大日本帝國の復古について

帝国復古

　まず、大日本帝国を復古させるためには帝国憲法を最高法規として復活させる必要がある。
しかし、帝国憲法をそのまま復活させるとなると様々な弊害や現行の法律に合致しない部分が出てきてしまう。

そこで帝国憲法の改訂草案を示そうと思う。

告文

皇朕󠄁レ謹ミ畏ミ
皇祖
皇宗ノ神靈ニ誥ケ白サク皇朕󠄁レ天壤無窮ノ宏謨ニ循ヒ惟神ノ寶祚ヲ承繼シ舊圖ヲ保持シテ敢テ失墜スルコト無シ顧ミルニ世局ノ進運ニ膺リ人文ノ發達ニ隨ヒ宜ク
皇祖
皇宗ノ遺訓ヲ明徵ニシ典憲󠄁ヲ成立シ條章ヲ昭示シ內ハ以テ子孫ノ率由スル所󠄁ト爲シ外ハ以テ臣民翼贊ノ道ヲ廣メ永遠ニ遵行セシメ益〻國家ノ丕基ヲ鞏固ニシ八洲民生ノ慶福ヲ增進スヘシ玆ニ皇室典範及憲󠄁法ヲ制定ス惟フニ此レ皆
皇祖
皇宗ノ後裔ニ貽シタマヘル統治ノ洪範ヲ紹述スルニ外ナラス而シテ朕󠄁カ躬ニ逮テ時ト俱ニ擧行スルコトヲ得ルハ洵ニ
皇祖
皇宗及我カ
皇考ノ威靈ニ倚藉スルニ由ラサルハ無シ皇朕󠄁レ仰テ
皇祖
皇宗及
皇考ノ神祐ヲ禱リ倂セテ朕󠄁カ現在及將來ニ臣民ニ率先シ此ノ憲󠄁章ヲ履行シテ愆ラサラムコトヲ誓フ庶幾クハ
神靈此レヲ鑒ミタマヘ


憲󠄁法發布勅語

朕國家ノ隆昌ト臣民ノ慶福トヲ以テ中心ノ欣榮トシ朕󠄁カ祖宗ニ承クルノ大權ニ依リ現在及將來ノ臣民ニ對シ此ノ不磨ノ大典ヲ宣布ス

惟フニ我カ祖我カ宗ハ我カ臣民祖先ノ協力輔翼ニ倚リ我カ帝國ヲ肇造シ以テ無窮ニ垂レタリ此レ我カ神聖ナル祖宗ノ威德ト竝ニ臣民ノ忠實勇武ニシテ國ヲ愛シ公󠄁ニ殉ヒ以テ此ノ光輝アル國史ノ成跡ヲ貽シタルナリ朕󠄁我カ臣民ハ卽チ祖宗ノ忠良ナル臣民ノ子孫ナルヲ囘想シ其ノ朕󠄁カ意ヲ奉體シ朕󠄁カ事ヲ奬順シ相與ニ和衷協同シ益〻我カ帝國ノ光榮ヲ中外ニ宣揚シ祖宗ノ遺業ヲ永久ニ鞏固ナラシムルノ希望ヲ同クシ此ノ負擔ヲ分ツニ堪フルコトヲ疑ハサルナリ
朕祖宗ノ遺烈ヲ承ケ萬世一系ノ帝位ヲ践ミ朕カ親愛スル所ノ臣民ハ即チ朕カ祖宗ノ恵撫慈養シタマヒシ所ノ臣民ナルヲ念ヒ其ノ康福ヲ増進シ其ノ懿徳良能ヲ発達セシメム
コトヲ願ヒ又其ノ翼賛ニ依リ与ニ倶ニ國家ノ進運ヲ扶持セムコトヲ望ミ乃チ明治十四年十月十二日ノ詔命ヲ履践シ茲ニ大憲ヲ制定シ朕カ率由スル所ヲ示シ朕カ後嗣及臣民及臣民ノ子孫タル者ヲシテ永遠ニ循行スル所ヲ知ラシム
國家統治ノ大権ハ朕カ之ヲ祖宗ニ承ケテ之ヲ子孫ニ伝フル所ナリ朕及朕カ子孫ハ将来此ノ憲法ノ条章ニ循ヒ之ヲ行フコトヲ愆ラサルヘシ
朕ハ我カ臣民ノ権利及財産ノ安全ヲ貴重シ及之ヲ保護シ此ノ憲法及法律ノ範圍内ニ於テ其ノ享有ヲ完全ナラシムヘキコトヲ宣言ス
帝國議會ハ明治二十三年ヲ以テ之ヲ召集シ議会開会ノ時ヲ以テ此ノ憲法ヲシテ有効ナラシムルノ期トスヘシ
將来若此ノ憲法ノ或ル条章ヲ改定スルノ必要ナル時宜ヲ見ルニ至ラハ朕及朕カ継統ノ子孫ハ発議ノ権ヲ執リ之ヲ議會ニ付シ議會ハ此ノ憲法ニ定メタル要件ニ依リ之ヲ議決スルノ外朕カ子孫及臣民ハ敢テ之カ紛更ヲ試ミルコトヲ得サルヘシ
朕カ在廷ノ大臣ハ朕カ為ニ此ノ憲法ヲ施行スルノ責ニ任スヘク
朕カ現在及將来ノ臣民ハ此ノ憲法ニ対シ永遠ノ義務ヲ負フヘシ





御名御璽

明治二十二年二月十一日　

內閣總理大臣伯爵󠄂 黑田淸隆
樞密院議長 伯爵󠄂 伊藤博文
外務大臣 伯爵󠄂 大隈重信
海軍大臣 伯爵󠄂 西鄕從道
農商務大臣 伯爵󠄂 井上　馨
司法大臣 伯爵󠄂 山田顯義
大藏大臣兼內務大臣伯爵󠄂 松方正義
陸軍大臣 伯爵󠄂 大山　巖
文部大臣 子爵󠄂 森　有禮
遞信大臣 子爵󠄂 榎本武揚


第一章 天皇

第一條 大日本帝國ハ萬世一系ノ天皇之ヲ統治ス

第二條 皇位ハ皇室典範ノ定ムル所󠄁ニ依リ皇男子孫之ヲ繼承ス
　　　　
第三條 天皇ハ神聖ニシテ侵󠄁スヘカラス

第四條 天皇ハ國ノ元首ニシテ統治權ヲ總攬シ此ノ憲󠄁法ノ條規ニ依リ之ヲ行フ

第五條 天皇ハ帝國議會ノ協贊ヲ以テ立法權ヲ行フ

第六條 天皇ハ法律ヲ裁可シ其ノ公󠄁布及執行ヲ命ス

第七條 天皇ハ帝國議會ヲ召集シ其ノ開會閉會停會及衆議院ノ解散ヲ命ス

第八條　天皇ハ公󠄁共ノ安全󠄁ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル爲緊急ノ必要ニ由リ帝國議會
閉會ノ場合ニ於テ法律ニ代ルヘキ勅令ヲ發ス
２　此ノ勅令ハ次ノ會期ニ於テ帝國議會ニ提出スヘシ若議會ニ於テ承諾セサルトキハ政府ハ將來ニ向テ其ノ効力ヲ失フコトヲ公󠄁布スヘシ

第九條　天皇ハ法律ヲ執行スル爲ニ又ハ公󠄁共ノ安寧秩序ヲ保持シ及臣民ノ幸福ヲ增進スル爲ニ必要ナル命令ヲ發シ又ハ發セシム但シ命令ヲ以テ法律ヲ變更スルコトヲ得ス

第十條　天皇ハ行政各部ノ官制及文武官ノ俸給ヲ定メ及文武官ヲ任免ス但シ此ノ憲󠄁法又ハ他ノ法律ニ特例ヲ揭ケタルモノハ各〻其ノ條項ニ依ル

第十一條　天皇ハ陸海軍ヲ統帥スル大元帥テアル但シ陸海軍ノ指揮権ハ內閣カ有ス

第十二條　天皇ハ陸海軍ノ編制及常備兵額ヲ內閣トノ協議ニ依リ定ム

第十三條　天皇ハ內閣ノ要請ニ依ツテ戰ヲ宣シ和ヲ講シ及諸般ノ條約ヲ締結ス

第十四條　天皇ハ內閣ノ要請ニ依ツテ戒嚴ヲ宣告ス
２　戒嚴ノ要件及効力ハ別ノ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第十五條　天皇ハ勳章及其ノ他ノ榮典ヲ授與ス

第十六條　天皇ハ大赦特赦減刑及復權ヲ命ス

第十七條　攝政ヲ置クハ皇室典範ノ定ムル所󠄁ニ依ル
２　攝政ハ天皇ノ名ニ於テ大權ヲ行フ


第二章 臣民權利義務

第十八條　帝國臣民タルノ要件ハ別ノ法律ガ定ムル所󠄁ニ依ル

第十九條　帝國臣民ハ均ク文武官ニ任セラレ及其ノ他ノ公󠄁務ニ就クコトヲ得

第二十條　帝國臣民ハ法律ノ定ムル所󠄁ニ從ヒ兵役ノ義務ヲ有ス
※此ノ條ハ昭和二十二年ニ於ヒテ廃止サレタル

第二十一條　帝國臣民ハ法律ノ定ムル所󠄁ニ從ヒ納稅ノ義務ヲ有ス

第二十二條　帝國臣民ハ居住及移轉ノ自由ヲ有ス
　　　　　　但シ公共ノ福祉ニ反スル塲合ニハ制限サレタル

第二十三條　帝國臣民ハ法律ニ依ルニ非スシテ逮捕監禁審問處罰ヲ受クルコトナシ

第二十四條　帝國臣民ハ法律ニ定メタル裁判官ノ裁判ヲ受クルノ權ヲ奪ハルヽコトナシ

第二十五條　帝國臣民ハ法律ニ定メタル塲合ヲ除ク外其ノ許諾ナクシテ住所󠄁ニ侵󠄁入セラレ及搜索セラルヽコトナシ

第二十六條　帝國臣民ハ法律ニ定メタル塲合ヲ除ク外信書ノ祕密ヲ侵󠄁サルヽコトナシ

第二十七條　帝國臣民ハ其ノ所󠄁有權ヲ侵󠄁サルヽコトナシ
公󠄁益ノ爲必要ナル處分ハ法律ノ定ムル所󠄁ニ依ル

第二十八條　帝國臣民ハ凡テ基本的人權ノ享受ヲ妨ケラレス
此ノ憲法カ臣民ニ保障スル基本的人權ハ侵ス事ノ出来ヌ悠久ノ權利トシテ現在及ヒ將来ノ臣民ニ与ヘラレル

第二十九條　帝國民ハ公共ノ福祉ニ反シナイ限リニ於ヒテ言論著作印行集會及結社ノ自由ヲ有ス

第三十條　帝國臣民ハ相當ノ敬禮ヲ守リ別ニ定ムル所󠄁ノ規程ニ從ヒ請願ヲ爲スコトヲ得

第三十一條　本章ニ揭ケタル條規ハ戰時又ハ國家事變ノ場合ニ於テ天皇大權ノ施行ヲ妨クルコトナシ
第三十二條　本章ニ揭ケタル條規ハ陸海軍ノ法令又ハ紀律ニ牴觸セサルモノニ限リ軍人ニ準行ス

第三章 帝國議会

第三十三條　帝國議會ハ衆議院參議院ノ兩院ヲ以テ成立ス

第三十四條　貴族院ハ貴族院令ノ定ムル所󠄁ニ依リ皇族華族及勅任セラレタル議員ヲ以テ組織ス
注 : 貴族院ハ昭和二十二年ニ廢止サレタル

第三十五條　衆議院及ヒ參議院ハ選擧法ノ定ムル所󠄁ニ依リ公󠄁選セラレタル議員ヲ以テ組織ス

第三十六條　何人モ同時ニ兩議院ノ議員タルコトヲ得ス

第三十七條　凡テ法律ハ帝國議會ノ協贊ヲ經ルヲ要ス

第三十八條　兩議院ハ政府ノ提出スル法律案ヲ議決シ及各〻法律案ヲ提出スルコトヲ得

第三十九條　兩議院ノ一ニ於テ否決シタル法律案ハ同會期中ニ於テ再ヒ提出スルコトヲ得ス

第四十條　兩議院ハ法律又ハ其ノ他ノ事件ニ付各〻其ノ意見ヲ政府ニ建議スルコトヲ得但シ其ノ採納ヲ得サルモノハ同會期中ニ於テ再ヒ建議スルコトヲ得ス

第四十一條　帝國議會ハ每年之ヲ召集ス

第四十二條　帝國議會ハ三箇月ヲ以テ會期トス
２　必要アル場合ニ於テハ勅命ヲ以テ之ヲ延長スルコトアルヘシ

第四十三條　臨時緊急ノ必要アル場合ニ於テ常會ノ外臨時會ヲ召集スヘシ
２　臨時會ノ會期ヲ定ムルハ勅命ニ依ル

第四十四條　帝國議會ノ開會閉會會期ノ延長及停會ハ兩院同時ニ之ヲ行フヘシ
２　衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ參議院ハ同時ニ停會セラルヘシ

第四十五條　衆議院解散ヲ命セラレタルトキハ勅命ヲ以テ新ニ議員ヲ選擧セシメ解散ノ日ヨリ五箇月以內ニ之ヲ召集スヘシ

第四十六條　兩議院ハ各〻其ノ總議員三分ノ一以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開キ議決ヲ爲スコトヲ得ス

第四十七條　兩議院ノ議事ハ過半數ヲ以テ決ス可否同數ナルトキハ議長ノ決スル所󠄁ニ依ル

第四十八條　兩議院ノ會議ハ公󠄁開ス但シ政府ノ要求又ハ其ノ院ノ決議ニ依リ祕密會ト爲スコトヲ得

第四十九條　兩議院ハ各〻天皇ニ上奏スルコトヲ得

第五十條　兩議院ハ臣民ヨリ呈出スル請願書ヲ受クルコトヲ得

第五十一條　兩議院ハ此ノ憲󠄁法及議院法ニ揭クルモノヽ外內部ノ整理ニ必要ナル諸規則ヲ定ムルコトヲ得

第五十二條　兩議院ノ議員ハ議院ニ於テ發言シタル意見及表決ニ付院外ニ於テ責ヲ負フコトナシ但シ議員自ラ其ノ言論ヲ演說刊行筆記又ハ其ノ他ノ方法ヲ以テ公󠄁布シタルトキハ一般ノ法律ニ依リ處分セラルヘシ

第五十三條兩議院ノ議員ハ現行犯罪又ハ內亂外患ニ關ル罪ヲ除ク外會期中其ノ院ノ許諾ナクシテ逮捕セラルヽコトナシ

第五十四條　國務大臣及政府委員ハ何時タリトモ各議院ニ出席シ及發言スルコトヲ得

第四章 內閣及ヒ樞密顧問

第五十五條　行政権及ヒ統帥権ハ天皇陛下依リ內閣總理大臣ニ貸与サレタル

第五十六條　內閣ハ法律ノ定ムル所ニ依リ、其ノ首長タル內閣總理大臣及ヒ他ノ國務大臣是ヲ組織ス
２　內閣總理大臣及ヒ他ノ國務大臣ハ文民テナケレハ爲ラナイ
３　內閣ハ行政権ノ行使ニ附ヒテ天皇陛下ニ対シ連帯シ責任ヲ負フ

第五十七條　內閣總理大臣ハ帝國議會議員ノ内依リ議會カ推薦スル此ノ推薦依リ陛下ノ御名ニ於ヒテ指名サレル

第五十八條　內閣總理大臣ハ國務大臣ヲ任命ス但シ其ノ過半数ヲ帝國議會議員ノ中依リ選ハレナケレハ爲ラナイ
２　內閣總理大臣ハ任意テ國務大臣ヲ罷免スル事ヲ得

第五十九條　內閣ハ衆議院ニ於ヒテ不信任ノ決議案ヲ可決シ又ハ信任ノ決議案ヲ否決シタ時ハ十日以內ニ衆議院カ解散サレナイ限リ総辞職セネハ為ラナイ

第六十條　內閣總理大臣カ何カノ理由ニ依リ欠ケタトキ又ハ衆議院議員ノ後ニ帝國議会ノ召集カアツタ時ニハ総辞職セネハ為ラナイ

第六十一條　前二條ノ場合ニハ內閣ハ新タニ內閣総理大臣カ任命サレル迄引キ続キ其ノ職務ヲ行フ

第六十二條　內閣總理大臣ハ內閣ヲ代表シテ議案ヲ帝國議會ニ提出シ一般國務及ヒ外交関係ニツイテ帝國議會及ヒ天皇陛下ニ報告シ並ヒニ行政部署ヲ指揮監督ス

第六十三條　內閣ハ他ノ一般行政事務ノ外左ノ事務ヲ行フ
一、 法律ヲ確実ニ執行シ國務ヲ総理スル事
二、 外交關係ヲ処理スル事
三、 條約ヲ締結スル事
但シ時宜ニヨツテハ事後ニ帝國議會又ハ天皇陛下ノ承認ヲ必要トス
四、 法律ノ定ムル所ニ従ヒ官吏ニ關スル事務ヲ掌理スル事
五、 予算ヲ作成シテ帝國議會ニ提出スル事
六、 是憲法及ヒ法律ノ規定ヲ実施スル為ニ政令ヲ制定スル事
但シ政令ニハ特ニ其ノ法律ノ委任カ或ル場合ヲ除ヒテハ罰則ヲ設ケル事ハ出来ナイ
七、 減刑、刑ノ執行弐ノ免除及ヒ復権、大赦・特赦ノ陛下ヘノ推薦ヲ決定スル事

第六十四條　法律及ヒ政令ニハ全テ主任ノ國務大臣カ署名シ內閣総理大臣カ連署スル事ヲ必要トス

第六十五條　國務大臣ハ其ノ在任中內閣總理大臣ノ同意カ無ケレハ訴追サレナイ但シ此レカ爲訴追ノ権利ハ害サレナイ

第六十六條　樞密顧問ハ樞密院官制ノ定ムル所󠄁ニ依リ天皇ノ諮詢ニ應ヘ重要ノ國務ヲ審議ス

第五章 司法

第六十七條　全テ司法権ハ天皇陛下ヨリ権力ヲ貸与サレタル最髙裁判所及ヒ法律ノ定ムル所ニ依リ設置スル下級裁判所ニ属スル
２　特別裁判所ハ是ヲ設置スル事カ出来ナイ行政機關ハ終審トシテ裁判ヲ行フ事カ出来ナイ
３　凡テ裁判官ハ其ノ良心ニ従ヒ独立シテ其ノ職権ヲ行ヒ此ノ憲法及ヒ法律ニノミ拘束サレル

第六十八條　最髙裁判所ハ訴訟ニ關スル手続・弁護士・裁判所ノ内部規律及ヒ司法事務処理ニ關スル事項ニツイテ規則ヲ定ムル権限ヲ有ス
２　検察官ハ最髙裁判所ノ定ムル規則ニ従ハナケレバ為ラナイ
３　最高裁判所ハ下級裁判所ニ関スル規則ヲ定ムル権限ヲ下級裁判所ニ委任スル事カ出来ル

第六十九條　裁判官ハ裁判ニ依リ心身ノ故障ノ爲ニ職務ヲ執ル事カ出来ナイト決定サレタ場合ヲ除ヒテハ公ノ弾劾ニ依ラナケレハ罷免サレナイ裁判官ノ懲戒処分ハ行政機関カ此レヲ行フ事ハ出来ナイ

第七十條　最髙裁判所ハ其ノ長タル裁判官及ヒ法律ノ定ムル員数ノ其ノ他ノ裁判官テ此レヲ構成シ其ノ長タル裁判官以外ノ裁判官ハ內閣テ是ヲ任命ス
２　最髙裁判所ノ裁判官ノ任命ハ其ノ任命後初メテ行ハレル衆議院議員総選挙ノ際國民ノ審査ニ附シ其ノ後十年ヲ経過シタ後初メテ行ハレル衆議院議員総選挙ノ際更ニ審査ニ附シ其ノ後モ同様トス
３　前項ノ場合ニ於ヒテ投票者カ裁判官ノ罷免ヲ可トスル時際ハ其ノ裁判官ハ罷免サレル
４　審査ニ關スル事項ハ法律テ是ヲ定ムル
５　最髙裁判所ノ裁判官ハ法律ノ定ムル年齢ニ達シタ時退官ス
６　最髙裁判所ノ裁判官ハ凡テ定期ニ相当額ノ報酬ヲ受クル此ノ報酬ハ在任中是ヲ減額スル事カ出来ナイ

第七十一條　下級裁判所ノ裁判官ハ最高裁判所ノ指名シタ者ノ名簿ニヨツテ內閣テ是ヲ任命ス其ノ裁判官ハ任期ヲ十年トシ再任サレル事カ出来ル但シ法律ノ定ムル年齢ニ達シタ時ニハ退官ス
２　下級裁判所ノ裁判官ハ凡テ定期ニ相当額ノ報酬ヲ受クル此ノ報酬ハ在任中是ヲ減額スル事カ出来ナイ

第七十二條　最髙裁判所ハ一切ノ法律命令規則又ハ処分カ憲法ニ適合スルカシナイカヲ決定スル権限ヲ有スル終審裁判所テアル

第七十三條　裁判ノ対審及ヒ判決ハ公開法廷ニテ是ヲ行フ
２　裁判所カ裁判官ノ全員一致テ公ノ秩序又ハ善良ノ風俗ヲ害スル虞カアルト決した場合対審ハ公開セス是ヲ行フ事ヲ得
３　但シ政治犯罪・出版ニ關スル犯罪又ハ此ノ憲法第ニ章ニテ保障スル國民権利カ問題トナツテヰル事件ノ対審ハ常ニ是ヲ公開シナケレバナラナイ

第六章 會計

第七十四條　新ニ租稅ヲ課シ及稅率ヲ變更スルハ法律ヲ以テ之ヲ定ムヘシ
但シ報償ニ屬スル行政上ノ手數料及其ノ他ノ收納金ハ前項ノ限ニ在ラス
２　國債ヲ起シ及豫算ニ定メタルモノヲ除ク外國庫ノ負擔トナルヘキ契約ヲ爲スハ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ

第七十五條　現行ノ租稅ハ更ニ法律ヲ以テ之ヲ改メサル限ハ舊ニ依リ之ヲ徵收ス

第七十六條　國家ノ歲出歲入ハ每年豫算ヲ以テ帝國議會ノ協贊ヲ經ヘシ
豫算ノ款項ニ超過シ又ハ豫算ノ外ニ生シタル支出アルトキハ後日帝國議會ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

第七十七條　豫算ハ前ニ衆議院ニ提出スヘシ

第七十八條　皇室經費ハ現在ノ定額ニ依リ每年國庫ヨリ之ヲ支出シ將來增額ヲ要スル場合ヲ除ク外帝國議會ノ協贊ヲ要セス

第七十九條　憲󠄁法上ノ大權ニ基ツケル既定ノ歲出及法律ノ結果ニ由リ又ハ法律上政府ノ義務ニ屬スル歲出ハ政府ノ同意ナクシテ帝國議會之ヲ廢除シ又ハ削減スルコトヲ得ス

第八十條　特別ノ須要ニ因リ政府ハ豫メ年限ヲ定メ繼續費トシテ帝國議會ノ協贊ヲ求ムルコトヲ得

第八十一條　避クヘカラサル豫算ノ不足ヲ補フ爲ニ又ハ豫算ノ外ニ生シタル必要ノ費用ニ充ツル爲ニ豫備費ヲ設クヘシ

第八十二條　公󠄁共ノ安全󠄁ヲ保持スル爲緊急ノ需用アル場合ニ於テ內外ノ情形ニ因リ政府ハ帝國議會ヲ召集スルコト能ハサルトキハ勅令ニ依リ財政上必要ノ處分ヲ爲スコトヲ得
２　前項ノ場合ニ於テハ次ノ會期ニ於テ帝國議會ニ提出シ其ノ承諾ヲ求ムルヲ要ス

第八十三條　帝國議會ニ於テ豫算ヲ議定セス又ハ豫算成立ニ至ラサルトキハ政府ハ前年度ノ豫算ヲ施行スヘシ

第八十四條　國家ノ歲出歲入ノ決算ハ會計檢査院之ヲ檢査確定シ政府ハ其ノ檢査報告ト俱ニ之ヲ帝國議會ニ提出スヘシ
２　會計檢査院ノ組織及職權ハ法律ヲ以テ之ヲ定ム

第七章 地方自治

第八十五條　地方公共團體ノ組織及ヒ運営ニ関スル事項ハ地方自治ノ本旨ニ基ツキ別ノ法律ニ於ヒテ是ヲ定ム

第八十六條　地方公共團體ニハ法律ノ定ムル所ニ依リ其ノ議事機關トシテ議會ヲ設置ス
２　地方公共團體ノ長其ノ議會ノ議員及ヒ法律ノ定ムル其ノ他吏員ハ其地方公共團體ノ住民直接是ヲ選挙ス
第八十七條　地方公共團體ハ其財産ヲ管理シ事務ヲ処理シ及ヒ行政ヲ執行スル権能ヲ有シ法律ノ範囲内ニ於ヒテ条例ヲ制定スル事ヲ得

第八十八條　一ノ地方公共團體ノミニ適用サレタル特別法ハ法律ノ定ムル所ニ依リ其ノ地方公共團體ノ住民投票ニ於ヒテ其過半数ノ同意ヲ得ナケレハ帝國議會ハ是ヲ制定スル事カ出来ナイ

第八章 最高法規

第八十九條　是憲法ハ帝國ノ最高法規テアツテ其条規ニ反スル法律・命令及ヒ國務ニ關スル他ノ行為ノ全部又ハ一部ハ其効力ヲ有セス
２　帝國カ締結シタ条約及ヒ確立サレタル國際法規ハ是ヲ誠實ニ遵守サレタル事ヲ要スル

第九章　補則

第九十條　将来此ノ憲法ノ條項ヲ改正スルノ必要アルトキハ勅命ヲ以テ議案ヲ帝国議
  會ノ議ニ付スヘシ
２　此ノ場合ニ於テ両議院ハ各々其ノ総員三分ノ二以上出席スルニ非サレハ議事ヲ開ク
  コトヲ得ス出席議員三分ノ二以上ノ多数ヲ得ルニ非サレハ改正ノ議決ヲ為スコトヲ
  得ス

第九十一條　皇室典範ノ改正ハ帝國議會ノ議ヲ経ルヲ要セス
２　皇室典範ヲ以テ此ノ憲法ノ条規ヲ変更スルコトヲ得ス

第九十二條　憲法及皇室典範ハ摂政ヲ置クノ閒之ヲ変更スルコトヲ得ス

第九十三條　法律規則命令又ハ何等ノ名称ヲ用ヰタルニ拘ラス此ノ憲法ニ矛盾セサル現
  行ノ法令ハ総テ遵由ノ効力ヲ有ス
２　歲出上政府ノ義務ニ係ル現在ノ契約又ハ命令ハ総テ第七十九條ノ例ニ依ル

第九十四條　是憲法以前及ヒ以後ニ制定サレタル憲法ハ効力ヲ有セス但シ是ハ將來此ノ憲法ノ一條文トシテ改訂サレタル條項ノ効力ヲ妨ケル物ニ非ス

第九十五條　是憲法ハ公布日依リ起算シ六箇月ヲ経過シタ日依リ是ヲ施行ス
２　是憲法ヲ施行スル爲必要ナ法律ノ制定參議院議員ノ選挙及ヒ帝國議會召集ノ手続並ヒニ是憲法ヲ施行スル爲必要ナ準備手続ハ前項期日依リモ前ニ是ヲ行フ事ヲ得

第九十六條　是憲法ハ令和○○年○○月○○日依リ改正・施行サレタル


以上の憲法を発布し得ることによって初めて帝国の復古が開始できるのではないだろうか？