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028 運動会
しおりを挟むアリっぽいヒーローな種族オービタル・ロード。
屈強な体にて固い岩盤をも素手でザクザク。彼らの拳はたぶんダイヤよりずんと固い。工具不用にて難しい土木工事もなんのその。
採掘作業やら地下要塞の建設でも、いかんなくその能力を発揮してくれている彼ら。その日頃の労をねぎらうために、本日わたしは運動会を企画した。
元からわかれている赤組と黒組の二つのグループにて対抗戦。いろんな競技を催し、最終的な勝敗を決する。
なおグランディアやセレニティたちの参加希望者らは、好きな方に適当に混ざってもらうことにした。
本日は晴天にて、絶好の運動会日和。
開会式の挨拶はサクッとすませて、とっとと始める。
「では、第一競技『ここ掘れワンワン』を始めたいとおもいます。出場予定の方は係員の誘導にしたがって、それぞれのスタート地点に移動して下さい」
ルーシーのアナウンスにより、彼女の分体であるビスクドールたちに先導されて、ぞろぞろと移動していくオービタルたち。
ちなみに第一競技の「ここ掘れワンワン」はまんま土掘りだ。
一人当たり百メートル四方を担当し、ここを耕し終わるまでの時間を競う。
たんに力業にて速く耕せばいいというわけではない、ほどよく掘り返し、土に空気を練り込み、ふわっと仕上げて、邪魔な石や雑草を排除し、農耕地に適した状態にする必要があり、これによって加点減点があるという、地味に奥の深い競技なのだ。
「競技にかこつけて、畑仕事をやらせているだけでは?」とのルーシーの声には耳を塞ぐ。
だって、しょうがないじゃないか。
暗黒時代のときの治安悪化と無茶な徴用やら重税に耐えかねて、農家の人たちがあらかたどこかに逃げちゃったんだもの。
帰ってきてもらうにしたって、新たに移住者を呼ぶにしたって、それなりの状態にして引き渡してあげないと、とても生きていけやしないよ。
だから今回の運動会にかこつけて、いろいろとやるつもり。
宰相さんの許可はとってある。「存分にやってくれ」と言われているから、存分にやる。
そしてやるからには、やっぱり楽しまないとね。
ここのところ穴倉暮らしが多いオービタルたちにも、たまにはお日様の光をたっぷりと浴びさせてあげたいし。
慰労と実益を兼ねた一石二鳥のアイデア。
我ながらなんてやさしくてかしこい上司なんだろう。
なんて自画自賛していたら、競技がスタート。
そしてわたしは驚愕する。
素手で田畑を耕すんだから、てっきりしゃがみ込んで手でザクザク掘るものとばかり思っていたのに、まさかの蹴り技が炸裂。
まるでサッカーボールでも蹴るかのように振り抜かれた足。
その一撃の衝撃波にて、地面に真っ直ぐな溝がザザザと走り、抉れていく。
あっという間にコースの端から端まで到達。途中にあった石ころとか木の根とかもきちんと粉々に粉砕。
ある者は地面の上をまるでクロールでもするかのようにして、ゴリゴリ抉りながら泳いでいた。耕運機も真っ青のパワーとスピードにて、これまたあっという間に端まで到達。
そういえば彼らってば、拳で空を裂き、蹴りで大地を割っていたな。
競技参加者らが、みんながみんなこんな非常識にて楽々クリアしていくもので、わずか十分ほどで第一競技が終わってしまった。
見渡す限りの立派な農耕地。
きっと実りの季節になれば黄金色の大地が広がることであろう。
これはマズいぞ、連中のこと舐めてた……。
競技が十個程度だと、下手したら昼までもたないぞ。
「こうなっては仕方ありません。競技をじゃんじゃん追加しましょう」
「増やすったって、そんな急にはおもいつかないよ」
「ワタシに良案がありますから、おまかせください」
予想外の展開にて泣き言をもらすわたしに、ルーシーが任せろと言ってくれた。
で、その結果、陽が沈むころには、国内の主要道路の整備がすべて完了していた。
ハイボ・ロードたち、超すげえ。
グランディアたちが指揮をとり、セレニティたちが測量ののちに、これを寸分たがわず整備するオービタルたち。
オービタルたちが掘って踏んで固めたら地面はカチンコチン。
で、ついでにグランディアたちが魔法で補強。セレニティたちが女の子らしいきめ細やかさにて粗を削って、ピカピカ仕上げ。
そうして推定耐久年数千年の立派な四車線道路が完成。
側溝付きにて、雨が降ったら水がそちらに流れるように、道に微妙な傾斜までつけられてあるのには心底驚いた。何気に芸が細かい。
復興は半ばにて、中身はまだまだスッカスカのリスターナ。
あぁ、設備面だけがだけがどんどん充実していく……。
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