自称異世界最強浪人のチーター達と万屋始めました

どうやら俺はやらなければならない時が来たみたいだ

第五章 平和な日々は唐突に

 さて、このような日々を1カ月過ごした俺は心身ともに疲労MAXだった。

「……がぁ」

 寝ていても油断ならないので、最近はほとんど寝ることができていないのである。

 よって現在の様な有様になっているのである。

 首をウツラウツラとさせながら、意識が落ちかけていると……。

「……すきあ……」

「させるかぁっ！」

 椅子で眠りこけている俺に縄で縛ろうとして来ていた妹の不意打ちを、俺は悲しいかな、ソウヤは達によって鍛えられた危機察知能力によってそれを回避することができた。

「あっ！兄上！なんで避けるんですか！？」

「あっ！なんで避けるんですか！？じゃねぇよ！その前になんで俺を縛ろうとすんだ！」

「えっ！？それは……恥ずかしくて言えません…」

「変態だこいつーー！！」

 部屋の中で睨み合う事しばらく、唐突に妹ははぁ、とため息をついた。

「……お父様……は、兄上がリアさんとの婚約を認めない限り諦める事はないと思いますよ？」

「………」

 俺の事を思ってくれているのは分かるが、

「……悪いな、これは俺の問題だ」

「………いいえ、これは家族の問題です」

 妹は真っ直ぐコッチを見つめ返して言ってきた。

「……はぁ……何でここから逃げなかったんだ？」

 俺は頭をバリバリ掻きながら聞いた。

「それは………」

 そう、いつもここで妹は言葉を濁すのだ。

「はぁ……まぁいい。俺に恩義を感じているのかは知らんが、とっとと自分の家に戻れ。それがお前のためだ」

 しかし、これも妹の答えはいつも一緒だった。

「嫌です！」

「………」

 俺には分からなかった。

「……もう、好きにしてくれ……」

「では、そこに座ってください」

「そー言う意味じゃ無くってだな！」

 そこで、部屋に新たな闖入者が入ってきた。

「ノウン様！大変です！館に向かって謎の大きな魔物が……！！」

 じいだった。

「………？」






















「どうだった？」

「まぁ、中々面白いことにはなってると思うなぁ」

 天文館の最上の間にて、ソウヤ達はモニターを見ていた。

「さぁーて？ノウン君、君なら格上相手にどうするかな？」

 ソウヤ達は自分の生徒がどこまで強くなったか楽しみで仕方がなかった。























 ノウンは一応ここにある装備品を装備していた。

「お兄様……」

「安心しろ……俺はメチャクチャな奴らに修行させられたからまぁ、負けないよ」

「………」

 俺は装備を整えると、部屋を出た。

「きたっすか！じゃあここでいっちょ撃退と行くっす！ここで良い所先輩見せてアイツよりも使えるって示してやるっす！」

 部屋の前では国に支給されている装備品で身を固めていた。

「……お前の師匠の鎧じゃないんだな？」

「ししょーの鎧は性能いいっすけど、何だが私の肌に合わないっす！」

「性能がよけりゃ、肌に合わずとも着ろよ」

 リアは首を横に振って呆れた様に言った。

「ノウンは女心が分かってないっすね～」

「俺はこれでもちゃんと、シルヴィと付き合ったんだからな？」

「……アイツも言ってたっすよ……『ノウンは朴念仁なんです』って」

「なに？その話詳しく聞かせろ下さい」

 と、そんな取り留めのない話をしながら魔物のところへと向かおうとしていると、館の出口で父が立っていた。