魔核持ちなだけあって、なんとか動けるまでには回復しているようだった。
「はっ!! 隊長殿。自分はもう行けますっ!!」
アルトルドは、白音のことをしっかり近衛隊長のデイジーなのだと認識しているようだった。
それさえ理解すれば、アルトルドにとっては必要十分だった。
詳しい事情は、白音の方から話そうとしない限りは質問もしない。
近衛隊時代に白音がそのように厳しく指導したと思う。
しかし転生して女子高生となった今、白音としては(別に聞いてくれてもいいんだけど)と思ってしまう。
もちろん今更そんなことを言われてもアルトルドが困るだろうから、ここは黙っていることにする。
少しでも睡眠は取るべきだろうから、どこで寝よう、見張りはどうしようなどと白音が考えていると、智頭が声をかけてきた。
「名字川さん、皆さんにもお世話になりっぱなしで、本当にありがとうございました。私はこの街を代表する立場にありながら何もできず、不甲斐ないばかりです」
彼は白音たちに対し、改めて深々と頭を下げた。
「城を浮かせることは私が計画したものです。人族に我々の魔法や技術力の高さを見せつける。そうすれば全面衝突を避けるための圧力になる。そう考えたのです。ですが試算してみると消費魔力量が大きすぎると判明しましたので、取りやめになりました。その凍結するはずだった計画が強行されてしまい、今の天空城となっているのです」
たとえ計画を強行したのが斉木だとしても、魔力消費量を増大させる原因を発案したのは、他ならぬ智頭自身である。
そして結果的にそれが、佳奈とそらのふたりと、莉美の間に分断を生み、魔法少女たちを苦しめてしまった。
そのことに大きな責任を感じているのだ。
「しばらくはこの状態を維持しなければなりませんが、いずれどうにかして城を降ろす方法を考えたいと思います。周辺に被害を及ぼさないよう、できれば城にもダメージを与えないよう、穏やかに降ろすつもりです」
そんな智頭の言葉を聞いて白音は無意識のうちに、なんとか降ろさずにすむ方法はないものかと考えてしまっていた。
最初はあの城の元住人として、昔の想い出を晒しものにして、侮辱されたような気がしていた。
しかし現世界育ちの白音としては、本物のお城が浮いているなんてすごいなと、感じているのもまた事実なのだった。
「あの城を見ればこの街を侵略しようなんて気は、確かに吹き飛んでしまいそうですよね…………」
白音はエーリュコス王の言葉を再び想い出していた。
あの天空城もまた、「争いを減らすための方便」なのだろう。
「そうですね白音様、わたしもあの壮観は嫌いではありません。智頭殿、魔力消費量を大幅にカットできれば浮かせたままもありですか?」
いつの間にそこにいたのか、白音の背後に立っていた大魔道が尋ねた。
「安全第一ではありますが、そんな上手い方法がありますか?」
智頭は大魔道の言葉に少し興味を持ったようだった。
都市設計者の性という奴かもしれない。
「それが白音様の意向であるならば、叶えるまでのことです」
大魔道が、なんだかちょっと格好をつけた言い方をした。
ちらちらと白音の方を見ている。
しかし大魔道が、自分をアピールするためだけにでたらめを言うことはない。
何か目算があってのことだろう。
「もう……。でもありがとう、道士。本当に頼りになる」
白音が大魔道の手を取って、感謝の意を伝える。
[ピガ……]
鉄兜がまた変な音を出した。
「もし市長さえよろしければ、検討だけでもしてみませんか? この道士が言うなら、実現は可能なはずです」
「是非、よろしくお願いいたします」
安定して城を浮かべることができれば、魔力の供給事情に余裕が生まれるだろう。
そうすれば見せかけだけの『方便』ではなく、結局回り回ってこのカルチェジャポネの力を増すことにも繋がってくる。
智頭が大魔道に対して、何度も深々と頭を下げる。
「皆様には何から何まで、本当にお世話になります」
そんな三人の様子が、傍目には大魔道がなんだかちやほやされているように見えたのだろう。
佳奈がちょっかいをかけに来た。
いきなりばんばんと、強めに大魔道の肩を叩く。
女豹のちょっかいだ。
「最初見た時はこんな兜付けてるから、怪しすぎてさ。敵かと思って殴りかけたよ。……でもまあ、いろいろありがとな。ホント助かった。感謝してる。いてくれなきゃ正直やばかった」
結局佳奈も大魔道を褒める。
負けず嫌いの佳奈が、そこまで言うのは珍しいかもしれない。
さらに何度も肩を叩く。
[ガッ、ビビッ、ビガガッ!!]
鉄兜が立て続けに変な音を立てる。
多分大魔道が咳き込んでいるんだろう。
変声魔法が、高負荷の連続に耐えきれなくなっているのだ。
「もう、ちょっと。力強すぎよ。あんまり酷くすると道士が死んじゃう」
白音が冗談めかして言うと、佳奈が大魔道の肩に優しく手を回す。
「おおそうか、ごめんごめん」
佳奈はスキンシップをあまりしない。
しかしするとなると、結構激しい。
完全に密着している。
[ゴゴガガッ!! ピーーー…………]
「……それはそれで、悶え死んじゃうかも?」
白音がそんな風に言うのを聞いて、佳奈が嬉しそうに笑った。
「こっちは転移したら三人だけだったろ。ツッコミ不足で大変だったんだよ。莉美が何やらかしても、そらにしずかぁに指摘されるだけだし」
[む……。佳奈ちゃんもどちらかというとボケ側なの]
佳奈の言葉に、そらが精神連携で反応した。
静かに指摘している。
「そ、そうか?」
佳奈が鼻の頭に手をやろうとして、すぐに引っ込めた。
多分鼻の骨が折れているんだろう。痛かったらしい。
どう見てもボケ側だろう。
「やっぱ白音がツッコんでくれるのは、安心感あるよな」
そんな理由で恋しがられても困る。
さすがに佳奈と莉美の畳みかけるような波状ボケは、白音の手にも余るのだ。
[そんなアホな、なの]
白音に代わってそらがツッコんでくれた。
三人旅の、最大の成果かもしれない。
しかし体内魔素を根こそぎに吸われることは、肉体的、精神的に大きな負担がある。
たとえ百人がかりで供給したとしても、長時間に及べば地獄の苦しみに匹敵するのだという。
それをたった独りで数日の間賄い続けてきた莉美が、今またもう一度、「手伝いましょうか」と申し出た。
「莉美、あなたの方は大丈夫なの?」
白音は、さすがに莉美の体が心配になってきた。
地下のソロライブで莉美のダイブを受け止めたあの時、莉美の体は汗だくでかなりの熱を持っていた。
それが魔力供給のせいなのか、ライブパフォーマンスのせいなのかは知らない。
けれどさすがの莉美にとっても、街ひとつ分の魔力供給がそんなに簡単なことだったとは思えない。
それを気軽に散歩にでも行くような調子で、またやろうかと言う。
しかしその申し出は、智頭が丁重に断った。
「今の体制で朝までなら平気だと思います。二十人も増えましたしね。それに夜間は魔力の消費が多少は減りますし、ケーブルカーも運行していませんから」
「深夜魔力でお得な時間帯なんだねぇ……」
莉美がなんだか、電力会社のCMみたいなことを言う。
「あんたは、あんパンひとつで稼働するお得な巨大発魔所でしょうに……」
白音はもう苦笑するしかなかった。
「はは。お世話になった大空さんには、ゆっくりお休みいただきたい」
智頭が、改めて深々と頭を下げる。
大魔道が斉木を連れて、再び転移陣の向こうへ消えた。
結局、智頭と斉木は何も言葉を交わさなかった。
「げう……」
大魔道を見送っていた白音が、突然変な声を出した。
見ればそらが白音に抱きつき、白音は綺麗にあごに頭突きをもらっていた。
目線を上に上げていたので、そらの突進に気づいていなかった。
「白音ちゃん!! 白音ちゃん!!」
そらは大事なことなので二回言ったらしい。
よく見れば、だぶだぶのストラの生地の下から青い色が透けているのが分かる。
どうやら魔法少女に変身した上で、その一枚布でできた衣装を身につけているらしい。
重ね着をしたところで、サイズが合わないことに変わりはないのだが。
白音は返事の代わりに、そらを抱きしめ返した。
大事な人なので二度、ぎゅうっぎゅうっと抱きしめる。
「白音ちゃん」
「ん?」
「これまでの記憶、共有するの」
「え、何? ふぁっ!! …………」
白音の脳内にそらの記憶が一気に流れ込んできて、軽い目眩を覚えた。
突然やられるとびっくりするが、精神連携の便利な使い方をまたひとつ、教えてもらった。
「白音ちゃんの方も見せて。恥ずかしいところはモザイクかけといてね」
かけ方が分からないから、あまりプライベートなところまでは見ないで欲しい。
そらがくれた記憶が詳細多岐にわたる膨大なものだったため、白音は少し混乱をきたしてしまった。
情報を整理するために少し放心したようになっていると、佳奈が椅子を運んできてくれた。
「座っとけば?」
「ありがと……って、佳奈の方こそ休んでなさいよ!!」
佳奈の顔を見れば、額がぱっくりと割れていたし、もう止まってはいるが鼻血も酷かったようだ。
「アタシはもう平気、それよりここでひと晩過ごすんだろ? 準備しないと」
「うん、そうね。下手に動くと、勘のいい人たちが察知して逃げちゃうかもだしね。朝までここでおとなしくしてましょう」
「あいよ」
謁見の間には控えの間がいくつか隣接して作られている。
今は資料展示室や備品室に改装されているのだが、そこから皆で椅子やテーブルを運び出した。
白音がふと見れば、佳奈とアルトルドがふたりで大きなテーブルを運んでいる。
「…………いや、仲良くしてくれて嬉しいんだけど、アル、あんたももう平気なの?」
アルトルドは佳奈以上に満身創痍でぼろぼろだったが、やはり魔核持ちなだけあって、なんとか動けるまでには回復しているようだった。
「はっ!! 隊長殿。自分はもう行けますっ!!」
アルトルドは、白音のことをしっかり近衛隊長のデイジーなのだと認識しているようだった。
それさえ理解すれば、アルトルドにとっては必要十分だった。
詳しい事情は、白音の方から話そうとしない限りは質問もしない。
近衛隊時代に白音がそのように厳しく指導したと思う。
しかし転生して女子高生となった今、白音としては(別に聞いてくれてもいいんだけど)と思ってしまう。
もちろん今更そんなことを言われてもアルトルドが困るだろうから、ここは黙っていることにする。
少しでも睡眠は取るべきだろうから、どこで寝よう、見張りはどうしようなどと白音が考えていると、智頭が声をかけてきた。
「名字川さん、皆さんにもお世話になりっぱなしで、本当にありがとうございました。私はこの街を代表する立場にありながら何もできず、不甲斐ないばかりです」
彼は白音たちに対し、改めて深々と頭を下げた。
「城を浮かせることは私が計画したものです。人族に我々の魔法や技術力の高さを見せつける。そうすれば全面衝突を避けるための圧力になる。そう考えたのです。ですが試算してみると消費魔力量が大きすぎると判明しましたので、取りやめになりました。その凍結するはずだった計画が強行されてしまい、今の天空城となっているのです」
たとえ計画を強行したのが斉木だとしても、魔力消費量を増大させる原因を発案したのは、他ならぬ智頭自身である。
そして結果的にそれが、佳奈とそらのふたりと、莉美の間に分断を生み、魔法少女たちを苦しめてしまった。
そのことに大きな責任を感じているのだ。
「しばらくはこの状態を維持しなければなりませんが、いずれどうにかして城を降ろす方法を考えたいと思います。周辺に被害を及ぼさないよう、できれば城にもダメージを与えないよう、穏やかに降ろすつもりです」
そんな智頭の言葉を聞いて白音は無意識のうちに、なんとか降ろさずにすむ方法はないものかと考えてしまっていた。
最初はあの城の元住人として、昔の想い出を晒しものにして、侮辱されたような気がしていた。
しかし現世界育ちの白音としては、本物のお城が浮いているなんてすごいなと、感じているのもまた事実なのだった。
「あの城を見ればこの街を侵略しようなんて気は、確かに吹き飛んでしまいそうですよね…………」
白音はエーリュコス王の言葉を再び想い出していた。
あの天空城もまた、「争いを減らすための方便」なのだろう。
「そうですね白音様、わたしもあの壮観は嫌いではありません。智頭殿、魔力消費量を大幅にカットできれば浮かせたままもありですか?」
いつの間にそこにいたのか、白音の背後に立っていた大魔道が尋ねた。
「安全第一ではありますが、そんな上手い方法がありますか?」
智頭は大魔道の言葉に少し興味を持ったようだった。
都市設計者の性という奴かもしれない。
「それが白音様の意向であるならば、叶えるまでのことです」
大魔道が、なんだかちょっと格好をつけた言い方をした。
ちらちらと白音の方を見ている。
しかし大魔道が、自分をアピールするためだけにでたらめを言うことはない。
何か目算があってのことだろう。
「もう……。でもありがとう、道士。本当に頼りになる」
白音が大魔道の手を取って、感謝の意を伝える。
[ピガ……]
鉄兜がまた変な音を出した。
「もし市長さえよろしければ、検討だけでもしてみませんか? この道士が言うなら、実現は可能なはずです」
「是非、よろしくお願いいたします」
安定して城を浮かべることができれば、魔力の供給事情に余裕が生まれるだろう。
そうすれば見せかけだけの『方便』ではなく、結局回り回ってこのカルチェジャポネの力を増すことにも繋がってくる。
智頭が大魔道に対して、何度も深々と頭を下げる。
「皆様には何から何まで、本当にお世話になります」
そんな三人の様子が、傍目には大魔道がなんだかちやほやされているように見えたのだろう。
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いきなりばんばんと、強めに大魔道の肩を叩く。
女豹のちょっかいだ。
「最初見た時はこんな兜付けてるから、怪しすぎてさ。敵かと思って殴りかけたよ。……でもまあ、いろいろありがとな。ホント助かった。感謝してる。いてくれなきゃ正直やばかった」
結局佳奈も大魔道を褒める。
負けず嫌いの佳奈が、そこまで言うのは珍しいかもしれない。
さらに何度も肩を叩く。
[ガッ、ビビッ、ビガガッ!!]
鉄兜が立て続けに変な音を立てる。
多分大魔道が咳き込んでいるんだろう。
変声魔法が、高負荷の連続に耐えきれなくなっているのだ。
「もう、ちょっと。力強すぎよ。あんまり酷くすると道士が死んじゃう」
白音が冗談めかして言うと、佳奈が大魔道の肩に優しく手を回す。
「おおそうか、ごめんごめん」
佳奈はスキンシップをあまりしない。
しかしするとなると、結構激しい。
完全に密着している。
[ゴゴガガッ!! ピーーー…………]
「……それはそれで、悶え死んじゃうかも?」
白音がそんな風に言うのを聞いて、佳奈が嬉しそうに笑った。
「こっちは転移したら三人だけだったろ。ツッコミ不足で大変だったんだよ。莉美が何やらかしても、そらにしずかぁに指摘されるだけだし」
[む……。佳奈ちゃんもどちらかというとボケ側なの]
佳奈の言葉に、そらが精神連携で反応した。
静かに指摘している。
「そ、そうか?」
佳奈が鼻の頭に手をやろうとして、すぐに引っ込めた。
多分鼻の骨が折れているんだろう。痛かったらしい。
どう見てもボケ側だろう。
「やっぱ白音がツッコんでくれるのは、安心感あるよな」
そんな理由で恋しがられても困る。
さすがに佳奈と莉美の畳みかけるような波状ボケは、白音の手にも余るのだ。
[そんなアホな、なの]
白音に代わってそらがツッコんでくれた。
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