時空魔術操縦士の冒険記

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1章魔戦操縦士学院

46話古帝1

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 吐き気が胃の奥から胸へ押し上げてくる、咄嗟にレバー離し、口を両手で抑える。
 動けない。
 おそらく、マモノスの特性だろう。

『ゲッター』
 ある対象物を定めたら、その対象物だけを集中して狩ることができる。
 他部外者の介入攻撃はできない。


 ふと視線を別方向にやると、右から紅の機体、蒼い機体、灰色の機体が戦闘態勢の構えでマモノスを見上げる。
 少し離れた場所の木の陰にはリオラとロンが震えながら見上げていた。
 マモノスが獲物を見つけたばかりに三体の機体に黄金色の目玉を向け、長く分厚い鼻先が咆哮と共に襲いかかってくる。

「ガガガガガガガ!!!!」

 寸前で躱わす三機。
 地面は巨大な破裂をし、凄まじき砂塵が舞い散る。
 轟々と鳴り響く柱状の砂塵の渦。
 まるでマモノスの鼻先には地雷が詰まっているかのような攻撃だった。
 カバーニは高い脚力を生かして、後方へジャンプし回避。
 真剣な眼差しと大量の汗。
 一歩間違えれば死んでいたと脳裏に浮かび、恐怖で手足顔が震えてくる。

「うぁ……危ねぇ……はぁはぁ……」

「防御障壁《ミラーフォレスト》!!!!」

 マシュも少程度後退し、魔力のシールドを展開し、防御する。
 同時に同方向へ後退したのはアイリス。
 マシュのシールドに避難するアイリス。
 同様に目を剥き出しにしてマモノスの攻撃を見るマシュとアイリス。
 少女に可愛いらしい笑顔はどこにもない。
 ただ、恐怖の最中にいる表情。

「マモノス……学生である私達に倒せる訳ないわ……」

「マモノスはSランクの異世界神……マスタークラスの魔戦操縦士でも手を焼く異世界神ですよ」

 マモノスの攻撃は止まらない、鼻先をくねらせながら地面から上げ、突進してくる。
 空中で右から左へと鼻先を揺らしながら、皺が幾重にも刻まれた鱗状の鼻先が蒼い幻影のシールドと衝突する。

「ギギギギギギギギギ!!!!」

 青のシールドと鋼鉄のように硬いマモノスの鼻先が激突。
 青のシールドの頭頂部に亀裂が入り、緊張が走る。

「まずいわ」


「早よ逃げろ!!」

「シールド展開中は蒼幻影は動くことはできないの!!」

「じゃとにかくアイリスは逃げろ!」

「でも……」

「私の事は心配しないで。なんとかするわ」

「はい……」

 すぐさま、アイリスはシールドから抜け出す。
 刹那、シールドの頭頂部からの亀裂がさらに大きくなり、巨大な穴となり、爆音が轟く。
 マモノスの鼻先はシールドを貫通する。
 瞬間、カバーニが右手に大剣を持ち、急発進。
 猛々しい二角の紅闘牛が弾丸のスピード。
 マモノスの鼻先とレッドアルバローザの大剣が激突。

「ピャアアアアアアアアアーーーーーー!!!」

「っーーーーー!!!!」

 大剣が長く分厚い鱗鼻を支えるような形になる。
 マモノスの鼻先は何十トン、次第に大剣の先が下へ下へと重みで追いやられる。
 カバーニのレバーを引く手の握力が無くなっていき、苦悶の表情で大量の汗と魔力を消費していく。
 気合いで何とか耐えるが重みが着実にカバーニを襲う。

「おおおおおおお!!!! 逃げろぁぁぁ!!!!」

 機体が軋む音が鳴り響き、地面を振動となって伝わる。
 即座に退避するマシュ。 
 それと同時にカバーニも、退避する。
 大剣は離れ、マモノスの鼻先が地面に叩きつけられ、砂の柱が勢い良く空へと舞い上がり、強烈な爆砂風と爆音が発生する。

「はぁはぁはぁはぁ」

「なんやあの強さ」

 二人の息は切れ切れとなり、余裕の笑みはない。
 さらにマモノスが鼻先を振り回し襲ってくる。

「キリがねぇな!! くそがあああああ!!」

 レバーを引く、カバーニ。


「駄目よ!! 勝てる訳ないわ!!」

「うるせぇ!! やるしかないんや」

 カバーニは右手の大剣を銃仕様に変化させ放つ。

「火炎放射《インフェルス》!!!!」

 闘牛の火炎がマモノスの鼻先に襲い、衝突する。
 巨大な爆発を伴い、黒煙がそこで発生する。
 そこの黒煙を打ち破ってくるのはマモノスの鼻先。
 迫る爬虫類の鱗をした鼻先。ぶつぶつとした気味の悪い見た目。
 迫るマモノスに。
 カバーニは即座に打ち込む。

「インフェルス!! インフェルス!! インフェルス!!」

 
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