転生したらダンジョン雲になった訳

一色

文字の大きさ
133 / 177
2章英雄と龍魔王

a

しおりを挟む
「まず冒険者様はインターフェースを展開して頂き、依頼の欄をタップし、またお好みの依頼を再度タップして頂きますと……受注申請となります。そして、こちらの本部までその申請が届き、冒険者様の事前の一部情報を依頼人様に送り、そこで承諾があって、初めて冒険者様は依頼を遂行して頂きます。したがって、どこにいても、依頼を申請したり、遂行できます」

「はい」

「なお、依頼には難易度があり、ルーキーからカーディナルまで振り分けられています。最上級のカーディナル以外は低級の称号を持つ冒険者、どの難易度でも受注できます。ですが、称号や自らの力量に応じて、受注することをおすすめします」

「へぇ……あの……受注申請して、依頼に拒否されることはあるんですか?」

「依頼は膨大な数があります……また多種多様なので、基本的に拒否されることはありません。ですが、個別や特殊な案件になりますと、拒否される可能性はあります」

「あーはい」
 
「依頼を完了しますと、自動的に本部に連絡が来て、依頼主に依頼完了を通達し、そして、冒険者様の所持金欄または資産欄に報酬が送られます」

 受付嬢は前半までは丁寧に対応してくれたが、やはり、外部の連絡から大量に来ていて、忙しいらしく、後の説明はホログラムを展開して、参照してくださいとのことだった。
 すると、受付嬢は頭を抱え、溜め息を付いて、アタマカラを見た。

「あっ……」

「分かりました。後は自分でやりますから」

 厄介者扱いなのだろうと思い、薄く笑ってアタマカラは立ち去ろうとする。
 予想外にも、茶髪の猫の女は頬や耳を真っ赤にして、呼び止めた。

「まま……待ってください!」

「は……はい?」

「申し訳無いのですが……指定の依頼を受けてくれませんか?」

 その突然の彼女の申し出に、驚いたが、拒否する理由は無いだろう。
 依頼をやろうと決めてここに来てるのだから。

「ええ……いですよ」

「あっ……良かったです。私の友人が一人でダンジョンに潜ってしまって……その友人と一緒にモンスターを狩ってくださいませんか?」

「ええ……はい」

「彼女は強いですけど……いつも一人でダンジョン行くから心配で……だからお願いします」

「はい」

 アタマカラは適当な返事をしつつ、疑問が湧いた。

 大切な友人をなぜ見ず知らずの俺に託すのだろうか……。

「それは……たしかに……称号は駆け出し冒険者、レベル0ですが……その白色防具は……ゴッドクラスの最上級の防具……それなりの逸材かと思いまして……正直申しますと……こちらも手一杯なのです……まあ、何かしたら私の友人はあなたを殺しちゃいます」

 受付嬢は満面の可愛らしさ満点の笑顔で、そう言った。
 アタマカラは苦笑いをするしか無い。

「参ったな」

 早速その友人と合流するべく、ダンジョンに向かった。
 
            ※
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

現代知識と木魔法で辺境貴族が成り上がる! ~もふもふ相棒と最強開拓スローライフ~

はぶさん
ファンタジー
木造建築の設計士だった主人公は、不慮の事故で異世界のド貧乏男爵家の次男アークに転生する。「自然と共生する持続可能な生活圏を自らの手で築きたい」という前世の夢を胸に、彼は規格外の「木魔法」と現代知識を駆使して、貧しい村の開拓を始める。 病に倒れた最愛の母を救うため、彼は建築・農業の知識で生活環境を改善し、やがて森で出会ったもふもふの相棒ウルと共に、村を、そして辺境を豊かにしていく。 これは、温かい家族と仲間に支えられ、無自覚なチート能力で無理解な世界を見返していく、一人の青年の最強開拓物語である。 別作品も掲載してます!よかったら応援してください。 おっさん転生、相棒はもふもふ白熊。100均キャンプでスローライフはじめました。

半竜皇女〜父は竜人族の皇帝でした!?〜

侑子
恋愛
 小さな村のはずれにあるボロ小屋で、母と二人、貧しく暮らすキアラ。  父がいなくても以前はそこそこ幸せに暮らしていたのだが、横暴な領主から愛人になれと迫られた美しい母がそれを拒否したため、仕事をクビになり、家も追い出されてしまったのだ。  まだ九歳だけれど、人一倍力持ちで頑丈なキアラは、体の弱い母を支えるために森で狩りや採集に励む中、不思議で可愛い魔獣に出会う。  クロと名付けてともに暮らしを良くするために奮闘するが、まるで言葉がわかるかのような行動を見せるクロには、なんだか秘密があるようだ。  その上キアラ自身にも、なにやら出生に秘密があったようで……? ※二章からは、十四歳になった皇女キアラのお話です。

ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?

音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。 役に立たないから出ていけ? わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます! さようなら! 5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!

ダンジョンに行くことができるようになったが、職業が強すぎた

ひまなひと
ファンタジー
主人公がダンジョンに潜り、ステータスを強化し、強くなることを目指す物語である。 今の所、170話近くあります。 (修正していないものは1600です)

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

【完結】奇跡のおくすり~追放された薬師、実は王家の隠し子でした~

いっぺいちゃん
ファンタジー
薬草と静かな生活をこよなく愛する少女、レイナ=リーフィア。 地味で目立たぬ薬師だった彼女は、ある日貴族の陰謀で“冤罪”を着せられ、王都の冒険者ギルドを追放されてしまう。 「――もう、草とだけ暮らせればいい」 絶望の果てにたどり着いた辺境の村で、レイナはひっそりと薬を作り始める。だが、彼女の薬はどんな難病さえ癒す“奇跡の薬”だった。 やがて重病の王子を治したことで、彼女の正体が王家の“隠し子”だと判明し、王都からの使者が訪れる―― 「あなたの薬に、国を救ってほしい」 導かれるように再び王都へと向かうレイナ。 医療改革を志し、“薬師局”を創設して仲間たちと共に奔走する日々が始まる。 薬草にしか心を開けなかった少女が、やがて王国の未来を変える―― これは、一人の“草オタク”薬師が紡ぐ、やさしくてまっすぐな奇跡の物語。 ※表紙のイラストは画像生成AIによって作られたものです。

異世界転生目立ちたく無いから冒険者を目指します

桂崇
ファンタジー
小さな町で酒場の手伝いをする母親と2人で住む少年イールスに転生覚醒する、チートする方法も無く、母親の死により、実の父親の家に引き取られる。イールスは、冒険者になろうと目指すが、周囲はその才能を惜しんでいる

悪役令嬢ではありません。肩書きは村人です。

小田
ファンタジー
 6才までの記憶を失った村人の少女ルリが学園に行ったり、冒険をして仲間と共に成長していく物語です。    私はポッチ村に住んでいる。  昔、この村にも人が沢山いたらしいけど、今はだいぶ廃れてしまった。  14才を迎えた私はいつも通り山に薬草採取に行くと、倒れている騎士を発見する。  介抱しただけなのに、気付いたら牢屋に連れて行かれていた!?  どうしてだろう…。  悪いことはしていないのに!

処理中です...