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No.8 ふじのやま
File:21 最高戦力
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俺とシュウジは、一歩ずつ近付き始めた。そして同時に拳を構え、互いの顔面に拳を繰り出した。一発目と全く同じ形。だが、一度目とは違った。俺達は双方拳を振り抜き、一歩も引く事無く次の一手を繰り出す。そしてそれを繰り返し続ける。
流石に互角とは行かねぇ。とは言えさっきよりも張り合える上、無尽蔵の体力に再生能力も強化されてる。さっきのように一方的に負けるなんて事にはならねぇ。どころか、持久戦で勝ちの目もある。
「さっきよりも格段にパワーが上がってんなぁ!」
「褒めてくれるとか随分余裕じゃねぇか!」
「あぁ余裕だよお前程度ならなぁ!」
随分煽ってくれる。だが確かに、このまま勝てる程甘くはねぇだろう。あの作戦で見た感じ、コイツの術式は飛行、或いは運動エネルギーの増幅。前者なら警戒する事は無ぇが、後者の場合急に攻撃の威力が増す可能性もある。そうなれば折角見えた勝ち筋も消えちまう。
ならその前に勝てば良い。俺は拳に血の鎧を作り、大きく振り被る。普通なら避けられる。だがコイツは避けない。そういう奴だ。
「そうかいじゃあこれも平気だよなぁ!」
俺はその拳を突き出すと同時に、腕の鎧を液体に戻した。拳を額で受けようとしたシュウジの顔面に、それらの液体が掛かり、一瞬視界を消せる。シュウジは堪らずか、一歩後ろへ下がった。好都合。俺は右足を大きく振り、シュウジの股間へ走らせる。
しかしシュウジはそれを右手一本で受け止め、そのまま掴み、俺の体を強引に振り回してから投げ飛ばした。壁に激突した衝撃で一瞬息が詰まる。そしてその直後、俺のみぞおちに重く、硬い何かがめり込んだ。当然のようにあばら骨を砕き、内臓を壊したそれは、シュウジの左腕だった。
「クッソ……!」
「再生があってもキツイだろ!?」
当たり前だ。痛ぇモンは痛ぇ。だが分かった事もある。今俺が居る高さからして、ただ跳んで来た訳でもねぇだろ。それに加え、威力はさっきの殴り合いよりも遥かに上。術式は運動エネルギーの増幅か。
「終わりだ!」
シュウジはトドメと言わんばかりに、一度地面を蹴って俺よりも上に行き、右足を大きく振り上げた。これを食らえば流石に落ちる。『参った』もクソも無く俺の負け。
だが、俺もただやられてやる程甘くねぇ。シュウジが拳を突き出す直前、俺は血液の鎖を作り出し、シュウジの体を拘束した。
「なっ!?」
「そりゃ驚くよなぁ自分の服から出て来たんだから!」
体から血液を出してちゃ間に合わねぇ。地上に散らばっている血液を使っても間に合わねぇ。なら、今までの戦闘で服に染み込んだ血液を使えば良い。鎖を作り出してから拘束するまでの時間も最小限で済む。
俺はこの状況を待っていた。いくら身体能力が向上していても、ただ殴り合ってるだけじゃ勝てねぇ。そうなった時、俺はコイツに有効な攻撃を、地形を利用して繰り出す必要がある。
ソフィアなら魔眼で直接地形を変えられるが、俺はそうも行かねぇ。だからこの状況が必要だった。自由落下の後地面と激突すればコイツにも聞くだろう程度の高さ。コイツを一瞬拘束できる手段。そしてダメ押しの、俺が噛み付けるだけの距離。
「Checkmateだぜ最高戦力!」
俺はシュウジの首元に噛み付き、血液を吸い始める。そして同時に、死なねぇと分かっていても恐ろしい、落下の感覚が全身を包み込んだ。
血液を吸われている間は血からが抜け続ける。いくら馬鹿力でも、今の俺に抵抗できる程じゃねぇだろ。鎖もある。頭から落ちればいくらコイツでも流石に効くだろう。
重力に従って、俺達の落下速度は高まって行く。加速して行く。加速して、加速して……しかしある瞬間、加速が止んだ。自由落下する物体の最高速度に辿り着いた訳でもないのに、加速が止んだ。
何が起こってる?まだそんな状態じゃねぇ。まだそんな距離落ちてねぇ。なんで加速が止まる?いや違ぇ。加速が止まってるだけじゃねぇ。減速してる。それも凄まじい早さで。そしてやがて、空中で制止し、その後直ぐに天井へ向かって加速を始めた。
俺は反射的に、全身を蝙蝠の群れに変化させようとした。しかしそれが完了する直前、俺の背中は俺の反応速度を遥かに超える速度で、天井に激突した。受け身を取り損ねた俺の体は痺れ、蝙蝠の群れに変化させようとしていた体からは力が抜け落ち、地面へ落下し始めた。
地面に激突し、当然のように体の一部が潰れる。再生能力によって体の傷は消えるが、立ち上がろうとした俺の体は直ぐにシュウジに組み伏せられ、そして首の直ぐ横の地面に、十字架を模した刃物が突き立てられた。
「勝利の条件は?」
「……参った」
俺がそう言うと、シュウジは俺の体の上から退いた。俺は立ち上がらず、その場で胡坐を掻いて座った。
「……得物、持ってたんだな」
「小物程度なら一通り使える。そういう風に仕込まれてんでな」
「なんで最初から使わなかった?」
「俺の美学」
「そりゃ最高だ」
要するに俺は、コイツの美学を突き通せる程度の相手でしかなかったって訳だ。こっちは正面戦闘で使える小細工を一通り使ってたってのに、コイツは体一つでそれ全てを打ち砕いて来たってんだから、ご都合展開で倒されるコミックのヴィランと同じ気分だ。
「ほら疲れたろ?スポーツドリンク」
「あぁ……助かる」
「これから毎日同じような事やるんだ。これ位の労いもしねぇでどうする」
「は?」
「お?」
いや今何て言った?毎日?これを?冗談だろ?死ぬぞ。相手によっては。
しかし残念な事に、シュウジの言葉は嘘でも冗談でも、俺の聞き間違いですらなかったようで、シュウジは「ま~た説明すっぽかしてんのか……」と日本語で呟いた後、俺に向かって説明を始めた。
「前のは特例的な感じで俺達も参戦できたが、もしお前がお前の『ボス』とやらと全面対決するとなりゃ、俺達日本の退魔師は何もできねぇ。だからその時に備えての強化合宿を、八神が提案したんだ」
「合宿?」
「ダイアモンドクラス退魔師っつっても色んなのが居る。それぞれと何度か戦う事で、多様な攻撃手段を持つ相手への対処法を学べって事らしい」
「期間は?」
「未定。八神曰く、『時が来るまで』との事だ」
「いつだよ」
「アイツ、ぼかした言い方する事が増えたんだよなぁ」
分かり難くて面倒だ。しかし、やらねぇ理由は無ぇ。俺はスポーツドリンクの冷たさが残る両手で頬を叩き、気合を入れ直した。
流石に互角とは行かねぇ。とは言えさっきよりも張り合える上、無尽蔵の体力に再生能力も強化されてる。さっきのように一方的に負けるなんて事にはならねぇ。どころか、持久戦で勝ちの目もある。
「さっきよりも格段にパワーが上がってんなぁ!」
「褒めてくれるとか随分余裕じゃねぇか!」
「あぁ余裕だよお前程度ならなぁ!」
随分煽ってくれる。だが確かに、このまま勝てる程甘くはねぇだろう。あの作戦で見た感じ、コイツの術式は飛行、或いは運動エネルギーの増幅。前者なら警戒する事は無ぇが、後者の場合急に攻撃の威力が増す可能性もある。そうなれば折角見えた勝ち筋も消えちまう。
ならその前に勝てば良い。俺は拳に血の鎧を作り、大きく振り被る。普通なら避けられる。だがコイツは避けない。そういう奴だ。
「そうかいじゃあこれも平気だよなぁ!」
俺はその拳を突き出すと同時に、腕の鎧を液体に戻した。拳を額で受けようとしたシュウジの顔面に、それらの液体が掛かり、一瞬視界を消せる。シュウジは堪らずか、一歩後ろへ下がった。好都合。俺は右足を大きく振り、シュウジの股間へ走らせる。
しかしシュウジはそれを右手一本で受け止め、そのまま掴み、俺の体を強引に振り回してから投げ飛ばした。壁に激突した衝撃で一瞬息が詰まる。そしてその直後、俺のみぞおちに重く、硬い何かがめり込んだ。当然のようにあばら骨を砕き、内臓を壊したそれは、シュウジの左腕だった。
「クッソ……!」
「再生があってもキツイだろ!?」
当たり前だ。痛ぇモンは痛ぇ。だが分かった事もある。今俺が居る高さからして、ただ跳んで来た訳でもねぇだろ。それに加え、威力はさっきの殴り合いよりも遥かに上。術式は運動エネルギーの増幅か。
「終わりだ!」
シュウジはトドメと言わんばかりに、一度地面を蹴って俺よりも上に行き、右足を大きく振り上げた。これを食らえば流石に落ちる。『参った』もクソも無く俺の負け。
だが、俺もただやられてやる程甘くねぇ。シュウジが拳を突き出す直前、俺は血液の鎖を作り出し、シュウジの体を拘束した。
「なっ!?」
「そりゃ驚くよなぁ自分の服から出て来たんだから!」
体から血液を出してちゃ間に合わねぇ。地上に散らばっている血液を使っても間に合わねぇ。なら、今までの戦闘で服に染み込んだ血液を使えば良い。鎖を作り出してから拘束するまでの時間も最小限で済む。
俺はこの状況を待っていた。いくら身体能力が向上していても、ただ殴り合ってるだけじゃ勝てねぇ。そうなった時、俺はコイツに有効な攻撃を、地形を利用して繰り出す必要がある。
ソフィアなら魔眼で直接地形を変えられるが、俺はそうも行かねぇ。だからこの状況が必要だった。自由落下の後地面と激突すればコイツにも聞くだろう程度の高さ。コイツを一瞬拘束できる手段。そしてダメ押しの、俺が噛み付けるだけの距離。
「Checkmateだぜ最高戦力!」
俺はシュウジの首元に噛み付き、血液を吸い始める。そして同時に、死なねぇと分かっていても恐ろしい、落下の感覚が全身を包み込んだ。
血液を吸われている間は血からが抜け続ける。いくら馬鹿力でも、今の俺に抵抗できる程じゃねぇだろ。鎖もある。頭から落ちればいくらコイツでも流石に効くだろう。
重力に従って、俺達の落下速度は高まって行く。加速して行く。加速して、加速して……しかしある瞬間、加速が止んだ。自由落下する物体の最高速度に辿り着いた訳でもないのに、加速が止んだ。
何が起こってる?まだそんな状態じゃねぇ。まだそんな距離落ちてねぇ。なんで加速が止まる?いや違ぇ。加速が止まってるだけじゃねぇ。減速してる。それも凄まじい早さで。そしてやがて、空中で制止し、その後直ぐに天井へ向かって加速を始めた。
俺は反射的に、全身を蝙蝠の群れに変化させようとした。しかしそれが完了する直前、俺の背中は俺の反応速度を遥かに超える速度で、天井に激突した。受け身を取り損ねた俺の体は痺れ、蝙蝠の群れに変化させようとしていた体からは力が抜け落ち、地面へ落下し始めた。
地面に激突し、当然のように体の一部が潰れる。再生能力によって体の傷は消えるが、立ち上がろうとした俺の体は直ぐにシュウジに組み伏せられ、そして首の直ぐ横の地面に、十字架を模した刃物が突き立てられた。
「勝利の条件は?」
「……参った」
俺がそう言うと、シュウジは俺の体の上から退いた。俺は立ち上がらず、その場で胡坐を掻いて座った。
「……得物、持ってたんだな」
「小物程度なら一通り使える。そういう風に仕込まれてんでな」
「なんで最初から使わなかった?」
「俺の美学」
「そりゃ最高だ」
要するに俺は、コイツの美学を突き通せる程度の相手でしかなかったって訳だ。こっちは正面戦闘で使える小細工を一通り使ってたってのに、コイツは体一つでそれ全てを打ち砕いて来たってんだから、ご都合展開で倒されるコミックのヴィランと同じ気分だ。
「ほら疲れたろ?スポーツドリンク」
「あぁ……助かる」
「これから毎日同じような事やるんだ。これ位の労いもしねぇでどうする」
「は?」
「お?」
いや今何て言った?毎日?これを?冗談だろ?死ぬぞ。相手によっては。
しかし残念な事に、シュウジの言葉は嘘でも冗談でも、俺の聞き間違いですらなかったようで、シュウジは「ま~た説明すっぽかしてんのか……」と日本語で呟いた後、俺に向かって説明を始めた。
「前のは特例的な感じで俺達も参戦できたが、もしお前がお前の『ボス』とやらと全面対決するとなりゃ、俺達日本の退魔師は何もできねぇ。だからその時に備えての強化合宿を、八神が提案したんだ」
「合宿?」
「ダイアモンドクラス退魔師っつっても色んなのが居る。それぞれと何度か戦う事で、多様な攻撃手段を持つ相手への対処法を学べって事らしい」
「期間は?」
「未定。八神曰く、『時が来るまで』との事だ」
「いつだよ」
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分かり難くて面倒だ。しかし、やらねぇ理由は無ぇ。俺はスポーツドリンクの冷たさが残る両手で頬を叩き、気合を入れ直した。
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