わたしだけノット・ファンタジー! いろいろヒドイ異世界生活。

月芝

文字の大きさ
252 / 298

252 星間戦争・中編

しおりを挟む
 
 よたよた姿勢を制御しつつ、どうにか軟着陸をしようとしていた巨大円盤。
 その姿勢が地上付近にて、いきなりガクンと傾く。
 円盤の進路上に、背中のロケットで飛びあがった富士丸が躍り出る。真っ直ぐに右足を振り上げ、これをそのまま打ち下ろすカカト落しが炸裂! 円盤の先端部分を猛打。
 こいつを喰らって円盤は斜め四十五度の体勢のまま墜落。
 リスターナ主都郊外の荒野に無様にめり込むことになった。

「うんぎゃー! なんて野蛮な連中コッコ。せっかくこちらが穏便に済ましてやろうとしているのに、もう許さんコッコー。すぐに機動ミタラシ兵団を出撃させるコッコ。こいつでまとめて泣かして制圧するコッコ」

 円盤艦橋内にて、パームレスト以下略の女王オハギがひっくり返りながら吠える。
 部下の乗組員が女王の命令によりパネルを操作。すぐさま円盤のあちこちにあるハッチが開いて内部よりゾロゾロと姿を見せたのは、目が一つに、腕が四本、足が六本、全長三メートルを超える自律稼働型多脚ロボット。鉄パイプを繋ぎ合わせたようなちゃっちい見た目に反して、チカラはそこそこ、手先は器用。採掘作業から宇宙船の管理、戦闘までこなす汎用性を誇る。
 総勢一万を超える機動ミタラシ兵が整然と並び、しゃかしゃか六つ足を動かしながら行軍を開始。リスターナの主都へと迫る。
 が、その行軍はしばらく進んだところでピタリと止まった。
 突如として最前列を歩いていた機動ミタラシ兵、数十機がただの横薙ぎの一刀にてまとめて両断されてしまったためである。

「ここから先は通せんよ。収穫前の麦畑を踏み荒らされてはたまらんからの」
 と言ったのは、しゃべる魔導書。
「いかにも。極上の麦焼酎、ビールの素を台無しにするなんぞ、言語道断」
 と言ったのは、しゃべる剣。

 メカメカしい腕に握られるは、漆黒の神殺しの剣テュルファング。
 マシンアームにてコレを構えるのは、多脚砲台を駆るしゃべる魔導書。

 意志を持ち言葉を発する、神鋼造りの大業物テュルファング。
 強大なチカラを与えるかわりに、持つ者を数多の体調不良と不幸が襲う、おそるべき呪いの剣。その能力にて多くの神々を恐怖のどん底へと叩き落とした過去を持つが、リンネと戦い敗北。以後、忠誠を誓う。
 その特異性ゆえに呪いがへっちゃらな体質のアマノリンネにしか扱えない。
 だが女主人は壊滅的に剣のセンスがなかった。
 結果として、ずっと適当に放置され活躍の機会も出番もほぼなく、不遇の時を過ごす。

 意志を持ち言葉を発する、神々の英知の一端に通じる魔導書。
 いろいろあって長らく聖クロア教会の総本山オスミウムにある、大図書館の最深部にて封印されていたのを、リンネに解放される。
 が、タタミ一畳ほどのサイズに加えて、不気味な表紙のギョロ目、生来のおしゃべりが災いして、女主人の部屋から放りだされ、城の執務室に住み込みで働くことになった。
 能力的には二つの世界のアカシックレコードにアクセスできるルーシーがいるので、こちらもほぼ出番なしの不遇な扱い。ただし事務のサポート要員としては優秀で、宰相のダイクをはじめとして、城の役人たちからは重宝がられている。

 本来のチカラを活かす場もなく、冷や飯喰らいも同然の似たような境遇の両者。
 自然と惹かれ合い、夜ごとに酒を酌み交わし、愚痴を零しつつ、まったりと友情を育んでいく。
 しかしこの出会いがひとつの奇跡を起こした!
 ある夜の酒の席にて、同席していたほろ酔いのシルト王がふと口にしたのは「あれ? その魔導書くんのカラクリのカラダならば、テュルファングくんを持ってもギックリ腰とかにならないんじゃないの」という言葉。
 この瞬間、目からウロコがぽろりと落ちた。
 魔導書は本であるがゆえに剣を手に取るという発想がなく、神殺しの剣は我が身に宿る呪いのチカラゆえに、まともに扱える者などいないと端から諦めていた。
 酒の勢いも手伝い、試しにやってみたらけっこうイケた。
 さすがに十全とまではいかないものの、それでもリンネが振るよりかはずっと上出来。
 かくして友情パワーにて黒の魔導書と黒の剣のコンビが誕生したのである。

「六本脚なんぞ目じゃないわ! 時代は八本足よ。のう、テュルファング殿」
「いかにも、魔導書殿。神殺しの切れ味、その身でとくと味わうがよい!」

 ガシャコンガシャコンと足を動かし、多脚砲台が敵勢に突撃。
 漆黒の剣が右へ左へと振るわれるたびに、機動ミタラシ兵らの手足が宙を舞い、首が飛び、裁断されたパーツの雨が戦場に降る。

 本と剣のコンビの活躍を見ていたリスターナ軍を率いるゴードン将軍。ニヤリと不敵な笑みを浮かべ「先陣の栄誉は取られたか。どれ、そろそろ我らも動くとするか。全員、支給された小瓶の中身を飲み干せ」と命じる。
 旗下の者ども、すかさず懐より小瓶を取り出すと、フタを開けて、中の液体を一気にノドの奥へと流し込む。
 これはリンネ組所有の研究施設の職員らが、常日頃から愛飲している栄養ドリンク。
 ぐいっといけば徹夜もへっちゃら。あちこちギンギンにてハッスルできるというシロモノ。
 これによりみなの気力体力が充実したところで、ゴードン将軍が声高に叫ぶ。

「全軍、突撃!」

 将軍の号令により、リンネ組が誇るLGブランドの装備一式にて身を固めた兵士らが、右翼より敵陣へと突入。
 この動きに呼応して、左翼からはオービタル・ロードたちも進軍を開始。すぐさま戦闘に移行する。
 中央に陣取ったルーシーズは銃火器類による射撃に徹し、敵勢をその場に食い止めつつ、戦闘力に劣る右翼の支援を行う。
 鬼メイドのアルバは混戦を抜けてきた相手を、愛用の片鎌槍の穂先にて丁寧に始末していく。


しおりを挟む
感想 124

あなたにおすすめの小説

通販で買った妖刀がガチだった ~試し斬りしたら空間が裂けて異世界に飛ばされた挙句、伝説の勇者だと勘違いされて困っています~

日之影ソラ
ファンタジー
ゲームや漫画が好きな大学生、宮本総司は、なんとなくネットサーフィンをしていると、アムゾンの購入サイトで妖刀が1000円で売っているのを見つけた。デザインは格好よく、どことなく惹かれるものを感じたから購入し、家に届いて試し切りをしたら……空間が斬れた!  斬れた空間に吸い込まれ、気がつけばそこは見たことがない異世界。勇者召喚の儀式最中だった王城に現れたことで、伝説の勇者が現れたと勘違いされてしまう。好待遇や周りの人の期待に流され、人違いだとは言えずにいたら、王女様に偽者だとバレてしまった。  偽物だったと世に知られたら死刑と脅され、死刑を免れるためには本当に魔王を倒して、勇者としての責任を果たすしかないと宣言される。 「偽者として死ぬか。本物の英雄になるか――どちらか選びなさい」  選択肢は一つしかない。死にたくない総司は嘘を本当にするため、伝説の勇者の名を騙る。

ダンジョンでオーブを拾って『』を手に入れた。代償は体で払います

とみっしぇる
ファンタジー
スキルなし、魔力なし、1000人に1人の劣等人。 食っていくのがギリギリの冒険者ユリナは同じ境遇の友達3人と、先輩冒険者ジュリアから率のいい仕事に誘われる。それが罠と気づいたときには、絶対絶命のピンチに陥っていた。 もうあとがない。そのとき起死回生のスキルオーブを手に入れたはずなのにオーブは無反応。『』の中には何が入るのだ。 ギリギリの状況でユリアは瀕死の仲間のために叫ぶ。 ユリナはスキルを手に入れ、ささやかな幸せを手に入れられるのだろうか。

高校生の俺、異世界転移していきなり追放されるが、じつは最強魔法使い。可愛い看板娘がいる宿屋に拾われたのでもう戻りません

下昴しん
ファンタジー
高校生のタクトは部活帰りに突然異世界へ転移してしまう。 横柄な態度の王から、魔法使いはいらんわ、城から出ていけと言われ、いきなり無職になったタクト。 偶然会った宿屋の店長トロに仕事をもらい、看板娘のマロンと一緒に宿と食堂を手伝うことに。 すると突然、客の兵士が暴れだし宿はメチャクチャになる。 兵士に殴り飛ばされるトロとマロン。 この世界の魔法は、生活で利用する程度の威力しかなく、とても弱い。 しかし──タクトの魔法は人並み外れて、無法者も脳筋男もひれ伏すほど強かった。

帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす

黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。 4年前に書いたものをリライトして載せてみます。

大学生活を謳歌しようとしたら、女神の勝手で異世界に転送させられたので、復讐したいと思います

町島航太
ファンタジー
2022年2月20日。日本に住む善良な青年である泉幸助は大学合格と同時期に末期癌だという事が判明し、短い人生に幕を下ろした。死後、愛の女神アモーラに見初められた幸助は魔族と人間が争っている魔法の世界へと転生させられる事になる。命令が嫌いな幸助は使命そっちのけで魔法の世界を生きていたが、ひょんな事から自分の死因である末期癌はアモーラによるものであり、魔族討伐はアモーラの私情だという事が判明。自ら手を下すのは面倒だからという理由で夢のキャンパスライフを失った幸助はアモーラへの復讐を誓うのだった。

最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。

MP
ファンタジー
高校2年の夏。 高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。 地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。 しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。

巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?

サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。 *この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。 **週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

処理中です...