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072 ゴジマデVSニンバ 前編
しおりを挟む茜色の空。
暮れなずむ世界にて怪獣とロボットが激突する。
がっつり組んだところで投げ飛ばそうとするニンバであったが、敵もさるもの。腰を落としてこらえた。
ばかりか逆にこちらが投げ飛ばされちゃったもので、コクピットにいたわたしは「きゃーっ」
カクさんも「うぬ。こやつ、やりおるわい」
――力は、ほぼ互角。
なのにこちらが一方的に投げられた原因は、ゴジマデのしっぽ。
これをブンと横に振ることで生じた遠心力を腰のひねりに合算することで、瞬間的に投げる力が高まったのだ。
ばかりか、しっぽがあるおかげで安定感もバツグン。さながら足が三本あるようなもの。
ニンバもゴリラ体形にてかなり重心を低く設定されているものの、それをもってしても抗えないほどであった。
どうと横倒しになったニンバ。そこへしっぽによる追撃が降り下ろされようとしていた。
叩かれる!
おもわず、わたしはギュッと目を閉じてしまった。
けれども衝撃は来ず。
こわごわとまぶたを開けてみれば、ゴジマデがビビビと震えて動きが止まっていた。
ジンさんだ。改造したジープからの援護射撃により、相手を牽制してくれている。
その隙にわたしたちは急ぎ体勢を整える。
「まともに組むのは分が悪いか」
倒れた機体を起こしながら、カクさんがゴジマデをにらむ。
「大砲もあんまり効いてないみたいだし、どうしよう?」
わたしは額の汗をぬぐう。暑い! コクピット内は冷房設備がないので、すでに蒸し風呂状態になりつつある。急造ゆえにそこまでは頭が回らなかった、失敗した!
でも相乗りしているカクさんは涼しい顔である。
なぜなら彼は骨格標本だから。
そしてそんな骨格標本は「まかせておけ、それがしに考えがある」と自分の胸をドンと叩いた。
いったい何をするつもりなのか?
わたしがいぶかしんでいると、カクさんは操作レバーをグイッ。
ニンバの腕が動く。手をのばして掴んだのは背負っている砲門だ。
搭載しているふたつともはずしては、両手に持っての二刀流の構えをとった。
鬼に金棒ならぬ、ゴリラ型ロボットに棍棒だ。
元武士であるカクさんは、自分がもっとも得意とする戦闘スタイルを選択する。
「というわけで攻守交替じゃ。それがしは攻撃に専念するから、機体の手綱はミユウにまかせたぞ」
「えっ、ちょ、ちょっと待ってよ! いきなりそんなこと言われても困るってば!」
あわてるわたしを尻目に、カクさんはさっそく攻撃を開始。
八の字の構えから、まるで太鼓のバチを叩くかのようにしてドンドコ砲門が振るわれる。
いきなり横っ面を殴られたゴジマデはよろめくも、すぐにしっぽによる反撃を試みる。
が、当たらない。
素早く逆手にした砲門を地面に突き立てることで、カクさんはこれを見事に防いだ。そしてすかさずやり返してはビシバシビシバシ、ゴジマデを容赦なく打ちすえる。
猛攻を受けてゴジマデは「ガァアァァァァース」と吠えた。
ゴジマデのしっぽは、いわば第三の足を持つようなもの。フォルムとも相まってとてもどっしりしている。その巨体はさながら山のごとし。
でも前足の方は貧弱である。カギ爪がついており見た目こそは凶悪そうだけど、短く太さも後ろ足とは比べものにならない。ティラノサウルスの姿を想像するとわかりやすいだろう。飾りとまでは言わないけれど、その役割はあくまで補助といった感じだ。
よって打撃武器を手にしたニンバの乱打攻撃を防ぐ手立てがない。
ほぼサンドバック状態と化したゴジマデ。
わたしたちはここぞとばかりに攻め立てる。
だがしかし――
「むっ」
不意にカクさんが攻撃の手を止めたとおもったら「ミユウ、回避じゃ!」と叫んだもので、わたしはまごつきつつも機体を斜め後方へとさげた。
直後のことである。
ゴジマデが大きく口を開いたとおもったら、ノドの奥がピカッと光った。
「ま、まぶしい」
わたしはとっさに手をかざし目をかばう。
そのため自分たちのすぐ脇を、何かが猛然と通り過ぎたような気がしたものの、よくはわからなかった。
閃光はすぐに収束する。
しょぼしょぼする目をこすりつつ、その光景を前にしてわたしは唖然とし、カクさんも「ムムム、これは」とうなった。
すぐ側の地面がばっくり割れており、その先にあった山が粉砕されている。辺りには大量のブロックが散らばっていた。
たまさか射線上にジンさんの駆るジープも街もなかったからよかったものの、もしも重なっていたら……想像するだけで、ガクブル。
一角怪獣ゴジマデの破壊光線。
とんでもない威力をまのあたりにして、わたしはゴクリと生唾を呑み込んだ。
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