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031 マニアックプレイ
しおりを挟む月明かりの下、はらりとマントを脱いで素顔を晒す。
若い女が細い手の指をクネクネして「かもーん」と誘えば、野卑た男はホイホイと暗がりに足を踏み入れてきた。
「なんだぁ、若いくせにスキモノかよ。いいぜぇ、オレさまがたっぷり可愛がって」
聞くに耐えな台詞だったので、途中でアゴをむんずと掴んでからの脳天ビリビリ電気ショック。
手の平式スタンガンで黙らせたのは、わたしことアマノリンネ。
飢えたバカの捕獲は簡単で助かる。
ちなみに捕まえたのはイゴールに雇われている男たちのうちの一人。
襟首を持って、ズルズルと引きずり荒野をゆく。
泣こうが喚こうが難民キャンプに声が届かないところにまで運んだところで、ぺいっと転がす。
とたんにガツンと地面の石で頭をぶつけた男が目を覚ました。
しかしすでに手足をがっちり拘束されており、まともには動けやしない。
「おい! これはなんの真似だ。オレにそっちの趣味はねえぞ」
お目出度い男は、その思考もお目出度たかった。
心配するな、わたしにもそっちの趣味はない。
もっとも当人が望むと望まざるとにかかわらず、これからたっぷりとハードコアなマニアックプレイを堪能してもらうことになるのだけれどね。
夜の荒野に響き渡るのは絶望の声。
ちょいと小突けば、でるわでるわの余罪の嵐。聞いてるだけで自分の耳が腐りそう。
そして泣いて悔いての本気の謝罪も、すでに遅い。
過ぎ去った時間はやり直せない。犯した罪は消えない。
何よりいくら反省されても、殺られた方はたまらないだろう。
だから告白した罪の数だけ、右のつま先から出したナイフで蹴りつけた。
ブスブスブスブス……、たまにゴリリ。これは骨に刃先が当たったときの音。
二十を超えた当たりで男は静かになった。
ひと段落ついたところで、通信機にて宇宙戦艦「たまさぶろう」に連絡を入れる。
「さてと、ルーシー。一連の情報はしっかりと記録した?」
「もちろんです。ですが一人きりの証言だとインパクトが弱いので、あと三人ばかし狩っておきましょうか」
「了解。わたしは次の獲物をさらいに行くから、こっちの処理をまかせていい?」
「わかりました。いつものようにしっかり漁ってひん剥いてから、遠くに捨てておきますので」
「じゃあ、お願いね」
通信を終えて、わたしは難民キャンプへと向かって歩き出す。
でも足取りはちょいと重い。
だって尋問ってあんまり楽しくないんだもの。
気が滅入るような話ばかり聞かされたって、テンション上がらないよ。それにあまり音とか出したらマズいから、ちまちまやらなくちゃあいけないし。
生かさず殺さず、適度に半殺しってのもむずかしい。
そう考えると拷問とか尋問を担当する係の人ってすごいよね。
人体に精通し、心理学にも精通し、なおかつ高いコミュニケーションスキルと、いかなることにも動じない肝っ玉も必要。あと守秘義務に忠誠心も必要か。
むしろそれだけ揃っている才能豊かな人材ならば、逆にこんな仕事に従事させておくのがもったいない気もするけど。
だからこそ本来の気質がモノをいう職業なのだろう。
ただのドSじゃあダメだ。クールなドSじゃないと。
SMプレイは好きだけど、熱中するようではいけない。自分が熱くならずに好きなことに没頭するのって、ものすごい矛盾。
そんな自己矛盾を抱えたまま生きるのって、ちょっと想像がつかないな。
わたしにはとても務まりそうもないよ、拷問官。
今夜はがんばるけれども、次からは他の誰かに頼むとしよう。
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