自称異世界最強浪人のチーター達と万屋始めました

マシュウ

文字の大きさ
102 / 138
チーター達は有給休暇を取るようです

ガスター

しおりを挟む
 まずい、どうしよう。

 またここに来てしまった。

 今度こそ今度こそと思い今までバレてなかったのは奇跡だろう。

 身元を隠すために、ランダムワープしたところで真面目に生きようと思って、王国の幹部に応募して通ってから何だかいつかツケが帰ってくると思っていたけど……………。

 まさか、こんな形で帰ってくるなんて………。

「はぁ」

 私はそう溜息をつきながらドアを開けた。

「いらっしゃ………またテメェか!ジジイ!今度はどんな厄報持って来やがった!」

 ほら、これだ。

「こないだの魔女屋敷の件といい、兵王祭の件といい!お前はロクな知らせを持ってこねぇだろ!」

「そ、それに関しては殆ど私は関係ないですし!それに、今回はただこのお店にご馳走になりに来ただけですよ」

「………ようこそ、万屋カフェへ」

 そう無愛想に店は案内するこの世界の変異点『ノウン』、私は彼とすこしばかりの接点がある。

 案内されて席に着いた私は渡されたメニューを暫く眺め、

「すいませーん」

 と、店員を呼んだ。
 そして、自分の目を疑った。

「はーい!いらっしゃいませー!………あれ?何処かでお会いしたような?」

「い、いえ!そんな事ないですよ!?」

「うーん?すいません!ご注文は何でしょうか?」

「あ、ああ、この『ボリューム満点ご飯サンド』って言うのを」

「分かりました!」

 ぺこりと頭を下げてカウンターへトコトコと歩いていく少女の後ろ姿を見て私は、ほぅっと一人溜息をついた。

 危なかった、まさかまさかとは思ってたが、相変わらずあのお方の人使いは荒いようだ。

 そして、暫くしてから注文した品が届いたが、
 料理を持ってきた娘もまた別の娘だったのだが、

「………おじ様どこかでお会いしていませんでしたか?」

 と、聞いてきた。

 悲しいかな?
 私はこう言う事は慣れていて尚且つ、得意なのである。

「いえ?私のようなご老人はいくらでもいますでしょうね」

 と、表情を変えずにそう言って料理を食べ始めた。

「………それは失礼しました」

 そう言ってその娘も、首を傾げながらその場を後にした。

 全く、このカフェにいるといろんな意味で心臓に悪い。

「でも、流石に料理は美味しいですね」

 そこは、昔と変わっていなかった。











「ありがとうございましたー!」

 そう言って見送ってくれる顔見知りの娘……娘を背に私は自分の今の住処へと帰っていた。

 道を歩いていると、子供達が何処から来たチーターの一人がやっている紙芝居を見ていた。

「『ご主人様!これが探し求めていた貴方の宝ですね?』」

「『おうとも!よくやってくれた!』」

「こうして、冒険家の主人とその執事は探し続けていた宝を手に入れて、別々の幸せを掴みましたとさ!おしまーい!」

 そう言って丁度紙芝居は終わり、子供達がポケットから小銭を取り出してお菓子を買っていった。

「…………」

 私はそれを見て何とも言えない気持ちになった。

 そうして家に着くと私は家の机に置いている厳重な結界等々によって保管されている、中に白い光が浮かんでいる筒を眺めた。

「………私は、許されるのか?」

 一人、誰も聞いていないと知りながら私はそう言わずにはいられなかった。





































 作 次回から創也達から離れて『ノウン編』へと変わります!創也達が連れてきた美人なかみ………んっんー!人をチラ見しながらジジイからまた出される訳の分からない事件に創也達無しで残ったメネヴィア達と挑みます!
 次回もお楽しみに!
しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

残念ながら主人公はゲスでした。~異世界転移したら空気を操る魔法を得て世界最強に。好き放題に無双する俺を誰も止められない!~

日和崎よしな
ファンタジー
―あらすじ― 異世界に転移したゲス・エストは精霊と契約して空気操作の魔法を獲得する。 強力な魔法を得たが、彼の真の強さは的確な洞察力や魔法の応用力といった優れた頭脳にあった。 ゲス・エストは最強の存在を目指し、しがらみのない異世界で容赦なく暴れまくる! ―作品について― 完結しました。 全302話(プロローグ、エピローグ含む),約100万字。

エリクサーは不老不死の薬ではありません。~完成したエリクサーのせいで追放されましたが、隣国で色々助けてたら聖人に……ただの草使いですよ~

シロ鼬
ファンタジー
エリクサー……それは生命あるものすべてを癒し、治す薬――そう、それだけだ。 主人公、リッツはスキル『草』と持ち前の知識でついにエリクサーを完成させるが、なぜか王様に偽物と判断されてしまう。 追放され行く当てもなくなったリッツは、とりあえず大好きな草を集めていると怪我をした神獣の子に出会う。 さらには倒れた少女と出会い、疫病が発生したという隣国へ向かった。 疫病? これ飲めば治りますよ? これは自前の薬とエリクサーを使い、聖人と呼ばれてしまった男の物語。

『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる

仙道
ファンタジー
 気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。  この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。  俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。  オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。  腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。  俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。  こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。 12/23 HOT男性向け1位

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

裏切られ続けた負け犬。25年前に戻ったので人生をやり直す。当然、裏切られた礼はするけどね

竹井ゴールド
ファンタジー
冒険者ギルドの雑用として働く隻腕義足の中年、カーターは裏切られ続ける人生を送っていた。 元々は食堂の息子という人並みの平民だったが、 王族の継承争いに巻き込まれてアドの街の毒茸流布騒動でコックの父親が毒茸の味見で死に。 代わって雇った料理人が裏切って金を持ち逃げ。 父親の親友が融資を持ち掛けるも平然と裏切って借金の返済の為に母親と妹を娼館へと売り。 カーターが冒険者として金を稼ぐも、後輩がカーターの幼馴染に横恋慕してスタンピードの最中に裏切ってカーターは片腕と片足を損失。カーターを持ち上げていたギルマスも裏切り、幼馴染も去って後輩とくっつく。 その後は負け犬人生で冒険者ギルドの雑用として細々と暮らしていたのだが。 ある日、人ならざる存在が話しかけてきた。 「この世界は滅びに進んでいる。是正しなければならない。手を貸すように」 そして気付けは25年前の15歳にカーターは戻っており、二回目の人生をやり直すのだった。 もちろん、裏切ってくれた連中への返礼と共に。 

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

氷弾の魔術師

カタナヅキ
ファンタジー
――上級魔法なんか必要ない、下級魔法一つだけで魔導士を目指す少年の物語―― 平民でありながら魔法が扱う才能がある事が判明した少年「コオリ」は魔法学園に入学する事が決まった。彼の国では魔法の適性がある人間は魔法学園に入学する決まりがあり、急遽コオリは魔法学園が存在する王都へ向かう事になった。しかし、王都に辿り着く前に彼は自分と同世代の魔術師と比べて圧倒的に魔力量が少ない事が発覚した。 しかし、魔力が少ないからこそ利点がある事を知ったコオリは決意した。他の者は一日でも早く上級魔法の習得に励む中、コオリは自分が扱える下級魔法だけを極め、一流の魔術師の証である「魔導士」の称号を得る事を誓う。そして他の魔術師は少年が強くなる事で気づかされていく。魔力が少ないというのは欠点とは限らず、むしろ優れた才能になり得る事を―― ※旧作「下級魔導士と呼ばれた少年」のリメイクとなりますが、設定と物語の内容が大きく変わります。

処理中です...