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時刻的に8時前だ。
カフェのある◯◯公園前バス停からバスで片道3~40分。
最寄りのバス停から佐賀野の自宅前までは、徒歩で15分。
普段の佐賀野は、反対車線側のバス停から高校前までバスで通っている。
自転車でも通えなくないが、面倒と言う理由からバス通学をしているのだと、高校生と明かされた後に教えられた。
この辺りは、昔から閑静な住宅街で、住んでいる住人の大半が他所から来た人で富裕層向けの分譲地と借地らしい。
学校も近いし市街地周辺やオフィス街にと、利便性が良い場所なのだと書店の常連客達や祖父から聞いた事がある。
そんな一角に大きなシャッターの付いたガレージに目を引かれる。
ガレージとは別にスロープと緩やかな階段が付けられた洒落た門扉に大きな平屋の建物が近付いてくる。
それが、佐賀野の自宅である。
「佐賀野くん。家の前に着いたよ」
「…………」
相変わらず佐賀野は、スマホを眺めていた。
「ガレージに入れて良いよ。この辺り変に路駐するとうるさいから…」
「ガレージに? 降りるだけなのに?」
「シャッター開けるから。入れて良いよ…父親、出張で1週間帰ってこないから…」
「いや…でも…」
ギロリと言う視線を、佐賀野に向けられる度に戸惑っている上星に佐賀野はまたスマホを、眺めたり車の外を眺めていた。
車内の沈黙した空気が、2人を押し黙らせる。
佐賀野は、スクールバッグからシャッターを開閉させるボタンを取り出し上星の返答を待つことなく開けた。
「どうぞ…」
こんな風に2人会話は、この所こんな感じで…
電話でもメッセージを通しても、続かず上星は、直ぐに怯えた空気を出してしまう事に佐賀野は、気に食わなかった。
待ち合わせた時の高揚感は、次第に薄まり段々と言葉が、素っ気なくなり優しくしようとすれば、空回りな態度が、仕草に変わって横暴になり始める。
上星が、少し車を前に出しギアを入れ替えバックさせならガレージに入れる。
「本当に着いたよ」と、声を掛けるも返答がない事に気まずさを感じながら「あの…」と、声を掛けようと顔を上げると、佐賀野の顔が、間近と言うよりも側まで迫ってきていた。
上星は、咄嗟に何かを言おうとしたが、あっという間に頭を抱え込まれながら唇が塞がれそうになるのを、慌てて佐賀野の身体を、はね避ける。
「…お願いだから。拒絶しないでよ…」
寂しそうな表情に何も言えなくなっていると、佐賀野にそのまま抱き締められた。
いつもの体温にいつもと変わらない香り。
まるで甘えたがるみたいに自分の首筋に縋り付く佐賀野を、強く拒絶できる程に上星はどうしても、強く出られななかった。
つい…
そうつい。
抱き締め返して、甘えさせてあげたくなってしまう。
自分達は、ダメな人間の典型例で目が合えば、それはお互いに触れて良いとでも言うのか、随分と身勝手で分かり切った解釈として捉えてしまうことになる。
「俺、上星さん不足でおかしくなりそうだからさぁ…」
身動きが制限される車の中で、せまられると身を捩った所で相手の思うツボ。
何度も、唇を重ね合うとボーッとする思考が、まるで楽になれと言ってくるように上星はギュッと目を瞑った。
「少し抱かせてよ…」
唇が離れた瞬間、上星は佐賀野に呟いた。
「…こう言う事…やめない?」
「えっ…やめないけど?」
佐賀野は、ゴソゴソとスクールバッグをあさりだす。
慣れた手付きで、何かを取り出した。
いわゆるそう言う行為に使うためのものだ。
「ちょっと…何で持ってるの!」
上星は、少し語気を強めるが、一方の佐賀野は、ニヤっと笑うばかりだ。
そして悪怯れる事もなく。
「普通に持ってるよ」
「ふ…普通にって…」
「言ったじゃん上星さん不足だって…」
佐賀野は、ニヤリと怪しくまた笑った。
薄暗い車内の中で、カーステの淡い光に浮かび上がる佐賀野の表情は、誰が見ても目を奪われるだろう。
「あの…」
言い掛けて半開いた唇に引き寄せられるようにオレの言葉は、遮られた。
ヒヤリとするような…
それでも温かい体温は、気持ちを鷲掴みにされる程だ。
こうなる度に信念って無いのか? って自己分析にかけるけど…
甘噛されたり。キスされたり。舐められたり。
首筋に吸い付かれそうになるを、必死に妨害しても、力の入り切らない手では佐賀野くんを拒めなくて、強く吸い付かれてしまう。
絶対に、濃くて赤い痕が付いている。
「良いじゃん。シャツの襟とかで隠せば…」
「隠せそうにない…場所だけど…」
またニッて笑う。
ドクンっ響く鼓動が、佐賀野の耳に届くんじゃないか? って思うと恥ずかしさに身を捩ってしまう。
捲れ上げられたシャツを、引き剥がすみたいな指の這わせ方が、リアルで、スルッとした感触に小さな叫び声に似た声を、上げてしまう。
恥ずかさを感じながら。
前を向けずにいると、慣れた手つきで佐賀野のくんは、オレのズボンを脱がせようとする。
「えっ…ちょっ、…とャ…」
抵抗しかたからベルトから手を離したかと安堵したのも束の間で緩められたその隙間に手を滑らせるように触れられる。
「嫌って言う割には、グチョグチョだし…カタクなってるし」
「っ…触るな!…」
そう騒いで抵抗する口は、見事に塞がれ漏れる息が熱すぎるのか、逆らえない自分が正直バカ過ぎて泣きそうになっていると、佐賀野くんの指が、ゆっくりと奥にねじ込まれている。
頭の何かが、ぶっ飛びそうに程に圧迫され歪んだ快楽に擦り寄ろうとするのは、意思が無さ過ぎるし身体の反応とは、別に冷静で居ようとする自分は、誰が見ても滑稽だ。
こうやって年下に、弄ばれて…
よがって…
自分からカレの首に、必死になってしがみついて…
ホント。
バカみたいだ。
それでも、絡む合う指先と舌に満たされたいと強く願っている。
「…んっ…」
身体に充満する熱さに汗が混じり合い意識すらも、オレを裏切ろうとする。
カレの頬をつたう汗を、拭うように軽く触れる。
いつものニヤって表情じゃなくて、優しく笑ってくれる事が嬉しいと動揺する自分が居ることに、初めて気が付く。
ダメだとか、イヤだとか、口先だけなんだって情けなくなる。
泣けそうで、泣けない気持ちを悟られたくなくて顔を背けると、中を押し上げるようにカレは、オレの奥を突き上げる。
これが、満たされてるって事。
結局。
綺麗事を丁寧に並べても、オレは佐賀野くんを、嫌いになれる自信がない。
大好きだし。
あい…してるんだと思う。
繋がれる。
違う。
深く満たされたい。
不確定な中でも、単純で結局の所は何も考えてない。
だって、この時だけでも佐賀野くんに愛されてるって、純粋に思いたいから。
脚が立たないぐらいに攻められて、お腹を押されたり。
グズグズにされても、構わないって…
佐賀野くんを、抱き寄せてしまっているから。
カレは、どう思って居るんだろう?
人同士が付き合うって、こんなに単純でいいのかな?
好きなら。
なんでも、構わないのかな?
「…んっ…あっ…」
息が、続かない。
「苦しい?」
オレは、首をふる。
「じゃ…もうチョイ付き合って…俺、まだイってないから…」
首筋と背中が、ゾクッなり身体を揺すられながら腰を、がっしりと掴でカレは、全てを強くオレに捩じ込ませてくるから身震いする程に嗚咽のような喘ぎが、口からこぼれ落ちてくる。
「…っ…ぁあぁ…んっ」
互いに、肩を使って荒々しくて、少しぎこちなくて切ない。
オレは、佐賀野くんには逆らえないんだ…
今までも、これからも…
こんな軽はずみした行動は、変わらなしい。
変化なんってものは、望んでない。
それでも、冷静になればなる程に寂しくなって、虚しくもなる…
いっその事。
割り切った関係にする?
それとも、何も知らなかったで押し通す?
そもそも、押し通せるの?
せっかくカレを、自分の中で感じれたのに…
結局。こうやって堂々巡りだ。
オレに運がないわけじゃない。
上手くやろうと思えば、やれるし隠し通すことも簡単かも、知れない。
そうさせたくないのは、やっぱりカレが、佐賀野 千弦だから…
虚しくなる程に悲しくて、愛おしいって幻でも、掴むみたいにカレにまた手を伸ばす。
カレは、息を整えながら額の汗を、上着のパーカーの袖で拭った。
「…っうか、こんな所でヤるもんじゃねぇーな。何か…カーセックスって響きは良いけど、シート汚れそうだし…狭いし…」
人のこと押さえ付けて、強引にキスしてきて、覆い被さって…
「何を…今更…」
佐賀野くんのたった一言で冷静になれた。
「それは、そうだけど…」と、ぶっきらぼうに言葉を続ける。
「…か…帰るから。退いてよ…」
シラッて、なりながら佐賀野くんは、気分を持ち直した風にフニャっ笑う。
「何?」
「…いや…そのグチョグチョの下着の上にズボン履ける? 気持ち悪くねぇのって…」
くすぐるみたいに指先で、首筋を撫で上げる。
「…んっ…」
耳を舐められ甘噛され身を、捩らせてしまう。
「それに…腰が立たない状態で運転できる?」
「そ…それは、落ち着いてから…」
「寒くない?」
エンジンを切った車内は、段々と冷えていく。
軽く肩を竦めるオレは、着ていたシャツの裾を直してダウンを着直した。
「上がっていきなって…」
そう言うと俺は、助手席側から車を降り電動で半開きだったガレージのシャッターを閉めた。
「あっ…ちょと…」
運転席のドアを開けて出ようする上星さんが、一瞬よろけそうになるから俺は、それを抱き上げた。
俗に言う。
お姫様抱っこ…ってやつ…
「…ってか、ノーパンで人んちのガレージで何すんの?」
「抜がせたのは、佐賀野くんでしょ!」
スッポリと腕に収まる上星さんは、恥ずかしいのか身を捩らせて耳まで真っ赤になっているみたいだし俺が、ノーパンって言ったからシャツの裾を引っ張って、余計にモジモジさせているらしい。
「…こ…こっち見ないでよ…」
本人にとっては、羞恥プレーかもだけど…
俺からすと、上星さんの姿はドコからどう見ても、どんな風でも全てが愛おしい。
「いつもみたいに泊まっててよ。またに伯母さんの娘が、母さんの様子見に来てるけど、駐車場に車が停まって無かったから…今日は、住み込みお手伝いさんだけらしいし…」
「住み込みお手伝いさんは、知ってたけど、伯母さんの娘さんは、初耳…」
「言ってないもん」
「もんって…」
だって、いくら好きな人でも、微妙に本心が分からない人に全部は言わなくも、まだいいかなぁ…って…
「それに…俺、さすがに一回じゃまだ収まらないよ…」
身体を硬直させて、全身真っ赤になる上星さんを抱っこしたままガレージの内階段から庭に抜け自室の離れに移動する。
「サム…」
搔いた汗が一気に引っ込み身体が、急激に冷え始める。
「…やっぱり。帰る!」
「しぃ~っ。声…デカいよ。少し静かにしてもらっていい? この時間帯だと母さんも、お手伝いさんも、寝てるかもだから…」
睨んだつもりはないけど、上星さんは、身体をまた萎縮させる
ボタン式のドアロックを解除して離の自室へと入る。
広さ的に言えば、少し広々としたワンルームだ。
窓辺向きに置かれたベッドにボスンッと、上星さんを放り投げると「投げるな!」と、声を荒げムッとしたように起き上がり掛けるから俺は、素早く上星さんの上に体重を乗せその肩をベッドに押し付けた。
「…退いて欲しい…」
「俺さぁ…上星さん好きだけど…そう言う顔の上星さんは、あんまり好きじゃない…」
佐賀野くんの真顔って言うのか、別に悪気の無い表情が、少し寂しそうで…
こう言う顔をされると、オレ的に弱いって言うか…
『あの…』とか、『ちょっと待って…』何って戸惑っている内に佐賀野くんのペースに巻き込まれてしまう。
何度も手を押し避けながら逃げ出そうとしたけど、阻まれるって言うか…
腕や肩、腰とか掴まれて逃げの体制なんって、相手の思うツボだったみたいだから。
何度も連れ戻される感じで、終わらせてくれない。
感情とか感覚は、とっくにグチャグチャで麻痺してるから。
攻め入られる度に身体が、熱く反応する。
散歩と読書が、同じぐらいに趣味なオレでも、現役の高校生とは体力的に合うわけ無い。
「…まぁ…待って……」
息をするのに追いつかないから佐賀野くんの肩を強く押すけど、車の中の時と同様に払い避けられて逆に手首を、つかまれてしまう。
「上星さんって…奥がキュッってなるぐらいに…攻められるの好きだよね」
「…違っ…」
「違わないから」
ニヤニヤ嬉しそうに笑って、オレを下に見てるって、言うかさぁ…
あぁ…
自分のモノだって事に対して、気分が高揚してるのかも…
別れたいって、言いに来て…
こう言う事するってことは、オレなりにケジメみたいに接して居ても、寄り添ってくれる佐賀野くんにオレも、依存している。
そう思った方が、楽なんだ。
ニヤつく表情も、仕草も手の力強さとか嫌いになれない。
本当、大人のくせに…
擽られるとザワザワしてしまうオレが、焦らされているって分かっていて、他の誰かに欲しがられる事が、嬉しくて仕方がない。
強欲って言うのかな?
こんなオレなんかに寄り添ってくれて…
「あれ? 上星さん…喜んでる」
カッと、赤くなりそうな顔を思わず右手で隠すなんって、認めてるようなもんだ…
お腹を掻き混ぜられるように動かれて、散々喘がされるだけ声が掠れる。
仕事場で『喉の調子が悪くて』なんって言う度に変に勘ぐられるんじゃないか?
言わなきゃバレることはないし。
車の中で、首にキスマを付けられたけど、普段の佐賀野くんは、首筋にキスしたり舐めたりする割に見えそうな所には、付けたりしない。
付ける時は『ワザと…』で必ず後で、ニッて笑ってくれる。
そんな風に笑われると、何だかんだ許してしまう。
『またね…』って、別れてから。また別れられなかったと自分に嫌悪する。
佐賀野くんからの会いたいは、いつも別れを意識しているはずなのに…
浮かれてしまう自分も、居るから佐賀野くんだけが、悪いわけじゃない。
「あっんっ…ヤッ…」
グチュって、音と感覚に佐賀野のくんのくれる熱い体温に包まれる。
擦り寄るみたいにグリグリって、オレを抱き締めてくる。
やっぱり甘えられてる?
「…佐賀野くん?」
「俺…上星さんの体温。スゲー好き…」
ドクンッて、心臓が振るえる。
苦しい。
痛い。
佐賀野くんの優しい声は、オレだけに向けられている。
特別に見てくれている。
特別だと言ってくれている。
そして、また思うんだ。
それなバレなきゃいい。
でも、バラたら2人にとって得な事は起こらない。
仮にオレが失うものは、信用とか世間体…制裁だけど、佐賀野くんは、下手したら今の高校を退学処分にだってなり得る。
直接本人から具体的に聞いた事はないけど、進学とか考えているなら。こう言うのは、本当にマズい。
誰も、得をしない。
「ねぇ…上星さん。もう一回付き合って…」
「えっ…ちょっ!」
もうオレの意思とか、関係ない。
そんな遣り取りを、数回繰り返すことになるとか…
高校生の体力を、侮った気分だった。
『でっ…どうするこの後…』
そんな風に上星は、ぼんやりと考えている内に眠り込んでしまったのか、いつの間にか朝になっており。
案の定と言うか、上星は佐賀野の隣で目を覚ました。
佐賀野の眠ってる顔は、高校生と言うよりも、まだ幼くて見え思わず髪を、撫でてしまっていた。
ニャムとした表情を見せながら佐賀野のは、欠伸をしつつ目を覚ましたらしくは、上星は慌てて後ろに向き直して眠っている振りをして見せた。
別に寝た振りなんってしなくても、今更なのにと思いながらも自分は、何やっているんだ?
と自問自答する。
ムクッと、起き上がった風な佐賀野の気配を感じつつ伸びでもするように動いているだけだと、安心した頃に上星の首筋に軽くキスをしてきた。
「……………」冷静にと心掛ける。
ギシッとしたベッドの軋む音が無くなり佐賀野は、スタスタとドコかへと向かったらしくホッとしたのは言うまでもない。
無論。本心は、飛び起きそうなぐらいに動揺したけれど、敢えて寝た振りを続けた上星は、1人になれたことに安心したようにベッドで仰向けになり大きく伸びをした。
ボーッとする頭だが、冷静に考えられない訳じゃない。
バカみたいに流されて、絆されて割り切った関係と本人達で納得しても、バレたら自滅は免れない。
年の差。
未成年。
社会人。
同性。
あげだしたら切りが無いと、投げやりに上星は、毛布を被った。
程なくしてシャワーの水滴音と洗濯機の動作音が、交ざって聞こえることに気付きながら薄目を開ける。
遮光カーテンだけが、開けられた窓からの日差しで、今が昼間に近い事は想像できた。
朝帰りなんって時間は、とっくに過ぎていて今日は、夕方以降の遅番だし仕事には、差支えないと思いつつ佐賀野が昼過ぎまで自分と寝ていた事にハッとし上星は、床に脱ぎ捨てられた状態のままの自分のダウンジャケットからスマホを取り出した。
時間は、昼過ぎで今日は土曜日。普通に休み。
「良かった…」と、安堵した。
自分の出勤日で夕方からの場合は、月末と土曜日だけだ。
佐賀野の事だ上星の仕事時間は把握していそうだと言う気になった。
おそらく曜日で分かって、部屋に連れ込んだののは間違いない。
不意にシャワールームと脱衣スペースからの扉が、開いて頭の水滴を拭き取りながら下着姿の佐賀野が、スマホで誰かと遣り取りしたふうに現れたものだから目が合った。
「あっ…上星さん起きてたんだ。おはよう」
佐賀野の嬉しそうな声に表情。
昨日、散々…
上に下にと見せつけられたあのニヤリ顔じゃない。
佐賀野の場合は、どっちも本音で接してくるから少し扱いが難しいと上星は、肩を竦めながらワザとらしく視線をズラしたからか、佐賀野はズカズカと、ベッドの方に進んできては…
「相手は、友達…伍藤って言う男ヤツで…腐れ縁的な?」
「…………」そんな事、聞いてない的な態度を取る上星に焦りながり佐賀野は、こう続ける。
「あっ…でも、腐れ縁って言っても、伍藤とはそう言うんじゃねぇーし…えっと…」
佐賀野自身、上星に対して女でも男でも付き合えると宣言している状態で、仮に何とも思っていないクラスメイトや友達からでも、やや信用に欠けると、メッセージ相手の伍藤から既に突っ込まれているのは、仕方がない。
親友からしてみれば、自業自得だと言われても仕方がない。
「だから…その…」
「…何も、聞いてないよ」
とは、言われたものの誤解なんってしてないと、言われているような気にもなるし何を言っても、無駄と言う気にもなる。
「……ねぇ…シャワー浴びてもいい?」
「あっ…はい。バスタオルは、あるの使っていいから…」
声質は、割に普通に話せたが、もう少しこう…
自然に言えないものかと、佐賀野は、少し落ち込んだ。
神星からすれば、自分に視線を向けられてないと寂しいや、少しだけでも不快感を見せただけでも敏感に負を感じ取り。まるでいじけるみたいにシュンとする。
愛されたいのだろうか?
確か母屋の1階で生活をしているお母さんは、あまり丈夫でないとか、昔から病気がちだと聞かされている。
入退院を繰り返しているから子供の頃から甘えたくても、甘えられない。
そんな状況が、思い浮かんだ。
勿論、それは上星の想像だ。
病弱だから愛されてないは、偏見だ。
佐賀野のからは、そんな風には見えないし。
素直で普通な子だが、なんって言うか、ワガママで自分勝手な行動や人の言葉を聞かないのは、そう言う関係の中からか…
それとも、それが性格かと、シャワーの蛇口をひねりながら思わず上星は、唸ってしまった。
シャワールームで熱いシャワーを浴びがら。ふと鏡に映る自分の姿に目がとまる。
首筋に付けられた2つのキスマ。
パーカーでは、上手く隠れそうもないこの痕は、自然とハイネックなら気付かれないかもと、頭をひねりながら頭から被る熱いお湯が、どことなく冷えた身体に染み込んでいき段々と冷静になろうとする思考が、やっと上星の正気を取り戻してくれそうだった
少し長い息を吐き出し後、上星はシャワールームを出て、脱衣スペースの棚にあったバスタオルを、頭からはおった。
結局シたあとは、気分的に満たされていて、モヤモヤしている時と違って案外、良かったりする。
やはり。
これも欲なんだろう。
別れたいって言いながらも、会えたことや話せたこと、強引ではあるけれど、2人の歪んだ気持ちと絡みつく互いの体温が、チグハグと思いのままにちゃぐちゃに溶け切った事に割と満足している事が、毎回、不思議でしょうがない。
脱衣スペースから出ると、ラフな私服に着替え終えた佐賀野が、サンドイッチを頬張っていて、珈琲の香りが漂っていた。
「……………」えっと?
ドコから出てきたのか、そのサンドイッチと、マイボトルから注がれた珈琲に困惑していると…
「あっ…上星さん。あったまった?」と、屈託のない笑顔を向けてくる。
「……………」
シャワー上がりの上星は、大きなバスタオルをスッポリと頭から被りながら少し顔を、しかめて見せた。
「…腰いたいとか?」
「別に…そんなんじゃ…」
「あっ! 服?」
「…いや…確かに服ないけど…」
2人分の服は、洗われているらしく乾燥と表情されていたのを、上星は脱衣スペースで確認している。
「乾燥になってた?」
「…うん…」
「ゴメン。勝手に洗って…」
佐賀野は、苦笑いをする。
「いや…別に」
正直に言えば、昨夜の上着をきた状態のノーパンよりも、シャワー上がりのバスタオル1枚だけも、恥ずかしいとは思っている上星は、下を向いている。
「あっ…でも、上星さんの下着なら1枚あるよ」
予想外の返答に顔を上げる上星に佐賀野は、ニカッと笑ってみせた。
「へっ?」
目を丸くすると言う言葉を体現させた上星は思考を、停止させたようにあんぐりと口を開けている。
唐突を突き付けられた時の表情もまた佐賀野は、好きらしい。
「えっ? 何で…?」
当然な反応を見せる上星に対して、余裕な表情で佐賀野は、自身のクローゼットの引き出しから下着とTシャツを差し出す。
瞬間的にカーッと赤くなって、その手から下着を、奪い去りおずおずと被ったバスタオルの隙間から顔を覗かせてくる、
「…………」
「…これね。この間、ここに来た時に上星さんさぁ…間違えて俺のを入っていったでしょ?」
「そうかもだけど…その…」
「あぁ~っ、大丈夫。上星さんが、履いっていったのは、洗濯済みたし。洗濯機の中から出して履いたんでしょ?」
「え…あっ…あの…」
上星は、慌てていると言うよりも、アワアワしだした。
当然と言えば、当然の反応かも知れないと思う佐賀野だが、普段は、誰が見ても、おとなしくて冷静な感じな上星が、たまに見せるこの感じも、妙に好きなのだ。
「いや…その…何回か履いてるかも…ゴメン…買って返すから…」
そんな…泣きそうになる程か? と思いつつ佐賀野は、笑って返した。
「いや。別に大丈夫だよ」
実際。
洗濯機の服を乾燥させて出した自分のではないモノが、残された時はさすがにビックリした…
あぁ…なるほど…
これは、俺の下着と自分のを間違えて履いていったって事か?
と、一瞬、スマホ片手に…
『もしかして、間違えて履いてった?』
と、上星さんに言ったら俺の前じゃなくて1人でアワアワするって思えたから敢えて言わないでおこうと思っただけだ。
どうしても、反応が見た過ぎてさぁ…
それに…
上星さんのことだから。
買って返すとかって、なんか高そうな下着を買ってきそうだし…
男の下着って女物の比じゃないけど、それなりにピンキリだし。
百均とかコンビニでも、買え安価なものもあるし…
「弁償を…」
「しなくて、いいって!」
「でも…」
何で…涙目になってるの?
何で、床にペタリと座り込んでいるのさ…
「あのさぁ…上星さん?」
「…なにぃ…」
泣くのか? いや泣きはしないか? でも、ヤバいかも?…
話を、逸らした方がいいよな…
「上星さん。サンドイッチ好きでしょ? ハムとレタスのと卵との?」
「好きだけど…」
「…お手伝いさんに頼んで、上星さんの分も、作ってもらったんだ一緒に食べよう」
俺は、自分が食べていた方とは別に、まだラップに包まれたままのトレーを差し出す。
「……………」ズンッ
余計に空気が、重くなった?
「何で、オレが、ここに居ることに言うの!」
念の為に言うが、俺は上星さんが、居るとは言ってない。
おそらくガレージに停めた上星さんの車を見て、誰かが来ていると分かったんだ。
お手伝いさんは、徒歩で散歩がてら来る人と、車で来れる距離の人がいるから父親からガレージを開けるスペアーを預けているらしい人が、交代で昼前からきてるから。
『もしよろしければ、お昼に何か作りましょうか?』
そんな連絡をもらったのは、上星さんがシャワーを浴びている最中だつた。
上星さんは、何が好きだっけ?
『今ですと…◯◯さんの要望で来る途中で買った食パンがありますが…』
母の◯◯は、カリカリに焼いたトーストにマーガリンと柑橘系のマーマレードを、塗って食べるのが好きだから遅めの朝食をお願いするにあたって昔から通っている近所のパン屋の食パンを買って来てもらったんだろう。
トーストと珈琲も良いよな…
でも、どうせなら。
『お連れ様は、何か好き嫌いが?』
好き嫌いがあるとは、聞かないなぁ…
寧ろ食事にしても、コンビニで買うにしろ…
そう言えば、この前。
コンビニに立ち寄った時に明日の朝食にするって、サンドイッチのレタスとハムをサンドしたのと、卵のセットを買ってたってけ…
サンドイッチでは、コレが1番好きかな? って…言っていたのを、思い出したけど…
「あっ…もしかして、からしマヨの方が良かった? あのコンビニは、マヨのみらしいから…」
「そうじゃなくて! オレが居ること!」
迫力と言うか、上星さんは勢いのまま俺の前に立つが、はおっているのがバスタオルのみなので微妙に視線が、そっち方向にむく。
自然な反応だし。
健全な下心だ。
それに気付いたのか、上星さんは脱衣スペースに戻って下着とTシャツを着て恥ずかしいのか、髪がまだ濡れているからか、バスタオルを被って現れた。
ベッド脇のローテーブル前に座ると、その前にサンドイッチを置きマグカップに珈琲を注ぎ入れる。
「食べてよ。うちのお手伝いさんの料理美味いんだよ!」
パクッとサンドイッチにかぶりつく。
レタスはシャキシャキでハムも、普段スーパーやコンビニで買う物よりも、味がしっかしているし食パンも手作りなのか、市販のモノと違ってフワフワだ。
オマケに卵も、黄身の味が濃厚で美味い。
絶対…この食材自体高級な気がする。
「どうしたの?」
「うん。美味しいよ」
気分を落ち着かせようと口に含んだ珈琲も…
豆からして違くない?
風味が豊かで、味が濃い。
これ絶対に高い豆を、プロが焙煎したやつだ…
「…口に合わなかった?」
「そんな事ないよ」
美味しすぎるのと、高級過ぎるので、若干引いてるけど…
「ね。その卵と俺のツナ交換して!」
「うん。いいよ」
佐賀野くんは、良い所のお坊ちゃんて感じなんだね。
あれでも、お父さんは会社員で忙しく出張で飛び回ってるとか、聞いたよな…
でも、お母さんが、病弱でお手伝いさんを2人も、雇える家庭って…
やっぱり。
お金持ち意外考えられないよな?
オレが、車を停めたガレージも4台は余裕そうだし。
ボタン1つで開閉できるし。
庭は、洋風庭園で広いしそれこそ季節感のある花が咲いていてキレイだ。
余程、手を掛けいないとここまで見事に咲くことはない。
庭師って言う人が、専属で居るのかも知れない。
もっとも、オレがここに連れてこられるのは、夜も遅い時間で帰る時間帯は、早朝か夕方近く。
そう言う職人さんと言う人と、顔を合わせる事はまずない。
お手伝いさん達も、それは一緒で2人居る事は、佐賀野くんの言い回しで何となく知っているだけ…
両親にしても、お父さんは忙しい人で、お母さんは病弱な人…
あっ…そう言えば、従姉妹がたまに来てくれるとか言う話は、昨日初めて聞いた。
離れの斜め前にある母屋に顔を出すとかも、言っていたけど…
って、母屋はいつも見上げるだけで、実際に行った事ないけど、洋風でいかにもって、大きさの屋敷だ。
この離れだって、広々としたワンルームだもの…
母屋は、これよりもきっと凄いんだろうなとか…
思いながらまた珈琲に口を付けた。
相変わらず期限良さげに佐賀野のは、笑っている。
口で上星と、どうにかなりたいとは、よく言うが…
関係性と言うよりも、自分が未成年である事に上星が良しとしていない事は、理解している。
それでも、付き合いたし…
両想いにだってなりたい。
堂々と、恋人だと言いたい。
さっき上星が、シャワールームから出てきた所で、伍藤からのメッセージに気付いて返信をしていたのは、本当だ。
年上と関係を持っているとは、言っているが、具体的に誰とは口にしてはいない。
伍藤は、よく受験対策として色々な参考書なんかを読んでいたりするから。
上星のいる書店に行かない保証はない。
駅前近くで、学校にも近いなら立ち寄るだろう。
うっかり自分が、喋った事から噂になんって事には、なりたくないし上星に迷惑は掛けられない。
佐賀野のなりに考えてはいるのだが、あまりにも拒絶されると反対に追い回したくなる。
他の誰かになんって、渡したくない。
こうやって、側にいられるなら。
「上星さんの卵もうま!」
普通の高校生を演じながら足元を、すくうのもありかと笑顔を振りまきながらも、気が気じゃない事に上星は気付かない。
どうやったら別れられるかを常に考える上星と、どうやったら一緒に居られるようになるのかと毎日、悩む2人は本当にチグハグな関係かも知れない。
「上星さん。まだゆっくりしてるでしょ?」
♪~~♫~~♪ そんなメロディの後に洗濯機の乾燥が済んだ事を悟ると上星は、家に帰って休むと答えた。
「何で? いつもは、夕方まで居てそのまま書店に行くのに! 俺の所じゃ…ゆっくり出来ない?」
そんな焦った声を上げたのは、迂闊だったのかしれない。
上星は静かに佐賀野を、凝視しているかのように見つめ返していた。
自分の中では、これ以上ないぐらいに終始にこやかに振る舞ってたつもりだし口調だって穏やかに努めた。
これ以上、ガキと思われたくないのにと思いながらも、イラッとした空気を隠せないでいると上星は、不意に立ち上がり洗濯機を開けた。
「オレ、着替えるね…」
「……………」
手早く上星は、身支度を整えた。
いつもの上星に戻ってしまったような寂しさ…
いつも最後は、こうだと佐賀野は俯いた。
言動だけで、一緒に居たいとは思っても、ただのワガママに聞こえないはずだと分かっていても、今まで近づけた分、遠くなるのは物悲しい。
つい…
「もう帰っちゃうの?」と、自分の口から付いた言葉に肩を竦める。
「今日は、もう帰るよ。仕事もあるし…」
何か言わないと、引き止めないと、上星はここから居なくなる。
やっと会えたと言うよりも、別れ話の延長で会ってもらっているだけで、会うことに意味はないのかも知れない。
自分が、別れたくないと引き延ばせられれば…
続くんじゃないのか?
このままズルズルと曖昧な関係を続ければ、またここに来てくれるんじゃないのか…
短時間の間にグルグルと、色々な考えを巡らせた。
バカみたいだ。
子供っぽい。
分かっているけど…
「あの…」
「ん?」
渾身の思いで上星を見上げたが、昨日のカフェと同じ表情を向けられ言葉を失う。
あぁ…やっぱり。
ほんの少し前の上星さんは、ここには居ない。
「あのガレージのシャッター開けてくれないかな?」
悪知恵って訳じゃない。
「…やだ…」と即答した。
「帰りたいんだけど…」
素知らぬ顔でスマホを眺める。
「佐賀野くん?」
「知らない。勝手に帰れば?」
「いや…車の中にスマホや財布を置いてあるし…家の鍵も…無いと困る…」
「ふ~ん…」
「じゃなくて!」
床に座る俺に膝を付いて頼み込もとする上星さんの困った顔も好きだと思うのは、おかしいのか?
「聞いてる?」
肩を揺さぶろうとするから俺は、上星さんの手を強く握った。
「帰んないで…」
上星さんの手が、ピクッと動いた。
「いや…その…」
「上星さん!」
惨めったらしく手を掴んで、放さないとか
さすがに引くよな…
「今日は、仕事があるから無理だよ」
「夕方からでしょ?」
これは、分かってて言ってる顔だよな…
「いや…今日は、その叔父達…じゃなかった店長達が、私用で不在になるから3時頃から出勤しないとならなくて…それにいつもは、店長達とする事務処理を1人でしないとならなくて…」
掴んだ手を離す佐賀野くんは、何か言いたげな表情でオレを見上げてくる。
「明日は?」
ポソッと、呟くみたいに発せられる言葉。
「あの…休み…」
「ずっと?」
聞き返し方と表情が、妙に子供っぽくて、つられてうんとだけ頷いた。
「じゃさぁ…上星さんちに泊まっていい? あの家からだと、高校に近いし徒歩で行けるし…」
「えっ…」
急にワガママを発動させるようにガバッと佐賀野くんは、オレの腰に抱きついてきた。
「ちょっと…佐賀野くん?」
「良いよね?」
「良くない!」
「じゃさ…」
「う…うん…」
佐賀野くんは、ギュッと顔を埋めた後にニッとしながらオレ見上げた。
「パンツ返してよ」
ぱ…んっ…
「いや…あの…」
何だこの弱みを握られた感覚。
「返してもらいに行くから。先帰んないでよ」
「えっ…佐賀野くん!」
高校生の身支度は、異様に手早い。
いつも学校に持っていくリュックに学用品を詰めて、大き目なバックに着替やら制服を詰め込んで「下着は、1枚少なくても良いかな?」っておどけた風に振り返る。
まるでオレをからかってるみたいだ。
「絶対に先に行かないでよ! コレから使った食器置きに行ってくるから!」
先に行くも何も、ガレージを開けるキーは、佐賀野くんが持ってるんだけど…
だからか不満しか、残らない。
ニコニコしながら戻ってきて、乾燥させた服を取り込みハンガーに通してラックに掛け佐賀野くんは、シャツの上に乾いたばかりのパーカーをはおった。
乾燥が終わって、扉を開けていても中の服は温かい。
機嫌良さげにリュック背負い大き目なバックを肩に掛けると、オレの腕を引いて離れ部屋を出た。
とんでもないハイペースとマイペースに巻き込まれているようで、オレを囲むみたいに回されている腕を払うと佐賀野くんは、行く手を遮るみたいに立つ。
「なに?」
ホント。
キレイな顔してる。
配置のバランスが取れていて、目鼻立ちも整っている。
こう言う顔なら絶対に損しなそう…
同じシャンプーの香りがしているはずなのに佐賀野くんからは、別な香りが漂ってきているみたいだ。
「何でそんなに良い顔してるの?」
「へっ…?」
不意に出た言葉に焦って訂正しようとすると、ニッて笑う唇がオレの唇に柔らかく重なった。
「!っ」
いや! ここ庭だし!
「ちょっ…と!」
「ボケっとしてるから…」
「ここでチュウは、おかしいでしょ!」
「あのさぁ…声デカいから…ほら行くよ」
心臓に悪い。
「何で…青い顔してるの? 赤い顔ならまだしも…舌も入れてないし。それとも…入れて欲しかった?」
「わぁぁぁ~あっ!!」
変な声を出した事は認めるけど、ルンルンした感じにガレージに向かって、オレの車を勝手に開けて後部座席に荷物を乗せて当然のように助手席に座って…
「早く行こう!」って、急かさないで欲しい…
調子が狂うから…
カフェのある◯◯公園前バス停からバスで片道3~40分。
最寄りのバス停から佐賀野の自宅前までは、徒歩で15分。
普段の佐賀野は、反対車線側のバス停から高校前までバスで通っている。
自転車でも通えなくないが、面倒と言う理由からバス通学をしているのだと、高校生と明かされた後に教えられた。
この辺りは、昔から閑静な住宅街で、住んでいる住人の大半が他所から来た人で富裕層向けの分譲地と借地らしい。
学校も近いし市街地周辺やオフィス街にと、利便性が良い場所なのだと書店の常連客達や祖父から聞いた事がある。
そんな一角に大きなシャッターの付いたガレージに目を引かれる。
ガレージとは別にスロープと緩やかな階段が付けられた洒落た門扉に大きな平屋の建物が近付いてくる。
それが、佐賀野の自宅である。
「佐賀野くん。家の前に着いたよ」
「…………」
相変わらず佐賀野は、スマホを眺めていた。
「ガレージに入れて良いよ。この辺り変に路駐するとうるさいから…」
「ガレージに? 降りるだけなのに?」
「シャッター開けるから。入れて良いよ…父親、出張で1週間帰ってこないから…」
「いや…でも…」
ギロリと言う視線を、佐賀野に向けられる度に戸惑っている上星に佐賀野はまたスマホを、眺めたり車の外を眺めていた。
車内の沈黙した空気が、2人を押し黙らせる。
佐賀野は、スクールバッグからシャッターを開閉させるボタンを取り出し上星の返答を待つことなく開けた。
「どうぞ…」
こんな風に2人会話は、この所こんな感じで…
電話でもメッセージを通しても、続かず上星は、直ぐに怯えた空気を出してしまう事に佐賀野は、気に食わなかった。
待ち合わせた時の高揚感は、次第に薄まり段々と言葉が、素っ気なくなり優しくしようとすれば、空回りな態度が、仕草に変わって横暴になり始める。
上星が、少し車を前に出しギアを入れ替えバックさせならガレージに入れる。
「本当に着いたよ」と、声を掛けるも返答がない事に気まずさを感じながら「あの…」と、声を掛けようと顔を上げると、佐賀野の顔が、間近と言うよりも側まで迫ってきていた。
上星は、咄嗟に何かを言おうとしたが、あっという間に頭を抱え込まれながら唇が塞がれそうになるのを、慌てて佐賀野の身体を、はね避ける。
「…お願いだから。拒絶しないでよ…」
寂しそうな表情に何も言えなくなっていると、佐賀野にそのまま抱き締められた。
いつもの体温にいつもと変わらない香り。
まるで甘えたがるみたいに自分の首筋に縋り付く佐賀野を、強く拒絶できる程に上星はどうしても、強く出られななかった。
つい…
そうつい。
抱き締め返して、甘えさせてあげたくなってしまう。
自分達は、ダメな人間の典型例で目が合えば、それはお互いに触れて良いとでも言うのか、随分と身勝手で分かり切った解釈として捉えてしまうことになる。
「俺、上星さん不足でおかしくなりそうだからさぁ…」
身動きが制限される車の中で、せまられると身を捩った所で相手の思うツボ。
何度も、唇を重ね合うとボーッとする思考が、まるで楽になれと言ってくるように上星はギュッと目を瞑った。
「少し抱かせてよ…」
唇が離れた瞬間、上星は佐賀野に呟いた。
「…こう言う事…やめない?」
「えっ…やめないけど?」
佐賀野は、ゴソゴソとスクールバッグをあさりだす。
慣れた手付きで、何かを取り出した。
いわゆるそう言う行為に使うためのものだ。
「ちょっと…何で持ってるの!」
上星は、少し語気を強めるが、一方の佐賀野は、ニヤっと笑うばかりだ。
そして悪怯れる事もなく。
「普通に持ってるよ」
「ふ…普通にって…」
「言ったじゃん上星さん不足だって…」
佐賀野は、ニヤリと怪しくまた笑った。
薄暗い車内の中で、カーステの淡い光に浮かび上がる佐賀野の表情は、誰が見ても目を奪われるだろう。
「あの…」
言い掛けて半開いた唇に引き寄せられるようにオレの言葉は、遮られた。
ヒヤリとするような…
それでも温かい体温は、気持ちを鷲掴みにされる程だ。
こうなる度に信念って無いのか? って自己分析にかけるけど…
甘噛されたり。キスされたり。舐められたり。
首筋に吸い付かれそうになるを、必死に妨害しても、力の入り切らない手では佐賀野くんを拒めなくて、強く吸い付かれてしまう。
絶対に、濃くて赤い痕が付いている。
「良いじゃん。シャツの襟とかで隠せば…」
「隠せそうにない…場所だけど…」
またニッて笑う。
ドクンっ響く鼓動が、佐賀野の耳に届くんじゃないか? って思うと恥ずかしさに身を捩ってしまう。
捲れ上げられたシャツを、引き剥がすみたいな指の這わせ方が、リアルで、スルッとした感触に小さな叫び声に似た声を、上げてしまう。
恥ずかさを感じながら。
前を向けずにいると、慣れた手つきで佐賀野のくんは、オレのズボンを脱がせようとする。
「えっ…ちょっ、…とャ…」
抵抗しかたからベルトから手を離したかと安堵したのも束の間で緩められたその隙間に手を滑らせるように触れられる。
「嫌って言う割には、グチョグチョだし…カタクなってるし」
「っ…触るな!…」
そう騒いで抵抗する口は、見事に塞がれ漏れる息が熱すぎるのか、逆らえない自分が正直バカ過ぎて泣きそうになっていると、佐賀野くんの指が、ゆっくりと奥にねじ込まれている。
頭の何かが、ぶっ飛びそうに程に圧迫され歪んだ快楽に擦り寄ろうとするのは、意思が無さ過ぎるし身体の反応とは、別に冷静で居ようとする自分は、誰が見ても滑稽だ。
こうやって年下に、弄ばれて…
よがって…
自分からカレの首に、必死になってしがみついて…
ホント。
バカみたいだ。
それでも、絡む合う指先と舌に満たされたいと強く願っている。
「…んっ…」
身体に充満する熱さに汗が混じり合い意識すらも、オレを裏切ろうとする。
カレの頬をつたう汗を、拭うように軽く触れる。
いつものニヤって表情じゃなくて、優しく笑ってくれる事が嬉しいと動揺する自分が居ることに、初めて気が付く。
ダメだとか、イヤだとか、口先だけなんだって情けなくなる。
泣けそうで、泣けない気持ちを悟られたくなくて顔を背けると、中を押し上げるようにカレは、オレの奥を突き上げる。
これが、満たされてるって事。
結局。
綺麗事を丁寧に並べても、オレは佐賀野くんを、嫌いになれる自信がない。
大好きだし。
あい…してるんだと思う。
繋がれる。
違う。
深く満たされたい。
不確定な中でも、単純で結局の所は何も考えてない。
だって、この時だけでも佐賀野くんに愛されてるって、純粋に思いたいから。
脚が立たないぐらいに攻められて、お腹を押されたり。
グズグズにされても、構わないって…
佐賀野くんを、抱き寄せてしまっているから。
カレは、どう思って居るんだろう?
人同士が付き合うって、こんなに単純でいいのかな?
好きなら。
なんでも、構わないのかな?
「…んっ…あっ…」
息が、続かない。
「苦しい?」
オレは、首をふる。
「じゃ…もうチョイ付き合って…俺、まだイってないから…」
首筋と背中が、ゾクッなり身体を揺すられながら腰を、がっしりと掴でカレは、全てを強くオレに捩じ込ませてくるから身震いする程に嗚咽のような喘ぎが、口からこぼれ落ちてくる。
「…っ…ぁあぁ…んっ」
互いに、肩を使って荒々しくて、少しぎこちなくて切ない。
オレは、佐賀野くんには逆らえないんだ…
今までも、これからも…
こんな軽はずみした行動は、変わらなしい。
変化なんってものは、望んでない。
それでも、冷静になればなる程に寂しくなって、虚しくもなる…
いっその事。
割り切った関係にする?
それとも、何も知らなかったで押し通す?
そもそも、押し通せるの?
せっかくカレを、自分の中で感じれたのに…
結局。こうやって堂々巡りだ。
オレに運がないわけじゃない。
上手くやろうと思えば、やれるし隠し通すことも簡単かも、知れない。
そうさせたくないのは、やっぱりカレが、佐賀野 千弦だから…
虚しくなる程に悲しくて、愛おしいって幻でも、掴むみたいにカレにまた手を伸ばす。
カレは、息を整えながら額の汗を、上着のパーカーの袖で拭った。
「…っうか、こんな所でヤるもんじゃねぇーな。何か…カーセックスって響きは良いけど、シート汚れそうだし…狭いし…」
人のこと押さえ付けて、強引にキスしてきて、覆い被さって…
「何を…今更…」
佐賀野くんのたった一言で冷静になれた。
「それは、そうだけど…」と、ぶっきらぼうに言葉を続ける。
「…か…帰るから。退いてよ…」
シラッて、なりながら佐賀野くんは、気分を持ち直した風にフニャっ笑う。
「何?」
「…いや…そのグチョグチョの下着の上にズボン履ける? 気持ち悪くねぇのって…」
くすぐるみたいに指先で、首筋を撫で上げる。
「…んっ…」
耳を舐められ甘噛され身を、捩らせてしまう。
「それに…腰が立たない状態で運転できる?」
「そ…それは、落ち着いてから…」
「寒くない?」
エンジンを切った車内は、段々と冷えていく。
軽く肩を竦めるオレは、着ていたシャツの裾を直してダウンを着直した。
「上がっていきなって…」
そう言うと俺は、助手席側から車を降り電動で半開きだったガレージのシャッターを閉めた。
「あっ…ちょと…」
運転席のドアを開けて出ようする上星さんが、一瞬よろけそうになるから俺は、それを抱き上げた。
俗に言う。
お姫様抱っこ…ってやつ…
「…ってか、ノーパンで人んちのガレージで何すんの?」
「抜がせたのは、佐賀野くんでしょ!」
スッポリと腕に収まる上星さんは、恥ずかしいのか身を捩らせて耳まで真っ赤になっているみたいだし俺が、ノーパンって言ったからシャツの裾を引っ張って、余計にモジモジさせているらしい。
「…こ…こっち見ないでよ…」
本人にとっては、羞恥プレーかもだけど…
俺からすと、上星さんの姿はドコからどう見ても、どんな風でも全てが愛おしい。
「いつもみたいに泊まっててよ。またに伯母さんの娘が、母さんの様子見に来てるけど、駐車場に車が停まって無かったから…今日は、住み込みお手伝いさんだけらしいし…」
「住み込みお手伝いさんは、知ってたけど、伯母さんの娘さんは、初耳…」
「言ってないもん」
「もんって…」
だって、いくら好きな人でも、微妙に本心が分からない人に全部は言わなくも、まだいいかなぁ…って…
「それに…俺、さすがに一回じゃまだ収まらないよ…」
身体を硬直させて、全身真っ赤になる上星さんを抱っこしたままガレージの内階段から庭に抜け自室の離れに移動する。
「サム…」
搔いた汗が一気に引っ込み身体が、急激に冷え始める。
「…やっぱり。帰る!」
「しぃ~っ。声…デカいよ。少し静かにしてもらっていい? この時間帯だと母さんも、お手伝いさんも、寝てるかもだから…」
睨んだつもりはないけど、上星さんは、身体をまた萎縮させる
ボタン式のドアロックを解除して離の自室へと入る。
広さ的に言えば、少し広々としたワンルームだ。
窓辺向きに置かれたベッドにボスンッと、上星さんを放り投げると「投げるな!」と、声を荒げムッとしたように起き上がり掛けるから俺は、素早く上星さんの上に体重を乗せその肩をベッドに押し付けた。
「…退いて欲しい…」
「俺さぁ…上星さん好きだけど…そう言う顔の上星さんは、あんまり好きじゃない…」
佐賀野くんの真顔って言うのか、別に悪気の無い表情が、少し寂しそうで…
こう言う顔をされると、オレ的に弱いって言うか…
『あの…』とか、『ちょっと待って…』何って戸惑っている内に佐賀野くんのペースに巻き込まれてしまう。
何度も手を押し避けながら逃げ出そうとしたけど、阻まれるって言うか…
腕や肩、腰とか掴まれて逃げの体制なんって、相手の思うツボだったみたいだから。
何度も連れ戻される感じで、終わらせてくれない。
感情とか感覚は、とっくにグチャグチャで麻痺してるから。
攻め入られる度に身体が、熱く反応する。
散歩と読書が、同じぐらいに趣味なオレでも、現役の高校生とは体力的に合うわけ無い。
「…まぁ…待って……」
息をするのに追いつかないから佐賀野くんの肩を強く押すけど、車の中の時と同様に払い避けられて逆に手首を、つかまれてしまう。
「上星さんって…奥がキュッってなるぐらいに…攻められるの好きだよね」
「…違っ…」
「違わないから」
ニヤニヤ嬉しそうに笑って、オレを下に見てるって、言うかさぁ…
あぁ…
自分のモノだって事に対して、気分が高揚してるのかも…
別れたいって、言いに来て…
こう言う事するってことは、オレなりにケジメみたいに接して居ても、寄り添ってくれる佐賀野くんにオレも、依存している。
そう思った方が、楽なんだ。
ニヤつく表情も、仕草も手の力強さとか嫌いになれない。
本当、大人のくせに…
擽られるとザワザワしてしまうオレが、焦らされているって分かっていて、他の誰かに欲しがられる事が、嬉しくて仕方がない。
強欲って言うのかな?
こんなオレなんかに寄り添ってくれて…
「あれ? 上星さん…喜んでる」
カッと、赤くなりそうな顔を思わず右手で隠すなんって、認めてるようなもんだ…
お腹を掻き混ぜられるように動かれて、散々喘がされるだけ声が掠れる。
仕事場で『喉の調子が悪くて』なんって言う度に変に勘ぐられるんじゃないか?
言わなきゃバレることはないし。
車の中で、首にキスマを付けられたけど、普段の佐賀野くんは、首筋にキスしたり舐めたりする割に見えそうな所には、付けたりしない。
付ける時は『ワザと…』で必ず後で、ニッて笑ってくれる。
そんな風に笑われると、何だかんだ許してしまう。
『またね…』って、別れてから。また別れられなかったと自分に嫌悪する。
佐賀野くんからの会いたいは、いつも別れを意識しているはずなのに…
浮かれてしまう自分も、居るから佐賀野くんだけが、悪いわけじゃない。
「あっんっ…ヤッ…」
グチュって、音と感覚に佐賀野のくんのくれる熱い体温に包まれる。
擦り寄るみたいにグリグリって、オレを抱き締めてくる。
やっぱり甘えられてる?
「…佐賀野くん?」
「俺…上星さんの体温。スゲー好き…」
ドクンッて、心臓が振るえる。
苦しい。
痛い。
佐賀野くんの優しい声は、オレだけに向けられている。
特別に見てくれている。
特別だと言ってくれている。
そして、また思うんだ。
それなバレなきゃいい。
でも、バラたら2人にとって得な事は起こらない。
仮にオレが失うものは、信用とか世間体…制裁だけど、佐賀野くんは、下手したら今の高校を退学処分にだってなり得る。
直接本人から具体的に聞いた事はないけど、進学とか考えているなら。こう言うのは、本当にマズい。
誰も、得をしない。
「ねぇ…上星さん。もう一回付き合って…」
「えっ…ちょっ!」
もうオレの意思とか、関係ない。
そんな遣り取りを、数回繰り返すことになるとか…
高校生の体力を、侮った気分だった。
『でっ…どうするこの後…』
そんな風に上星は、ぼんやりと考えている内に眠り込んでしまったのか、いつの間にか朝になっており。
案の定と言うか、上星は佐賀野の隣で目を覚ました。
佐賀野の眠ってる顔は、高校生と言うよりも、まだ幼くて見え思わず髪を、撫でてしまっていた。
ニャムとした表情を見せながら佐賀野のは、欠伸をしつつ目を覚ましたらしくは、上星は慌てて後ろに向き直して眠っている振りをして見せた。
別に寝た振りなんってしなくても、今更なのにと思いながらも自分は、何やっているんだ?
と自問自答する。
ムクッと、起き上がった風な佐賀野の気配を感じつつ伸びでもするように動いているだけだと、安心した頃に上星の首筋に軽くキスをしてきた。
「……………」冷静にと心掛ける。
ギシッとしたベッドの軋む音が無くなり佐賀野は、スタスタとドコかへと向かったらしくホッとしたのは言うまでもない。
無論。本心は、飛び起きそうなぐらいに動揺したけれど、敢えて寝た振りを続けた上星は、1人になれたことに安心したようにベッドで仰向けになり大きく伸びをした。
ボーッとする頭だが、冷静に考えられない訳じゃない。
バカみたいに流されて、絆されて割り切った関係と本人達で納得しても、バレたら自滅は免れない。
年の差。
未成年。
社会人。
同性。
あげだしたら切りが無いと、投げやりに上星は、毛布を被った。
程なくしてシャワーの水滴音と洗濯機の動作音が、交ざって聞こえることに気付きながら薄目を開ける。
遮光カーテンだけが、開けられた窓からの日差しで、今が昼間に近い事は想像できた。
朝帰りなんって時間は、とっくに過ぎていて今日は、夕方以降の遅番だし仕事には、差支えないと思いつつ佐賀野が昼過ぎまで自分と寝ていた事にハッとし上星は、床に脱ぎ捨てられた状態のままの自分のダウンジャケットからスマホを取り出した。
時間は、昼過ぎで今日は土曜日。普通に休み。
「良かった…」と、安堵した。
自分の出勤日で夕方からの場合は、月末と土曜日だけだ。
佐賀野の事だ上星の仕事時間は把握していそうだと言う気になった。
おそらく曜日で分かって、部屋に連れ込んだののは間違いない。
不意にシャワールームと脱衣スペースからの扉が、開いて頭の水滴を拭き取りながら下着姿の佐賀野が、スマホで誰かと遣り取りしたふうに現れたものだから目が合った。
「あっ…上星さん起きてたんだ。おはよう」
佐賀野の嬉しそうな声に表情。
昨日、散々…
上に下にと見せつけられたあのニヤリ顔じゃない。
佐賀野の場合は、どっちも本音で接してくるから少し扱いが難しいと上星は、肩を竦めながらワザとらしく視線をズラしたからか、佐賀野はズカズカと、ベッドの方に進んできては…
「相手は、友達…伍藤って言う男ヤツで…腐れ縁的な?」
「…………」そんな事、聞いてない的な態度を取る上星に焦りながり佐賀野は、こう続ける。
「あっ…でも、腐れ縁って言っても、伍藤とはそう言うんじゃねぇーし…えっと…」
佐賀野自身、上星に対して女でも男でも付き合えると宣言している状態で、仮に何とも思っていないクラスメイトや友達からでも、やや信用に欠けると、メッセージ相手の伍藤から既に突っ込まれているのは、仕方がない。
親友からしてみれば、自業自得だと言われても仕方がない。
「だから…その…」
「…何も、聞いてないよ」
とは、言われたものの誤解なんってしてないと、言われているような気にもなるし何を言っても、無駄と言う気にもなる。
「……ねぇ…シャワー浴びてもいい?」
「あっ…はい。バスタオルは、あるの使っていいから…」
声質は、割に普通に話せたが、もう少しこう…
自然に言えないものかと、佐賀野は、少し落ち込んだ。
神星からすれば、自分に視線を向けられてないと寂しいや、少しだけでも不快感を見せただけでも敏感に負を感じ取り。まるでいじけるみたいにシュンとする。
愛されたいのだろうか?
確か母屋の1階で生活をしているお母さんは、あまり丈夫でないとか、昔から病気がちだと聞かされている。
入退院を繰り返しているから子供の頃から甘えたくても、甘えられない。
そんな状況が、思い浮かんだ。
勿論、それは上星の想像だ。
病弱だから愛されてないは、偏見だ。
佐賀野のからは、そんな風には見えないし。
素直で普通な子だが、なんって言うか、ワガママで自分勝手な行動や人の言葉を聞かないのは、そう言う関係の中からか…
それとも、それが性格かと、シャワーの蛇口をひねりながら思わず上星は、唸ってしまった。
シャワールームで熱いシャワーを浴びがら。ふと鏡に映る自分の姿に目がとまる。
首筋に付けられた2つのキスマ。
パーカーでは、上手く隠れそうもないこの痕は、自然とハイネックなら気付かれないかもと、頭をひねりながら頭から被る熱いお湯が、どことなく冷えた身体に染み込んでいき段々と冷静になろうとする思考が、やっと上星の正気を取り戻してくれそうだった
少し長い息を吐き出し後、上星はシャワールームを出て、脱衣スペースの棚にあったバスタオルを、頭からはおった。
結局シたあとは、気分的に満たされていて、モヤモヤしている時と違って案外、良かったりする。
やはり。
これも欲なんだろう。
別れたいって言いながらも、会えたことや話せたこと、強引ではあるけれど、2人の歪んだ気持ちと絡みつく互いの体温が、チグハグと思いのままにちゃぐちゃに溶け切った事に割と満足している事が、毎回、不思議でしょうがない。
脱衣スペースから出ると、ラフな私服に着替え終えた佐賀野が、サンドイッチを頬張っていて、珈琲の香りが漂っていた。
「……………」えっと?
ドコから出てきたのか、そのサンドイッチと、マイボトルから注がれた珈琲に困惑していると…
「あっ…上星さん。あったまった?」と、屈託のない笑顔を向けてくる。
「……………」
シャワー上がりの上星は、大きなバスタオルをスッポリと頭から被りながら少し顔を、しかめて見せた。
「…腰いたいとか?」
「別に…そんなんじゃ…」
「あっ! 服?」
「…いや…確かに服ないけど…」
2人分の服は、洗われているらしく乾燥と表情されていたのを、上星は脱衣スペースで確認している。
「乾燥になってた?」
「…うん…」
「ゴメン。勝手に洗って…」
佐賀野は、苦笑いをする。
「いや…別に」
正直に言えば、昨夜の上着をきた状態のノーパンよりも、シャワー上がりのバスタオル1枚だけも、恥ずかしいとは思っている上星は、下を向いている。
「あっ…でも、上星さんの下着なら1枚あるよ」
予想外の返答に顔を上げる上星に佐賀野は、ニカッと笑ってみせた。
「へっ?」
目を丸くすると言う言葉を体現させた上星は思考を、停止させたようにあんぐりと口を開けている。
唐突を突き付けられた時の表情もまた佐賀野は、好きらしい。
「えっ? 何で…?」
当然な反応を見せる上星に対して、余裕な表情で佐賀野は、自身のクローゼットの引き出しから下着とTシャツを差し出す。
瞬間的にカーッと赤くなって、その手から下着を、奪い去りおずおずと被ったバスタオルの隙間から顔を覗かせてくる、
「…………」
「…これね。この間、ここに来た時に上星さんさぁ…間違えて俺のを入っていったでしょ?」
「そうかもだけど…その…」
「あぁ~っ、大丈夫。上星さんが、履いっていったのは、洗濯済みたし。洗濯機の中から出して履いたんでしょ?」
「え…あっ…あの…」
上星は、慌てていると言うよりも、アワアワしだした。
当然と言えば、当然の反応かも知れないと思う佐賀野だが、普段は、誰が見ても、おとなしくて冷静な感じな上星が、たまに見せるこの感じも、妙に好きなのだ。
「いや…その…何回か履いてるかも…ゴメン…買って返すから…」
そんな…泣きそうになる程か? と思いつつ佐賀野は、笑って返した。
「いや。別に大丈夫だよ」
実際。
洗濯機の服を乾燥させて出した自分のではないモノが、残された時はさすがにビックリした…
あぁ…なるほど…
これは、俺の下着と自分のを間違えて履いていったって事か?
と、一瞬、スマホ片手に…
『もしかして、間違えて履いてった?』
と、上星さんに言ったら俺の前じゃなくて1人でアワアワするって思えたから敢えて言わないでおこうと思っただけだ。
どうしても、反応が見た過ぎてさぁ…
それに…
上星さんのことだから。
買って返すとかって、なんか高そうな下着を買ってきそうだし…
男の下着って女物の比じゃないけど、それなりにピンキリだし。
百均とかコンビニでも、買え安価なものもあるし…
「弁償を…」
「しなくて、いいって!」
「でも…」
何で…涙目になってるの?
何で、床にペタリと座り込んでいるのさ…
「あのさぁ…上星さん?」
「…なにぃ…」
泣くのか? いや泣きはしないか? でも、ヤバいかも?…
話を、逸らした方がいいよな…
「上星さん。サンドイッチ好きでしょ? ハムとレタスのと卵との?」
「好きだけど…」
「…お手伝いさんに頼んで、上星さんの分も、作ってもらったんだ一緒に食べよう」
俺は、自分が食べていた方とは別に、まだラップに包まれたままのトレーを差し出す。
「……………」ズンッ
余計に空気が、重くなった?
「何で、オレが、ここに居ることに言うの!」
念の為に言うが、俺は上星さんが、居るとは言ってない。
おそらくガレージに停めた上星さんの車を見て、誰かが来ていると分かったんだ。
お手伝いさんは、徒歩で散歩がてら来る人と、車で来れる距離の人がいるから父親からガレージを開けるスペアーを預けているらしい人が、交代で昼前からきてるから。
『もしよろしければ、お昼に何か作りましょうか?』
そんな連絡をもらったのは、上星さんがシャワーを浴びている最中だつた。
上星さんは、何が好きだっけ?
『今ですと…◯◯さんの要望で来る途中で買った食パンがありますが…』
母の◯◯は、カリカリに焼いたトーストにマーガリンと柑橘系のマーマレードを、塗って食べるのが好きだから遅めの朝食をお願いするにあたって昔から通っている近所のパン屋の食パンを買って来てもらったんだろう。
トーストと珈琲も良いよな…
でも、どうせなら。
『お連れ様は、何か好き嫌いが?』
好き嫌いがあるとは、聞かないなぁ…
寧ろ食事にしても、コンビニで買うにしろ…
そう言えば、この前。
コンビニに立ち寄った時に明日の朝食にするって、サンドイッチのレタスとハムをサンドしたのと、卵のセットを買ってたってけ…
サンドイッチでは、コレが1番好きかな? って…言っていたのを、思い出したけど…
「あっ…もしかして、からしマヨの方が良かった? あのコンビニは、マヨのみらしいから…」
「そうじゃなくて! オレが居ること!」
迫力と言うか、上星さんは勢いのまま俺の前に立つが、はおっているのがバスタオルのみなので微妙に視線が、そっち方向にむく。
自然な反応だし。
健全な下心だ。
それに気付いたのか、上星さんは脱衣スペースに戻って下着とTシャツを着て恥ずかしいのか、髪がまだ濡れているからか、バスタオルを被って現れた。
ベッド脇のローテーブル前に座ると、その前にサンドイッチを置きマグカップに珈琲を注ぎ入れる。
「食べてよ。うちのお手伝いさんの料理美味いんだよ!」
パクッとサンドイッチにかぶりつく。
レタスはシャキシャキでハムも、普段スーパーやコンビニで買う物よりも、味がしっかしているし食パンも手作りなのか、市販のモノと違ってフワフワだ。
オマケに卵も、黄身の味が濃厚で美味い。
絶対…この食材自体高級な気がする。
「どうしたの?」
「うん。美味しいよ」
気分を落ち着かせようと口に含んだ珈琲も…
豆からして違くない?
風味が豊かで、味が濃い。
これ絶対に高い豆を、プロが焙煎したやつだ…
「…口に合わなかった?」
「そんな事ないよ」
美味しすぎるのと、高級過ぎるので、若干引いてるけど…
「ね。その卵と俺のツナ交換して!」
「うん。いいよ」
佐賀野くんは、良い所のお坊ちゃんて感じなんだね。
あれでも、お父さんは会社員で忙しく出張で飛び回ってるとか、聞いたよな…
でも、お母さんが、病弱でお手伝いさんを2人も、雇える家庭って…
やっぱり。
お金持ち意外考えられないよな?
オレが、車を停めたガレージも4台は余裕そうだし。
ボタン1つで開閉できるし。
庭は、洋風庭園で広いしそれこそ季節感のある花が咲いていてキレイだ。
余程、手を掛けいないとここまで見事に咲くことはない。
庭師って言う人が、専属で居るのかも知れない。
もっとも、オレがここに連れてこられるのは、夜も遅い時間で帰る時間帯は、早朝か夕方近く。
そう言う職人さんと言う人と、顔を合わせる事はまずない。
お手伝いさん達も、それは一緒で2人居る事は、佐賀野くんの言い回しで何となく知っているだけ…
両親にしても、お父さんは忙しい人で、お母さんは病弱な人…
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離れの斜め前にある母屋に顔を出すとかも、言っていたけど…
って、母屋はいつも見上げるだけで、実際に行った事ないけど、洋風でいかにもって、大きさの屋敷だ。
この離れだって、広々としたワンルームだもの…
母屋は、これよりもきっと凄いんだろうなとか…
思いながらまた珈琲に口を付けた。
相変わらず期限良さげに佐賀野のは、笑っている。
口で上星と、どうにかなりたいとは、よく言うが…
関係性と言うよりも、自分が未成年である事に上星が良しとしていない事は、理解している。
それでも、付き合いたし…
両想いにだってなりたい。
堂々と、恋人だと言いたい。
さっき上星が、シャワールームから出てきた所で、伍藤からのメッセージに気付いて返信をしていたのは、本当だ。
年上と関係を持っているとは、言っているが、具体的に誰とは口にしてはいない。
伍藤は、よく受験対策として色々な参考書なんかを読んでいたりするから。
上星のいる書店に行かない保証はない。
駅前近くで、学校にも近いなら立ち寄るだろう。
うっかり自分が、喋った事から噂になんって事には、なりたくないし上星に迷惑は掛けられない。
佐賀野のなりに考えてはいるのだが、あまりにも拒絶されると反対に追い回したくなる。
他の誰かになんって、渡したくない。
こうやって、側にいられるなら。
「上星さんの卵もうま!」
普通の高校生を演じながら足元を、すくうのもありかと笑顔を振りまきながらも、気が気じゃない事に上星は気付かない。
どうやったら別れられるかを常に考える上星と、どうやったら一緒に居られるようになるのかと毎日、悩む2人は本当にチグハグな関係かも知れない。
「上星さん。まだゆっくりしてるでしょ?」
♪~~♫~~♪ そんなメロディの後に洗濯機の乾燥が済んだ事を悟ると上星は、家に帰って休むと答えた。
「何で? いつもは、夕方まで居てそのまま書店に行くのに! 俺の所じゃ…ゆっくり出来ない?」
そんな焦った声を上げたのは、迂闊だったのかしれない。
上星は静かに佐賀野を、凝視しているかのように見つめ返していた。
自分の中では、これ以上ないぐらいに終始にこやかに振る舞ってたつもりだし口調だって穏やかに努めた。
これ以上、ガキと思われたくないのにと思いながらも、イラッとした空気を隠せないでいると上星は、不意に立ち上がり洗濯機を開けた。
「オレ、着替えるね…」
「……………」
手早く上星は、身支度を整えた。
いつもの上星に戻ってしまったような寂しさ…
いつも最後は、こうだと佐賀野は俯いた。
言動だけで、一緒に居たいとは思っても、ただのワガママに聞こえないはずだと分かっていても、今まで近づけた分、遠くなるのは物悲しい。
つい…
「もう帰っちゃうの?」と、自分の口から付いた言葉に肩を竦める。
「今日は、もう帰るよ。仕事もあるし…」
何か言わないと、引き止めないと、上星はここから居なくなる。
やっと会えたと言うよりも、別れ話の延長で会ってもらっているだけで、会うことに意味はないのかも知れない。
自分が、別れたくないと引き延ばせられれば…
続くんじゃないのか?
このままズルズルと曖昧な関係を続ければ、またここに来てくれるんじゃないのか…
短時間の間にグルグルと、色々な考えを巡らせた。
バカみたいだ。
子供っぽい。
分かっているけど…
「あの…」
「ん?」
渾身の思いで上星を見上げたが、昨日のカフェと同じ表情を向けられ言葉を失う。
あぁ…やっぱり。
ほんの少し前の上星さんは、ここには居ない。
「あのガレージのシャッター開けてくれないかな?」
悪知恵って訳じゃない。
「…やだ…」と即答した。
「帰りたいんだけど…」
素知らぬ顔でスマホを眺める。
「佐賀野くん?」
「知らない。勝手に帰れば?」
「いや…車の中にスマホや財布を置いてあるし…家の鍵も…無いと困る…」
「ふ~ん…」
「じゃなくて!」
床に座る俺に膝を付いて頼み込もとする上星さんの困った顔も好きだと思うのは、おかしいのか?
「聞いてる?」
肩を揺さぶろうとするから俺は、上星さんの手を強く握った。
「帰んないで…」
上星さんの手が、ピクッと動いた。
「いや…その…」
「上星さん!」
惨めったらしく手を掴んで、放さないとか
さすがに引くよな…
「今日は、仕事があるから無理だよ」
「夕方からでしょ?」
これは、分かってて言ってる顔だよな…
「いや…今日は、その叔父達…じゃなかった店長達が、私用で不在になるから3時頃から出勤しないとならなくて…それにいつもは、店長達とする事務処理を1人でしないとならなくて…」
掴んだ手を離す佐賀野くんは、何か言いたげな表情でオレを見上げてくる。
「明日は?」
ポソッと、呟くみたいに発せられる言葉。
「あの…休み…」
「ずっと?」
聞き返し方と表情が、妙に子供っぽくて、つられてうんとだけ頷いた。
「じゃさぁ…上星さんちに泊まっていい? あの家からだと、高校に近いし徒歩で行けるし…」
「えっ…」
急にワガママを発動させるようにガバッと佐賀野くんは、オレの腰に抱きついてきた。
「ちょっと…佐賀野くん?」
「良いよね?」
「良くない!」
「じゃさ…」
「う…うん…」
佐賀野くんは、ギュッと顔を埋めた後にニッとしながらオレ見上げた。
「パンツ返してよ」
ぱ…んっ…
「いや…あの…」
何だこの弱みを握られた感覚。
「返してもらいに行くから。先帰んないでよ」
「えっ…佐賀野くん!」
高校生の身支度は、異様に手早い。
いつも学校に持っていくリュックに学用品を詰めて、大き目なバックに着替やら制服を詰め込んで「下着は、1枚少なくても良いかな?」っておどけた風に振り返る。
まるでオレをからかってるみたいだ。
「絶対に先に行かないでよ! コレから使った食器置きに行ってくるから!」
先に行くも何も、ガレージを開けるキーは、佐賀野くんが持ってるんだけど…
だからか不満しか、残らない。
ニコニコしながら戻ってきて、乾燥させた服を取り込みハンガーに通してラックに掛け佐賀野くんは、シャツの上に乾いたばかりのパーカーをはおった。
乾燥が終わって、扉を開けていても中の服は温かい。
機嫌良さげにリュック背負い大き目なバックを肩に掛けると、オレの腕を引いて離れ部屋を出た。
とんでもないハイペースとマイペースに巻き込まれているようで、オレを囲むみたいに回されている腕を払うと佐賀野くんは、行く手を遮るみたいに立つ。
「なに?」
ホント。
キレイな顔してる。
配置のバランスが取れていて、目鼻立ちも整っている。
こう言う顔なら絶対に損しなそう…
同じシャンプーの香りがしているはずなのに佐賀野くんからは、別な香りが漂ってきているみたいだ。
「何でそんなに良い顔してるの?」
「へっ…?」
不意に出た言葉に焦って訂正しようとすると、ニッて笑う唇がオレの唇に柔らかく重なった。
「!っ」
いや! ここ庭だし!
「ちょっ…と!」
「ボケっとしてるから…」
「ここでチュウは、おかしいでしょ!」
「あのさぁ…声デカいから…ほら行くよ」
心臓に悪い。
「何で…青い顔してるの? 赤い顔ならまだしも…舌も入れてないし。それとも…入れて欲しかった?」
「わぁぁぁ~あっ!!」
変な声を出した事は認めるけど、ルンルンした感じにガレージに向かって、オレの車を勝手に開けて後部座席に荷物を乗せて当然のように助手席に座って…
「早く行こう!」って、急かさないで欲しい…
調子が狂うから…
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