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147 内憂外患とお土産問題
しおりを挟む海底大空洞にある聖梅樹に異変が起きた。
この件について、天狼オウランはロバイス王より相談を受ける。
「ムムム、なにやら中央の方から奇妙な波動が伝わってきよる。どれちょっくら様子をみてくるとするか」
伝説の黄金級の禍獣ともなれば、長距離転移もお手のもの。
まるで近所に散歩にでも行くかのような気軽さにて、ふらりとムクラン帝国へと赴く。
そんな天狼オウランが、エレン姫や枝垂たちを連れ帰ったもので、国元ではちょっとした騒ぎとなったのは余談だ。
いささか予定が狂ったものの、枝垂たちは無事に帰国を果たした。
連合評議会、親善交流試合、婚約発表や帝国との今後について、連続爆破テロなどなど。
報告すべきことは山とある。
エレン姫はさっそく両親のもとへと向かい、自分が見聞きしてきたことをつまびらかに報告するそうな。
ジャニスは警護の任を解かれて近衛士筆頭に戻った。タフな黒ヒョウ女剣士は、出張の疲れもどこへやら。ろくにカラダを休めることもなく、留守にしていた間に溜まっていた書類仕事を片付けるべく自分の執務室へと向かった。
枝垂は取り急ぎすることがなかったもので、散歩がてら城内の梅苑をざっと見て回り、梅の木たちの発育具合をチェックしてから、あてがわれている自室へと戻った。
「はぁ~、ようやく帰ってこれた。……にしても、本当にいろいろあったなぁ。中央はやっぱりしんどいや。いろいろ面倒だし。僕はこの島ぐらいがちょうどいいね」
どっこらせと備え付けの一人掛けのソファーに腰を下ろし、枝垂は荷ほどきをしている飛梅さんを横目に、やれやれ。
これからのことを考えると、知らず知らずのうちにタメ息が零れてしまう。
事態がどう転ぶのかはわからないけれども、これだけは確実に言える。
中央は荒れる。
ラグール聖皇国が、どの程度まで鉱人らの浸蝕を受けているのかにもよるだろうが、楽観視はとてもできない。
外からは星骸と赤霧の脅威が迫り、内からは復讐を目論んでいる鉱人らの暗躍、まさに内憂外患とはこのことであろう。
激震は中央のみならず寄り子となっている国や、周辺のみならず、ひいては辺境にも大なり小なりおよぶはず。
女帝さんの振る舞いや機転により、やや辺境との関係が改善されつつあるとはいえ、それはあくまでムクラン帝国に限った話だし、長年に渡って累積されてきた不信感はそうそう拭えない。
手をこまねているうちにも反勇者派勢はますます気焔をあげており、その活動も過激になるばかり。
五ヶ国間のかけ引きもあるし、なかなか難しい。
せめて鉱人の存在が明らかになればいいのだけれども、そこをどうにかクリアしないことには、いくら危険を訴えたところで誰も信じまい。絵に書いた餅と同じ、妄想と一笑にふされて終わりだろう。
「今後の帝国の研究に期待するしかないね。見分け方が判明すれば、具体的な手が打てるようになるだろうから」
現時点で、枝垂に出来ることはほとんどない。
せいぜい必要に応じて出張しては、怪しい宝石がないかを鑑定するぐらいだろう。
あとは星のチカラを蓄えて、いざという時に備えるのみ。
「あー、大丈夫だとはおもうけど、いちおうコウケイ国内の分もチェックしておいた方がいいかな? 帝国に比べたらごくわずかとはいえ、それなりに宝物を持ってるし」
などと、枝垂は独り言をぶつぶつ。
ふと顔をあげたら、室内から赤べこのフセの姿が消えていた。
荷ほどきする飛梅さんにまとわりついていたけれども、じきに飽きて部屋を出て行ったようだ。おおかた厨房にでも顔を出し、何か食べ物をねだるつもりなのだろう。
「よっこらせ」
枝垂は重い腰をあげ、飛梅さんがほどいてくれ荷のうちのひとつへと向かった。
この木箱には、クラスメイトたちや先生など、日頃からお世話になっているみんなへのお土産がたんと入っている。
これを仕分けして、バランスよく配るのが星クズの勇者の目下の任務である。
「たかがお土産、されどお土産ってね。こういう小さなところから、人間関係が拗れるからあなどれないんだよ」
たくさんのお土産物類を出し並べては、それを眺めながら枝垂は「う~ん」
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