時空魔術操縦士の冒険記

一色

文字の大きさ
141 / 175
2章ダンジョンへ向かおう

嵐の序章

しおりを挟む
「大変だったわね」

「ああ……みんな無事が幸いだ」

「しかし、最近魔女エキドナや世界的殺人鬼、そして今回の世界的暗殺者シリウスが頻繁に現れるのっておかしくないですか?」

「俺も疑問に思っていた所だ……ララナ村は炎で焼かれ壊滅したしな……この国だって危ない」

 マシュは腕を組み、険しい表情でテーブルを見つめ,アイリスも不安げな様子。
 ミユミユはリオラの膝でぐっすりと寝入り、リオ良はうとうと眠たげな様子。
 カバーニは食堂で何やらまた喧嘩している。
 再度マシュ、アイリスに顔を向ける。

「とにかくみんな用心するように……」

「分かってるわ」

「はい」

 カナブンバッタも俺の肩にいて八の字を描く。
 何やら納得したようだ。
 そして、客も部屋や宿泊施設に戻っていく。
 さて、夜も遅い、寝よう。

              *


 夜空に黄金の満月が浮かび、雲は一切なく誠に美しい。
 デイドナ王国は活動を止め、完全停止。
 明かりは魔法石で輝く王城や一部の民家や屋敷だ。
 それ以外は闇。漆黒の闇は静寂の静けさとなっていた。
 国民はいつものように寝床につき、夢の中だ。
 突然、馬や犬や猫やドラゴンが鳴き声を上げ、不安げな顔で奇怪な音を発する。
 周りの広大な密林も草木も過剰に揺れている。

 一番高い塔に三人の影が映える。
 赤髪のショートカットの透き通るような白い肌の女。
 緑の両眼が輝く。
 暗いローブを纏う魔女エキドナ。

 口を黒マスクで覆い、オールバックの銀髪、真っ黒い眼球。
 黒の忍者装束を纏う世界的暗殺者シリウス。

 真ん中に立つのが巨大な怪人はカラフルなハットを被り、濃い白い粉を顔に塗り、真ん中には糸で繋いだような縦線、包帯で巻かれた首としゃくれた顎。
 赤い目玉に、目の下は大きな窪《くぼ》み、額にはザスの文字。
 奇怪に笑う殺人鬼ジャックザ・リッパー。

「ドウスルキダ? ジャック?」

「デイドナ王国は破壊するザス……悲鳴に満ちた叫び声が聞こえてくると興奮するザスヨ……キャァキャァキャァキャア」

「キモチワルイヤツダ」

「褒め言葉ザスカ? ザスザスザスカ?」

「私これが終わったら抜けていいかしら?」

 エキドナの一言にピリッと険しい表情をするジャック。
 そこにシリウスが口を挿む。

「エキドナ……ヤメテオケ……ソシキヲヌケタラ……イッショウ……ワシラニオワレルゾ……コロスマデナ」

 エキドナは無表情で小さく笑った。

「冗談よ」

「ナラヨイガ」

 目を瞑るシリウス。
 ジャックはその言葉を聞いて安堵したのか、機嫌良く笑う。

「ヒィヒィヒィヒィヒィ……ついに来ましたよザスヨ……モンスター達がぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!! ザスザスザスザス!!!! ザマス!!!!」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

異世界のんびり放浪記

立花アルト
ファンタジー
異世界に転移した少女リノは森でサバイバルしながら素材を集め、商人オルソンと出会って街アイゼルトヘ到着。 冒険者ギルドで登録と新人訓練を受け、採取や戦闘、魔法の基礎を学びながら生活準備を整え、街で道具を買い揃えつつ、次の冒険へ向けて動き始めた--。 よくある異世界転移?です。のんびり進む予定です。 小説家になろうにも投稿しています。

転生してもオタクはなおりません。

しゃもん
恋愛
 活字中毒者である山田花子は不幸なことに前世とは違いあまり裕福ではない母子家庭の子供に生まれた。お陰で前世とは違い本は彼女の家庭では贅沢品でありとてもホイホイと買えるようなものではなかった。とは言え、読みたいものは読みたいのだ。なんとか前世の知識を魔法に使って少ないお金を浮かしては本を買っていたがそれでも限界があった。溢れるほどの本に囲まれたい。そんな願望を抱いている時に、信じられないことに彼女の母が死んだと知らせが入り、いきなり自分の前に大金持ちの異母兄と実父が現れた。これ幸いに彼等に本が溢れていそうな学校に入れてもらうことになったのだがそこからが大変だった。モブな花子が自分の願望を叶えて、無事幸せを握り締めるまでの物語です。

追放された『ただの浄化係』、実は国中の魔石を満たしていた精霊姫でした〜今さら戻れと言われても、隣国のイケメン皇帝が離してくれません〜

ハリネズミの肉球
ファンタジー
「おい、城の噴水が止まったぞ!?」 「街の井戸も空っぽです!」 無能な王太子による身勝手な婚約破棄。 そして不毛の砂漠が広がる隣国への追放。だが、愚かな奴らは知らなかった。主人公・ルリアが国境を越えた瞬間、祖国中の「水の魔石」がただの石ころに変わることを! ルリアは、触れるだけで無尽蔵に水魔力を作り出す『水精霊の愛し子』。 追放先の干ばつに苦しむ隣国で、彼女がその力を使えば……不毛の土地が瞬く間に黄金のオアシスへ大進化!? 優しいイケメン皇帝に溺愛されながら、ルリアは隣国を世界一の繁栄国家へと導いていく。 一方、水が完全に枯渇し大パニックに陥る祖国。 「ルリアを連れ戻せ!」と焦る王太子に待っていたのは、かつて見下していた隣国からの圧倒的な経済・水源制裁だった——! 今、最高にスカッとする大逆転劇が幕を開ける! ※本作品は、人工知能の生成する文章の力をお借りしつつも、最終的な仕上げにあたっては著者自身の手により丁寧な加筆・修正を施した作品です。

異世界で幸せに~運命?そんなものはありません~

存在証明
ファンタジー
不慮の事故によって異世界に転生したカイ。異世界でも家族に疎まれる日々を送るがある日赤い瞳の少年と出会ったことによって世界が一変する。突然街を襲ったスタンピードから2人で隣国まで逃れ、そこで冒険者となったカイ達は仲間を探して冒険者ライフ!のはずが…?! はたしてカイは運命をぶち壊して幸せを掴むことができるのか?! 火・金・日、投稿予定 投稿先『小説家になろう様』『アルファポリス様』

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

前世の記憶は役立たず!ーエルフに転生したけれど、異世界が世知辛すぎるー

藤 野乃
ファンタジー
剣と魔法の異世界に転生! 憧れのエルフに転生したら、まさかの特級呪物。 しかも、お約束のご都合主義はどこ行っちゃったの!? 理不尽な手続き、面倒な契約、身分証がなければ部屋も借りられない。 猫獣人は「ニャー」と鳴かないし、神様も居ない。 召喚獣?喋りません。 龍?人化しません。 想像してた異世界とはだいぶ違う。 腑に落ちない気持ちMAXで、流されるままクラフトしたり、もふもふしたり、たまに事件に巻き込まれたり。 見た目は完璧エルフ美女、でも中身はツッコミ止まらない。 ご都合主義が通じない異世界で、《普通》に揉まれる日々がはじまる──! ※カクヨム、なろうにも掲載中

処理中です...