それいけ!クダンちゃん

月芝

文字の大きさ
47 / 71

046 恋文狂騒曲 ― 波紋

しおりを挟む
 
 授業中にもかかわらずチラチラ。
 互いに目配せをしてはソワソワ。
 ときにはこしょこしょ内緒話なんぞも。

 すっかり気もそぞろです。
 ですが落ち着かないのは、一年二組だけではありませんでした。
 ナゾの便箋に翻弄されている、三組、五組、九組、十一組も似たり寄ったり。
 こういうのは当事者らはいまひとつピンときませけれども、傍からみているとよくわかるもので。一段高くなっており、教室中が見渡せる教壇の上からならば丸見えです。

 先生方の間でも「おや? なんだか今日の一年生たちは様子がヘンだぞ」と首をかしげられており、かつ他のクラスにもウワサが広まりつつありました。
 この分では時間の問題です。昼休みの頃にはもう学年中に、情報が拡散されていることでしょう。

 そうなれば騒ぎはますます大きくなってしまいます。
 こうなると学校側も黙っているわけにはいきません。
 ですが先生たちからの介入なんてあった日には、生徒会も黙ってはいません。
 なぜなら生徒会は「あくまで生徒の自主性を重んじる」というスタンスだからです。民事不介入ならぬ生徒事不介入です。
 べつに学校側と表立って対立する立場ではありませんけど、余計な口出しはご遠慮願いたいところ。

 おもわぬ波紋が生じています。
 この事態を穏便にすますには、一刻もはやく便箋の送り主とその意図を明らかにする必要があります。
 こうなったらしょうがありません。
 意を決して、封を切るべきか。

 う~ん、じつに悩ましい……

 三人集まれば文殊の知恵というけれど。
 クラスの女子たちが集まっても、これといった妙案は浮かばず。
 みな腕組みにてウンウンうなるばかり。

「ねえ、クダンちゃんのチカラでどうにかできないの?」

 予知能力で手紙の内容を推察してはどうかと言い出したのはカエちゃんです。
 このチカラを乱用するのはよくないことなのは重々承知だけれども、ここはみんなの平穏な学校生活のために、曲げてどうにか。
 ですが……

「すみません。このチカラはちょっとした閃きみたいなものでして」

 クダンちゃんの予知能力は自由自在とはいきません。
 いえ、ちゃんと手順を踏めばある程度までは操れるのですけれども、いまみたいに教室でホイホイとできることではありません。
 あと手紙の中を見るのは、予知ではなくて透視能力の類なのでは?
 ともおもいましたが、クダンちゃんはそのことはあえて口にしませんでした。

 ですが、このやりとりが呼び水となったのか。
 急にビビビときました。
 これは予知能力が発動する前触れです。
 パッとクダンちゃんの脳裏にとある人物の姿が浮かびました。
 けれどもよく見知った人物だったので、クダンちゃんはおもわず「えっ」と驚きの声をあげました。
 その人物とは誰あろう、園芸部の部長である大谷津姫だったからです。

 細目でほんわかした雰囲気の持ち主。三つ編みがとても良く似合うおっとりした性格で、花と土をこよなく愛す、胸もたわわな三年生の先輩。
 豊穣を司る女神のような大谷部長は面倒見のいい方で、未熟な新入生にも親切に指導をしてくださるもので、クダンちゃんも部活動ではとてもお世話になっています。
 大谷部長がぶらりと一年二組の教室へとやってきては、スパッと快刀乱麻を断つ。
 視えたのは、そんな映像でした。
 ですが、あいにくと先輩が何と言ったのかまでは聞き取れず……

 たったいま視えた予知についてクダンちゃんはみなに教えました。
 するとカエちゃんが「先輩が来るタイミングはわからないの」と訊いてきたもので、クダンちゃんは「う~ん」
 よくよく先ほどみた予知の内容を思い返してみる。
 するとその場面の中に教室に設置されている掛け時計が映り込んでいたことを思い出しました。時計の針はたしか……

「あっ、たぶんお昼休みに入って少し経ってからだとおもいます」

 ナゾが明らかになるのは昼休み!
 乞うご期待?


しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

17歳男子高生と32歳主婦の境界線

MisakiNonagase
恋愛
32歳主婦のカレンはインスタグラムで20歳大学生の晴人と知り合う。親密な関係となった3度目のデートのときに、晴人が実は17歳の高校2年生だと知る。 カレンと晴人はその後、どうなる?

還暦の性 若い彼との恋愛模様

MisakiNonagase
恋愛
還暦を迎えた和子。保持する資格の更新講習で二十代後半の青年、健太に出会った。何気なくてLINE交換してメッセージをやりとりするうちに、胸が高鳴りはじめ、長年忘れていた恋心に花が咲く。 そんな還暦女性と二十代の青年の恋模様を書いたストーリーです。

熟女愛好家ユウスケの青春(熟女漁り)

MisakiNonagase
恋愛
高校まで勉強一筋で大学デビューをしたユウスケは家庭教師の教え子の母親と不倫交際するが、彼にとって彼女とが初の男女交際。そこでユウスケは自分が熟女好きだと自覚する。それからユウスケは戦略と実戦を重ねて、清潔感と聞き上手を武器にたくさんの熟女と付き合うことになるストーリーです。

旧校舎の地下室

守 秀斗
恋愛
高校のクラスでハブられている俺。この高校に友人はいない。そして、俺はクラスの美人女子高生の京野弘美に興味を持っていた。と言うか好きなんだけどな。でも、京野は美人なのに人気が無く、俺と同様ハブられていた。そして、ある日の放課後、京野に俺の恥ずかしい行為を見られてしまった。すると、京野はその事をバラさないかわりに、俺を旧校舎の地下室へ連れて行く。そこで、おかしなことを始めるのだったのだが……。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

彼の言いなりになってしまう私

守 秀斗
恋愛
マンションで同棲している山野井恭子(26才)と辻村弘(26才)。でも、最近、恭子は弘がやたら過激な行為をしてくると感じているのだが……。

処理中です...