33 / 80
クローヴェールとミッドナイトマーケット
しおりを挟む日記、十八日目。
ルミエールの料理コンテストでの優勝から三日、街の輝きはまだ色褪せない。
みんなとのチームワークで僕の料理が最高の舞台で輝いたけれどルミエールの市場にはまだまだ未知の宝が隠されてる。
今日はチーム・クローヴェールのエリックとローラと一緒に夜だけ開く「ミッドナイトマーケット」を探検した。
怪しげな屋台、魔法で輝く食材、ちょっとしたトラブルまで、ルミエールの夜は心を掴んで離さない。
トムがエリックから狩りの道具の技を磨いてリナがローラから新しい料理のコツを学んだ。
この街の奥深さってほんとすごい。
もっとルミエールで料理したい!
---
朝、宿屋「ムーンライトイン」の食堂で、キラのピピッという鳴き声で目覚めた。
キラは僕の枕の上でふわふわの羽を揺らしてまるで「夜の市場、行くよ!」って言ってるみたい。
うーん、今日も可愛いね。
リナは優勝トロフィーをテーブルに置いて朝食のスープを飲みながら興奮気味。
夜の市場に興奮しているのかむだトロフィーに興奮しているのかちょっとわからないけれど。
カイラは魔法のメモにミッドナイトマーケットの噂を書き込んで準備を進めている。
トムは昨日エリックから教わった追跡ランタンを手に使い方を復習してる。
「昨日のハンターズストリート、めっちゃ楽しかったねー!エリックが言ってたミッドナイトマーケットって絶対ヤバいよね! どんな食材あるんだろう?」
リナが目を輝かせてスプーンを振った。
こら、お行儀悪いぞ…ってここは日本じゃないから、まあ、いいか。
「そうだね。ミッドナイトマーケット、なんだか怪しいけど面白そうな雰囲気だよね。エリックとローラなら市場の隠れた名店とか知ってそうだよね。カイラ、エリックたちの今夜の予定って確認できる?」
カイラが微笑んで杖を軽く振った。
「朝、ギルド経由で連絡しておいたわ。エリックとローラは夜のハンターズストリートで待ち合わせるって。ミッドナイトマーケットは魔法の食材や調理器具が豊富らしいけど怪しい取引もあるみたい。優、料理のアイデアを考えておいてね。」
カイラは本当にいつも早起きで色んなことを済ませてて凄いな…ありがたい。
トムが追跡ランタンを手にニヤリ。
「怪しい取引か。俺の剣とこのランタンでトラブルはカバーするぜ。エリックに狩りの道具の使い方もっと教えてもらわなきゃな!優、レアな食材見つけたらでかい料理頼むな!」
「うん、任せて! キラもミッドナイトマーケットでいい匂いの食材探してね。」
キラがピピッと鳴いて、テーブルを跳ね回る。
まるで「夜の匂い、僕に任せて!」って言ってるみたい。
---
夜、ルミエールのハンターズストリートでエリックとローラと合流した。
昼間の市場も圧倒的だったけど、ミッドナイトマーケットはまるで別世界だ。
ハンターズストリートの奥、普段は閉ざされた路地が、夜になると月光石のランタンで照らされて屋台が現れる。
暗闇に浮かぶ光る食材、仮面をかぶった店主、魔法の煙が漂う空気。
まるで映画のようで秘密の祭りに迷い込んだみたいだ。
屋台の看板は星屑を散りばめたような文字がキラキラ輝き、通りには冒険者、魔法使い、夜の商人たちがひしめいている。
「うっわ!優、この市場ってめっちゃ怪しいけどキラキラしてるね!見て!あの屋台なんか光るキノコ売ってるよ!」
リナが指差したのは、「ムーンライトマッシュルーム」の屋台。
青白く輝くキノコで食べると夜の視界が良くなる効果があるらしい。
隣の屋台では、「ナイトクロウの羽肉」が、魔法の冷気で新鮮に保たれて並んでいる。
ナイトクロウは、夜にしか狩れない魔獣でスタミナアップ効果があるんだって。
さらに奥には、「グロウベリー」という、星のような輝きの果実が並ぶ屋台。
甘酸っぱくて魔法の感度を上げる効果があるらしい。
エリックが豪快に笑いながら言った。
「優、ミッドナイトマーケットは、ルミエールの隠れた宝庫だぜ! ナイトクロウの羽肉はめっちゃレアだ。 グリルにしたら、冒険の疲れが吹っ飛ぶぜ!」
ローラが付け加える。
「ムーンライトマッシュルームは、スープやサラダにいいのよ。グロウベリーは、ジュースやデザートにしたらキラキラして綺麗だと思う。」
カイラが杖でグロウベリーをスキャンした。
「グロウベリー、魔法の感度アップ効果が強いわね。
ジュースにしたら見た目も華やかで魔法使いに人気が出そうだわ。ムーンライトマッシュルームは、夜の冒険に役立つ効果ね。」
トムが屋台の奥を覗き込んでニヤリ。
「ナイトクロウの羽肉かー。狩るのめっちゃ難しそう。 なあ、エリック、どうやって仕留めたんだ?
追跡ランタンのコツももっと教えてくれよ。」
エリックがニヤッと笑ってトムの肩を叩いた。
「ナイトクロウは、夜の森でしか出ねえ。
追跡ランタンで動きを追って、魔法の罠で捕まえるんだ。 トム、ランタンの光を調整する技を教えるぜ。 市場の道具屋でいい罠も見つけたから試してみねえ?」
「やる!」
この二人相性いいな。
---
ミッドナイトマーケットを進むと、怪しげな屋台の店主が、ナイトクロウの羽肉を高値で売りつけようとしてきた。
「兄ちゃん!これ、最高級だぜ! 一本の羽肉でスタミナが一晩持つ!」
と、仮面の店主がしつこく絡んでくる。
トムが追跡ランタンを手に店主の食材をチェック。
「ふーん?この羽肉か?ちょっと怪しいな。
光が弱いぜ。本物のナイトクロウならもっと魔力の輝きが強いはずだ。」
エリックがトムのランタンを見て頷いた。
「ははっ!いいぞ、トム! 追跡ランタンで魔力の質を見抜いたな。こいつ、偽物混ぜてやがる。優、ここの屋台は避けた方がいいぜ。」
トムがニヤリと笑って店主に近づいて剣の柄に手を置いた。
「おい、おっさん。偽物売るなら、ルミエールのギルドに報告するぜ。本物のナイトクロウはどこだ?」
店主が慌てて別の羽肉を出してきた。
トムがランタンで確認すると、今度は本物の輝き。
エリックが笑いながらトムの背中をバシッと叩いた。
「おーい!トム、ランタンの使い方めっちゃ上達したな! この調子ならナイトクロウの狩りも一緒に行けるぜ!」
トムがちょっと照れながら笑った。
「エリック、ありがとな。このランタンは剣と同じくらい頼りになるな。 次は罠の使い方もマスターするぜ。」
お?師弟誕生かな?
一方、リナはローラと一緒にムーンライトマッシュルームの屋台でスープの試作を始めた。
ローラがリナにスープのコツをさらに教えてくれた。
「リナ、ムーンライトマッシュルームは、火を通しすぎると効果が薄れるから、短時間で仕上げるのが大事。でも香りを引き出すために、最初にバターで軽く炒めると味に深みが出るよ。」
リナがメモを取りながら目を輝かせた。
「バターで炒める!? ふあー!ローラ!それめっちゃいいアイデア! ねえねえ!優!カイラ!このスープ、絶対ステーキと合うよ!」
僕とカイラは、グロウベリーでジュースを試作。
グロウベリーを絞ってクリスタルシュガーで甘みを調整し、カイラの風魔法で星屑のようなエフェクトを加えた。
エリックがジュースを飲んで叫んだ。
あ、まだ僕もカイラも味見をしてないんだけどー!
「っかー!優、こいつはミッドナイトマーケットの宝石だ! グロウベリーの酸っぱさが、冒険の夜を盛り上げるぜ!」
まあ、美味しかったなら、いいか?
---
市場の奥に進むと、「ルナペッパー」という月光のような輝きのスパイスを見つけた。
小さな粒が、夜空の星のようにキラキラ光り、食べると気分を落ち着かせる効果があるんだって。
ローラがルナペッパーを手に取って説明した。
「このスパイスはミッドナイトマーケットでもレアなものよ。グリルやスープに少し加えると味に奥行きが出て、落ち着く香りが広がるの。優、ナイトクロウのグリルに試してみたら?」
カイラが杖でルナペッパーをスキャンした。
「ふうん。ルナペッパー、魔力の安定効果もあるね。
魔法使いが夜に使うと、魔法のコントロールが良くなるかも?ねえ優、グリルの仕上げに使ってみよう。」
キラがピピッと鳴いて、ルナペッパーの瓶に突進。
まるで「これ、絶対美味しい!」って言ってるみたい。
えっ、キラはペッパーもいけちゃうの?
「ふむ。ナイトクロウのグリルにルナペッパーとクリスタルハニーで、落ち着くけど華やかな味にしてみよう!」
「賛成!」
---
宿屋に戻ってミッドナイトマーケットの食材で試作を始めた。
ナイトクロウの羽肉をグリルしてルナペッパーで落ち着いた風味を加え、クリスタルハニーで甘みをコーティング。
カイラの火魔法で表面にキラキラした輝きをプラス。
ムーンライトマッシュルームのスープはローラのバター炒めのコツで、香りと効果を最大限に引き出した。
グロウベリーのジュースは星屑のような輝きで、みんなを驚かせた。
エリックがナイトクロウのグリルを食べて目を輝かせた。
「んんー!このグリル、ルナペッパーの落ち着く香りが最高だな!ミッドナイトマーケットの食材をこんな風に活かせるなんてすげえぜ!」
ローラがスープとジュースを味わって微笑んだ。
「ムーンライトマッシュルームのスープ、香りが引き立ってる! リナ、バターの使い方、完璧だよ。優、カイラ、グロウベリーのジュースは見た目も味も魔法みたい!」
リナが跳ね回りながら叫んだ。
「やった!ローラ、教えてくれてありがとう! ねーねー優、このスープとグリル、めっちゃ合うね! ね!ミッドナイトマーケット、最高!」
トムがニヤリと笑って言った。
「エリックのランタンのコツもめっちゃ役立ったぜ。
優、ミッドナイトマーケットの食材、もっと試したいな。」
カイラが微笑んでグラスを掲げた。
「ミッドナイトマーケットが、絆をさらに輝かせたわね。」
キラが、ピピッと鳴いて、グロウベリーのジュースを舐めて跳ね回る。
まるで「夜の市場、もっと行きたい!」って言ってるみたい。
---
試作の後は食堂でクローヴェールと語り合った。
エリックがミッドナイトマーケットのさらなる秘密を教えてくれる。
「ミッドナイトマーケットは毎晩違う屋台が出るんだ。明日は別の路地で『アンバーローズ』ってレアな花の食材が出るらしいぜ。一緒に探しに行かねえ?」
ローラが笑いながら付け加えた。
「アンバーローズは甘い香りで、デザートに使うと癒し効果がすごいの。優なら、絶対素敵な一品になるよ。リナ、スープの次はデザートのコツを教えるね!」
リナが目を輝かせて叫んだ。
「アンバーローズ!? めっちゃ気になる! ねーねー優、明日もミッドナイトマーケット行こうよ!」
トムがニヤリと笑って言った。
「アンバーローズか。なあ、エリック、そいつも追跡ランタンで品質チェックできんのか? 明日も頼むぜ。」
カイラが微笑んで言った。
「ルミエールの夜はどこまで深いんだろうね。アンバーローズでどんな料理作るか、楽しみね!」
明日はクローヴェールとミッドナイトマーケットの別の路地へ。
ルミエールの夜の魔法を、もっと味わいたいな。
どんな食材、どんな出会いが待ってるんだろう?
174
あなたにおすすめの小説
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
うちの孫知りませんか?! 召喚された孫を追いかけ異世界転移。ばぁばとじぃじと探偵さんのスローライフ。
かの
ファンタジー
孫の雷人(14歳)からテレパシーを受け取った光江(ばぁば64歳)。誘拐されたと思っていた雷人は異世界に召喚されていた。康夫(じぃじ66歳)と柏木(探偵534歳)⁈ をお供に従え、異世界へ転移。料理自慢のばぁばのスキルは胃袋を掴む事だけ。そしてじぃじのスキルは有り余る財力だけ。そんなばぁばとじぃじが、異世界で繰り広げるほのぼのスローライフ。
ばぁばとじぃじは無事異世界で孫の雷人に会えるのか⁈
【完結】すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ
一終一(にのまえしゅういち)
ファンタジー
俺こと“有塚しろ”が転移した先は巨大モンスターのうろつく異世界だった。それだけならエサになって終わりだったが、なぜか身に付けていた魔法“ワンオペ”によりポンコツ鎧兵を何体も召喚して命からがら生き延びていた。
百体まで増えた鎧兵を使って騎士団を結成し、モンスター狩りが安定してきた頃、大樹の上に人間の住むマルクト王国を発見する。女王に入国を許されたのだが何を血迷ったか“聖騎士団”の称号を与えられて、いきなり国の重職に就くことになってしまった。
平和に暮らしたい俺は騎士団が実は自分一人だということを隠し、国民の信頼を得るため一人百役で鎧兵を演じていく。
そして事あるごとに俺は心の中で呟くんだ。
『すまない民よ。その聖騎士団、実は全員俺なんだ』ってね。
※小説家になろう様、カクヨム様にも掲載しています。
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
異世界へ誤召喚されちゃいました 女神の加護でほのぼのスローライフ送ります
モーリー
ファンタジー
⭐︎第4回次世代ファンタジーカップ16位⭐︎
飛行機事故で両親が他界してしまい、社会人の長男、高校生の長女、幼稚園児の次女で生きることになった御剣家。
保険金目当てで寄ってくる奴らに嫌気がさしながらも、3人で支え合いながら生活を送る日々。
そんな矢先に、3人揃って異世界に召喚されてしまった。
召喚特典として女神たちが加護やチート能力を与え、異世界でも生き抜けるようにしてくれた。
強制的に放り込まれた異世界。
知らない土地、知らない人、知らない世界。
不安をはねのけながら、時に怖い目に遭いながら、3人で異世界を生き抜き、平穏なスローライフを送る。
そんなほのぼのとした物語。
『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。
国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。
でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。
これってもしかして【動物スキル?】
笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!
『規格外の薬師、追放されて辺境スローライフを始める。〜作ったポーションが国家機密級なのは秘密です〜』
雛月 らん
ファンタジー
俺、黒田 蓮(くろだ れん)35歳は前世でブラック企業の社畜だった。過労死寸前で倒れ、次に目覚めたとき、そこは剣と魔法の異世界。しかも、幼少期の俺は、とある大貴族の私生児、アレン・クロイツェルとして生まれ変わっていた。
前世の記憶と、この世界では「外れスキル」とされる『万物鑑定』と『薬草栽培(ハイレベル)』。そして、誰にも知られていない規格外の莫大な魔力を持っていた。
しかし、俺は決意する。「今世こそ、誰にも邪魔されない、のんびりしたスローライフを送る!」と。
これは、スローライフを死守したい天才薬師のアレンと、彼の作る規格外の薬に振り回される異世界の物語。
平穏を愛する(自称)凡人薬師の、のんびりだけど実は波乱万丈な辺境スローライフファンタジー。
異世界ネットスーパー始めました。〜家事万能スパダリ主夫、嫁のために世界を幸せにする〜
きっこ
ファンタジー
家事万能の主夫が、異世界のものを取り寄せられる異世界ネットスーパーを使ってお嫁ちゃんを癒やしつつも、有名になっていく話です。
AIと一緒に作りました。私の読みたいを共有します
感想もらえたら飛んで喜びます。
(おぼろ豆腐メンタルなので厳しいご意見はご勘弁下さい)
カクヨムにも掲載予定
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる