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032 怪獣島
しおりを挟むそれはお昼時のことでした。
いつものように、机をくっつけては仲のいい四人でおべんとうを食べていたのですけれども、会話の途中でハッちゃんが言いました。
「この前に園芸部が捕まえたモズラ、怪獣島に送られたってさ」
モズラは害虫です。
とり憑いた木の養分を吸い尽くし、蛹から蛾へと羽化したところで、お世話になった木を蹴り倒して巣立つ極悪非道の輩。
園芸部の敵です。
そんなのが少し前に、つばくろ高校のシンボルである伝説の樹に寄生しちゃったものだから、さぁたいへん!
園芸部一同は、お世話になっている伝説の庭師兄弟レジェンド・ツインズの助力を得て、敢然と立ち向かいました。
ですが奮闘するもあと一歩及ばず。
逃げられそうになったのですが、そこへ駆けつけてくれたのが御庭番衆部でした。
とはいっても、クダンちゃんたちは誰もその姿を見てはいません。
なにせ彼らは影に生き、世を忍ぶ者たちなので。
すべては煙幕の内にて、あっという間に終わっていました。
あとに残るは、ボコボコにされてのびていたモズラと『義によって助太刀いたす。御庭番衆部』と書かれた貼り紙のみ。
だから、正確には園芸部が御庭番衆部の助力を得て捕まえた……なのですけど。
新聞部が大々的に号外を打ったもので、校内ではもっぱら園芸部の手柄として知られているのです。
なにやら手柄を独り占めにしたみたいで、どうにも落ち着かないのですけれども、恩人である御庭番衆部側からのたっての要望とあらば、それもしょうがありません。
彼らはあくまで表舞台に立つことなく、裏から学園の平和を守るのを任務としているので、目立ちたくないとのこと。
新聞部としてもその意思を尊重したのです。
「ふふふ、都合の悪い真実は伏せて、情報を操作することこそ報道の醍醐味なり!」
なんぞと新聞部の部長さんはおっしゃっていましたけれども、本当にそれでいいのかしらん。クダンちゃんはこてんと小首をかしげずにはいられません。
まぁ、それはさておき。
「そうですか、怪獣島へ……」とクダンちゃん。
怪獣島は、沖合にある人工島です。
ですが場所は公開されていません。南の方にある絶海の孤島らしいのですけど。
もちろん一般人は立ち入り禁止になっており、そこには古今東西にて捕獲された危険生物たちが一堂に会しているそうな。
ジャングルあり、山あり、谷あり、湖に滝や川に砂丘に温泉まで。
暑い地域もあれば、寒い場所もある。
ぼほすべての環境が整っており、自然豊かで、果樹などもたくさん。
なので仲良く暮らせば楽園となりえるそうですが、実態は弱肉強食のワイルドライフなんだとか。
ウワサによれば、ビルほどもある大きなゴリラや、三つも首がある竜のような獣に、轟々と破壊光線を吐く恐竜みたいなのもいるんだとか。
想像するだに恐ろしいところです。
そんな場所へと送られちゃうとは、お気の毒なことです。
クダンちゃんは心の中でナムナム。
けれどもハッちゃんはちがったようで「いいなぁ、私もいつか行ってみたい」なんぞと言っています。
バイオ生物部に所属しているハッちゃんは生き物大好き。
それが高じての発言なのでしょうけど、さすがにこればかりは応援できません。
だからクダンちゃん、カエちゃん、チヨちゃんらは口をそろえて「悪いことは言わないからやめておきなさい」と諭しましたけど、はたしてどれだけ効果があることやら。
などと、おしゃべりしていた途中のことです。
ふとクダンちゃんの頭にある映像が浮かびました。
おや? クダンちゃんの予知能力が発動したみたいです。
見覚えのない場所ですが、海が青くてキラキラしており、とてもキレイ。
だったのが、いきなり山がドカンと噴火して、てんやわんやになるという光景。
さなかに島からそろりと海中へ没する、巨大な影がありました。
すぐに潜ってしまったので、よくわかりませんけれども、なんとなくカメっぽかったかも?
影は北へと進路をとって泳いで行きます。
その正体を見極めようとクダンちゃんが「ムムム」と集中しようとした矢先のことでした。
肩を掴まれ、ゆさゆさ。
やったのはカエちゃんです。会話の途中で急に黙り込んで、目が虚ろになった友人を心配してのことでした。
ですがこれにより映像は途中で切れてしまい、それきりに。
この時に視た映像の場所が、じつは話題の怪獣島にて。
噴火の騒ぎに乗じて、島を脱走したのが一体の怪獣であったこと。
そしてそれがのちに大騒動を引き起こすことになるのですが、この時のクダンちゃんは知る由もありませんでした。
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