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045 恋文狂騒曲 ― フルーツバスケット
しおりを挟む次の休憩時間もクラスの女子たちの話題は、ナゾの便箋のことで持ちきりです。
とはいえ、あーでもない、こーでもないと、憶測が飛び交うばかりで堂々めぐり。進展はナシ。
けれども、そこへ――
「ビッグニュース! ビッグニュース!」
駆け込んできたのは、ちょっとお花摘みに行っていた子。
そこで耳よりな情報を拾ってきました。
「他のクラスでも同じような騒動が起きているらしいわよ」
クダンちゃんが所属している一年二組の他にも、三組、五組でもキャアキャアと狂騒が勃発している。
ただし三組では男子たちが、五組は女子でしたけど。
この情報を知ったカエちゃんは、「フム。もしかしたら他のところでも起きているかも。ちょっと誰か聞いてきてちょうだい」と言えば、すぐさま数名が教室を飛び出していきました。
で、待つことしばし。
もたらされたのは「九組と十一組でも手紙騒動が起きていた!」という情報でした。
九組と十一組はともに男子の机に便箋がしのばせてあったそうです。
これで合計五件です。
実物を比べて確認したわけではありませんが、話を聞くかぎりでは同じような花柄の可愛らしい便箋っぽい。
ただし、封をしているシールはちがうようです。
クダンちゃんのはイチゴのシールが貼ってありました。でも他はレモン、リンゴ、メロン、ブドウだったとのこと。
シールはすべてフルーツ!
このちがいに意味があるのか、ないのか?
同時多発的にばら撒かれていることからして、愉快犯によるイタズラ目的の線も疑われる。
「……いえ、ちょっと待ってください。イチゴはたしか野菜だったはず」
「「「「「えっ、そうなの?」」」」」
イチゴはバラ科オランダイチゴ属の植物で、実は野菜の仲間。
誰かが口にした驚愕の真実に一同騒然! とんだフルーツバスケット!
園芸部員にもかかわらず、そのことを知らなかったクダンちゃんもビックリするのと同時に、己の不勉強をおおいに恥じました。
五通のうち一通だけ野菜のシール……
もしやそこに何か秘められたメッセージが!?
う~ん、ナゾはますます深まるばかりにて。
「――っていうかさぁ、五通もあるんだったら、とっくに誰かが封を切ってるんじゃないの? 読んだ人に内容を聞けば済む話なのでは?」
言われてみればたしかにその通り。
というわけで、またぞろ便箋が発見されたクラスへと、ひとっ走りしてもらったのですけれども。
「えっ、誰も開けてないの」
まさかの全員、未開封。
さすがはつばくろ高校の生徒たち、宛名も差出人も書かれていない便箋を不用意に開封したりしないのです。
そしてどこのクラスも考えることは同じようでして、誰も『手紙を盗み見たハレンチ』という不名誉な泥はかぶりたくないと。
ここにきて事態はおもわぬ我慢比べの様相を呈す。
手紙の中身を確認せぬことには、何もはじまらない。
さりとて便箋を開けるのには抵抗がある。
でも見たい! 読みたい! 知りたい!
好奇心と理性の狭間で揺れ動く乙女心。
クダンちゃんたちはジレンマに身悶えるばかり。
そのせいで次の授業中も、ずっとソワソワしっぱなしにて、先生から「たるんどる!」とそろって叱責されることになってしまいました。
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