優の異世界ごはん日記

風待 結

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スターダストバザールと新たな出会い

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 日記、二十日目


ルミエールの料理コンテストから五日。
ミッドナイトマーケットの冒険で、ルミエールの底知れぬ魅力にますます引き込まれる。  
今夜はチーム・クローヴェールのエリックとローラと一緒に、週末だけ開く「スターダストバザール」へ。  
そこでチーム・グリーンソングのセリナと偶然出会い、彼女の落ち着いた雰囲気と料理への情熱に心を動かされた。  
アンバーローズを使った新たな試作とルミエールの夜の輝きが僕たちの絆をさらに深めた。  
この街ってどこまで魔法的なんだろう? 
もっと料理でみんなを笑顔にしたい!  


---



朝、宿屋「ムーンライトイン」の食堂でキラのピピッという鳴き声で目が覚めた。  
キラは窓辺でふわふわの羽を揺らしてまるで「今夜はバザールだよ!」と訴えてるみたい。  
リナは朝食のスープをすすりながら、市場の地図を広げて興奮気味に話してる。  
カイラは静かにメモを整理し、バザールの情報を確認中。  
トムは窓の外を見ながら、昨夜の市場での出来事を振り返ってる。  

「ミッドナイトマーケットのムーンレイ路地、めっちゃ綺麗だったね!エリックが言ってたスターダストバザールってどんなとこなんだろう? それにアンバーローズ、もっと欲しいな!」  

リナの声が食堂に響く。  

「スターダストバザールは魔法の調理器具やレアな食材がいっぱいらしいね。エリックとローラと一緒なら面白い発見もありそう。カイラ、バザールの場所って詳しく分かる?」  

カイラがメモを見ながら答えた。  

「ハンターズストリートのさらに奥、週末だけ開く広場らしいわ。アンバーローズや新しい調理器具、例えば『スターオーブン』ってのが出るって噂よ。優、デザートや新しい料理、楽しみにしてるわね。」  

トムが椅子に寄りかかりながら言った。  

「バザールか。夜の市場は冒険っぽいな。エリックなら、いい食材の屋台知ってるだろ。優、でかい一品、期待してるぜ。」  

「トム、任せて! キラもバザールでいい匂いの食材、探してね。」  

キラがピピッと鳴いて、テーブルの上を跳ね回る。
まるで「甘い香り、見つけるよ!」って言ってるみたい。  


---


夜、ハンターズストリートの奥でエリックとローラと合流してスターダストバザールへ向かった。  
ムーンレイ路地とはまた違う、広大な広場に広がるバザールは、まるで星空が地上に降りたよう。  
屋台は星屑を散りばめた布で飾られ、魔法のランタンが浮かんで虹色の光を放つ。  
食材や調理器具を売る店主たちの声が響き合い、冒険者や魔法使い、商人たちが熱気に包まれている。  

「優!このバザール、ムーンレイ路地より派手だね!見て!あの屋台にキラキラした調理器具売ってる!」  

リナが興奮して指差したのは、「スターオーブン」の屋台。  
小さなオーブンが星のような光を放ち、食材を均等に焼き上げる魔法の道具だ。  
隣ではアンバーローズが山積みで、甘い香りが漂っている。  
さらに奥には、「サンライム」という、太陽のような輝きの柑橘類が並んでいる。
爽やかな酸味と、気分を高揚させる効果があるらしい。  

エリックが豪快に笑いながら言った。  

「スターダストバザールは、ルミエールの夜の頂点だぜ! スターオーブンは肉もデザートも完璧に仕上げる。サンライムも、ジュースやソースにしたらすげー映えるぞ!」  

ローラがアンバーローズを手に取って言った。  

「優、昨日のアンバーローズのゼリー、最高だったよ。スターオーブンで焼いたタルトに、アンバーローズをトッピングしたらどう?  リナにはタルトの生地のコツを教えるね。」  

「やった!ありがとうローラ!」


バザールを歩いていると、ふと静かな歌声が聞こえてきた。  
声の主はチーム・グリーンソングのセリナ。  
彼女は屋台の隅で「サンライム」を手に、穏やかな笑顔で店主と話してる。  
セリナが僕たちに気づき、近づいてきた。  

「優、ルミエールでの優勝、おめでとう。 スターダストバザールに来るなんて、さすが料理への情熱がすごいね。私もサンライムで新しいレシピを試したくて。」  

セリナの落ち着いた声と、料理への真剣な眼差しに、ちょっとドキッとした。  

「セリナ、ありがとう! サンライムってどんなレシピにするの? 一緒に試作しない?」  

セリナが微笑んで頷いた。  

「いいわ。サンライムの酸味を活かした、爽やかなサラダを考えてる。 優のデザートと合わせたら面白いかも。」  


---


バザールの奥で、アンバーローズとサンライムを買い込み、スターオーブンも手に入れた。  
リナはローラからタルト生地のコツを学んでいる。

「リナ、タルト生地はバターを冷たいまま混ぜ込むのが大事。 スターオーブンなら均等に焼けて、サクサクに仕上がるよ。」  

リナが目を輝かせてメモを取った。  

「冷たいバター! ふむふむ分かった! このタルト、絶対美味しくするよ!」  

トムはエリックと一緒に、バザールの調理器具屋台を回る。  
スターオーブンの使い方をエリックが実演してくれた。  

「優、トム、スターオーブンは、魔力で温度を細かく調節できるんだ。肉を焼くなら、低温でじっくり、最後に高温で焼き色つける。トム、狩りの獲物を焼くのに、こいつは最高だぜ。」  

トムが興味深そうにオーブンを触りながら言った。  

「なるほど。こいつは狩りより楽そうだな。優、サンライムのソースで、肉焼いてみてくれよ。」  

カイラはセリナとサンライムのサラダのアイデアを話し合う。  

「セリナ、サンライムの酸味ってクリアリーフと合わせたら爽やかだよね。私の魔法で、盛り付けに光のエフェクト加えてみる?」  

セリナが静かに笑って答えた。  

「カイラ、ありがとう。あなたの魔法の光のエフェクトは夜のバザールにぴったりね。優はどんな風に料理する?」  

「サンライムのサラダと、アンバーローズのタルト、スターオーブンで作ってみよう。みんなのアイデアが合わさって絶対美味しいよ!」  


---


宿屋に戻り、スターダストバザールの食材とスターオーブンで試作を始めた。  
アンバーローズをトッピングしたタルトはスターオーブンでサクサクに焼き上がり、甘い香りが食堂に広がる。  
サンライムのサラダはクリアリーフとルナペッパーを合わせ、セリナのアイデアで爽やかに。  
カイラの光の魔法で、サラダがキラキラ輝く。  
ナイトクロウのグリルにはサンライムのソースを添え、酸味と甘みのバランスを整えた。  

エリックがタルトを食べて叫んだ。  

「っかー!このタルトはスターオーブンの力ハンパねえ! アンバーローズの甘さも冒険の疲れを癒すぜ!」  

ローラがサラダとグリルを味わって言った。  

「リナ、タルト生地、サクサクで完璧! サンライムのサラダはセリナのアイデアが活きてるね。優、グリルのソースも最高!」  

セリナが静かに微笑んで言った。  

「優、ルミエールの食材をこんな風に輝かせるなんて、すごいわ。サンライムのサラダはカイラの魔法と料理でもっと美味しくなった。」  

リナが笑顔で叫んだ。  

「ローラ、セリナ、めっちゃ勉強になった! 優、このタルトとサラダ、最高じゃん!  バザール、また行きたい!」  

トムがグリルを頬張りながら言った。  

「スターオーブン、めっちゃ使えるな。エリック、狩りの獲物で試してみてえぜ。」  

カイラが穏やかに言った。  

「ルミエールの夜、みんなの料理でさらに輝いたね。セリナとの出会いがいい料理を生んだわね。」  

キラがピピッと鳴いて、アンバーローズのタルトをつついて跳ね回る。  
まるで「もっと食べたい!」って言ってるみたい。  


---


試作の後、食堂でクローヴェールとセリナと語り合った。  
セリナがルミエールの食材の話を始めた。  

「ルミエールの市場、こんなに食材が豊富だなんて、驚いたわ。もし次もバザールに行くなら、別の食材、例えば『クリムゾンミント』ってのがあるわ。清涼感があってドリンクやデザートにいいわよ。」  

エリックが豪快に笑って言った。  

「ああ、クリムゾンミントか! 優、そいつでカクテル作ったら、冒険者もぶっ飛ぶぜ! 明日、またバザール行くか?」  

「バザールには行きたいけどカクテルは無理かな?僕まだお酒は飲めないんだ。」

ローラが、微笑んで付け加えた。  

「リナ、タルトの次はミントのデザートに挑戦しよう。 優なら、クリムゾンミントで何かすごいの作れるよ。」  

リナが目を輝かせて叫んだ。  

「クリムゾンミント!?  絶対爽やかそう! よし!優!明日もバザール行こう!」  

トムがニヤリと笑って言った。  

「バザールの調理器具、もっと見てえな。優はクリムゾンミントで何か面白いもん作ってくれよ!」  

カイラが静かに言った。  

「スターダストバザール、ルミエールの魔法を凝縮した場所ね。クリムゾンミントでどんな料理が生まれるか、楽しみだわ。」  



明日、またスターダストバザールへ。  
セリナとの出会いと、ルミエールの夜の魔法を、もっと味わいたい。  
どんな食材、どんな出会いが待ってるんだろう?  




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