【色欲物怪物語】

色酉ウトサ

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『妖怪・垢嘗』<妖怪♂・人間♂>

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「何かつまんね~な~…」

「ちょっと、お風呂掃除してきて」

「え~…、何で俺が…」

「休みなのに友達が誰も捕まらなくて、暇を持て余してるからよ。いいから、早く始めて頂戴」

「………へ~い…」

 暇を持て余して漫画雑誌を読んでいた青年は、母親から頼まれるとTシャツと短パンに着替えて渋々風呂場へ向かった。

 見た目にはそんなに汚れてはいないものの、よくよく見ると床や壁の所々にカビや垢が着いていて、それ自体は気にならなかった青年だったが、ある一点を見つめると唾を飲み込んだ。

 意を決して恐る恐る手を伸ばしてある箇所の蓋を外した青年の目に飛び込んで来たのは、髪の毛や石鹸のかすが垢などと絡まり泥々になっている排水口だった。

「風呂掃除で、ここが一番厄介な場所なんだよな…」

 大きな溜め息を吐きながらも始めなくては終わらないと決意して、青年はカビ取りスプレーとスポンジを手に持った。
その時、背中に水滴が当たり、冷たさに驚いてバッと天井へ顔を向けた青年の目に奇妙なものが飛び込んできた。

「冷てえ~…ん?え…」

「あ、見つかった…」

「………」

「固まった…」

「っうわあぁぁ!?」

「うるせ~…」

「お前、誰だよっ!?」

「ん?ああ、オレは垢嘗」

「あ、垢嘗?つうか、どこから入った!?」

「少し前からここに居た」

「少しって…。何でうちに?」

「ふらふらしてたら何か良い匂いがして来たから。見てたらお前が開けたそこに垢がたくさん溜まってるしな!!」

 天井張り付いたボサボサ髪の少年が、髪の隙間から青年を見つめながら、行動を興味深そうに見つめていたのだ。
青年に声を掛けられると、少年は素直に天井から降りて来て、自らの紹介をした。

 戸惑いながらしてくる青年の問いに楽しそうに答えた垢嘗と名乗った少年は、髪の毛や石鹸のかすなどで泥々の排水口へ視線を移して目を輝かせた。

 その姿をまじまじと見つめていた青年だったが、少し考えた後、何事も無かったかの様に掃除を始めようとシャワーを手にし、勢い良く水を出した。

 瞬間、水は垢嘗に掛かり、頭から水を被った垢嘗はフルフルと肩を震わせた。

 わざとではなかったが、目の前で震えている垢嘗の姿に悪い事をしたと思った青年は、そっと垢嘗に近付いて申し訳無さそうに謝った。

「悪い、水を掛ける気は無かったんだ…。本当ごめん!」

「………さない…」

「え…?」

「許さない!!」

「うわあっ!?」

ドサッ

ゴンッ

「痛っ~…。何すんだよ…って、おい!?」

「わはは!!ひかえひだ!」

 突然飛び掛かられて転んだ青年は頭を打ち、痛みに悶えながらも文句を言おうと口を開いた。
けれど、飛び掛かって来た垢嘗が腹の上に馬乗りになり、長い舌を青年の首に絡めて悪戯っぽい表情を浮かべた為、青年は目を見開いた。

 驚き固まっている青年に構う事無く、首に絡めた舌でゆっくりと服の中の青年の身体を舐め回し始めた垢嘗。

 くすぐったさに身を捩った青年だったが、垢嘗の舌が胸の突起や下半身のモノを直に舐め上げると、少しだけくぐもった声を出した。
その反応が面白かったのか、垢嘗は執拗にその部分ばかりを舐め回していった。

「んっ…やめ…、ああっ!」

「ろうひた?ほへひはっへはひほ」

「んなとこ、舐め…くっ…」

「ん?ほほは…」

「うあっ…く…やめ、ろ…」

 垢嘗が下半身のモノを舐めていると、先っぽの方から粘液が出ている事に気付き、舌の先でその部分を突っついたり抉ったりして、その粘液が何かを調べ様とした。
しかし、その行為で青年は興奮し、短パンの中からモノを取り出すと垢嘗に良く見る様にと促して、顔を近付けさせた。

「ほ、ら…ん、よく、見てみろ…」

「ほへは…」

「ふっ…口、の中に…、突っ込め!!」

「んんぅっ!?む~…」

「歯は…ふっ、く…、たてる、なよ……。んっ…吸い付き、なが、ら…、舐めろ…」

 垢嘗は青年の言葉に従い、口内に差し込まれたモノを吸ったり、長い舌で舐めたり、モノの先端を舌先でくすぐったりしながら刺激を与えていった。
途端に限界を迎えた青年は、垢嘗の頭を抑え付け、口内に大量の精液を放ったのだった。

「はっ…、はっ…、はっ、どうだ…。人間を舐めたら、こんな目に合うんだぜ…」

「うぅ…、苦い…」

「分かったら、二度とこんな事…、すんなよ…」

「………でも、楽しかった」

「………はあ?」

「今回はもう、垢いらないや…。またお前の垢食べに来るから、その時まで取っとけよな!!」

 どこか愉しそうに告げた垢嘗はそのまま天井に張り付くと姿を消し、残された青年はしばらく呆けていたが、誰かが浴室まで駆けて来る足音に気付いてモノを短パンの中へと仕舞い込んだ。

ガチャ

「ちょっと、凄い音したけど大丈夫?…って、まだ始めてないの!?」

「あ、うん…。ごめん、すぐ始める…」

「あら、顔真っ赤じゃない。息も上がってるし…、風邪引いた?」

「大丈夫…。今始めるから、出てって」

バタン

「無理しなくて良いわよ~。…たくっ、何してんだか…」

「………はあ~…」

 母親を風呂場から追い出した青年は大きく息を吐き、先程姿を消した少年の言葉を思い出していたのだった。

(…また垢を食べに来るって言ってたけど、それってどっちだ…?)





終わり
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