49 / 101
49 工房長
しおりを挟む
厨房チームと共に魔王城に戻った私はその足で、料理長に連れられて工房へとやって来ました。
異世界ファンタジー、工房といえば、やはりドワーフの登場でしょう……、そんな風に考えていた時期もありました、が実際は違いました。
工房に詰めていたのは小鬼さんたちでした、ゴブリンっていう奴ですね。
ゲームなどでは雑魚キャラ扱いされているそうですが、少なくとも魔族領の方は違いますよ。個の力は確かに弱いですが、集団戦では無類の強さを発揮なさいます。あと各種武器の扱いにも長けているので、とにかく戦闘のバリエーションが豊富、ありとあらゆる局面に対応できる多様性も脅威です。それから弱いといっても魔族準拠なので、人間と比べたら、その辺の騎士なんて圧倒しますのであしからず。
見慣れぬ機械やら道具やらで、ごちゃごちゃとした工房内に一歩足を踏み入れた途端に、熱烈な歓迎を受けました。みなさま作業を放り出して輪となり、花蓮コールです。壁に私の新聞記事の切り抜きが額に入れて飾ってあり、その前にお花まで供えられていました。
まるでどこぞの教祖に入れあげる信者みたいです。
料理長の嘘つき、シラフでも酔っ払っていても同じじゃないですか。
「おら、お前ら、その辺にしておけ。花蓮が困っているぞ、それよりも今日は工房長に用事があってきたんだ」
興奮冷めやらぬ一同に料理長が仲介に入ってくれて、ようやく本題に入れそうです。
紹介された工房長は赤いスカーフを腕輪に巻いた方でした。はっきり言って、ゴブリンの皆さんは外見に差異が少ないので、私には見分けがつきません。
「気にするな、オレもわからん」
ガハハと笑う料理長、どうやら彼らは同種族間でもないと、まずわからないのが普通らしいです、ちょっと安心しました。
「それで花蓮様、何をお造りしましょうか? ドラゴンでも打ち落とせる砲台でも、魔王城の城壁をぶっ飛ばせる破城槌でも、なんでもお申しつけ下さい」
さらりとトンでもないことを口にする工房長、彼の目に盲目的な信仰の危うさを見ました。
とりあえずそんな物騒な品はいらないので丁重にお断りをし、イラストつきにて卸し金の説明をすると、五分と待たずに品物が出て来ました。やはり魔族の職人は半端ねぇです。
まるで下僕のように私に傅く工房長が、「もっともっと」と五月蠅いので、とりあえず圧力鍋の開発を依頼しておきます。さすがに五分十分でどうにかなるモノではないので、これでしばらくは時間が稼げることでしょう。
卸し金を受け取った私は工房のみなに礼を述べて、今度は厨房へと場所を移します。
そこで採ってきた山芋っぽい何かをズリズリ。
どろりとした白い粘着性の物質に、とりあえず適当に味を加えて実食、モチモチとしていて野趣溢れる風味が癖になる、わりといい感じ。
「ほう、これは面白いな。色んなモノに使えそうだ」
料理長も興味を持ちましたので、とりあえず思いつく限りの山芋の利用法を教えると、早速研究してみると仰いました。クククク、これで近いうちにお好み焼きも食べられそうです。
少し人格に問題はありそうですが、工房長という知り合いも出来たことですし、何気に収穫の多い一日でした。
異世界ファンタジー、工房といえば、やはりドワーフの登場でしょう……、そんな風に考えていた時期もありました、が実際は違いました。
工房に詰めていたのは小鬼さんたちでした、ゴブリンっていう奴ですね。
ゲームなどでは雑魚キャラ扱いされているそうですが、少なくとも魔族領の方は違いますよ。個の力は確かに弱いですが、集団戦では無類の強さを発揮なさいます。あと各種武器の扱いにも長けているので、とにかく戦闘のバリエーションが豊富、ありとあらゆる局面に対応できる多様性も脅威です。それから弱いといっても魔族準拠なので、人間と比べたら、その辺の騎士なんて圧倒しますのであしからず。
見慣れぬ機械やら道具やらで、ごちゃごちゃとした工房内に一歩足を踏み入れた途端に、熱烈な歓迎を受けました。みなさま作業を放り出して輪となり、花蓮コールです。壁に私の新聞記事の切り抜きが額に入れて飾ってあり、その前にお花まで供えられていました。
まるでどこぞの教祖に入れあげる信者みたいです。
料理長の嘘つき、シラフでも酔っ払っていても同じじゃないですか。
「おら、お前ら、その辺にしておけ。花蓮が困っているぞ、それよりも今日は工房長に用事があってきたんだ」
興奮冷めやらぬ一同に料理長が仲介に入ってくれて、ようやく本題に入れそうです。
紹介された工房長は赤いスカーフを腕輪に巻いた方でした。はっきり言って、ゴブリンの皆さんは外見に差異が少ないので、私には見分けがつきません。
「気にするな、オレもわからん」
ガハハと笑う料理長、どうやら彼らは同種族間でもないと、まずわからないのが普通らしいです、ちょっと安心しました。
「それで花蓮様、何をお造りしましょうか? ドラゴンでも打ち落とせる砲台でも、魔王城の城壁をぶっ飛ばせる破城槌でも、なんでもお申しつけ下さい」
さらりとトンでもないことを口にする工房長、彼の目に盲目的な信仰の危うさを見ました。
とりあえずそんな物騒な品はいらないので丁重にお断りをし、イラストつきにて卸し金の説明をすると、五分と待たずに品物が出て来ました。やはり魔族の職人は半端ねぇです。
まるで下僕のように私に傅く工房長が、「もっともっと」と五月蠅いので、とりあえず圧力鍋の開発を依頼しておきます。さすがに五分十分でどうにかなるモノではないので、これでしばらくは時間が稼げることでしょう。
卸し金を受け取った私は工房のみなに礼を述べて、今度は厨房へと場所を移します。
そこで採ってきた山芋っぽい何かをズリズリ。
どろりとした白い粘着性の物質に、とりあえず適当に味を加えて実食、モチモチとしていて野趣溢れる風味が癖になる、わりといい感じ。
「ほう、これは面白いな。色んなモノに使えそうだ」
料理長も興味を持ちましたので、とりあえず思いつく限りの山芋の利用法を教えると、早速研究してみると仰いました。クククク、これで近いうちにお好み焼きも食べられそうです。
少し人格に問題はありそうですが、工房長という知り合いも出来たことですし、何気に収穫の多い一日でした。
14
あなたにおすすめの小説
大根令嬢の雑学無双、王弟殿下を添えて。~ 前世を思い出したので、許婚をほったらかして人助けしまくります!!
古森真朝
恋愛
気弱な伯爵令嬢のカレンは、自分勝手な婚約者レナートに振り回されていた。耐え続けていたある日、舞踏会で何者かに突き飛ばされ、階段から落ちてしまう。
その傷が元で儚く……なるかと思いきや。衝撃で前世を思い出したカレンは一転、かの『ド根性大根』みたいな超・ポジティブ人間になっていた。
『モラハラ婚約者の思惑なんぞ知るか!! 今度こそ好きなことやって、目いっぱい幸せに長生きするんだから!!!』
昔ひたすら読書に耽って身に着けた『雑学』を武器に、うっかり採れ過ぎた作物や、開墾しようとすると不幸に見舞われる土地、不治の病にかかった王族、等々の問題をどんどん解決。
領地の内外で心強い友人が出来たり、いつの間にかものすごく有名になっていたり、何かと協力してくれる王弟ヴィクトルから好意を寄せられたり(注:気付いてない)する中、温かい家族と共に仕事に励んでいく。
一方、前世から因縁のある人々もまた、こちらに転生していて――
義妹の嫌がらせで、子持ち男性と結婚する羽目になりました。義理の娘に嫌われることも覚悟していましたが、本当の家族を手に入れることができました。
石河 翠
ファンタジー
義母と義妹の嫌がらせにより、子持ち男性の元に嫁ぐことになった主人公。夫になる男性は、前妻が残した一人娘を可愛がっており、新しい子どもはいらないのだという。
実家を出ても、自分は家族を持つことなどできない。そう思っていた主人公だが、娘思いの男性と素直になれないわがままな義理の娘に好感を持ち、少しずつ距離を縮めていく。
そんなある日、死んだはずの前妻が屋敷に現れ、主人公を追い出そうとしてきた。前妻いわく、血の繋がった母親の方が、継母よりも価値があるのだという。主人公が言葉に詰まったその時……。
血の繋がらない母と娘が家族になるまでのお話。
この作品は、小説家になろうおよびエブリスタにも投稿しております。
扉絵は、管澤捻さまに描いていただきました。
悪霊令嬢~死した聖女憎悪に染まりて呪いを成す~
女譜香あいす
ファンタジー
数え切れない人々をその身に宿す奇跡の力で救ってきた少女、サヤ・パメラ・カグラバ。
聖女と称えられた彼女であったが陰謀の末に愛した者から婚約破棄を言い渡され、友人達からも裏切られ、最後には命を奪われてしまう。
だがそのとき感じた怒りと悲しみ、そして絶望によって彼女の心は黒く歪み、果てにサヤは悪霊として蘇った。
そして、そんな彼女と世を憎みながらもただ生きる事しかできていなかった一人の少女が巡り合う事で、世界に呪いが拡がり始める事となる。
これは誰よりも清らかだった乙女が、憎悪の化身となりすべての人間に復讐を果たす物語。
※この作品は小説家になろうにも掲載しています。
<完結>溺愛最強 ~気づいたらゲームの世界に生息していましたが、悪役令嬢でもなければ断罪もされないので、とにかく楽しむことにしました~
夏笆(なつは)
恋愛
「おねえしゃま。こえ、すっごくおいしいでし!」
弟のその言葉は、晴天の霹靂。
アギルレ公爵家の長女であるレオカディアは、その瞬間、今自分が生きる世界が前世で楽しんだゲーム「エトワールの称号」であることを知った。
しかし、自分は王子エルミニオの婚約者ではあるものの、このゲームには悪役令嬢という役柄は存在せず、断罪も無いので、攻略対象とはなるべく接触せず、穏便に生きて行けば大丈夫と、生きることを楽しむことに決める。
醤油が欲しい、うにが食べたい。
レオカディアが何か「おねだり」するたびに、アギルレ領は、周りの領をも巻き込んで豊かになっていく。
既にゲームとは違う展開になっている人間関係、その学院で、ゲームのヒロインは前世の記憶通りに攻略を開始するのだが・・・・・?
小説家になろうにも掲載しています。
本編完結済み。
続きのお話を、掲載中です。
続きのお話も、完結しました。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)
【大賞・完結】地味スキル《お片付け》は最強です!社畜OL、異世界でうっかり国を改革しちゃったら、騎士団長と皇帝陛下に溺愛されてるんですが!?
旅する書斎(☆ほしい)
ファンタジー
【第18回ファンタジー小説大賞で大賞をいただきました】→【規約変更で書籍化&コミカライズ「確約」は取り消しになりました。】
佐藤美佳子(サトウ・ミカコ)、享年28歳。死因は、過労。連日の徹夜と休日出勤の果てに、ブラック企業のオフィスで静かに息を引き取った彼女が次に目覚めたのは、剣と魔法のファンタジー世界だった。
新たな生を受けたのは、田舎のしがない貧乏貴族の娘、ミカ・アシュフィールド、16歳。神様がくれた転生特典は、なんと《完璧なる整理整頓》という、とんでもなく地味なスキルだった。
「せめて回復魔法とかが良かった……」
戦闘にも生産にも役立たないスキルに落胆し、今度こそは静かに、穏やかに生きたいと願うミカ。しかし、そんな彼女のささやかな望みは、王家からの突然の徴収命令によって打ち砕かれる。
「特殊技能持ちは、王宮へ出仕せよ」
家族を守るため、どうせ役立たずと追い返されるだろうと高をくくって王都へ向かったミカに与えられた任務は、あまりにも無謀なものだった。
「この『開かずの倉庫』を、整理せよ」
そこは、数百年分の備品や資材が山と積まれ、あまりの混沌ぶりに探検隊が遭難したとまで噂される、王家最大の禁足地。
絶望的な光景を前に、ミカが覚悟を決めてスキルを発動した瞬間――世界は、彼女の「お片付け」が持つ真の力に震撼することになる。
これは、地味スキルでうっかり国のすべてを最適化してしまった元社畜令嬢が、カタブツな騎士団長や有能すぎる皇帝陛下にその価値を見出され、なぜか過保護に甘やかされてしまう、お仕事改革ファンタジー。
無能令嬢、『雑役係』として辺境送りされたけど、世界樹の加護を受けて規格外に成長する
タマ マコト
ファンタジー
名門エルフォルト家の長女クレアは、生まれつきの“虚弱体質”と誤解され、家族から無能扱いされ続けてきた。
社交界デビュー目前、突然「役立たず」と決めつけられ、王都で雑役係として働く名目で辺境へ追放される。
孤独と諦めを抱えたまま向かった辺境の村フィルナで、クレアは自分の体調がなぜか安定し、壊れた道具や荒れた土地が彼女の手に触れるだけで少しずつ息を吹き返す“奇妙な変化”に気づく。
そしてある夜、瘴気に満ちた森の奥から呼び寄せられるように、一人で足を踏み入れた彼女は、朽ちた“世界樹の分枝”と出会い、自分が世界樹の血を引く“末裔”であることを知る——。
追放されたはずの少女が、世界を動かす存在へ覚醒する始まりの物語。
追放令嬢、辺境王国で無双して王宮を揺るがす
遊鷹太
ファンタジー
王国随一の名門ハーランド公爵家の令嬢エリシアは、第一王子の婚約者でありながら、王宮の陰謀により突然追放される。濡れ衣を着せられ、全てを奪われた彼女は極寒の辺境国家ノルディアへと流される。しかしエリシアには秘密があった――前世の記憶と現代日本の経営知識を持つ転生者だったのだ。荒廃した辺境で、彼女は持ち前の戦略眼と人心掌握術で奇跡の復興を成し遂げる。やがて彼女の手腕は王国全土を震撼させ、自らを追放した者たちに復讐の刃を向ける。だが辺境王ルシアンとの運命的な出会いが、彼女の心に新たな感情を芽生えさせていく。これは、理不尽に奪われた女性が、知略と情熱で世界を変える物語――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる