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28 教えて、ラマンダ先生。その1
しおりを挟む「はい! ラマンダ先生。どうしてモンスターは狩っても狩ってもいなくならないんですか?」
「いい質問ですね、ヨーコ。それには世界の復元力が関わっていると云われています」
現在、私は寄宿舎学校にお邪魔をしている。
院長のラマンダさんより特別授業を受けるためだ。
社会情勢や地理、文化その他もろもろ、世界のこと全般や一般常識なんぞを教わるため。
文字の読み書きとか簡単な計算ならば、冒険者ギルドのお姉さま方からの指導で充分なのだが、他がまるで足りない。三歳児でも知っているのが当たり前のようなことを、うっかり訊ねようものならば、たちまち周囲から疑念を抱かれてしまう。
変身能力やら異世界渡りなど、なにかと秘密の多い身の上。
正体の発覚を恐れた師匠や王子、ラマンダさんらが協議の結果、こういう形におさまった。
まあ、仕事馬鹿な男どもに私を任せるのに不安を覚えたラマンダさんが、教育係を引き受けてくれたというわけさ。とても助かるのだが、ありがた迷惑なことに淑女教育も施すと彼女は息まいている。それはどうか勘弁願いたい。
と、いささか話が横道に逸れた。
世界の復元力とは、文字通りの意味である。
モンスターを一匹殺すと、どこかでポコっと一匹生まれる。あんまり乱獲すると、より強力な個体が出現することも確認されているらしく、だからこそ無闇に根絶やしなんかには出来ないのだ。まあ、やろうとしても無理だけどね。
なにせモンスターの繁殖力は凄まじい。こちらが狩り続けるよりも先にポコポコ増える。あっという間に成長する。調子に乗って狩っていたら、怒り狂った連中に逆襲されて、こっちが根絶やしにされかねない。実際に過去にはそれが原因で滅んだ国もあるんだとか。
通常レベルでの接近遭遇や狩り程度では、そんな反発は起きないという。
ようは彼らもまた世界の一部であり、環境の一部であるということ。
モンスターがいることが世界の理。これをヒトの都合で勝手に排除しようだなんて真似をしたら、世界そのものがヒトに牙をむいて、こちらが排除されちゃいかねない。
素材とか魔石とか食糧とか恩恵も多いので、大変だけれども同じ世界の住民として、賢く付き合っていきましょう。というのが今の文明の在り方なのである。
この話を聞いて私はようやく納得したよ。
あの島からモンスターがいなくならないわけだ。それどころか頑張るほどに増えるだなんて。しかもより強力になることもあるんだとか、なんて恐ろしい……。
あのまま島に留まり続けていたら、早晩のうちに詰んでいたな。脱出して本当によかった。
「わかりましたか、ヨーコ。では他に何か質問はありますか」
「えーと、それじゃあ。ハウンド師匠とのご関係は?」
「!」
突然の脈絡のない質問に狼狽する美魔女さん。普段はキリリとした美人先生が頬を染めて、あたふたしている姿は萌えるね。
なお、どうしてこのような質問をしたのかというと、ギルドのお姉さま方から訊ねるようにとの指令を受けていたからである。彼女たちによれば二人とも互いに気がアリアリのくせして、どうにも煮え切らない。当人たちよりも周囲のほうが、ずっとやきもきしているんだとか。
そこで幼女である私の出番である。子供らしく無邪気にさらっと聞いてこいと言われた。
しかしラマンダさんのガードは固い。
コホンと咳払いの後に「大人にはいろいろあるのよ」とのひと言で流された。
ラマンダさんとハウンドさんは現役時代に同じパーティーに所属していたというし、彼女の言ったとおりに、本当にいろんな事があったのだろう。
詳細については今後とも、おいおい掘り下げていく所存。
こうして第一回目のラマンダさんの特別授業は終了した。
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