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毎月DVDが送られてきます
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単身赴任の夫
第1章
タカシは、南の島の単身赴任先アパートの六畳間で、エアコンの乾いた風を浴びながら缶ビールを飲んでいた。窓の外では、見慣れない熱帯の木々が夜風に揺れている。赴任して三ヶ月、毎日が同じだった。朝は工場、夜はこの部屋。妻ユキとの電話は、娘アユミの成長話で終わることが多い。
「今日はね、アユミが新しい言葉を覚えたのよ」
ユキの声は、いつも明るかった。妻の声を聞きながら、タカシは携帯の画面に映る家族写真を見つめていた。ユキがアユミを抱いて笑っている。あの頃とは違う、少し疲れた笑顔だった。
その日の午後、タカシは工場から帰ると、部屋の前に置かれた小さな段ボール箱を見つけた。送り主は記載されていない。不審に思いながらも、部屋に持ち込む。箱を開けると、中にはDVDが一枚だけ入っていた。盤面には何も書かれていない、無地のディスクだった。
「何だこれは……」
タカシは、DVDを手に取りながら呟いた。赴任先に、こんなものを送ってくる人物が思い当たらない。だが、何か得体の知れない期待が胸の奥に湧き上がってきた。彼は、部屋に備え付けの薄型テレビの前に座り、DVDを再生した。
最初に映ったのは、見慣れたラブホテルの一室だった。ピンク色の間接照明が、薄暗い室内を照らしている。ベッドの上には、見知らぬ男と、それに跨る女性の姿があった。タカシは、最初は他人事として眺めていた。だが、次の瞬間、彼の全身に冷たい汗が流れた。
「ユ、ユキ……?」
画面の中で、酔ったような表情で喘いでいるのは、間違いなく妻だった。化粧は薄く、普段着のワンピースは胸元まで乱れている。男の手が、ユキの太ももを這い回っていた。ユキは、最初こそ「ダメ……」と呟いていたが、次第にその声は甘くなっていく。
タカシは、リモコンを握りしめたまま、画面を凝視していた。手が震えて、リモコンが床に落ちた。彼は慌てて拾い上げ、再生を止めようとした。だが、指が震えてうまくボタンが押せない。結局、彼はそのまま画面を見続けた。
映像は、ベッドの横に設置された固定カメラからの視点だった。ユキの表情が、苦痛と快感の間を行き来しているのがはっきりと見えた。男の背中が、ユキの上で激しく上下していた。ユキの足が、男の腰に絡みついている。あの足は、タカシが何度も優しく撫でた足だった。
「嘘だ……これは……」
タカシは、額に浮いた汗を拭いながら、画面に釘付けになった。DVDは、たった十分程度の短い映像だった。だが、その十分間は、タカシにとって永遠のように感じられた。再生が終わっても、彼はしばらく動けなかった。
部屋の中に、エアコンの音だけが響いていた。タカシは、ゆっくりと立ち上がり、DVDを取り出した。手の震えは止まらない。彼は、缶ビールを新たに開け、喉の奥に流し込んだ。アルコールが喉を焼く感覚が、少しだけ現実感を取り戻させた。
「ユキは知らない……知らないはずだ……」
タカシは、床に座り込んだまま呟いた。一年前、ユキと冗談交じりに話したことが頭をよぎった。
「もし俺が海外に行ったら、ユキは寂しくないか?」
「え?大丈夫よ。私、強いもん」
「でも、寂しい時はどうする?」
「えーと……じゃあ、動画撮って送って?」
「は?何のこと?」
「だって、タカシが見たいんでしょ?私が他の男に抱かれるところ」
「……冗談だろ?」
「うん、冗談だけど……でも、タカシって変わった趣味持ってるからなぁ」
あの時は、確かに冗談だった。タカシは、ユキの冗談に笑いながら、内心で「まさか本当に……」と思っていた。だが、今、その冗談が現実になっている。
タカシは、もう一度DVDを再生した。今度は、細部に注目した。ユキの表情、男の仕草、部屋の様子。ユキは、確かに酔っていたようだった。目は焦点が合っていないし、体はだるそうに動いている。だが、それでも抵抗の仕草は見られなかった。
「ユキは……知らないのか?」
タカシは、スマートフォンを手に取り、ユキの番号を呼び出した。だが、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
夜が更けていく。タカシは、DVDを何度も再生した。毎回、新しい発見があった。ユキの小さな喘ぎ声、男の低い笑い声、シーツの摩擦音。全てが、現実であることを証明していた。
部屋の中で、タカシは一人、床に座り込んだままだった。テレビの画面には、またユキの姿が映っている。あの、タカシが愛した妻の姿が。だが、今ではそれは、遠く離れた別の世界の出来事のように感じられた。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、窓の外を見た。南国の夜空には、見慣れない星座が輝いている。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、毎月、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
「ユキ……」
タカシは、窓に額を押し当てながら、妻の名前を呟いた。声は、すぐにエアコンの音にかき消された。
第 2 章
タカシは、南国の夜をエアコンの風に任せながら、缶ビールの空きをもう一本足した。赴任して二ヶ月、時差のせいで夜更けても眠れないことが多くなった。壁の時計は午前一時を回っている。妻のユキとは、昨日も電話で話した。あの時も、ユキの声はいつもと変わらなかった。
「今日はね、アユミが新しい絵本を見せてくれて、『パパがいないの寂しいね』って言ったのよ」
ユキの声は、まるで何もなかったかのように明るかった。タカシは、胸の奥に小さな棘が刺さるような痛みを感じながら、適当な相槌を返した。
「そうだな……寂しいだろうな」
「大丈夫よ。タカシの分までアユミと遊んでるから」
その時、タカシは、一ヶ月前に届いたDVDのことを思い出した。あの映像は、どうやっても頭から離れなかった。妻が見知らぬ男に抱かれる姿。だが、ユキの様子は、あまりにも普通だった。まるで、あの映像が夢か幻かのように。
翌朝、タカシは工場に出勤する前に、スマートフォンを手に取った。ユキの番号を呼び出す。呼び出し音が三回鳴って、ユキが出た。
「もしもし?」
「あ、ユキ?俺だけど」
「あら、珍しい朝の電話ね。どうしたの?」
ユキの声は、本当に変わらなかった。まるで、昨夜も今夜も、夫と離れて暮らすことになんの戸惑いもないような。
「いや……なんとなく、声が聞きたくて」
「あはは、変な人。でも嬉しい。今日はアユミも元気だよ」
電話越しに、アユミの元気な声が聞こえてきた。「パパ~!」その声に、タカシは胸が締め付けられるような痛みを覚えた。
「ユキ……最近、変わったことは?」
「変わったこと?うーん……昨日、コンビニで新しいアイスを見つけたことくらい?美味しかったよ」
タカシは、言葉を詰まらせた。ユキは、あのDVDのことは知らないのだろうか。それとも、知っていて知らないふりをしているのだろうか。
「……そうか。元気でよかった」
「タカシこそ、無理しないでね。今日も暑いから、水分をしっかり取って」
電話を切った後、タカシは、工場の更衣室で制服に着替えながら、頭を振った。ユキは、やはり知らないのだ。あの映像は、誰かのいたずらか、それとも……。
一ヶ月が経った。タカシは、毎日、工場で汗を流しながら、頭の片隅であのDVDのことを考えていた。ユキの顔が、映像の中で見せた表情と重なってしまう。だが、ユキとの電話では、いつもと変わらない会話が続く。
そして、ある日の午後、タカシは、またしても部屋の前に小さな段ボール箱を見つけた。今度も、送り主は記載されていない。箱を開けると、中には、また一枚のDVDが入っていた。タカシの手は、自然に震えた。彼は、深呼吸をしてから、DVDをプレイヤーに入れた。
テレビの画面が、またしてもピンク色の照明に包まれたラブホテルの一室を映し出した。今回も、ベッドの横に設置されたカメラからの視点だった。最初に映ったのは、ユキがベッドの端に座っている姿だった。今回は、化粧は薄く、普段着のワンピースを着ていた。だが、その表情は、一ヶ月前とは明らかに違っていた。
ユキは、誰かと話しているようだった。カメラからは、相手の声は聞こえない。ユキは、小さく頷きながら、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。ワンピースのボタンを一つずつ外し、肩からスルスルと脱いでいく。下着は、淡いブルーのキャミソールとショーツだった。ユキは、ベッドに横たわると、目を強く閉じた。まるで、何かを耐えているような表情だった。
画面の中で、男が現れた。今回も、顔は映っていない。男は、ユキの横に座ると、ゆっくりと手を伸ばした。ユキの肩に触れると、ユキの体は小さく震えた。男の手が、ユキの胸に伸びる。ユキは、眉を寄せながら、「やめて……」と小さく呟いた。だが、その声は、あまりにも弱々しかった。
男の動きは、一ヶ月前とは違っていた。今回は、急がない。ゆっくりと、ユキの体を撫で回していく。ユキは、最初こそ抵抗していたが、次第に体が委ねられるようになっていく。だが、その表情は、苦痛に近かった。目を閉じたまま、歯を食いしばっている。男の手が、ユキの太ももを這い回る。ユキの足は、小刻みに震えていた。
映像は、カメラに映る限りで進んでいく。ユキは、男の上に乗せられ、体を動かされる。だが、その動きは、機械的だった。まるで、義務として受け入れているような。ユキの顔は、汗で濡れていた。目は、まだ閉じたままだ。男の動きが激しくなるにつれ、ユキの体は小さく上下した。だが、その表情は、一ヶ月前とは違っていた。快感ではなく、苦痛に近いものだった。
映像は、またしても十分程度だった。だが、その十分間は、タカシにとって、永遠のように感じられた。再生が終わっても、彼はしばらく動けなかった。画面には、ユキが横たわったまま、小さく震えている姿が残った。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、DVDを取り出した。手の震えは、止まらない。彼は、缶ビールを新たに開け、喉の奥に流し込んだ。アルコールが喉を焼く感覚が、少しだけ現実感を取り戻させた。
「ユキは……知らないのか?」
タカシは、床に座り込んだまま呟いた。ユキの表情は、確かに嫌そうだった。だが、それでも、男に体を任せていた。あの表情は、本当に酔っていたのだろうか。それとも、何かに脅されていたのだろうか。
タカシは、スマートフォンを手に取った。ユキの番号を呼び出す。だが、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。タカシは、DVDをもう一度再生した。今度は、細部に注目した。ユキの指先の震え、顔の汗、目の周りの涙。全てが、現実であることを証明していた。
「ユキは……本当に知らないのか?」
タカシは、窓の外を見た。南国の夜空には、見慣れない星座が輝いている。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、窓に額を押し当てた。妻の名前を呟いたが、声はすぐにエアコンの音にかき消された。
第 3 章
――第3話 三枚目のDVD――
南国の夜は、まだ九月だというのに熱帯夜のようにじめじめとしていた。エアコンの室外機がカラカラと音を立てて回っている。タカシは、仕事帰りに買った缶ビールを片手に、部屋の蛍光灯を落としたままソファに腰を沈めていた。
玄関のチャイムが鳴ったのは、時計の針が七時を指す少し前だった。
「はい?」
ドアを開けると、宅配便の黒いTシャツ姿の男が小さく会釈して、名簿を差し出した。
「ナカガワ様、国際小包です。印鑑をお願いします」
差し出された荷物は、前回と同じくらいの大きさの茶封筒だった。送り主の欄は空白。タカシは、裏返してみても何も書かれていないのを確認し、小さく息を吐いた。
――また、来た。
受け取ってドアを閉めても、封筒はひどく軽い。中身がDVD一枚だけだとすぐに分かった。テープを剥がす音が、静かな部屋に響く。出てきたのは、相変わらず白いレーベルのディスク。日付らしき数字が手書きで入っている。
――9/3。 ……十五日前か。
タカシは、冷えたビールを一口飲み、喉の奥に流し込んだ。気がつくと、手が小刻みに震えていた。リモコンの再生ボタンを押す前に、もう一度深呼吸する。
テレビの画面が暗くなり、やがてピンクの間接照明に照らされた部屋が映し出された。見慣れたラブホテルの一室。ベッドは前回と同じ位置だ。カメラは、ベッドの足元に近い壁際に据えられているらしく、少し俯瞰気味の画角だった。
映像が始まってすぐ、ユキが画面の端に座っているのが見えた。今回は、化粧は薄い。薄紫のワンピース姿で、膝の上にハンドバッグを乗せている。髪は、いつものように後ろで束ねていた。
――どうして、こんなところに……。
タカシは、缶ビールをテーブルに置き、画面に顔を近づけた。ユキは、誰かと小さな声で話しているようだった。映像には音声が入っていない。唇の動きから察するに、どうやら相手に「お願い、やめて……」とでも言っているようだった。
男がベッドに腰を下ろすと、ユキはゆっくりと立ち上がった。ワンピースのファスナーを背中で降ろす音が、かすかにカメラに拾われる。布が床に落ちて、淡いブルーのキャミソールとショーツが露わになった。ユキは、ベッドに横たわると、目をつぶってしまった。まるで、これ以上見ないで、というように。
――ユキ……。
タカシは、リモコンを握りしめた。映像は、黙って進んでいく。男は、今回も顔は映らない。右手だけが、ユキの肩を優しくなぞる。指が白い肌に触れるたび、ユキの体は小さく震えた。男の指は、ゆっくりと鎖骨のラインを辿り、キャミソールの上から胸を包むように伸びる。
ユキは、唇をかみしめていた。頬が、少しずつ赤く染まっていくのが分かった。男の指が、キャミソールの上から乳首を探るように動くと、ユキは小さく首を振った。だが、体は逆に少しだけ反り返ってしまう。男は、それを見逃さなかった。指が、布越しに突き上げるように動いた。
――ああ、駄目だ……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも気づかないうちに呟いていた。ユキの表情は、確かに恥ずかしそうだった。目を閉じたまま、眉間にしわが寄っている。だけど、耳の先まで赤くなっているのは、否定できない反応だった。
男の手が、ユキの太ももを這い始める。指先が、ショーツの上から中心を探るように動いた瞬間、ユキの腰が跳ねた。あまりの感触に、小さな声が漏れたようだった。カメラは、音を拾わないが、口の形から「あっ……」とでも言ったのが分かった。
――嘘だろ。ユキが……そんな声を。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンを押した。画面が止まる。ユキの顔が、ピタリと止まったままだ。頬が紅潮し、唇がわずかに開いている。タカシは、もう一度再生を押した。
男の指が、ショーツをずらす。ユキの白い肌が、ピンクの照明に照らされて、うっすらと汗ばんで見えた。男は、ゆっくりとユキの上に重なると、自分のズボンを降ろした。ユキは、目を開けようとしながら、結局は閉じたままだった。
――嫌そうじゃない……。でも、あの顔は……。
タカシは、自分の息が荒くなるのを感じていた。画面の中で、男がユキの両膝を抱え上げる。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、体は正直だった。男がゆっくりと腰を動かすたび、ユキの体は小さく波打っていた。
――ああ、やめて……見るの、やめてくれ……。
タカシは、画面に向かって呟いた。でも、目は離せなかった。ユキの白い喉が、上下に動いた。喘ぎ声を押し殺すために、唇を噛んでいるのだ。でも、時折、小さな声が漏れた。それは、確かに快感に近いものだった。
男の動きが、次第に速くなる。ユキの体は、ベッドに押しつけられるように固定されていた。だけど、体は反応してしまう。ユキは、必死で首を振った。でも、それは、拒絶ではなかった。むしろ、我慢している自分を恥じているような仕草だった。
――ユキ……。あんな顔……見たことなかった。
タカシは、リモコンを握った手に力が入った。画面の中で、ユキの体が小さく震え始めた。男の動きが、一際速くなる。ユキは、唇を噛みしめていた。だけど、それも限界だった。小さく、鼻にかかったような声が漏れた。それは、確かに快感の声だった。
――やめて……。でも……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも信じられない気持ちになっていた。嫌がっているように見えたユキ。でも、体は確かに反応していた。あの赤く染まった頬。汗ばんだ肌。漏れた小さな声。全てが、否定できない現実だった。
映像は、男の体が激しく震えるところで終わった。ユキは、横たわったまま、小さく震えていた。男は、ユキから離れると、すぐに画面の外に消えた。ユキは、しばらく目を閉じたままでいた。やがて、ゆっくりと目を開けた。その瞳は、うっすらと涙で濡れていた。
――ユキ……。俺に、黙ってたのか……。
タカシは、リモコンを置いた。手は、まだ震えていた。彼は、立ち上がって、窓の外を見た。南国の夜は、相変わらず熱帯夜のような暑さだった。でも、体は、どこか寒いような気がした。
タカシは、スマートフォンを取り上げた。ユキの番号を呼び出す。だけど、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
――あの時、冗談で……「他の男に抱かれたって、俺は構わない」って……。でも、あんなに、嬉しそうに……。
タカシは、床に座り込んだ。映像は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの表情が、何度もリピートされていた。あの赤い頬。漏れた声。震える体。全てが、現実だった。
――どうして、俺は……こんなに動揺してるんだ……。
タカシは、自分でも信じられなかった。確かに、自分が寝取られ趣味だと思っていた。でも、実際に目の前で見ると、そんなに簡単ではなかった。胸の奥に、熱い塊がこみ上げてくる。
――ユキは、知らないのか……。それとも、知っていて、知らないふりをしているのか……。
タカシは、缶ビールをもう一本開けた。喉に流し込むと、少しだけ現実感を取り戻した。でも、頭の中は、もう真っ白だった。ユキとの会話が、頭の中をぐるぐると回っていた。
――明日も、電話するか……。でも、何を話せばいい……。
タカシは、ゆっくりと立ち上がった。部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。彼は、窓の外を見た。見慣れない星座が、夜空に輝いていた。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ソファに座ったまま、ゆっくりと目を閉じた。ユキの笑顔と、あの映像のユキが、頭の中で重なった。どちらが本当のユキなのか、もう分からなかった。
第 4 章
――第4話 四枚目のDVD――
赴任してから、もうすぐ四ヶ月になる。タカシは、毎日が同じような日々だった。朝八時に出社、夜八時に帰宅。コンビニの弁当を電子レンジで温めて食べ、ビール一本飲んで寝る。そんな毎日の中で、唯一の変化といえば、月に一度、必ず届くあの茶封筒だった。
今日も、帰宅してすぐに玄関のドアを開けると、床に小さな茶封筒が落ちていた。いつものように、送り主の名前はない。タカシは、靴も脱がないまま、封筒を拾い上げた。手のひらに乗るほどの軽さ。中身は、やはりDVD一枚だけだ。
部屋に入って、タカシはジャケットを脱ぎ、ソファに腰を下ろした。エアコンは、相変わらず効きが悪い。暑さと湿気が、部屋の中に淀んでいる。タカシは、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、封筒を開けた。
白いレーベルのDVD。今回は、日付が「9/18」と書かれている。十五日前、つまり、タカシが赴任して三ヶ月半経った頃だ。タカシは、リモコンを手に取りながら、深呼吸した。毎回、覚悟を決めるのに時間がかかる。
テレビの電源を入れ、DVDをセットする。再生ボタンを押すまで、約一分かかった。画面が暗くなり、やがて映し出されたのは、見慣れない場所だった。
――倉庫、か。
コンクリートの壁、高い天井。薄暗い照明が、埃っぽい空気を照らしている。カメラは、おそらく棚の上に置かれているのだろう。少し俯瞰気味の画角で、床に置かれた古いマットが映っている。
ユキが、マットの上に立っていた。今日は、普段着のジーンズとTシャツ姿だ。髪は、いつものように後ろで束ねている。だけど、顔は少し青ざめているように見えた。ユキの前に、男が立っている。相変わらず、顔は映らない。黒いTシャツと、ジーパン。後ろ姿だけが、画面に映っている。
――どうして、また……。
タカシは、缶ビールを一口飲みながら、画面を見つめた。ユキは、小声で何か言っているようだ。唇の動きから察するに、「やめて……」とでも言っているのかもしれない。男は、それに応えることなく、ゆっくりとユキに近づいた。
ユキは、一歩後退る。背中が、コンクリートの壁に触れる。もう、逃げ場はない。男は、ユキの両手を壁に押しつけるようにして、キスを始めた。ユキは、顔を背けようとする。だけど、男はそれを許さない。唇を重ね、舌を絡めてくる。
――ユキ……。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンに指をかけた。でも、押さなかった。画面の中で、ユキの表情が変わっていく。最初は拒否していた唇が、次第に力を失っていく。眉間に寄っていたしわが、少しずつ消えていく。
男の手が、ユキのTシャツの中に入る。ゆっくりと、胸を撫で始める。ユキは、小さく身じろぎした。だけど、それ以上は抵抗しない。男の指が、ブラの上から乳首を探る。ユキは、唇を噛みしめた。でも、それは、快感を堪えるような仕草だった。
――ああ、駄目だ……。
タカシは、缶ビールをテーブルに置いた。手が震えていた。画面の中で、男がユキのジーンズのボタンを外し始める。ファスナーが降ろされる音が、かすかにカメラに拾われる。ユキは、目をつぶってしまった。まるで、これ以上見ないで、というように。
だが、男は止まらない。ジーンズを膝まで下ろすと、ショーツも一緒に引き下げる。ユキの白い肌が、薄暗い照明に照らされて、うっすらと汗ばんで見えた。男は、ユキの体を後ろ向きにさせた。両手を壁についてもらい、腰を突き出させるような体勢にする。
――後ろから……。
タカシは、画面に顔を近づけた。ユキの背中が、小さく震えている。男が、ズボンを降ろす。ユキは、壁に手をついたまま、目をつぶっている。男が、ゆっくりとユキの背後に近づく。
最初の一突きで、ユキの体が跳ねた。小さな声が漏れたようだった。カメラは音を拾わないが、口の形から「あっ……」とでも言ったのが分かった。男の腰が、ゆっくりと動き始める。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、それも限界だった。
――やめて……。でも……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも信じられない気持ちになっていた。ユキの白い喉が、上下に動いた。喘ぎ声を押し殺すために、唇を噛んでいるのだ。でも、時折、小さな声が漏れた。それは、確かに快感に近いものだった。
男の動きが、次第に速くなる。ユキの体は、壁に押しつけられるように固定されていた。だけど、体は反応してしまう。ユキは、必死で首を振った。でも、それは、拒絶ではなかった。むしろ、我慢している自分を恥じているような仕草だった。
――ユキ……。あんな顔……見たことなかった。
タカシは、リモコンを握った手に力が入った。画面の中で、ユキの体が小さく震え始めた。男の動きが、一際速くなる。ユキは、唇を噛みしめていた。だけど、それも限界だった。小さく、鼻にかかったような声が漏れた。それは、確かに快感の声だった。
――ああ、やめて……見るの、やめてくれ……。
タカシは、画面に向かって呟いた。でも、目は離せなかった。ユキの白い手が、壁にしがみついている。指が、必死で力を入れている。それでも、体は正直だった。腰が、小さく波打っていた。
男の動きが、激しくなる。ユキの体が、壁に打ちつけられる。でも、それは、痛みではなく、快感だった。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、それも限界だった。小さな声が、漏れた。それは、確かに「ああ……」という、快感の声だった。
――嘘だろ。ユキが……そんな声を。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンを押した。画面が止まる。ユキの顔が、ピタリと止まったままだ。頬が紅潮し、唇がわずかに開いている。タカシは、もう一度再生を押した。
今度は、ゆっくりと見た。ユキの表情の変化。最初の拒否から、次第に快感に身を任せていく様子。眉間のしわが消え、頬が赤く染まっていく。小さな汗の玉が、額に浮かんでいる。
――これは……ユキだ。
タカシは、缶ビールをもう一本開けた。喉に流し込むと、少しだけ現実感を取り戻した。でも、頭の中は、もう真っ白だった。ユキとの会話が、頭の中をぐるぐると回っていた。
――あの時、冗談で……「他の男に抱かれたって、俺は構わない」って……。でも、あんなに、嬉しそうに……。
タカシは、床に座り込んだ。映像は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの表情が、何度もリピートされていた。あの赤い頬。漏れた声。震える体。全てが、現実だった。
――どうして、俺は……こんなに動揺してるんだ……。
タカシは、自分でも信じられなかった。確かに、自分が寝取られ趣味だと思っていた。でも、実際に目の前で見ると、そんなに簡単ではなかった。胸の奥に、熱い塊がこみ上げてくる。
――ユキは、知らないのか……。それとも、知っていて、知らないふりをしているのか……。
タカシは、スマートフォンを取り上げた。ユキの番号を呼び出す。だけど、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
――明日も、電話するか……。でも、何を話せばいい……。
タカシは、ゆっくりと立ち上がった。部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。彼は、窓の外を見た。見慣れない星座が、夜空に輝いていた。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ソファに座ったまま、ゆっくりと目を閉じた。ユキの笑顔と、あの映像のユキが、頭の中で重なった。どちらが本当のユキなのか、もう分からなかった。
第 5 章
――第5話 五枚目のDVD――
赴任して四ヶ月半。タカシは、もう慣れたはずだった。毎月届く茶封筒。でも、今日は違った。封筒が、いつもより厚みがある。手に取ると、重さも違う。中身は、やはりDVD一枚だけだが、レーベルに「10日間の記録」と書かれていた。
部屋に入って、タカシは深呼吸した。エアコンは相変わらず効きが悪い。窓を開けても、熱い風が吹き込んでくるだけだ。タカシは、缶ビールを二本冷蔵庫から出して、テーブルに置いた。二本目は、途中で必要になるだろう。
DVDをセットするまで、五分かかった。指が震えて、うまく入らない。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れた倉庫だった。コンクリートの壁、埃っぽい床。照明は、相変わらず薄暗い。
カメラは棚の上に固定されている。視点は高く、床全体が見渡せる。最初の日、ユキは、壁際に立っていた。白いブラウスと、紺のスカート。普段着だ。テンチは、いつもの黒いTシャツ姿で、ユキの前に立っている。
「今日も、来ちゃったね」テンチの声が、小さく響く。ユキは、うつむいたまま、小さく頷いた。テンチが、ユキの肩に手を置く。ユキは、ビクリと体を震わせた。
「服、脱いで」テンチの言葉に、ユキはゆっくりとブラウスのボタンを外し始めた。指が震えている。一枚、また一枚。白いブラが見えてきた。スカートも、ゆっくりと落とす。足元に溜まった布。ユキは、恥ずかしそうに腕で胸を隠した。
テンチが、ズボンを下ろす。ユキは、目をつぶった。膝が震えている。テンチが、ユキの肩に手を置いて、ゆっくりと下に押した。ユキは、抵抗するように首を振った。
「嫌だって言ったら、今日は帰っていいよ」テンチの言葉に、ユキは小さく息を吐いた。それから、ゆっくりと膝をついた。目の前に、テンチのモノがあった。ユキは、唇を噛んだ。それでも、ゆっくりと手を伸ばした。
最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチは、小さく息を吐く。ユキは、震える手で、ゆっくりと上下に動かし始めた。顔は、真っ赤だった。目は、どこか遠くを見ている。
「口で、して」テンチの言葉に、ユキは、ためらいながらも、ゆっくりと近づけた。最初は、先っぽだけを、そっと舌で舐めた。苦そうな顔。でも、テンチが「もっと」と言うので、ゆっくりと口に含んだ。
ユキの表情は、苦痛に近かった。目尻に涙が浮かんでいる。でも、ゆっくりと動き始めた。小さく、上下に。テンチの手が、ユキの頭に置かれた。ユキは、一瞬、ビクリとしたが、それでも動きを止めなかった。
画面が切り替わる。二日目。ユキは、同じ格好で立っていた。でも、今日は、少しだけ覚悟を決めたような顔だった。ブラウスを脱ぐまでの時間が、昨日より少し短かった。
膝をつくまでの時間も、少し早かった。ユキは、昨日よりも、少しだけ大胆になっていた。舌の動きが、少しずつ速くなっている。テンチの息が、少し荒くなった。ユキは、それでも、目をつぶったまま、必死で続けた。
三日目になると、ユキの動きに、少しずつ変化が出てきた。最初は、ただ義務感で動いていたのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。舌の動きが、少しずつ丁寧になっていく。
「上手くなったね」テンチの言葉に、ユキは顔を赤くした。でも、それが少し嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。
四日目、五日目と過ぎていくにつれ、ユキの表情に、少しずつの変化が見え始めた。最初は苦痛だった顔が、次第に、恥ずかしさと、それ以上の何かが混じってきた。舌の動きが、より滑らかになっている。
六日目になると、ユキは、自分からブラウスのボタンを外すようになっていた。スカートも、テンチに言われる前に脱ぎ始める。テンチのモノを見ると、自然に膝をつくようになった。
「今日は、どうする?」テンチが聞くと、ユキは、小さく「自分から、する」と呟いた。それから、恥ずかしそうに、ゆっくりと近づいた。舌の動きが、昨日よりも大胆になっている。
七日目、八日目になると、ユキの表情は、完全に変わっていた。最初の苦痛は、もうどこにも見当たらない。代わりに、少しだけ楽しんでいるような、そんな表情が浮かんでいた。
「気持ちいい?」テンチが聞くと、ユキは、小さく頷いた。それから、より積極的に動き始めた。舌の動きが、まるで愛撫するように、優しくなっている。テンチの息が、どんどん荒くなっていく。
九日目になると、ユキは、自分から化粧を始めていた。薄くアイシャドウを塗り、口紅を引く。ブラも、黒のレースのものに変えていた。テンチが倉庫に入ってくると、ユキは、微笑んで迎えた。
「今日は、特別にしてあげる」ユキの言葉に、テンチは驚いたような顔をした。ユキは、ゆっくりと近づいて、膝をついた。それから、まるで恋人同士のように、優しくテンチのモノに触れた。
舌の動きが、これまでで一番大胆だった。優しく、時に激しく。テンチの息が、完全に荒くなった。ユキは、それを楽しんでいるような表情だった。テンチが果てると、ユキは、口に出されたものを、嬉しそうに飲み込んだ。
最終日、十日目。ユキは、完全に変わっていた。濃い化粧、セクシーなランジェリー。テンチが入ってくると、ユキは、まるで待ち望んでいたかのように、駆け寄った。
「今日は、一番気持ちよくしてあげる」ユキは、そう言って、すぐに膝をついた。舌の動きが、まるでプロのような手際だった。優しく、激しく、時に甘噛みまで。テンチは、すぐに果ててしまった。
でも、ユキは満足そうだった。飲み込んだ後、カメラに向かって、嬉しそうに微笑んだ。それから、舌で唇を舐めて、満足げな表情を見せた。
タカシは、画面を見ながら、缶ビールを三本飲んだ。手が震えていた。ユキの変化が、信じられなかった。最初は拒んでいたのに、最後には、自分から求めるようになっていた。
――あれが、ユキなのか……。
タカシは、リモコンを握りしめた。画面は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの笑顔が、何度もリピートされていた。あの満足げな表情。あの積極的な舌の動き。全てが、現実だった。
明日も、電話するのだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 6 章
第6話 六枚目のDVD
赴任して、もうすぐ5ヶ月になる。タカシは、毎月のように届くDVDに、もう慣れたはずだった。でも、今日は違った。いつもは茶封筒だったのに、今日は小さな段ボール箱だった。送り主は、やはり書かれていない。
部屋に入って、タカシは箱を開けた。中には、またDVDが一枚。レーベルに「自宅」とだけ書かれていた。手が震えた。これまでの映像は、どこか外の場所だった。でも、今回は「自宅」だ。自分がユキとアユミと三人で暮らしていた、あのアパートだ。
タカシは、缶ビールを三本冷蔵庫から出した。三本目は、今回は必要になるだろう。エアコンは相変わらず効きが悪い。窓を開けても、湿った風が吹き込んでくるだけだ。
DVDをセットするまで、十分かかった。指が震えて、何度も落とした。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れた玄関だった。白いドア、小さな靴箱、ユキの上がり框。カメラは、誰かが手で持っているように、少し揺れている。
チャイムが鳴った。ユキがドアを開けた。ピンクのワンピース姿だった。髪は、いつもより少し艶やかに見える。ドアを開けた瞬間、ユキの顔が凍りついた。
「どうして、ここに...」ユキの声が、小さく震えている。カメラを持っているのは、やはりテンチだ。黒いTシャツ、ジーパン。ユキの前に立っている。
「ちょっと、話したいことがあって」テンチの声は、いつものように落ち着いている。ユキは、ドアを閉めようとした。でも、テンチが足を踏み入れた。
「いや、だめ...アユミが...」ユキが小声で言う。でも、テンチは首を振った。
「寝てる時間だろ?大丈夫だよ」テンチが、ユキの腕を掴む。ユキは、抵抗するように体を引いた。でも、玄関は狭い。逃げ場がない。
カメラが、ゆっくりと近づいていく。ユキの顔が、画面いっぱいに映る。目がうるんでいる。唇が震えている。
「ここは、やめて...」ユキが呟く。でも、テンチは、ユキの肩に手を置いた。ゆっくりと、ユキの体を下に向かわせる。
ユキは、小さく息を吐いた。それから、ゆっくりと膝をついた。玄関の床は、冷たいタイルだった。ユキは、震える手で、テンチのジーパンのチャックを下ろした。
「ここは、本当にやめて...」ユキがもう一度呟く。でも、テンチは黙っている。ユキは、ためらいながらも、ゆっくりと手を伸ばした。
最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチが、小さく息を吐く。ユキは、顔を背けたまま、震える手で上下に動かし始めた。
「見てごらん」テンチが囁いた。ユキは、ゆっくりと顔を上げた。目が合う。ユキは、恥ずかしそうに目をつぶった。でも、それでも動きは止めなかった。
舌を出して、先っぽをそっと舐めた。苦そうな顔。でも、テンチが「もっと」と言うので、ゆっくりと口に含んだ。ユキの表情は、苦痛に近かった。目尻に涙が浮かんでいる。
玄関は静かだった。時計の音だけが響いている。ユキは、必死で音を立てないようにしていた。でも、時々、小さく「むぐっ」という音が漏れる。
テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。舌の動きが、少しずつ大胆になってきた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。
「上手くなったね」テンチが囁いた。ユキは顔を赤くした。でも、それが少し嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。
画面が揺れた。テンチが、ユキの腕を掴んだ。それから、ゆっくりとリビングに向かった。ユキは、抵抗するように首を振った。
「だめ、ここは...」ユキが小声で言う。でも、テンチは聞いていない。リビングに入ると、ソファがある。アユミのおもちゃが、床に散らばっている。
テンチは、ユキをソファに座らせた。それから、自分も座る。ユキは、顔を背けたまま、震えている。
「大丈夫、誰も来ない」テンチが囁いた。ユキは、小さく息を吐いた。それから、ゆっくりとテンチの上に跨った。ワンピースの裾が、少しずつ上がっていく。
ユキは、テンチの肩に手を置いた。それから、ゆっくりと腰を下ろしていく。最初は、ためらいがあった。でも、次第に、ユキの表情に変化が現れ始めた。
「あ...」小さく漏れる声。ユキは、自分で腰を動かし始めた。最初はゆっくりと、それから少しずつ速く。テンチの手が、ユキの腰に置かれた。ユキは、それに応えるように、より激しく動き始めた。
ソファが軋んだ。ユキは、それでも動きを止めなかった。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。でも、時々、テンチの顔を見て、小さく微笑む。
「気持ちいい?」テンチが聞くと、ユキは小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。ワンピースの襟元が、少しずつずれていく。白い肌が覗く。
テンチの息が荒くなった。ユキも、小さく喘ぎ始めた。でも、必死で声を押し殺している。アユミが寝ている部屋から、時々、寝返りの音がする。
ユキは、テンチの胸に顔を埋めた。それでも、腰の動きは止まらない。むしろ、より激しくなっていく。テンチの手が、ユキの背中を撫でる。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」という意味ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。ユキは、より激しく腰を動かし始めた。
ソファが大きく軋んだ。ユキの体が、弓なりに反った。それから、小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。
二人は、しばらくそのままでいた。ユキは、テンチの胸に顔を埋めたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。
カメラが、ゆっくりと二人を映す。ユキのワンピースは、すっかり乱れていた。髪も、汗で額に張り付いている。でも、それでも美しかった。
テンチが、ユキの髪を撫でた。ユキは、ゆっくりと顔を上げた。目が合う。ユキは、小さく微笑んだ。それから、カメラに向かって、指を唇に当てた。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、三本とも空になっていた。
――あのアパートで、ユキは...。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。見慣れたソファ、ユキのワンピース、アユミのおもちゃ。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 7 章
第7話 七枚目のDVD
赴任して5ヶ月半。タカシは、すっかり毎月のDVDに慣れてしまったと思っていた。でも、今日届いた小さな茶封筒を見た瞬間、また手が震えた。
部屋の中は、相変わらずエアコンの効きが悪くて暑い。タカシは、冷蔵庫から缶ビールを二つ出して、一つはすぐに空けた。もう一つは、今度こそ飲まずに済むかもしれないと思ったが、やっぱり開けてしまった。
DVDをセットするまで、三十分かかった。指が震えて、何度も落とした。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れたコンクリートの壁だった。どこかの倉庫のようだった。薄暗くて、窓から斜めに日が差している。
カメラを持っているのは、やはりテンチだった。手元が少し揺れている。倉庫の中は、段ボール箱が山積みになっていて、埃っぽい匂いがしそうだった。床はコンクリートのままで、足音が響きそうだった。
ユキが立っていた。今日は、シンプルな白いブラウスと、黒いスカート姿だった。髪は、いつもより少し艶やかに見える。化粧は薄めで、普段の家庭のユキそのままだった。
「こんなところで...」ユキが小声で呟いた。テンチは、何も言わない。ただ、カメラをゆっくりと近づけていく。
ユキは、ため息をついた。それから、ゆっくりと膝をついた。コンクリートの床は、冷たかったはずだ。でも、ユキは、もう慣れた様子で、テンチの前に正座した。
「今日は、どうするの?」ユキが聞いた。声は、小さくて、でも、どこか媚びている。テンチは、まだ黙っている。ただ、ジーパンのチャックを下ろす音だけが響いた。
ユキは、顔を上げた。目が合う。それから、ゆっくりと手を伸ばした。最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチが、小さく息を吐く。
「もう、慣れた?」テンチが囁いた。ユキは、小さく頷いた。それから、舌を出して、先っぽをそっと舐めた。最初の頃は、嫌そうな顔をしていたのに、今は違った。
舌の動きは、確かに慣れてきていた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。ユキは、時々、顔を上げて、テンチの表情を確かめる。それから、また口に含む。
「上手くなったね」テンチが言った。ユキは、顔を赤くした。でも、それが嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。時々、唇を使って、優しく包み込むように。
倉庫は静かだった。時々、外を通る車の音が聞こえる。ユキは、それでも音を立てないように必死だった。でも、時々、小さく「むぐっ」という音が漏れる。
テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。舌の動きが、少しずつ大胆になってきた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。
「もう、いいかな」テンチが囁いた。ユキは、顔を上げた。口元が、少し濡れている。それから、ゆっくりと立ち上がった。
テンチは、床に座った。ユキは、スカートを少しずつ上げていく。白い下着が見える。それから、ゆっくりとテンチの上に跨った。
「ここは、声出しちゃだめよ」ユキが小声で言った。テンチは、小さく頷いた。ユキは、ゆっくりと腰を下ろしていく。最初は、ためらいがあった。でも、次第に、ユキの表情に変化が現れ始めた。
「あ...」小さく漏れる声。ユキは、自分で腰を動かし始めた。最初はゆっくりと、それから少しずつ速く。テンチの手が、ユキの腰に置かれた。ユキは、それに応えるように、より激しく動き始めた。
倉庫の中は、二人の息遣いだけが響いている。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく喘ぐ。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞くと、ユキは小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。ブラウスのボタンが、一つずつ外れていく。白い肌が覗く。
テンチの息が荒くなった。ユキも、小さく喘ぎ始めた。でも、必死で声を押し殺している。倉庫の外では、鳩が鳴いている。ユキは、テンチの肩に手を置いた。それでも、腰の動きは止まらない。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」という意味ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。ユキは、より激しく腰を動かし始めた。
床が軋んだ。ユキの体が、弓なりに反った。それから、小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、テンチの胸に顔を埋めたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
画面が切り替わった。今度は、自宅の寝室だった。ユキが、鏡台の前で化粧を直している。白いブラウスは、もう着替えて、普段のカジュアルな格好に戻っている。
「今日は、午後から幼稚園のお迎えがあるから」ユキが、鏡に向かって話している。カメラは、やはりテンチが持っているらしい。「だから、昼からは来ないで」
ユキは、ファンデーションをのせながら、小さくため息をついた。それから、口紅を塗る。鏡の中の自分を、じっと見つめた。
「あなた、本当に執着深いよね」ユキが呟いた。声は、小さくて、でも、どこか諦めている。「もう、私...」
言いかけて、ユキは首を振った。それから、カメラに向かって、小さく微笑んだ。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、二つとも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。倉庫の冷たい床、ユキの慣れた手つき、最後のあの小さな告白。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 8 章
第8話 八枚目のDVD
赴任して9ヶ月と2週間。タカシは、もう朝になるとまず郵便受けを確認する癖がついていた。今朝も、錆びたメールボックスの中に、小さな茶封筒が静かに横たわっていた。
指先が震えた。もう慣れたはずなのに、毎回、心臓が縮むような痛みを覚える。封筒の上には、相変わらず何も書かれていない。ただ、触るとわかる。中にDVDが入っている。
部屋に戻るまで、三度足を止めた。廊下で隣の奥さんとすれ違った時も、挨拶の声が震えた。ドアを開けて、すぐにカーテンを閉めた。明るい朝日が、部屋の中に侵入してくるのが怖かった。
ビールは、冷蔵庫に三本残っていた。タカシは、一番奥のを取り出して、蓋を開けた。喉が渇いているのに、一口目が喉に詰まった。二口目で、ようやく流し込めた。
DVDプレイヤーの前に座るまで、五分かかった。リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。「見るべきか、見ないべきか」。この問いは、もう何度目だろう。でも、答えはいつも同じだった。
スイッチを入れた。テレビの画面が青く光る。それから、黒に変わった。最初に映ったのは、見慣れた天井だった。自宅の寝室だ。蛍光灯が、少し明るすぎる。
カメラは、ベッドの横に置かれていた。角度は低く、布団の端がちょうど画面の下に見える。壁時計が、チクタクと音を立てている。午前10時15分。タカシがいない時間帯だ。
ドアが開く音がした。ユキだった。今日は、薄いピンクのパジャマを着ていた。髪は、少し寝ぐせがついている。足音が近づいてくる。カーペットの上を、裸足で歩く音がする。
ユキは、ベッドの端に腰を下ろした。しばらく、何もしない。ただ、窓の外を見ている。鳩が、鳴いている。それから、小さくため息をついた。パジャマのボタンを、一つずつ外し始めた。
タカシの手が、リモコンを握りしめたまま震えた。ユキは、もう慣れた手つきで服を脱いでいく。ブラウスの下は、白いキャミソール。スカートの下は、同じ白のショーツ。すべて、タカシが知っているものだった。
背後から、影が近づいてきた。テンチだった。今日は、黒のTシャツとジーパン姿。足音を立てないように、ゆっくりと近づいてくる。ユキは、振り返らない。ただ、肩をすくめた。
「今日は、ここで?」ユキの声は、小さくて震えていた。テンチは、答えない。ただ、ユキの肩に手を置いた。その手が、ゆっくりと滑り落ちていく。キャミソールの裾を、少しずつ上げていく。
ユキは、抵抗しなかった。ただ、目を閉じた。テンチの手が、ブラのホックにかかった。カチリ、という音がした。それから、キャミソールが、ゆっくりと脱がされていく。
白い肌が、朝日に照らされた。ユキは、自分でショーツを下ろした。それから、四つん這いになった。ベッドの上で、手と膝をついた姿勢。背中のラインが、美しく波打っている。
テンチは、ジーパンのチャックを下ろした。音が、静かな部屋に響いた。ユキは、振り返らない。ただ、腰を少し上げた。期待しているのか、それとも受け入れているのか、表情は見えない。
最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの体が、小さく震えた。テンチが、少しずつ近づいてくる。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく息が漏れる。
「あっ...」最初の声だった。ユキは、自分の腕を噛んだ。でも、それでも声が漏れる。テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。ベッドが、軋んだ。
「だめ...声が...」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、部屋に響く。ユキは、もう一度自分の腕を噛んだ。でも、効かない。喘ぎ声が、次第に大きくなっていく。
「アリスちゃん、起きちゃうよ」テンチが囁いた。ユキの体が、ビクッと震えた。それから、必死で口を押さえた。でも、指の間から、小さな声が漏れる。
テンチの動きが、激しくなった。ユキの体が、大きく揺れる。髪が、顔に張りついている。汗が、背中を伝っていく。ユキは、もう我慢できない様子だった。
「もう...いい...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。テンチも、それを理解していた。動きが、さらに速くなる。
部屋の中は、二人の息遣いだけが響いている。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく喘ぐ。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。白い肌が、汗で光っている。ベッドのシーツが、だんだん乱れていく。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。それから、体が弓なりに反った。小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、ベッドに伏せたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
「ユキ、旦那と別れろよ」テンチが言った。静かな声だった。でも、芯のある言葉だった。
ユキは、首を振った。「そんなこと、できない」小さな声だった。でも、確かに聞こえた。
「じゃあ、旦那の単身赴任の間、俺の妻になれよ」テンチが続けた。ユキは、何も答えなかった。ただ、ベッドの上で、小さく震えている。
画面が切り替わった。今度は、ユキが化粧を直している姿。鏡の前で、ファンデーションをのせている。目元が、少し腫れている。口紅を塗る手が、震えていた。
「今日は、午後から幼稚園のお迎えがあるから」ユキが、鏡に向かって話している。カメラは、やはりテンチが持っているらしい。「だから、昼からは来ないで」
ユキは、小さくため息をついた。それから、立ち上がった。白いブラウスを着て、スカートをはいた。すべて、タカシが知っている服だった。
「あなた、本当に執着深いよね」ユキが呟いた。声は、小さくて、でも、どこか諦めている。「もう、私...」
言いかけて、ユキは首を振った。それから、カメラに向かって、小さく微笑んだ。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、すでに三本とも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
――それとも、諦めてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。自宅のベッド、ユキの慣れた姿勢、最後のあの沈黙。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 9 章
第9話 九枚目のDVD
タカシは、朝の光に目を覚ました。カーテンの隙間から差し込む陽射しが、床の上に長い影を作っている。昨夜も、ビールを三本空けて寝たせいで、頭が重かった。
郵便受けを開けると、またあの茶色の封筒が入っていた。指先が、自然と震える。もう慣れたはずなのに、毎回、胃の奥がきゅっと縮む。
部屋に戻るまで、三度足を止めた。エレベーターの中で、他の人とすれ違った時も、挨拶の声が震えた。ドアを開けて、すぐにカーテンを閉めた。
DVDプレイヤーの前に座るまで、五分かかった。リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。でも、結局は見る。いつもそうだ。
画面が青く光って、すぐに黒くなった。最初に映ったのは、見慣れた倉庫の天井だった。蛍光灯が、少し明るすぎる。壁には、錆びた棚が並んでいる。
カメラは、倉庫の奥の棚の上に置かれていた。角度は高く、床全体が見える。コンクリートの床が、埃で少し白くなっている。
ドアが開く音がした。ユキだった。今日は、薄いピンクのワンピースを着ていた。髪は、いつもより少しきれいにまとめてある。足音が近づいてくる。ハイヒールの音が、コンクリートの上で響いている。
ユキは、倉庫の中央で立ち止まった。しばらく、何もしない。ただ、辺りを見回している。時計を見ると、午前9時ちょうどだった。
「今日も...来ちゃった」ユキが小さく呟いた。声は、震えていた。テンチは、まだ来ていないらしい。ユキは、壁にもたれかかった。白い壁に、少し背中が埃をつける。
足音がした。テンチだった。今日は、黒のTシャツとジーパン姿。足音を立てないように、ゆっくりと近づいてくる。ユキは、振り返った。少し驚いたような顔をした。
「待たせた?」テンチが聞いた。ユキは、小さく首を振った。でも、体は少し硬くなっている。
「今日は、どうする?」ユキの声は、小さくて震えていた。テンチは、答えない。ただ、ユキの肩に手を置いた。その手が、ゆっくりと滑り落ちていく。ワンピースの裾を、少しずつ上げていく。
ユキは、抵抗しなかった。ただ、目を閉じた。テンチの手が、スカートのホックにかかった。カチリ、という音がした。それから、スカートが、ゆっくりと落ちていく。
白い下着が、明るい倉庫の中で浮かび上がった。ユキは、自分で下着を下ろした。それから、膝をついた。コンクリートの冷たさが、伝わってくる。
テンチは、ジーパンのチャックを下ろした。音が、静かな倉庫に響いた。ユキは、顔を上げた。最初は、少し躊躇していた。でも、すぐに、慣れた手つきで近づいていった。
最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの唇が、少し震えた。でも、すぐに、リズムを掴んだ。テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく息が漏れる。
「上手になったな」テンチが囁いた。ユキは、答えない。ただ、もっと激しく動き始めた。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの床が、少しずつ温かくなっていく。
「そろそろ...いいか?」テンチが聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、立ち上がった。白い下着が、少しずり落ちている。
テンチは、ユキの腰に手を置いた。ユキは、壁にもたれかかった。コンクリートの冷たさが、背中に伝わる。最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの体が、小さく震えた。
「痛く...しないで」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、倉庫に響く。ユキは、必死で口を押さえた。でも、指の間から、小さな声が漏れる。
テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの壁が、少しずつ温かくなっていく。
「あっ...」最初の声だった。ユキは、自分の腕を噛んだ。でも、それでも声が漏れる。テンチの動きが、さらに速くなる。ユキの体が、大きく揺れる。
「だめ...声が...」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、倉庫に響く。ユキは、もう一度自分の腕を噛んだ。でも、効かない。喘ぎ声が、次第に大きくなっていく。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの床が、だんだん乱れていく。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。それから、体が弓なりに反った。小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、床に座り込んだまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
「今夜も、来る?」テンチが聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、立ち上がった。白いワンピースを、少しずつ上げていく。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、すでに三本とも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
――それとも、諦めてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。倉庫の床、ユキの慣れた姿勢、最後のあの約束。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 10 章
第10話 十枚目のDVD
タカシが部屋に戻ると、また茶色の封筒が置いてあった。今回はいつもより厚みがある。手に取ると、中に入っているのはDVDだけでなく、小さなメモ紙も入っていた。
「最後の贈り物」
そんな文字が、乱暴な字で書かれていた。
タカシはソファに座り、リモコンを握りしめた。テレビのスイッチを入れてから、DVDをセットするまでに、五分かかった。指が震えていた。
画面が青く光ってから、すぐに映像が始まった。最初に映ったのは、見慣れた自宅の寝室だった。夫婦のベッドが、画面の中央に映っている。カーテンは閉まっていて、でも朝の光が少し差し込んでいる。
画面の右下に、日付が表示されている。1ヶ月前の日付だった。
<1日目>
ドアが開く音がした。ユキが入ってきた。白いワンピースを着ていて、髪はいつも通りだった。後ろから、男が続いて入ってくる。テンチだった。ユキは、少し緊張していたように見える。
テンチが、ユキの肩に手を置いた。ユキは、最初は体を固くしていた。でも、テンチが耳元で何か言うと、少しずつ体が緩んでいく。ワンピースのボタンが、一つずつ外されていく。
白いブラジャーが見えた。ユキは、自分でワンピースを脱いだ。それから、ベッドに腰かけた。テンチが近づいていく。ユキは、目を閉じた。
最初のキスは、ゆっくりとしたものだった。ユキは、最初は応えなかった。でも、次第に、少しずつ唇を開き始めた。テンチの手が、ユキの背中を撫でる。ブラのホックが外される音がした。
白い肌が、朝の光に照らされている。ユキは、ベッドに横になった。テンチが、上に乗ってくる。ユキは、まだ硬い表情をしていた。でも、テンチが優しく触れると、少しずつ体が反応し始めた。
最初の結合は、ゆっくりとしたものだった。ユキは、唇を噛んでいた。でも、時々、小さく息が漏れる。テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。でも、表情はまだ硬いままだった。
終わった後、ユキはすぐに服を着た。テンチが何か言うと、小さく頷いて、部屋を出ていった。
<2日目>
翌日の映像だった。同じ時間、同じ場所。ユキは、今日は青いブラウスを着ていた。テンチが入ってくる。ユキは、昨日より少し落ち着いているように見える。
今日は、ユキが最初からテンチに近づいていく。キスも、昨日より自然だった。服を脱ぐ動作も、少しずつ慣れてきたようだ。
ベッドでの行為も、昨日よりも長くなった。ユキの表情も、少しずつ緩んでいく。時々、小さく声が漏れる。テンチが何か言うと、ユキは小さく笑った。
<3日目>
三日目のユキは、もう完全に慣れていた。テンチがドアを開けると、笑顔で迎えた。今日は、ピンクのワンピースだった。
キスも、もう積極的だった。ユキが、テンチの服を脱がし始める。ベッドでの行為も、もう完全に馴れていた。声も、もう抑えていなかった。
終わった後も、二人はしばらくベッドに横になっていた。ユキが、テンチの胸に頬をつけている。
<4日目>
四日目から、場所が少し変わった。寝室のソファーだった。ユキが、テンチを待っていた。黒のキャミソールを着ていて、少しセクシーだった。
テンチが来ると、ユキは立ち上がって抱きついた。キスも、もう激しいものだった。ソファーでの行為は、ベッドとは違った角度で、ユキも楽しんでいるように見える。
<5日目>
五日目は、午後の時間だった。カーテンは開いていて、外の光が差し込んでいる。ユキは、白のレースの下着を着ていた。
今日は、ユキが主導だった。テンチの上に乗って、自分から腰を振っている。表情も、もう完全に楽しんでいる。声も、もう抑えていない。
<6日目>
六日目は、夜だった。寝室の電気は消されていて、月明かりだけが差し込んでいる。ユキは、薄いネグリジェを着ていた。
暗闇の中での行為は、また違った雰囲気だった。ユキの声も、夜の静けさに響いている。テンチの動きも、優しいものだった。
<7日目>
七日目は、朝の早い時間だった。ユキは、まだパジャマを着ていた。テンチが来ると、ベッドの中に入ってきた。
朝の行為は、まだ眠いユキを起こすような優しいものだった。でも、次第に激しくなっていく。ユキも、もう完全に目覚めていた。
<8日目>
八日目は、ユキが新しい下着を着ていた。赤いランジェリーだった。テンチが来ると、ちょっと恥ずかしそうにしていた。
でも、テンチが褒めると、嬉しそうに笑った。今日は、いつもより長く、いろんな体位を試していた。
<9日目>
九日目は、ユキが自分から提案したようだった。キッチンから始まって、寝室まで続く。途中、いろんな場所で立ち止まっている。
ユキの表情も、もう完全に変わっていた。最初の緊張はどこにもなく、楽しんでいる様子だった。
<10日目>
最後の日だった。ユキは、白いシルクのナイトウェアを着ていた。テンチが来ると、二人はすぐに抱き合った。
今日は、いつもよりも長く、優しく、深く。ユキが、テンチの耳元で何か囁いた。
「あなた...」
その言葉が、はっきりと聞こえた。
行為の後も、二人は長く抱き合っていた。ユキが、テンチの胸に頬をつけて、小さく何か話している。でも、声は聞こえない。
最後に、ユキがカメラに向かって微笑んだ。それから、映像は終わった。
タカシは、リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。10日間の変化が、はっきりと見えた。
最初の硬い表情から、最後は完全に別人のようになっていたユキ。そして、最後の「あなた」という言葉。
タカシは、何度もDVDを再生した。でも、変わらない。現実だった。
明日、帰国の予定だった。この先、どうすればいいのか、もう分からなかった。
第1章
タカシは、南の島の単身赴任先アパートの六畳間で、エアコンの乾いた風を浴びながら缶ビールを飲んでいた。窓の外では、見慣れない熱帯の木々が夜風に揺れている。赴任して三ヶ月、毎日が同じだった。朝は工場、夜はこの部屋。妻ユキとの電話は、娘アユミの成長話で終わることが多い。
「今日はね、アユミが新しい言葉を覚えたのよ」
ユキの声は、いつも明るかった。妻の声を聞きながら、タカシは携帯の画面に映る家族写真を見つめていた。ユキがアユミを抱いて笑っている。あの頃とは違う、少し疲れた笑顔だった。
その日の午後、タカシは工場から帰ると、部屋の前に置かれた小さな段ボール箱を見つけた。送り主は記載されていない。不審に思いながらも、部屋に持ち込む。箱を開けると、中にはDVDが一枚だけ入っていた。盤面には何も書かれていない、無地のディスクだった。
「何だこれは……」
タカシは、DVDを手に取りながら呟いた。赴任先に、こんなものを送ってくる人物が思い当たらない。だが、何か得体の知れない期待が胸の奥に湧き上がってきた。彼は、部屋に備え付けの薄型テレビの前に座り、DVDを再生した。
最初に映ったのは、見慣れたラブホテルの一室だった。ピンク色の間接照明が、薄暗い室内を照らしている。ベッドの上には、見知らぬ男と、それに跨る女性の姿があった。タカシは、最初は他人事として眺めていた。だが、次の瞬間、彼の全身に冷たい汗が流れた。
「ユ、ユキ……?」
画面の中で、酔ったような表情で喘いでいるのは、間違いなく妻だった。化粧は薄く、普段着のワンピースは胸元まで乱れている。男の手が、ユキの太ももを這い回っていた。ユキは、最初こそ「ダメ……」と呟いていたが、次第にその声は甘くなっていく。
タカシは、リモコンを握りしめたまま、画面を凝視していた。手が震えて、リモコンが床に落ちた。彼は慌てて拾い上げ、再生を止めようとした。だが、指が震えてうまくボタンが押せない。結局、彼はそのまま画面を見続けた。
映像は、ベッドの横に設置された固定カメラからの視点だった。ユキの表情が、苦痛と快感の間を行き来しているのがはっきりと見えた。男の背中が、ユキの上で激しく上下していた。ユキの足が、男の腰に絡みついている。あの足は、タカシが何度も優しく撫でた足だった。
「嘘だ……これは……」
タカシは、額に浮いた汗を拭いながら、画面に釘付けになった。DVDは、たった十分程度の短い映像だった。だが、その十分間は、タカシにとって永遠のように感じられた。再生が終わっても、彼はしばらく動けなかった。
部屋の中に、エアコンの音だけが響いていた。タカシは、ゆっくりと立ち上がり、DVDを取り出した。手の震えは止まらない。彼は、缶ビールを新たに開け、喉の奥に流し込んだ。アルコールが喉を焼く感覚が、少しだけ現実感を取り戻させた。
「ユキは知らない……知らないはずだ……」
タカシは、床に座り込んだまま呟いた。一年前、ユキと冗談交じりに話したことが頭をよぎった。
「もし俺が海外に行ったら、ユキは寂しくないか?」
「え?大丈夫よ。私、強いもん」
「でも、寂しい時はどうする?」
「えーと……じゃあ、動画撮って送って?」
「は?何のこと?」
「だって、タカシが見たいんでしょ?私が他の男に抱かれるところ」
「……冗談だろ?」
「うん、冗談だけど……でも、タカシって変わった趣味持ってるからなぁ」
あの時は、確かに冗談だった。タカシは、ユキの冗談に笑いながら、内心で「まさか本当に……」と思っていた。だが、今、その冗談が現実になっている。
タカシは、もう一度DVDを再生した。今度は、細部に注目した。ユキの表情、男の仕草、部屋の様子。ユキは、確かに酔っていたようだった。目は焦点が合っていないし、体はだるそうに動いている。だが、それでも抵抗の仕草は見られなかった。
「ユキは……知らないのか?」
タカシは、スマートフォンを手に取り、ユキの番号を呼び出した。だが、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
夜が更けていく。タカシは、DVDを何度も再生した。毎回、新しい発見があった。ユキの小さな喘ぎ声、男の低い笑い声、シーツの摩擦音。全てが、現実であることを証明していた。
部屋の中で、タカシは一人、床に座り込んだままだった。テレビの画面には、またユキの姿が映っている。あの、タカシが愛した妻の姿が。だが、今ではそれは、遠く離れた別の世界の出来事のように感じられた。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、窓の外を見た。南国の夜空には、見慣れない星座が輝いている。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、毎月、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
「ユキ……」
タカシは、窓に額を押し当てながら、妻の名前を呟いた。声は、すぐにエアコンの音にかき消された。
第 2 章
タカシは、南国の夜をエアコンの風に任せながら、缶ビールの空きをもう一本足した。赴任して二ヶ月、時差のせいで夜更けても眠れないことが多くなった。壁の時計は午前一時を回っている。妻のユキとは、昨日も電話で話した。あの時も、ユキの声はいつもと変わらなかった。
「今日はね、アユミが新しい絵本を見せてくれて、『パパがいないの寂しいね』って言ったのよ」
ユキの声は、まるで何もなかったかのように明るかった。タカシは、胸の奥に小さな棘が刺さるような痛みを感じながら、適当な相槌を返した。
「そうだな……寂しいだろうな」
「大丈夫よ。タカシの分までアユミと遊んでるから」
その時、タカシは、一ヶ月前に届いたDVDのことを思い出した。あの映像は、どうやっても頭から離れなかった。妻が見知らぬ男に抱かれる姿。だが、ユキの様子は、あまりにも普通だった。まるで、あの映像が夢か幻かのように。
翌朝、タカシは工場に出勤する前に、スマートフォンを手に取った。ユキの番号を呼び出す。呼び出し音が三回鳴って、ユキが出た。
「もしもし?」
「あ、ユキ?俺だけど」
「あら、珍しい朝の電話ね。どうしたの?」
ユキの声は、本当に変わらなかった。まるで、昨夜も今夜も、夫と離れて暮らすことになんの戸惑いもないような。
「いや……なんとなく、声が聞きたくて」
「あはは、変な人。でも嬉しい。今日はアユミも元気だよ」
電話越しに、アユミの元気な声が聞こえてきた。「パパ~!」その声に、タカシは胸が締め付けられるような痛みを覚えた。
「ユキ……最近、変わったことは?」
「変わったこと?うーん……昨日、コンビニで新しいアイスを見つけたことくらい?美味しかったよ」
タカシは、言葉を詰まらせた。ユキは、あのDVDのことは知らないのだろうか。それとも、知っていて知らないふりをしているのだろうか。
「……そうか。元気でよかった」
「タカシこそ、無理しないでね。今日も暑いから、水分をしっかり取って」
電話を切った後、タカシは、工場の更衣室で制服に着替えながら、頭を振った。ユキは、やはり知らないのだ。あの映像は、誰かのいたずらか、それとも……。
一ヶ月が経った。タカシは、毎日、工場で汗を流しながら、頭の片隅であのDVDのことを考えていた。ユキの顔が、映像の中で見せた表情と重なってしまう。だが、ユキとの電話では、いつもと変わらない会話が続く。
そして、ある日の午後、タカシは、またしても部屋の前に小さな段ボール箱を見つけた。今度も、送り主は記載されていない。箱を開けると、中には、また一枚のDVDが入っていた。タカシの手は、自然に震えた。彼は、深呼吸をしてから、DVDをプレイヤーに入れた。
テレビの画面が、またしてもピンク色の照明に包まれたラブホテルの一室を映し出した。今回も、ベッドの横に設置されたカメラからの視点だった。最初に映ったのは、ユキがベッドの端に座っている姿だった。今回は、化粧は薄く、普段着のワンピースを着ていた。だが、その表情は、一ヶ月前とは明らかに違っていた。
ユキは、誰かと話しているようだった。カメラからは、相手の声は聞こえない。ユキは、小さく頷きながら、ゆっくりと服を脱ぎ始めた。ワンピースのボタンを一つずつ外し、肩からスルスルと脱いでいく。下着は、淡いブルーのキャミソールとショーツだった。ユキは、ベッドに横たわると、目を強く閉じた。まるで、何かを耐えているような表情だった。
画面の中で、男が現れた。今回も、顔は映っていない。男は、ユキの横に座ると、ゆっくりと手を伸ばした。ユキの肩に触れると、ユキの体は小さく震えた。男の手が、ユキの胸に伸びる。ユキは、眉を寄せながら、「やめて……」と小さく呟いた。だが、その声は、あまりにも弱々しかった。
男の動きは、一ヶ月前とは違っていた。今回は、急がない。ゆっくりと、ユキの体を撫で回していく。ユキは、最初こそ抵抗していたが、次第に体が委ねられるようになっていく。だが、その表情は、苦痛に近かった。目を閉じたまま、歯を食いしばっている。男の手が、ユキの太ももを這い回る。ユキの足は、小刻みに震えていた。
映像は、カメラに映る限りで進んでいく。ユキは、男の上に乗せられ、体を動かされる。だが、その動きは、機械的だった。まるで、義務として受け入れているような。ユキの顔は、汗で濡れていた。目は、まだ閉じたままだ。男の動きが激しくなるにつれ、ユキの体は小さく上下した。だが、その表情は、一ヶ月前とは違っていた。快感ではなく、苦痛に近いものだった。
映像は、またしても十分程度だった。だが、その十分間は、タカシにとって、永遠のように感じられた。再生が終わっても、彼はしばらく動けなかった。画面には、ユキが横たわったまま、小さく震えている姿が残った。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、DVDを取り出した。手の震えは、止まらない。彼は、缶ビールを新たに開け、喉の奥に流し込んだ。アルコールが喉を焼く感覚が、少しだけ現実感を取り戻させた。
「ユキは……知らないのか?」
タカシは、床に座り込んだまま呟いた。ユキの表情は、確かに嫌そうだった。だが、それでも、男に体を任せていた。あの表情は、本当に酔っていたのだろうか。それとも、何かに脅されていたのだろうか。
タカシは、スマートフォンを手に取った。ユキの番号を呼び出す。だが、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。タカシは、DVDをもう一度再生した。今度は、細部に注目した。ユキの指先の震え、顔の汗、目の周りの涙。全てが、現実であることを証明していた。
「ユキは……本当に知らないのか?」
タカシは、窓の外を見た。南国の夜空には、見慣れない星座が輝いている。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ゆっくりと立ち上がり、窓に額を押し当てた。妻の名前を呟いたが、声はすぐにエアコンの音にかき消された。
第 3 章
――第3話 三枚目のDVD――
南国の夜は、まだ九月だというのに熱帯夜のようにじめじめとしていた。エアコンの室外機がカラカラと音を立てて回っている。タカシは、仕事帰りに買った缶ビールを片手に、部屋の蛍光灯を落としたままソファに腰を沈めていた。
玄関のチャイムが鳴ったのは、時計の針が七時を指す少し前だった。
「はい?」
ドアを開けると、宅配便の黒いTシャツ姿の男が小さく会釈して、名簿を差し出した。
「ナカガワ様、国際小包です。印鑑をお願いします」
差し出された荷物は、前回と同じくらいの大きさの茶封筒だった。送り主の欄は空白。タカシは、裏返してみても何も書かれていないのを確認し、小さく息を吐いた。
――また、来た。
受け取ってドアを閉めても、封筒はひどく軽い。中身がDVD一枚だけだとすぐに分かった。テープを剥がす音が、静かな部屋に響く。出てきたのは、相変わらず白いレーベルのディスク。日付らしき数字が手書きで入っている。
――9/3。 ……十五日前か。
タカシは、冷えたビールを一口飲み、喉の奥に流し込んだ。気がつくと、手が小刻みに震えていた。リモコンの再生ボタンを押す前に、もう一度深呼吸する。
テレビの画面が暗くなり、やがてピンクの間接照明に照らされた部屋が映し出された。見慣れたラブホテルの一室。ベッドは前回と同じ位置だ。カメラは、ベッドの足元に近い壁際に据えられているらしく、少し俯瞰気味の画角だった。
映像が始まってすぐ、ユキが画面の端に座っているのが見えた。今回は、化粧は薄い。薄紫のワンピース姿で、膝の上にハンドバッグを乗せている。髪は、いつものように後ろで束ねていた。
――どうして、こんなところに……。
タカシは、缶ビールをテーブルに置き、画面に顔を近づけた。ユキは、誰かと小さな声で話しているようだった。映像には音声が入っていない。唇の動きから察するに、どうやら相手に「お願い、やめて……」とでも言っているようだった。
男がベッドに腰を下ろすと、ユキはゆっくりと立ち上がった。ワンピースのファスナーを背中で降ろす音が、かすかにカメラに拾われる。布が床に落ちて、淡いブルーのキャミソールとショーツが露わになった。ユキは、ベッドに横たわると、目をつぶってしまった。まるで、これ以上見ないで、というように。
――ユキ……。
タカシは、リモコンを握りしめた。映像は、黙って進んでいく。男は、今回も顔は映らない。右手だけが、ユキの肩を優しくなぞる。指が白い肌に触れるたび、ユキの体は小さく震えた。男の指は、ゆっくりと鎖骨のラインを辿り、キャミソールの上から胸を包むように伸びる。
ユキは、唇をかみしめていた。頬が、少しずつ赤く染まっていくのが分かった。男の指が、キャミソールの上から乳首を探るように動くと、ユキは小さく首を振った。だが、体は逆に少しだけ反り返ってしまう。男は、それを見逃さなかった。指が、布越しに突き上げるように動いた。
――ああ、駄目だ……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも気づかないうちに呟いていた。ユキの表情は、確かに恥ずかしそうだった。目を閉じたまま、眉間にしわが寄っている。だけど、耳の先まで赤くなっているのは、否定できない反応だった。
男の手が、ユキの太ももを這い始める。指先が、ショーツの上から中心を探るように動いた瞬間、ユキの腰が跳ねた。あまりの感触に、小さな声が漏れたようだった。カメラは、音を拾わないが、口の形から「あっ……」とでも言ったのが分かった。
――嘘だろ。ユキが……そんな声を。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンを押した。画面が止まる。ユキの顔が、ピタリと止まったままだ。頬が紅潮し、唇がわずかに開いている。タカシは、もう一度再生を押した。
男の指が、ショーツをずらす。ユキの白い肌が、ピンクの照明に照らされて、うっすらと汗ばんで見えた。男は、ゆっくりとユキの上に重なると、自分のズボンを降ろした。ユキは、目を開けようとしながら、結局は閉じたままだった。
――嫌そうじゃない……。でも、あの顔は……。
タカシは、自分の息が荒くなるのを感じていた。画面の中で、男がユキの両膝を抱え上げる。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、体は正直だった。男がゆっくりと腰を動かすたび、ユキの体は小さく波打っていた。
――ああ、やめて……見るの、やめてくれ……。
タカシは、画面に向かって呟いた。でも、目は離せなかった。ユキの白い喉が、上下に動いた。喘ぎ声を押し殺すために、唇を噛んでいるのだ。でも、時折、小さな声が漏れた。それは、確かに快感に近いものだった。
男の動きが、次第に速くなる。ユキの体は、ベッドに押しつけられるように固定されていた。だけど、体は反応してしまう。ユキは、必死で首を振った。でも、それは、拒絶ではなかった。むしろ、我慢している自分を恥じているような仕草だった。
――ユキ……。あんな顔……見たことなかった。
タカシは、リモコンを握った手に力が入った。画面の中で、ユキの体が小さく震え始めた。男の動きが、一際速くなる。ユキは、唇を噛みしめていた。だけど、それも限界だった。小さく、鼻にかかったような声が漏れた。それは、確かに快感の声だった。
――やめて……。でも……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも信じられない気持ちになっていた。嫌がっているように見えたユキ。でも、体は確かに反応していた。あの赤く染まった頬。汗ばんだ肌。漏れた小さな声。全てが、否定できない現実だった。
映像は、男の体が激しく震えるところで終わった。ユキは、横たわったまま、小さく震えていた。男は、ユキから離れると、すぐに画面の外に消えた。ユキは、しばらく目を閉じたままでいた。やがて、ゆっくりと目を開けた。その瞳は、うっすらと涙で濡れていた。
――ユキ……。俺に、黙ってたのか……。
タカシは、リモコンを置いた。手は、まだ震えていた。彼は、立ち上がって、窓の外を見た。南国の夜は、相変わらず熱帯夜のような暑さだった。でも、体は、どこか寒いような気がした。
タカシは、スマートフォンを取り上げた。ユキの番号を呼び出す。だけど、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
――あの時、冗談で……「他の男に抱かれたって、俺は構わない」って……。でも、あんなに、嬉しそうに……。
タカシは、床に座り込んだ。映像は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの表情が、何度もリピートされていた。あの赤い頬。漏れた声。震える体。全てが、現実だった。
――どうして、俺は……こんなに動揺してるんだ……。
タカシは、自分でも信じられなかった。確かに、自分が寝取られ趣味だと思っていた。でも、実際に目の前で見ると、そんなに簡単ではなかった。胸の奥に、熱い塊がこみ上げてくる。
――ユキは、知らないのか……。それとも、知っていて、知らないふりをしているのか……。
タカシは、缶ビールをもう一本開けた。喉に流し込むと、少しだけ現実感を取り戻した。でも、頭の中は、もう真っ白だった。ユキとの会話が、頭の中をぐるぐると回っていた。
――明日も、電話するか……。でも、何を話せばいい……。
タカシは、ゆっくりと立ち上がった。部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。彼は、窓の外を見た。見慣れない星座が、夜空に輝いていた。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ソファに座ったまま、ゆっくりと目を閉じた。ユキの笑顔と、あの映像のユキが、頭の中で重なった。どちらが本当のユキなのか、もう分からなかった。
第 4 章
――第4話 四枚目のDVD――
赴任してから、もうすぐ四ヶ月になる。タカシは、毎日が同じような日々だった。朝八時に出社、夜八時に帰宅。コンビニの弁当を電子レンジで温めて食べ、ビール一本飲んで寝る。そんな毎日の中で、唯一の変化といえば、月に一度、必ず届くあの茶封筒だった。
今日も、帰宅してすぐに玄関のドアを開けると、床に小さな茶封筒が落ちていた。いつものように、送り主の名前はない。タカシは、靴も脱がないまま、封筒を拾い上げた。手のひらに乗るほどの軽さ。中身は、やはりDVD一枚だけだ。
部屋に入って、タカシはジャケットを脱ぎ、ソファに腰を下ろした。エアコンは、相変わらず効きが悪い。暑さと湿気が、部屋の中に淀んでいる。タカシは、冷蔵庫から缶ビールを取り出すと、封筒を開けた。
白いレーベルのDVD。今回は、日付が「9/18」と書かれている。十五日前、つまり、タカシが赴任して三ヶ月半経った頃だ。タカシは、リモコンを手に取りながら、深呼吸した。毎回、覚悟を決めるのに時間がかかる。
テレビの電源を入れ、DVDをセットする。再生ボタンを押すまで、約一分かかった。画面が暗くなり、やがて映し出されたのは、見慣れない場所だった。
――倉庫、か。
コンクリートの壁、高い天井。薄暗い照明が、埃っぽい空気を照らしている。カメラは、おそらく棚の上に置かれているのだろう。少し俯瞰気味の画角で、床に置かれた古いマットが映っている。
ユキが、マットの上に立っていた。今日は、普段着のジーンズとTシャツ姿だ。髪は、いつものように後ろで束ねている。だけど、顔は少し青ざめているように見えた。ユキの前に、男が立っている。相変わらず、顔は映らない。黒いTシャツと、ジーパン。後ろ姿だけが、画面に映っている。
――どうして、また……。
タカシは、缶ビールを一口飲みながら、画面を見つめた。ユキは、小声で何か言っているようだ。唇の動きから察するに、「やめて……」とでも言っているのかもしれない。男は、それに応えることなく、ゆっくりとユキに近づいた。
ユキは、一歩後退る。背中が、コンクリートの壁に触れる。もう、逃げ場はない。男は、ユキの両手を壁に押しつけるようにして、キスを始めた。ユキは、顔を背けようとする。だけど、男はそれを許さない。唇を重ね、舌を絡めてくる。
――ユキ……。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンに指をかけた。でも、押さなかった。画面の中で、ユキの表情が変わっていく。最初は拒否していた唇が、次第に力を失っていく。眉間に寄っていたしわが、少しずつ消えていく。
男の手が、ユキのTシャツの中に入る。ゆっくりと、胸を撫で始める。ユキは、小さく身じろぎした。だけど、それ以上は抵抗しない。男の指が、ブラの上から乳首を探る。ユキは、唇を噛みしめた。でも、それは、快感を堪えるような仕草だった。
――ああ、駄目だ……。
タカシは、缶ビールをテーブルに置いた。手が震えていた。画面の中で、男がユキのジーンズのボタンを外し始める。ファスナーが降ろされる音が、かすかにカメラに拾われる。ユキは、目をつぶってしまった。まるで、これ以上見ないで、というように。
だが、男は止まらない。ジーンズを膝まで下ろすと、ショーツも一緒に引き下げる。ユキの白い肌が、薄暗い照明に照らされて、うっすらと汗ばんで見えた。男は、ユキの体を後ろ向きにさせた。両手を壁についてもらい、腰を突き出させるような体勢にする。
――後ろから……。
タカシは、画面に顔を近づけた。ユキの背中が、小さく震えている。男が、ズボンを降ろす。ユキは、壁に手をついたまま、目をつぶっている。男が、ゆっくりとユキの背後に近づく。
最初の一突きで、ユキの体が跳ねた。小さな声が漏れたようだった。カメラは音を拾わないが、口の形から「あっ……」とでも言ったのが分かった。男の腰が、ゆっくりと動き始める。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、それも限界だった。
――やめて……。でも……。
タカシは、画面を見つめながら、自分でも信じられない気持ちになっていた。ユキの白い喉が、上下に動いた。喘ぎ声を押し殺すために、唇を噛んでいるのだ。でも、時折、小さな声が漏れた。それは、確かに快感に近いものだった。
男の動きが、次第に速くなる。ユキの体は、壁に押しつけられるように固定されていた。だけど、体は反応してしまう。ユキは、必死で首を振った。でも、それは、拒絶ではなかった。むしろ、我慢している自分を恥じているような仕草だった。
――ユキ……。あんな顔……見たことなかった。
タカシは、リモコンを握った手に力が入った。画面の中で、ユキの体が小さく震え始めた。男の動きが、一際速くなる。ユキは、唇を噛みしめていた。だけど、それも限界だった。小さく、鼻にかかったような声が漏れた。それは、確かに快感の声だった。
――ああ、やめて……見るの、やめてくれ……。
タカシは、画面に向かって呟いた。でも、目は離せなかった。ユキの白い手が、壁にしがみついている。指が、必死で力を入れている。それでも、体は正直だった。腰が、小さく波打っていた。
男の動きが、激しくなる。ユキの体が、壁に打ちつけられる。でも、それは、痛みではなく、快感だった。ユキは、必死で息を殺していた。だけど、それも限界だった。小さな声が、漏れた。それは、確かに「ああ……」という、快感の声だった。
――嘘だろ。ユキが……そんな声を。
タカシは、リモコンの一時停止ボタンを押した。画面が止まる。ユキの顔が、ピタリと止まったままだ。頬が紅潮し、唇がわずかに開いている。タカシは、もう一度再生を押した。
今度は、ゆっくりと見た。ユキの表情の変化。最初の拒否から、次第に快感に身を任せていく様子。眉間のしわが消え、頬が赤く染まっていく。小さな汗の玉が、額に浮かんでいる。
――これは……ユキだ。
タカシは、缶ビールをもう一本開けた。喉に流し込むと、少しだけ現実感を取り戻した。でも、頭の中は、もう真っ白だった。ユキとの会話が、頭の中をぐるぐると回っていた。
――あの時、冗談で……「他の男に抱かれたって、俺は構わない」って……。でも、あんなに、嬉しそうに……。
タカシは、床に座り込んだ。映像は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの表情が、何度もリピートされていた。あの赤い頬。漏れた声。震える体。全てが、現実だった。
――どうして、俺は……こんなに動揺してるんだ……。
タカシは、自分でも信じられなかった。確かに、自分が寝取られ趣味だと思っていた。でも、実際に目の前で見ると、そんなに簡単ではなかった。胸の奥に、熱い塊がこみ上げてくる。
――ユキは、知らないのか……。それとも、知っていて、知らないふりをしているのか……。
タカシは、スマートフォンを取り上げた。ユキの番号を呼び出す。だけど、指が震えて、うまく押せない。結局、彼は電話をかけるのをやめた。何を聞けばいいのか、分からなかった。
――明日も、電話するか……。でも、何を話せばいい……。
タカシは、ゆっくりと立ち上がった。部屋の中で、エアコンの音だけが響いていた。彼は、窓の外を見た。見慣れない星座が、夜空に輝いていた。妻のいない夜は、これからも続いていく。そして、また次の月に、こんなDVDが送られてくるのだろうか。
タカシは、ソファに座ったまま、ゆっくりと目を閉じた。ユキの笑顔と、あの映像のユキが、頭の中で重なった。どちらが本当のユキなのか、もう分からなかった。
第 5 章
――第5話 五枚目のDVD――
赴任して四ヶ月半。タカシは、もう慣れたはずだった。毎月届く茶封筒。でも、今日は違った。封筒が、いつもより厚みがある。手に取ると、重さも違う。中身は、やはりDVD一枚だけだが、レーベルに「10日間の記録」と書かれていた。
部屋に入って、タカシは深呼吸した。エアコンは相変わらず効きが悪い。窓を開けても、熱い風が吹き込んでくるだけだ。タカシは、缶ビールを二本冷蔵庫から出して、テーブルに置いた。二本目は、途中で必要になるだろう。
DVDをセットするまで、五分かかった。指が震えて、うまく入らない。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れた倉庫だった。コンクリートの壁、埃っぽい床。照明は、相変わらず薄暗い。
カメラは棚の上に固定されている。視点は高く、床全体が見渡せる。最初の日、ユキは、壁際に立っていた。白いブラウスと、紺のスカート。普段着だ。テンチは、いつもの黒いTシャツ姿で、ユキの前に立っている。
「今日も、来ちゃったね」テンチの声が、小さく響く。ユキは、うつむいたまま、小さく頷いた。テンチが、ユキの肩に手を置く。ユキは、ビクリと体を震わせた。
「服、脱いで」テンチの言葉に、ユキはゆっくりとブラウスのボタンを外し始めた。指が震えている。一枚、また一枚。白いブラが見えてきた。スカートも、ゆっくりと落とす。足元に溜まった布。ユキは、恥ずかしそうに腕で胸を隠した。
テンチが、ズボンを下ろす。ユキは、目をつぶった。膝が震えている。テンチが、ユキの肩に手を置いて、ゆっくりと下に押した。ユキは、抵抗するように首を振った。
「嫌だって言ったら、今日は帰っていいよ」テンチの言葉に、ユキは小さく息を吐いた。それから、ゆっくりと膝をついた。目の前に、テンチのモノがあった。ユキは、唇を噛んだ。それでも、ゆっくりと手を伸ばした。
最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチは、小さく息を吐く。ユキは、震える手で、ゆっくりと上下に動かし始めた。顔は、真っ赤だった。目は、どこか遠くを見ている。
「口で、して」テンチの言葉に、ユキは、ためらいながらも、ゆっくりと近づけた。最初は、先っぽだけを、そっと舌で舐めた。苦そうな顔。でも、テンチが「もっと」と言うので、ゆっくりと口に含んだ。
ユキの表情は、苦痛に近かった。目尻に涙が浮かんでいる。でも、ゆっくりと動き始めた。小さく、上下に。テンチの手が、ユキの頭に置かれた。ユキは、一瞬、ビクリとしたが、それでも動きを止めなかった。
画面が切り替わる。二日目。ユキは、同じ格好で立っていた。でも、今日は、少しだけ覚悟を決めたような顔だった。ブラウスを脱ぐまでの時間が、昨日より少し短かった。
膝をつくまでの時間も、少し早かった。ユキは、昨日よりも、少しだけ大胆になっていた。舌の動きが、少しずつ速くなっている。テンチの息が、少し荒くなった。ユキは、それでも、目をつぶったまま、必死で続けた。
三日目になると、ユキの動きに、少しずつ変化が出てきた。最初は、ただ義務感で動いていたのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。舌の動きが、少しずつ丁寧になっていく。
「上手くなったね」テンチの言葉に、ユキは顔を赤くした。でも、それが少し嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。
四日目、五日目と過ぎていくにつれ、ユキの表情に、少しずつの変化が見え始めた。最初は苦痛だった顔が、次第に、恥ずかしさと、それ以上の何かが混じってきた。舌の動きが、より滑らかになっている。
六日目になると、ユキは、自分からブラウスのボタンを外すようになっていた。スカートも、テンチに言われる前に脱ぎ始める。テンチのモノを見ると、自然に膝をつくようになった。
「今日は、どうする?」テンチが聞くと、ユキは、小さく「自分から、する」と呟いた。それから、恥ずかしそうに、ゆっくりと近づいた。舌の動きが、昨日よりも大胆になっている。
七日目、八日目になると、ユキの表情は、完全に変わっていた。最初の苦痛は、もうどこにも見当たらない。代わりに、少しだけ楽しんでいるような、そんな表情が浮かんでいた。
「気持ちいい?」テンチが聞くと、ユキは、小さく頷いた。それから、より積極的に動き始めた。舌の動きが、まるで愛撫するように、優しくなっている。テンチの息が、どんどん荒くなっていく。
九日目になると、ユキは、自分から化粧を始めていた。薄くアイシャドウを塗り、口紅を引く。ブラも、黒のレースのものに変えていた。テンチが倉庫に入ってくると、ユキは、微笑んで迎えた。
「今日は、特別にしてあげる」ユキの言葉に、テンチは驚いたような顔をした。ユキは、ゆっくりと近づいて、膝をついた。それから、まるで恋人同士のように、優しくテンチのモノに触れた。
舌の動きが、これまでで一番大胆だった。優しく、時に激しく。テンチの息が、完全に荒くなった。ユキは、それを楽しんでいるような表情だった。テンチが果てると、ユキは、口に出されたものを、嬉しそうに飲み込んだ。
最終日、十日目。ユキは、完全に変わっていた。濃い化粧、セクシーなランジェリー。テンチが入ってくると、ユキは、まるで待ち望んでいたかのように、駆け寄った。
「今日は、一番気持ちよくしてあげる」ユキは、そう言って、すぐに膝をついた。舌の動きが、まるでプロのような手際だった。優しく、激しく、時に甘噛みまで。テンチは、すぐに果ててしまった。
でも、ユキは満足そうだった。飲み込んだ後、カメラに向かって、嬉しそうに微笑んだ。それから、舌で唇を舐めて、満足げな表情を見せた。
タカシは、画面を見ながら、缶ビールを三本飲んだ。手が震えていた。ユキの変化が、信じられなかった。最初は拒んでいたのに、最後には、自分から求めるようになっていた。
――あれが、ユキなのか……。
タカシは、リモコンを握りしめた。画面は、もう終わっていた。でも、頭の中では、ユキのあの笑顔が、何度もリピートされていた。あの満足げな表情。あの積極的な舌の動き。全てが、現実だった。
明日も、電話するのだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 6 章
第6話 六枚目のDVD
赴任して、もうすぐ5ヶ月になる。タカシは、毎月のように届くDVDに、もう慣れたはずだった。でも、今日は違った。いつもは茶封筒だったのに、今日は小さな段ボール箱だった。送り主は、やはり書かれていない。
部屋に入って、タカシは箱を開けた。中には、またDVDが一枚。レーベルに「自宅」とだけ書かれていた。手が震えた。これまでの映像は、どこか外の場所だった。でも、今回は「自宅」だ。自分がユキとアユミと三人で暮らしていた、あのアパートだ。
タカシは、缶ビールを三本冷蔵庫から出した。三本目は、今回は必要になるだろう。エアコンは相変わらず効きが悪い。窓を開けても、湿った風が吹き込んでくるだけだ。
DVDをセットするまで、十分かかった。指が震えて、何度も落とした。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れた玄関だった。白いドア、小さな靴箱、ユキの上がり框。カメラは、誰かが手で持っているように、少し揺れている。
チャイムが鳴った。ユキがドアを開けた。ピンクのワンピース姿だった。髪は、いつもより少し艶やかに見える。ドアを開けた瞬間、ユキの顔が凍りついた。
「どうして、ここに...」ユキの声が、小さく震えている。カメラを持っているのは、やはりテンチだ。黒いTシャツ、ジーパン。ユキの前に立っている。
「ちょっと、話したいことがあって」テンチの声は、いつものように落ち着いている。ユキは、ドアを閉めようとした。でも、テンチが足を踏み入れた。
「いや、だめ...アユミが...」ユキが小声で言う。でも、テンチは首を振った。
「寝てる時間だろ?大丈夫だよ」テンチが、ユキの腕を掴む。ユキは、抵抗するように体を引いた。でも、玄関は狭い。逃げ場がない。
カメラが、ゆっくりと近づいていく。ユキの顔が、画面いっぱいに映る。目がうるんでいる。唇が震えている。
「ここは、やめて...」ユキが呟く。でも、テンチは、ユキの肩に手を置いた。ゆっくりと、ユキの体を下に向かわせる。
ユキは、小さく息を吐いた。それから、ゆっくりと膝をついた。玄関の床は、冷たいタイルだった。ユキは、震える手で、テンチのジーパンのチャックを下ろした。
「ここは、本当にやめて...」ユキがもう一度呟く。でも、テンチは黙っている。ユキは、ためらいながらも、ゆっくりと手を伸ばした。
最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチが、小さく息を吐く。ユキは、顔を背けたまま、震える手で上下に動かし始めた。
「見てごらん」テンチが囁いた。ユキは、ゆっくりと顔を上げた。目が合う。ユキは、恥ずかしそうに目をつぶった。でも、それでも動きは止めなかった。
舌を出して、先っぽをそっと舐めた。苦そうな顔。でも、テンチが「もっと」と言うので、ゆっくりと口に含んだ。ユキの表情は、苦痛に近かった。目尻に涙が浮かんでいる。
玄関は静かだった。時計の音だけが響いている。ユキは、必死で音を立てないようにしていた。でも、時々、小さく「むぐっ」という音が漏れる。
テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。舌の動きが、少しずつ大胆になってきた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。
「上手くなったね」テンチが囁いた。ユキは顔を赤くした。でも、それが少し嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。
画面が揺れた。テンチが、ユキの腕を掴んだ。それから、ゆっくりとリビングに向かった。ユキは、抵抗するように首を振った。
「だめ、ここは...」ユキが小声で言う。でも、テンチは聞いていない。リビングに入ると、ソファがある。アユミのおもちゃが、床に散らばっている。
テンチは、ユキをソファに座らせた。それから、自分も座る。ユキは、顔を背けたまま、震えている。
「大丈夫、誰も来ない」テンチが囁いた。ユキは、小さく息を吐いた。それから、ゆっくりとテンチの上に跨った。ワンピースの裾が、少しずつ上がっていく。
ユキは、テンチの肩に手を置いた。それから、ゆっくりと腰を下ろしていく。最初は、ためらいがあった。でも、次第に、ユキの表情に変化が現れ始めた。
「あ...」小さく漏れる声。ユキは、自分で腰を動かし始めた。最初はゆっくりと、それから少しずつ速く。テンチの手が、ユキの腰に置かれた。ユキは、それに応えるように、より激しく動き始めた。
ソファが軋んだ。ユキは、それでも動きを止めなかった。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。でも、時々、テンチの顔を見て、小さく微笑む。
「気持ちいい?」テンチが聞くと、ユキは小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。ワンピースの襟元が、少しずつずれていく。白い肌が覗く。
テンチの息が荒くなった。ユキも、小さく喘ぎ始めた。でも、必死で声を押し殺している。アユミが寝ている部屋から、時々、寝返りの音がする。
ユキは、テンチの胸に顔を埋めた。それでも、腰の動きは止まらない。むしろ、より激しくなっていく。テンチの手が、ユキの背中を撫でる。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」という意味ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。ユキは、より激しく腰を動かし始めた。
ソファが大きく軋んだ。ユキの体が、弓なりに反った。それから、小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。
二人は、しばらくそのままでいた。ユキは、テンチの胸に顔を埋めたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。
カメラが、ゆっくりと二人を映す。ユキのワンピースは、すっかり乱れていた。髪も、汗で額に張り付いている。でも、それでも美しかった。
テンチが、ユキの髪を撫でた。ユキは、ゆっくりと顔を上げた。目が合う。ユキは、小さく微笑んだ。それから、カメラに向かって、指を唇に当てた。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、三本とも空になっていた。
――あのアパートで、ユキは...。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。見慣れたソファ、ユキのワンピース、アユミのおもちゃ。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 7 章
第7話 七枚目のDVD
赴任して5ヶ月半。タカシは、すっかり毎月のDVDに慣れてしまったと思っていた。でも、今日届いた小さな茶封筒を見た瞬間、また手が震えた。
部屋の中は、相変わらずエアコンの効きが悪くて暑い。タカシは、冷蔵庫から缶ビールを二つ出して、一つはすぐに空けた。もう一つは、今度こそ飲まずに済むかもしれないと思ったが、やっぱり開けてしまった。
DVDをセットするまで、三十分かかった。指が震えて、何度も落とした。画面が暗くなり、最初に映ったのは、見慣れたコンクリートの壁だった。どこかの倉庫のようだった。薄暗くて、窓から斜めに日が差している。
カメラを持っているのは、やはりテンチだった。手元が少し揺れている。倉庫の中は、段ボール箱が山積みになっていて、埃っぽい匂いがしそうだった。床はコンクリートのままで、足音が響きそうだった。
ユキが立っていた。今日は、シンプルな白いブラウスと、黒いスカート姿だった。髪は、いつもより少し艶やかに見える。化粧は薄めで、普段の家庭のユキそのままだった。
「こんなところで...」ユキが小声で呟いた。テンチは、何も言わない。ただ、カメラをゆっくりと近づけていく。
ユキは、ため息をついた。それから、ゆっくりと膝をついた。コンクリートの床は、冷たかったはずだ。でも、ユキは、もう慣れた様子で、テンチの前に正座した。
「今日は、どうするの?」ユキが聞いた。声は、小さくて、でも、どこか媚びている。テンチは、まだ黙っている。ただ、ジーパンのチャックを下ろす音だけが響いた。
ユキは、顔を上げた。目が合う。それから、ゆっくりと手を伸ばした。最初は、ただ触るだけだった。指先で、そっと触れる。テンチが、小さく息を吐く。
「もう、慣れた?」テンチが囁いた。ユキは、小さく頷いた。それから、舌を出して、先っぽをそっと舐めた。最初の頃は、嫌そうな顔をしていたのに、今は違った。
舌の動きは、確かに慣れてきていた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。ユキは、時々、顔を上げて、テンチの表情を確かめる。それから、また口に含む。
「上手くなったね」テンチが言った。ユキは、顔を赤くした。でも、それが嬉しかったのか、舌の動きが、より積極的になった。時々、唇を使って、優しく包み込むように。
倉庫は静かだった。時々、外を通る車の音が聞こえる。ユキは、それでも音を立てないように必死だった。でも、時々、小さく「むぐっ」という音が漏れる。
テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、それに応えるように、より深く含んだ。舌の動きが、少しずつ大胆になってきた。最初はただ動かしていただけだったのが、次第に、テンチの反応を確かめるようになってきた。
「もう、いいかな」テンチが囁いた。ユキは、顔を上げた。口元が、少し濡れている。それから、ゆっくりと立ち上がった。
テンチは、床に座った。ユキは、スカートを少しずつ上げていく。白い下着が見える。それから、ゆっくりとテンチの上に跨った。
「ここは、声出しちゃだめよ」ユキが小声で言った。テンチは、小さく頷いた。ユキは、ゆっくりと腰を下ろしていく。最初は、ためらいがあった。でも、次第に、ユキの表情に変化が現れ始めた。
「あ...」小さく漏れる声。ユキは、自分で腰を動かし始めた。最初はゆっくりと、それから少しずつ速く。テンチの手が、ユキの腰に置かれた。ユキは、それに応えるように、より激しく動き始めた。
倉庫の中は、二人の息遣いだけが響いている。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく喘ぐ。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞くと、ユキは小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。ブラウスのボタンが、一つずつ外れていく。白い肌が覗く。
テンチの息が荒くなった。ユキも、小さく喘ぎ始めた。でも、必死で声を押し殺している。倉庫の外では、鳩が鳴いている。ユキは、テンチの肩に手を置いた。それでも、腰の動きは止まらない。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」という意味ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。ユキは、より激しく腰を動かし始めた。
床が軋んだ。ユキの体が、弓なりに反った。それから、小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、テンチの胸に顔を埋めたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
画面が切り替わった。今度は、自宅の寝室だった。ユキが、鏡台の前で化粧を直している。白いブラウスは、もう着替えて、普段のカジュアルな格好に戻っている。
「今日は、午後から幼稚園のお迎えがあるから」ユキが、鏡に向かって話している。カメラは、やはりテンチが持っているらしい。「だから、昼からは来ないで」
ユキは、ファンデーションをのせながら、小さくため息をついた。それから、口紅を塗る。鏡の中の自分を、じっと見つめた。
「あなた、本当に執着深いよね」ユキが呟いた。声は、小さくて、でも、どこか諦めている。「もう、私...」
言いかけて、ユキは首を振った。それから、カメラに向かって、小さく微笑んだ。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、二つとも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。倉庫の冷たい床、ユキの慣れた手つき、最後のあの小さな告白。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 8 章
第8話 八枚目のDVD
赴任して9ヶ月と2週間。タカシは、もう朝になるとまず郵便受けを確認する癖がついていた。今朝も、錆びたメールボックスの中に、小さな茶封筒が静かに横たわっていた。
指先が震えた。もう慣れたはずなのに、毎回、心臓が縮むような痛みを覚える。封筒の上には、相変わらず何も書かれていない。ただ、触るとわかる。中にDVDが入っている。
部屋に戻るまで、三度足を止めた。廊下で隣の奥さんとすれ違った時も、挨拶の声が震えた。ドアを開けて、すぐにカーテンを閉めた。明るい朝日が、部屋の中に侵入してくるのが怖かった。
ビールは、冷蔵庫に三本残っていた。タカシは、一番奥のを取り出して、蓋を開けた。喉が渇いているのに、一口目が喉に詰まった。二口目で、ようやく流し込めた。
DVDプレイヤーの前に座るまで、五分かかった。リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。「見るべきか、見ないべきか」。この問いは、もう何度目だろう。でも、答えはいつも同じだった。
スイッチを入れた。テレビの画面が青く光る。それから、黒に変わった。最初に映ったのは、見慣れた天井だった。自宅の寝室だ。蛍光灯が、少し明るすぎる。
カメラは、ベッドの横に置かれていた。角度は低く、布団の端がちょうど画面の下に見える。壁時計が、チクタクと音を立てている。午前10時15分。タカシがいない時間帯だ。
ドアが開く音がした。ユキだった。今日は、薄いピンクのパジャマを着ていた。髪は、少し寝ぐせがついている。足音が近づいてくる。カーペットの上を、裸足で歩く音がする。
ユキは、ベッドの端に腰を下ろした。しばらく、何もしない。ただ、窓の外を見ている。鳩が、鳴いている。それから、小さくため息をついた。パジャマのボタンを、一つずつ外し始めた。
タカシの手が、リモコンを握りしめたまま震えた。ユキは、もう慣れた手つきで服を脱いでいく。ブラウスの下は、白いキャミソール。スカートの下は、同じ白のショーツ。すべて、タカシが知っているものだった。
背後から、影が近づいてきた。テンチだった。今日は、黒のTシャツとジーパン姿。足音を立てないように、ゆっくりと近づいてくる。ユキは、振り返らない。ただ、肩をすくめた。
「今日は、ここで?」ユキの声は、小さくて震えていた。テンチは、答えない。ただ、ユキの肩に手を置いた。その手が、ゆっくりと滑り落ちていく。キャミソールの裾を、少しずつ上げていく。
ユキは、抵抗しなかった。ただ、目を閉じた。テンチの手が、ブラのホックにかかった。カチリ、という音がした。それから、キャミソールが、ゆっくりと脱がされていく。
白い肌が、朝日に照らされた。ユキは、自分でショーツを下ろした。それから、四つん這いになった。ベッドの上で、手と膝をついた姿勢。背中のラインが、美しく波打っている。
テンチは、ジーパンのチャックを下ろした。音が、静かな部屋に響いた。ユキは、振り返らない。ただ、腰を少し上げた。期待しているのか、それとも受け入れているのか、表情は見えない。
最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの体が、小さく震えた。テンチが、少しずつ近づいてくる。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく息が漏れる。
「あっ...」最初の声だった。ユキは、自分の腕を噛んだ。でも、それでも声が漏れる。テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。ベッドが、軋んだ。
「だめ...声が...」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、部屋に響く。ユキは、もう一度自分の腕を噛んだ。でも、効かない。喘ぎ声が、次第に大きくなっていく。
「アリスちゃん、起きちゃうよ」テンチが囁いた。ユキの体が、ビクッと震えた。それから、必死で口を押さえた。でも、指の間から、小さな声が漏れる。
テンチの動きが、激しくなった。ユキの体が、大きく揺れる。髪が、顔に張りついている。汗が、背中を伝っていく。ユキは、もう我慢できない様子だった。
「もう...いい...」ユキが呟いた。でも、それは「やめて」ではなかった。むしろ、「もっと」という意味だった。テンチも、それを理解していた。動きが、さらに速くなる。
部屋の中は、二人の息遣いだけが響いている。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく喘ぐ。顔が赤く染まっている。目は、どこか遠くを見ている。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。白い肌が、汗で光っている。ベッドのシーツが、だんだん乱れていく。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。それから、体が弓なりに反った。小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、ベッドに伏せたまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
「ユキ、旦那と別れろよ」テンチが言った。静かな声だった。でも、芯のある言葉だった。
ユキは、首を振った。「そんなこと、できない」小さな声だった。でも、確かに聞こえた。
「じゃあ、旦那の単身赴任の間、俺の妻になれよ」テンチが続けた。ユキは、何も答えなかった。ただ、ベッドの上で、小さく震えている。
画面が切り替わった。今度は、ユキが化粧を直している姿。鏡の前で、ファンデーションをのせている。目元が、少し腫れている。口紅を塗る手が、震えていた。
「今日は、午後から幼稚園のお迎えがあるから」ユキが、鏡に向かって話している。カメラは、やはりテンチが持っているらしい。「だから、昼からは来ないで」
ユキは、小さくため息をついた。それから、立ち上がった。白いブラウスを着て、スカートをはいた。すべて、タカシが知っている服だった。
「あなた、本当に執着深いよね」ユキが呟いた。声は、小さくて、でも、どこか諦めている。「もう、私...」
言いかけて、ユキは首を振った。それから、カメラに向かって、小さく微笑んだ。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、すでに三本とも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
――それとも、諦めてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。自宅のベッド、ユキの慣れた姿勢、最後のあの沈黙。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 9 章
第9話 九枚目のDVD
タカシは、朝の光に目を覚ました。カーテンの隙間から差し込む陽射しが、床の上に長い影を作っている。昨夜も、ビールを三本空けて寝たせいで、頭が重かった。
郵便受けを開けると、またあの茶色の封筒が入っていた。指先が、自然と震える。もう慣れたはずなのに、毎回、胃の奥がきゅっと縮む。
部屋に戻るまで、三度足を止めた。エレベーターの中で、他の人とすれ違った時も、挨拶の声が震えた。ドアを開けて、すぐにカーテンを閉めた。
DVDプレイヤーの前に座るまで、五分かかった。リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。でも、結局は見る。いつもそうだ。
画面が青く光って、すぐに黒くなった。最初に映ったのは、見慣れた倉庫の天井だった。蛍光灯が、少し明るすぎる。壁には、錆びた棚が並んでいる。
カメラは、倉庫の奥の棚の上に置かれていた。角度は高く、床全体が見える。コンクリートの床が、埃で少し白くなっている。
ドアが開く音がした。ユキだった。今日は、薄いピンクのワンピースを着ていた。髪は、いつもより少しきれいにまとめてある。足音が近づいてくる。ハイヒールの音が、コンクリートの上で響いている。
ユキは、倉庫の中央で立ち止まった。しばらく、何もしない。ただ、辺りを見回している。時計を見ると、午前9時ちょうどだった。
「今日も...来ちゃった」ユキが小さく呟いた。声は、震えていた。テンチは、まだ来ていないらしい。ユキは、壁にもたれかかった。白い壁に、少し背中が埃をつける。
足音がした。テンチだった。今日は、黒のTシャツとジーパン姿。足音を立てないように、ゆっくりと近づいてくる。ユキは、振り返った。少し驚いたような顔をした。
「待たせた?」テンチが聞いた。ユキは、小さく首を振った。でも、体は少し硬くなっている。
「今日は、どうする?」ユキの声は、小さくて震えていた。テンチは、答えない。ただ、ユキの肩に手を置いた。その手が、ゆっくりと滑り落ちていく。ワンピースの裾を、少しずつ上げていく。
ユキは、抵抗しなかった。ただ、目を閉じた。テンチの手が、スカートのホックにかかった。カチリ、という音がした。それから、スカートが、ゆっくりと落ちていく。
白い下着が、明るい倉庫の中で浮かび上がった。ユキは、自分で下着を下ろした。それから、膝をついた。コンクリートの冷たさが、伝わってくる。
テンチは、ジーパンのチャックを下ろした。音が、静かな倉庫に響いた。ユキは、顔を上げた。最初は、少し躊躇していた。でも、すぐに、慣れた手つきで近づいていった。
最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの唇が、少し震えた。でも、すぐに、リズムを掴んだ。テンチの手が、ユキの髪を撫でる。ユキは、必死で声を押し殺している。でも、時々、小さく息が漏れる。
「上手になったな」テンチが囁いた。ユキは、答えない。ただ、もっと激しく動き始めた。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの床が、少しずつ温かくなっていく。
「そろそろ...いいか?」テンチが聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、立ち上がった。白い下着が、少しずり落ちている。
テンチは、ユキの腰に手を置いた。ユキは、壁にもたれかかった。コンクリートの冷たさが、背中に伝わる。最初の接触は、ゆっくりとした。ユキの体が、小さく震えた。
「痛く...しないで」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、倉庫に響く。ユキは、必死で口を押さえた。でも、指の間から、小さな声が漏れる。
テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの壁が、少しずつ温かくなっていく。
「あっ...」最初の声だった。ユキは、自分の腕を噛んだ。でも、それでも声が漏れる。テンチの動きが、さらに速くなる。ユキの体が、大きく揺れる。
「だめ...声が...」ユキが呟いた。テンチは、笑った。その笑い声が、倉庫に響く。ユキは、もう一度自分の腕を噛んだ。でも、効かない。喘ぎ声が、次第に大きくなっていく。
「気持ちいい?」テンチが小声で聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、より激しく腰を振り始めた。白い肌が、汗で光っている。コンクリートの床が、だんだん乱れていく。
「もう、だめ...」ユキが呟いた。それから、体が弓なりに反った。小さく震え始めた。テンチも、同時に果てた。二人は、しばらくそのままでいた。
ユキは、床に座り込んだまま、小さく震えている。時々、涙が頬を伝っていくのが見える。テンチが、ユキの髪を撫でる。
「今夜も、来る?」テンチが聞いた。ユキは、小さく頷いた。それから、立ち上がった。白いワンピースを、少しずつ上げていく。
「でも、今日は...少し気持ちよかった」小さな声だった。それから、立ち上がって、カメラに向かって手を振った。
画面が暗くなった。タカシは、リモコンを握りしめたまま、動けなかった。缶ビールは、すでに三本とも空になっていた。
――ユキは、もう慣れてしまったのか。
――それとも、諦めてしまったのか。
タカシの頭の中で、あの映像が何度もリピートされた。倉庫の床、ユキの慣れた姿勢、最後のあの約束。全てが、現実だった。
明日、ユキに電話するだろうか。でも、何を話せばいいのか、もう分からなかった。
第 10 章
第10話 十枚目のDVD
タカシが部屋に戻ると、また茶色の封筒が置いてあった。今回はいつもより厚みがある。手に取ると、中に入っているのはDVDだけでなく、小さなメモ紙も入っていた。
「最後の贈り物」
そんな文字が、乱暴な字で書かれていた。
タカシはソファに座り、リモコンを握りしめた。テレビのスイッチを入れてから、DVDをセットするまでに、五分かかった。指が震えていた。
画面が青く光ってから、すぐに映像が始まった。最初に映ったのは、見慣れた自宅の寝室だった。夫婦のベッドが、画面の中央に映っている。カーテンは閉まっていて、でも朝の光が少し差し込んでいる。
画面の右下に、日付が表示されている。1ヶ月前の日付だった。
<1日目>
ドアが開く音がした。ユキが入ってきた。白いワンピースを着ていて、髪はいつも通りだった。後ろから、男が続いて入ってくる。テンチだった。ユキは、少し緊張していたように見える。
テンチが、ユキの肩に手を置いた。ユキは、最初は体を固くしていた。でも、テンチが耳元で何か言うと、少しずつ体が緩んでいく。ワンピースのボタンが、一つずつ外されていく。
白いブラジャーが見えた。ユキは、自分でワンピースを脱いだ。それから、ベッドに腰かけた。テンチが近づいていく。ユキは、目を閉じた。
最初のキスは、ゆっくりとしたものだった。ユキは、最初は応えなかった。でも、次第に、少しずつ唇を開き始めた。テンチの手が、ユキの背中を撫でる。ブラのホックが外される音がした。
白い肌が、朝の光に照らされている。ユキは、ベッドに横になった。テンチが、上に乗ってくる。ユキは、まだ硬い表情をしていた。でも、テンチが優しく触れると、少しずつ体が反応し始めた。
最初の結合は、ゆっくりとしたものだった。ユキは、唇を噛んでいた。でも、時々、小さく息が漏れる。テンチの動きが、少しずつ速くなる。ユキの体が、前後に揺れる。でも、表情はまだ硬いままだった。
終わった後、ユキはすぐに服を着た。テンチが何か言うと、小さく頷いて、部屋を出ていった。
<2日目>
翌日の映像だった。同じ時間、同じ場所。ユキは、今日は青いブラウスを着ていた。テンチが入ってくる。ユキは、昨日より少し落ち着いているように見える。
今日は、ユキが最初からテンチに近づいていく。キスも、昨日より自然だった。服を脱ぐ動作も、少しずつ慣れてきたようだ。
ベッドでの行為も、昨日よりも長くなった。ユキの表情も、少しずつ緩んでいく。時々、小さく声が漏れる。テンチが何か言うと、ユキは小さく笑った。
<3日目>
三日目のユキは、もう完全に慣れていた。テンチがドアを開けると、笑顔で迎えた。今日は、ピンクのワンピースだった。
キスも、もう積極的だった。ユキが、テンチの服を脱がし始める。ベッドでの行為も、もう完全に馴れていた。声も、もう抑えていなかった。
終わった後も、二人はしばらくベッドに横になっていた。ユキが、テンチの胸に頬をつけている。
<4日目>
四日目から、場所が少し変わった。寝室のソファーだった。ユキが、テンチを待っていた。黒のキャミソールを着ていて、少しセクシーだった。
テンチが来ると、ユキは立ち上がって抱きついた。キスも、もう激しいものだった。ソファーでの行為は、ベッドとは違った角度で、ユキも楽しんでいるように見える。
<5日目>
五日目は、午後の時間だった。カーテンは開いていて、外の光が差し込んでいる。ユキは、白のレースの下着を着ていた。
今日は、ユキが主導だった。テンチの上に乗って、自分から腰を振っている。表情も、もう完全に楽しんでいる。声も、もう抑えていない。
<6日目>
六日目は、夜だった。寝室の電気は消されていて、月明かりだけが差し込んでいる。ユキは、薄いネグリジェを着ていた。
暗闇の中での行為は、また違った雰囲気だった。ユキの声も、夜の静けさに響いている。テンチの動きも、優しいものだった。
<7日目>
七日目は、朝の早い時間だった。ユキは、まだパジャマを着ていた。テンチが来ると、ベッドの中に入ってきた。
朝の行為は、まだ眠いユキを起こすような優しいものだった。でも、次第に激しくなっていく。ユキも、もう完全に目覚めていた。
<8日目>
八日目は、ユキが新しい下着を着ていた。赤いランジェリーだった。テンチが来ると、ちょっと恥ずかしそうにしていた。
でも、テンチが褒めると、嬉しそうに笑った。今日は、いつもより長く、いろんな体位を試していた。
<9日目>
九日目は、ユキが自分から提案したようだった。キッチンから始まって、寝室まで続く。途中、いろんな場所で立ち止まっている。
ユキの表情も、もう完全に変わっていた。最初の緊張はどこにもなく、楽しんでいる様子だった。
<10日目>
最後の日だった。ユキは、白いシルクのナイトウェアを着ていた。テンチが来ると、二人はすぐに抱き合った。
今日は、いつもよりも長く、優しく、深く。ユキが、テンチの耳元で何か囁いた。
「あなた...」
その言葉が、はっきりと聞こえた。
行為の後も、二人は長く抱き合っていた。ユキが、テンチの胸に頬をつけて、小さく何か話している。でも、声は聞こえない。
最後に、ユキがカメラに向かって微笑んだ。それから、映像は終わった。
タカシは、リモコンを握りしめたまま、しばらく動けなかった。10日間の変化が、はっきりと見えた。
最初の硬い表情から、最後は完全に別人のようになっていたユキ。そして、最後の「あなた」という言葉。
タカシは、何度もDVDを再生した。でも、変わらない。現実だった。
明日、帰国の予定だった。この先、どうすればいいのか、もう分からなかった。
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