優の異世界ごはん日記

風待 結

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クローヴェールとの美食交流会

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日記、十六日目。



ルミエールでの料理コンテストで優勝して一夜明けても街はまだ興奮の余韻に包まれていた。
リナとカイラとトムとキラとのチームワークが、僕の料理を最高の舞台で輝かせてくれた。  
今日はルミエールに留まって、広大な市場をさらに探索してコンテストで戦ったチーム・クローヴェールのメンバーと料理で交流することになったよ。
ルミエールの街は、食材の豊富さ、魔法の輝き、人々の活気、どれをとっても圧倒的だ。  
クローヴェールとの時間を通じて料理で新しい友情が生まれた。  
この街はほんとすごい。
まだまだ料理したいな。
どんな出会いが待ってるんだろう?  


---


朝、宿屋「ムーンライトイン」の窓から差し込む陽光で目覚めた。  
キラが枕の上でピピッと小さな声で鳴き、ふわふわの羽を揺らしている。  
リナは部屋の隅で優勝トロフィーを愛おしそうに磨きながらニコニコしている。  
本当に嬉しかったんだろうなぁ。
カイラは魔法のメモを整理しながら、コンテストのデータを振り返っている。  
トムは剣を手に窓辺でルミエールの街を見渡して市場の動向を考えている様子。  

「優、優勝したばっかだけどさ!今日も何か面白いことしたい! ルミエールの市場ってめっちゃ広いから、また行って食材探そうよ! それにさー、コンテストのチームとも料理で交流したい!」  

リナがトロフィーを手に目を輝かせる。  

「いいね、リナ! ルミエールの市場は昨日行ったけど、まだ全然見れてないもんね。コンテストのチームと料理で交流出来たら絶対楽しいよね!ねぇカイラ、どこかのチームと連絡取れる?」  

カイラが微笑んで杖を軽く振った。  

「そうね、コンテストのギルドに聞いてみましょう。チーム・クローヴェールのエリックとローラなら交流会に乗り気だと思う。市場で新しい食材も探して、試作を一緒にやりましょう。」  

トムが剣を肩に担いで言った。  

「ルミエールの市場はでかいからな昨日見た屋台の奥にもまだ怪しい食材売ってるぜ。『ミスティックポメロ』とか『ゴールデンリーフ』あたりでも買い足すか? 情報集めてくる。」  

「ありがとう。トム、助かるよ。キラも市場でいい匂いの食材を見つけてね。」  

キラがピピッと鳴いて、まるで「すぐ探す!」と跳ねるように動いた。  
うん、今日も可愛いね!


---


朝食後、チームでルミエールの市場へ向かった。  
ルミエールの中央広場は、まるで大陸中の食材と人が集まったような壮観な光景だ。  
広場を中心に、放射状に広がる通りには、何百もの屋台が並び、魔法の光でキラキラ輝く看板や、浮かぶランプが街を幻想的に彩っている。
食材の種類は昨日見ただけでも驚くほどだったけど、今日改めて見るとその規模に圧倒される。  
ドラゴンベリーやフロストハーブはもちろん、見たこともない果実やハーブが山積みだ。  
通りごとにテーマが分かれていて、魔法の果実ゾーン、魔獣の肉ゾーン、魔法ハーブゾーン、さらには魔法の調味料専門の路地まである。  

「うっわー!この市場ってめっちゃ広いんだね!昨日行ったとこなんてほんの一部だったんだ! あ!あそこ、なんか光ってる果実あるよ!」  

リナが興奮して指差した先には、「サファイアグレープ」が並ぶ屋台があった。
青紫色の小さな果実がまるで宝石のように輝いている。  
魔力回復効果があるらしい。  
近くの屋台では、「シルバーヴァイン」という銀色のハーブが、風に揺れてキラキラ光っている。
体を軽くする効果で冒険者に人気らしいよ。
さらに奥に進むと、「ルミナペタル」という花びらが、砂糖漬けにされて売られている。  
癒し効果があるみたいだからデザートのトッピングに最適だ。  

カイラが杖でサファイアグレープをスキャンした。  

「このサファイアグレープは甘酸っぱくて、魔力回復効果が強いようね。ジュースやデザートにしたら、冒険者にも喜ばれそう。シルバーヴァインはサラダに混ぜると食感が良くなるわよ。」  

トムが市場の奥から戻ってきて言った。  

「『クリスタルシュガー』が昨日より安く売ってたぜ。光る甘味料で味に奥行きが出るらしい。あとは市場の裏通りで『スターダストスパイス』ってのを見つけた。香りが強くて、気分を高揚させる効果があるってよ。」  

「スターダストスパイス?へえ、それ、料理に使ったら面白そうだね!サファイアグレープ、シルバーヴァイン、ルミナペタル、クリスタルシュガー、スターダストスパイス、全部買っちゃおう!」  

市場の活気は食材だけじゃない。  
屋台の店主が魔法で食材を浮かせてアピールしたり、冒険者が魔獣の肉を吟味したり、貴族が珍しいスパイスを買い求める姿が、まるで祭りのよう。  
通りには、魔法の楽器を演奏する吟遊詩人や、火を吐くパフォーマーまでいて、ルミエールのエネルギーが全身に響く。  
キラがピピッと鳴きながら、スターダストスパイスの屋台に突進して、匂いを嗅ぎまくる。  
まるで「これ、絶対美味しい!」って言ってるみたいだ。  

市場を歩いていると、チーム・クローヴェールのエリックが、大きな声で呼びかけてきた。  

「よお、優! 市場で食材探しか? 俺らも、交流会用の食材買い込もうと思ってたんだ!」  

エリックの隣にはシェフのローラが、大きなバスケットを持って微笑んでいる。  

「コンテストのシャーベット、ほんと美味しかったよ。 今日はどんな料理作るか、楽しみにしてるね!」  


---


夕方、ムーンライトインの食堂を借りて、チーム・クローヴェールとの料理交流会を開催した。  
ルミエールの市場で手に入れた食材を並べる。
魔法の光でテーブルがキラキラ輝いている。  
僕たちのチームはシルバーヴァインのサラダ、サファイアグレープのジュース、ルミナペタルの砂糖漬けをトッピングしたミニシャーベットを用意したよ。
スターダストスパイスはサラダとジュースに少し加えて、気分を高揚させるアクセントに。  

エリックとローラが持ってきたのは、「クラウドマッシュルームのグリルスライダー」だ。
ふわっとしたクラウドマッシュルームを薄くスライスしてゴールデンホークのひき肉と合わせて小さなバーガーになってる。
食べやすそうなサイズだね!
美味しそうー!
ナイトシェードベリーのソースが、ピリッとしたアクセントを加えて集中力アップ効果があるのが特徴みたい。
エリックが豪快に笑いながら皿を置いた。  

「優のコンテストのシャーベット、めっちゃ美味かったぜ! 俺らのスライダーも冒険の合間にガッツリ食えるだろ? ルミエールの市場でゴールデンホークの新鮮な肉見つけたんだ!」  

リナがスライダーを食べて目を丸くした。  

「このキノコ、ふわふわで肉とめっちゃ合うね!ナイトシェードベリーのピリ辛もすっげーいい!優、これは負けてられないよ!」  

カイラが微笑んで頷いた。  

「ゴールデンホークの旨味と、ナイトシェードベリーの効果がバランスがとてもいいわ。ルミエールの食材の豊富さがこんな料理を生むのね。」

僕たちの「シルバーヴァインのサラダ」は、シャキッとした食感と体を軽くする効果がエリックに大ウケ。  

「ん!これ、食ったらダンジョン走るの楽になりそうだな!優はルミエールのハーブをほんと活かしてるな!」  

「だろ!だろ?!優はすげーんだよ!」

すかざずリナが僕を褒めちぎる。
いっつもこうやって褒められてたら調子に乗っちゃいそうでちょっと怖いな。

「サファイアグレープのジュース」は、甘酸っぱさと魔力回復効果で、ローラが感動。  

「このジュースを飲むと魔法の疲れがスッキリするわ!スターダストスパイスの香りも気分も上がるね!」  

「ルミナペタルのミニシャーベット」は、キラキラした見た目と癒し効果で、みんなを笑顔にした。  
エリックがシャーベットを食べて叫んだ。  

「優!こいつはコンテストのシャーベットに負けねえうまさだな!ルミナペタルの甘さが丁度いいな!」  

---


食堂は笑い声と料理の香りでいっぱいだった。
エリックがルミエールの冒険談を語り始めた。  

「ルミエールの市場は初めて来たとき、広さにビビったぜ。魔法の食材だけじゃなくて魔獣の肉や、遠い国のスパイスまで揃ってるんだぞ。優、こんな街で優勝したんだから、お前はすげえよ!」  

ローラが微笑んで付け加えた。  

「ルミエールは料理人の夢の舞台なのよ。市場の奥には魔法の調理器具を売る店もあるの。 昨日見た『フロストオーブン』は優のシャーベットにぴったりだと思う!」  

カイラが興味深そうに言った。  

「フロストオーブン? 冷気魔法を安定させる器具よね?優、次の試作で使ってみたら、もっとすごいデザート作れるかも。」  

リナが目を輝かせて言った。  

「ルミエールってほんとすごい! 市場だけで何日あっても足りないよ!  優、クローヴェールとまた料理パーティーやろうよ!」  

トムがニヤリと笑って言った。  

「ルミエールの市場は冒険者にとっても宝の山だな。エリック、このゴールデンホークの肉ってどこで仕入れた?  次は俺も狩りに行きてえぜ。」  

エリックが笑いながら答えた。  

「市場の肉ゾーンの奥だよ! ルミエールのハンターギルドと繋がってる屋台で、新鮮なのが手に入るんだ。トム、狩りに行くなら、俺も連れてけよ!」  

キラがピピッと鳴いて、ルミナペタルの砂糖漬けをつついて跳ね回る。  
まるで「ルミエール、最高!」って言ってるみたい。  

---


交流会は夜遅くまで続き、クローヴェールと料理を食べながら笑い合った。  
エリックが市場での冒険談や、ルミエールの隠れた名店を沢山教えてくれた。
ローラはルミエールの魔法調味料の使い方を熱く語って僕に新しいレシピのヒントをくれた。  

リナがグラスを掲げて叫んだ。  

「優の料理はほんとみんなを笑顔にするね! ルミエール、最高! クローヴェールとまた料理やろうね!」  

トムが笑いながら言った。  

「優の料理食ったら、ルミエール離れたくねえな。エリック、ローラ、次は市場の奥で一緒に食材探そうぜ。」  

カイラが微笑んで言った。  

「ルミエールの市場が、こんな絆を生んだんだね。次の料理も何作るか楽しみだわ!」  




ルミエールでもう少し料理を楽しんで、次の冒険の準備をしよう。  
どんな食材、どんな出会いが待ってるんだろう? 



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