異世界メールフレンド〜女騎士とメールしていたら帰れなくなりました〜

竹野こきのこ

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異世界転移編

サイズがおかしい!

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「エリカ、精霊の森の手前の村まで竜車なんだよな?」
「そうだ。"風の守人もりと"と呼ばれる人々が住むベルネル村がある」

「なんか強そうな名前だな」
「ああ、実際に守人は戦士だからな。あのベルム大佐の出身地といえば想像付くのではないか?」

「なるほど、ベルム大佐が風使いなのもそのせいなのか?」
「そうだな。そこの村の住人は本来ならあまり強くはない風魔法を他の魔法の威力以上に使う。そうは言ってもベルム大佐はその村では神童と呼ばれていたレベルだったと聞いている」

「それで、もっと強い奴を探して軍に入隊したのか……」
「まぁ、そう言った部分もあるだろうな。ただ、それだけの戦力が必要な程、周囲は強い敵が多い場所なのだ」

魔物が多いとは聞いていたが、屈強な男も沢山いるのを想像しすこし吹き出しそうになった。

「お客さん、ベルネル村の後は精霊の森へ行くつもりか?」
「そうですけど?」

「また、この時期に何をしにいくんだ?」
「ドライアって人に会いに行くつもりなんだけどどうかしたんですか?」

「ドライアってドライアドの姉さんにか! やめとけ、奥地に入るのは今は無理だ」

驚く様にエリカが口を開く
「なぜだ?」
「今、冒険者ギルドへ"ミドガルズオルム"の撃退クエストが出てるんだよ。依頼主がその人だ」

「ちょっと待て、"ミドガルズオルム"というのは神話の竜ではないのか?」
「そうなんだよ、だから今は冒険者がベルネルに多いんだ。嬢ちゃん達は近づける雰囲気じゃないと思うぞ?」

ゲームにでも出てきそうな竜の名前だな。
今までとは違う何やら危ない雰囲気がする。しかも討伐ではなく撃退……討伐は無理というわけなのか。

「エリカはそういうの参加した事あるのか?」
「魔物の討伐はあるが、神竜クラスは見た事もない。基本的に神竜クラスは基本的には撃退までしか出来ない、討伐が出来ればそれこそ英雄と言われるだろうな」
「マジかよ……とりあえず邪魔だからどいてくれというのが限界なのか」

アドリは少し拗ねたように
「竜は基本的には悪い子はいないんだけどねー」

精霊の森はアドリは住んでいた事でもあるのだろうか? 少し意味深なような気がした。

それから日が沈み始める頃、ようやく俺たちはベルネル村に着いた。

「エリカさーん、アドリお腹ペコペコですよー」
「そうだな、村で何か頂こうか」

少し大げさな木の柵で囲われた村は小さいが宿泊施設や酒場はあるようだ。だが、どの店の壁や屋根にも修理を重ねた様な跡が見られる。

やはり村には魔物が良く来るのだろう。
だが、冒険者らしき人以外はベルム大佐ですらその中では普通に感じる様な体格の住人"風の守人"と呼ばれる村人が魔物から守り村が成り立っているのだと思った。

俺たちはとりあえず宿を押さえ、ご飯を食べる為に酒場に向かう。村で何か食べられそうな所は宿か酒場しか無い様だ。

小さな酒場は、テーブルが5つとカウンター。既に4組の冒険者らしき客が入っており、カウンターには……

あれ?ベルム大佐? ちょっとちがうか……。

と、ベルム大佐より脂肪の分大きくした様なマスターが調理している。

俺たちはテーブルに座り、ご飯と簡単な飲み物を頼む。もちろんウエイターも若いが規格外のサイズだった。

アドリはご飯が出るのが待ちきれ無いのがそわそわしている。すると、ほかのテーブルにいる冒険者が野次を飛ばした。

「おいおい、いいのか? こんな場所に子供連れがきてるぜ?」
「ちょっと、やめとけ」

俺たちが目立つのだろう、ガラの悪い冒険者には格好の餌食だった。

「修平、気にするな」

俺がイラだっているのに気づいたのか、エリカがなだめる。

「アドリちょっと怖い……」
「怖がらなくていい。何か来たら私に任せておけ」

エリカは、アドリにも優しく声をかける。

「おーい、姉ちゃん! こっちむいてー」
冒険者の野次にエリカは無視する。

「おーい、向けって聞こえてんだろ?」
徐々に野次がエスカレートしていく。最初止めていた仲間も止めるのを辞めた。

野次を飛ばすのに痺れを切らしたのかエリカにグラスを投げた。

エリカはグラスを掴むも、中のドリンクが俺たちのテーブルにかかる。

「うひょっ! べっぴんの姉ちゃんじゃねぇか」
男はそういいながら俺たちのテーブルまで歩いて来た。

「小僧、姉ちゃん貸してくれや?」

その言葉にイラつくも、エリカが耐えているので「やめといた方がいいすよ?」と、少し気の抜けた様に返す。

「はぁ? てめぇはガキの子守でもしてろや!」

そう言って俺をつかもうとした瞬間、太く大きな手が男の腕を掴み、エリカの剣の鍔を抑えた。

「お客さん、ちょっかいかけるなら外でやってくんないかい?」

少し高いハスキーな声の主は偽ベルムこと、酒場のマスターだった。

大きな野球選手の様なマスターの迫力はベルム大佐にも引けを取らない。

「お、おお……冗談だぜ、マスター。冗談……ははは……」

冒険者の男は威圧されたのか、急に引き下がる。無理もない、一般人とはかけ離れた迫力だ。

そして、俺は偽ベルムのようなマスターに礼を言った。

「おじさん、ありがとうございました……」

その瞬間、マスターの表情が歪む。
「はぁ? 誰がおじさんだってぇ?」

俺は慌てて、いい直す。
「お、お兄さん……」

「てめぇ、しばくぞ?」
エリカは机をふきながら無表情で囁く。
「修平、この方は女性だ。それは冗談がすぎる」

ん?? エリカちゃん?? 今なんと??
迫力とエリカの言葉に頭の中がぐるぐるしだし、ようやく理解した瞬間に俺はいい直した。
「お、お姉さん……」

「やだねぇ、そんな歳じゃないよぉ」
マスターの表情は緩み、どうやら機嫌を直して頂けた様だ。

「でも私が止めてないと、嬢ちゃんが切り捨てそうだったからねぇ……」

「申し訳ない……」

どうやらマスターに守られていたのは、相手側の様だった。それにしても酒場のおかみさんとは思えないくらいの洞察眼。やはり守人だからなのだろうか?

そのあと出てきたご飯は驚くほど美味しく、アドリも追加で頼むほどに辺境の村とは思えないクオリティだった。

宿への帰り道、俺はエリカに言った。
「ありがとな……」
「何がだ?」
と、いつもどおりクールに返されたが、エリカの口元が少し笑っている様に見えた。

宿に着くと、それぞれ浴場で流し布団に入る。
明日は神竜"ミドガルズオルム"一体どれほどの大きさで、どれほどの強さなのだろうか?

何故か俺は期待と不安で目が冴えていたが、それと同時に疲れてもいたのだろう、気づくと眠りについていた様だった。





どこからか鐘の音が聞こえる。

カーン
カーン
カーン

「なんだよ……うるさいなぁ」

俺は身体をおこして目を擦り、窓の外を見る。午前3時を過ぎた頃だろうか? 外はまだ真っ暗だった。

「朝のニワトリより早いとか"風の守人"はどんな生活してんだよ……」

そう呟き、再び布団に潜ろうとした時、違和感を感じる。

"エリカが居ない"

以前もエリカの家で夜中に居なくなっていた事もあり、俺はスマホをみる。

エリカからチャットが届いていた。

"神竜が村に来ている。アドリを連れてそこから離れてくれ"

俺は、チャットを二度見した。
神竜? "ミドガルズオルム"の事だよな?

俺はぐっすと眠るアドリに声をかける。

「アドリ、起きろ!」
「むにゃむにゃ、もう食べられないよ……」

どれだけベタな寝言だよ、俺はアドリの肩をゆらした。

「え? なになに?」
「起きろ! 神竜が来ているらしい」

「またまた、寝てるアドリにチューするきだったんでしょー? はい、チュー……」
両肩をもつ俺に目を閉じて唇を閉じた。

ゴツッ……
俺はそのままアドリに頭突きをかます。

「いったーい……」
「アホなことしてないで早く服を着ろ」

服を着ている側俺もリュックを背負いマントをかぶる。アドリの銃をとりあえず手に持って、着替えが済んだアドリと外に出た。

「あれ? エリカさんは?」
「チャットが来ていた、離れろってさ」

「でも、行くんだよね?」
「当たり前だろ? なんでいつも一人で行くかなー」
「だねー」

俺は、アドリを抱えて鐘の音が聞こえる方に走った。くる途中宿にも回りにも人はいなかった。もうみんな向かうか逃げるかしているのだろう。

しばらく走り、鐘の音が近づくにつれ人の気配がしてくる。

「う、ううっ……」
「誰かー連れがやられている、回復を!」

「修平兄ぃ!」
「ああ」

俺は声のする方に向かい、声をかける。
「大丈夫ですか?」

「連れが重傷なんだ、助けてくれ」

暗闇でよく見えないが、どうやら抱えて逃げて来たのだろう。

「アドリ!」
「うん、任せて!」

アドリは緑色の精霊を2体出して二人を包む。
冒険者らしき二人はみるみるうちに回復した。

「助かった。すまない、この礼は必ず……」
「良かった……」

もう一人も、頷いているのがわかる。

「君たちは神竜に向かう気なのか?」
「そのつもりだけど?」

「覚悟はしておいた方がいい、だが回復が足りないこんなことを君たちに頼むのは申し訳ないが、この回復だけでも前線に届けてやってくれ……」

よほど、状況はわるいのか?
そもそも撃退が限界とされていた敵が向かって来ているから仕方ないのかもしれない。

「わかった」
「死ぬなよ……」

冒険者はそういうと、拳を突き出し俺たちにエールを送った。

俺は再びアドリを抱え、走ると視界の先に松明の明かりで明るくなっているのがわかる。

ブォォォオォォォ!

物すごく低い重低音が響く。神竜の咆哮か?
すると松明が固まっている場所に多くの人がいるのがわかる。徐々に下がっているのか?

人はいるが……神竜はどこだ?

人までの距離が30mを切った辺りで、松明のさらに先に魔法で戦う小さな光が見え、更に近づくとその光が戦っている黒くとてつもなくデカい蛇の様な竜がチラチラと見える。次第に目が慣れて来る。

ちょっと待てよ……これはデカ過ぎるだろう。

目の前には中学校の校舎くらいはあるだろう竜が姿を現した。
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