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252 星間戦争・中編
しおりを挟むよたよた姿勢を制御しつつ、どうにか軟着陸をしようとしていた巨大円盤。
その姿勢が地上付近にて、いきなりガクンと傾く。
円盤の進路上に、背中のロケットで飛びあがった富士丸が躍り出る。真っ直ぐに右足を振り上げ、これをそのまま打ち下ろすカカト落しが炸裂! 円盤の先端部分を猛打。
こいつを喰らって円盤は斜め四十五度の体勢のまま墜落。
リスターナ主都郊外の荒野に無様にめり込むことになった。
「うんぎゃー! なんて野蛮な連中コッコ。せっかくこちらが穏便に済ましてやろうとしているのに、もう許さんコッコー。すぐに機動ミタラシ兵団を出撃させるコッコ。こいつでまとめて泣かして制圧するコッコ」
円盤艦橋内にて、パームレスト以下略の女王オハギがひっくり返りながら吠える。
部下の乗組員が女王の命令によりパネルを操作。すぐさま円盤のあちこちにあるハッチが開いて内部よりゾロゾロと姿を見せたのは、目が一つに、腕が四本、足が六本、全長三メートルを超える自律稼働型多脚ロボット。鉄パイプを繋ぎ合わせたようなちゃっちい見た目に反して、チカラはそこそこ、手先は器用。採掘作業から宇宙船の管理、戦闘までこなす汎用性を誇る。
総勢一万を超える機動ミタラシ兵が整然と並び、しゃかしゃか六つ足を動かしながら行軍を開始。リスターナの主都へと迫る。
が、その行軍はしばらく進んだところでピタリと止まった。
突如として最前列を歩いていた機動ミタラシ兵、数十機がただの横薙ぎの一刀にてまとめて両断されてしまったためである。
「ここから先は通せんよ。収穫前の麦畑を踏み荒らされてはたまらんからの」
と言ったのは、しゃべる魔導書。
「いかにも。極上の麦焼酎、ビールの素を台無しにするなんぞ、言語道断」
と言ったのは、しゃべる剣。
メカメカしい腕に握られるは、漆黒の神殺しの剣テュルファング。
マシンアームにてコレを構えるのは、多脚砲台を駆るしゃべる魔導書。
意志を持ち言葉を発する、神鋼造りの大業物テュルファング。
強大なチカラを与えるかわりに、持つ者を数多の体調不良と不幸が襲う、おそるべき呪いの剣。その能力にて多くの神々を恐怖のどん底へと叩き落とした過去を持つが、リンネと戦い敗北。以後、忠誠を誓う。
その特異性ゆえに呪いがへっちゃらな体質のアマノリンネにしか扱えない。
だが女主人は壊滅的に剣のセンスがなかった。
結果として、ずっと適当に放置され活躍の機会も出番もほぼなく、不遇の時を過ごす。
意志を持ち言葉を発する、神々の英知の一端に通じる魔導書。
いろいろあって長らく聖クロア教会の総本山オスミウムにある、大図書館の最深部にて封印されていたのを、リンネに解放される。
が、タタミ一畳ほどのサイズに加えて、不気味な表紙のギョロ目、生来のおしゃべりが災いして、女主人の部屋から放りだされ、城の執務室に住み込みで働くことになった。
能力的には二つの世界のアカシックレコードにアクセスできるルーシーがいるので、こちらもほぼ出番なしの不遇な扱い。ただし事務のサポート要員としては優秀で、宰相のダイクをはじめとして、城の役人たちからは重宝がられている。
本来のチカラを活かす場もなく、冷や飯喰らいも同然の似たような境遇の両者。
自然と惹かれ合い、夜ごとに酒を酌み交わし、愚痴を零しつつ、まったりと友情を育んでいく。
しかしこの出会いがひとつの奇跡を起こした!
ある夜の酒の席にて、同席していたほろ酔いのシルト王がふと口にしたのは「あれ? その魔導書くんのカラクリのカラダならば、テュルファングくんを持ってもギックリ腰とかにならないんじゃないの」という言葉。
この瞬間、目からウロコがぽろりと落ちた。
魔導書は本であるがゆえに剣を手に取るという発想がなく、神殺しの剣は我が身に宿る呪いのチカラゆえに、まともに扱える者などいないと端から諦めていた。
酒の勢いも手伝い、試しにやってみたらけっこうイケた。
さすがに十全とまではいかないものの、それでもリンネが振るよりかはずっと上出来。
かくして友情パワーにて黒の魔導書と黒の剣のコンビが誕生したのである。
「六本脚なんぞ目じゃないわ! 時代は八本足よ。のう、テュルファング殿」
「いかにも、魔導書殿。神殺しの切れ味、その身でとくと味わうがよい!」
ガシャコンガシャコンと足を動かし、多脚砲台が敵勢に突撃。
漆黒の剣が右へ左へと振るわれるたびに、機動ミタラシ兵らの手足が宙を舞い、首が飛び、裁断されたパーツの雨が戦場に降る。
本と剣のコンビの活躍を見ていたリスターナ軍を率いるゴードン将軍。ニヤリと不敵な笑みを浮かべ「先陣の栄誉は取られたか。どれ、そろそろ我らも動くとするか。全員、支給された小瓶の中身を飲み干せ」と命じる。
旗下の者ども、すかさず懐より小瓶を取り出すと、フタを開けて、中の液体を一気にノドの奥へと流し込む。
これはリンネ組所有の研究施設の職員らが、常日頃から愛飲している栄養ドリンク。
ぐいっといけば徹夜もへっちゃら。あちこちギンギンにてハッスルできるというシロモノ。
これによりみなの気力体力が充実したところで、ゴードン将軍が声高に叫ぶ。
「全軍、突撃!」
将軍の号令により、リンネ組が誇るLGブランドの装備一式にて身を固めた兵士らが、右翼より敵陣へと突入。
この動きに呼応して、左翼からはオービタル・ロードたちも進軍を開始。すぐさま戦闘に移行する。
中央に陣取ったルーシーズは銃火器類による射撃に徹し、敵勢をその場に食い止めつつ、戦闘力に劣る右翼の支援を行う。
鬼メイドのアルバは混戦を抜けてきた相手を、愛用の片鎌槍の穂先にて丁寧に始末していく。
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※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが
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