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2章英雄と龍魔王

頼まれた依頼

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 それは銀色の女騎士の防具を装備し、肩まであるストレートの銀髪の美女。
 少女のようなあどけなさも感じられる。
 18歳ぐらいだろうか。
 スカートも精緻に施され、細部までにこだわった防具。
 高貴な身分しか装備出来ないと思われる。
 悲しみのある紅の両眼がアタマカラを捉え、動じるも様子も無く、ただ、悲しみのある両眼だった。
 その少女にどこかでと会ったことがあるような、そんな既視感を覚える。
 すると、銀髪少女は口下手だったが、透き通った声で、謝り、立ち上がる。

「すいません」

 立ち上がっても、それから、アタマカラと目を合わせず、天井を見上げたままだ。
 冷徹な感じがした。いや、さっきからする寂しそうな……。
 一人、孤独を進む女騎士。
 豪奢な銀色の防具が彼女を孤高の騎士に仕立てているのか……。
 少し冷たいと印象を受けたが、もしかしたら自身がそう仕向けているのかと思い、仮面越しではあるが、にっこり笑顔を作り、その思いを白い両眼に託した。

「すいません……俺もちゃんと見て無くて……」

「そうですか……では……」

 その銀髪の少女は一礼した後、この依頼屋から去って行った。
 寂しい、悲しい後ろ姿。
 アタマカラはただ、見とれるようにして、彼女を見送った。
 そして、受付に行き、依頼の説明を受ける。
 茶髪、猫顔の受付嬢は笑顔を絶やさず、丁寧な口調で説明をする。

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