21 / 32
異世界転移編
とりあえず待つ
しおりを挟む
部屋に戻るとしばらくして、家の前に竜車が止まる。エリカが手配した様だった。
「修平、公国の軍部に向かうぞ……」
エリカの勢いに従い、俺達は竜車に乗り込む。
公国の軍部は以前俺たちがエリカの装備を返しに行った場所。今更何故軍部に……?
「修平……一つ頼みがある」
「なんだよ?」
「今回の件、あくまで魔族に攻撃されたと口裏を合わせてくれないか?」
「口裏を合わすも何も、現にそうじゃないか?」
エリカは少し黙り、
「とりあえずは魔族の目的が修平だと言わないでいて欲しい」
そう呟いた。
彼女の様子から、軍部に匿ってもらうつもりなのだろう。その際多分だけど、エリカが狙われているのと俺が狙われているのとでは対応が変わるのだろう。
「わかった。エリカの言う様にするよ。所で魔族とはなんなのだ?」
「簡単に言えば異種族だ。我々が精霊ドライア様の庇護下にあるとするならば、彼等は魔王イフルの下にいる別の種族」
「そうは言っても、帝国なんかは種族がバラバラに見えるのだけど?」
「魔族は見た目の特徴だけではない。心臓の代わりに魔石で動く。つまり生物とはまた違うものなのだ」
なるほど……そう言えば俺が疑われた時も似たような事を言っていたな。
「だけど、それぞれ干渉しないルールを建てているんだろ? なんで魔族は来たのだろう?」
「分からん……だが、魔王が修平に興味を持ったからなのは間違いないだろうな」
魔族と同じ髪の色。異世界から来たと言うだけで理由は充分なきがする。
「奴らについては軍部で閣下に聞くのがいいだろう……」
そうして、揺られる事3時間。
俺たちの乗った竜車は夕方には軍部についた。
「少佐! お久しぶりです!」
「今は少佐ではない。が……迷惑をかけた。すまない」
門の入り口にいた兵士にエリカはそういった。
「それで……今日は?」
「閣下に相談があってな……もちろん事前にアポは取っている」
「少佐……あ、いやエリカ様、戻られるんで?」
「残念だが、そういった話ではない」
そう言うとエリカは迷いなく、バーレンハイム准将の部屋に向かい、ノックした。
「失礼します」
「ホ、まさかこんなに早く私の部屋で話す事になろうとはな……」
「閣下……申し訳ございません。申し出を受け入れていただき感謝致します」
「それで? 魔族と一戦交えたそうじゃないか? 怪我がない様でなにより」
「はい……ですが、修平が居なければどうなっていたか……」
「なるほど……それで、相手の名はフェレスと言ったとか?」
「はい、連絡した通りです」
「修平殿、そのフェレスとやらに面識は?」
「ないですね……というかこの世界にエリカと会った人以外で面識がある人自体居ないですし……」
「ふむ……目的は赤翼か、異世界の男、はたまた管理者の孫か……よくもまぁ、原因になりそうな者が揃ったものだ」
准将は、左手で地図を広げるとエリカに言った。
「ここの西門の駐屯所を使う。わしと青鎌の小隊で駐屯させる。援軍も要請しておくがとりあえずはそこで構えよう」
「小隊? 援軍要請するのにまたなんで?」
「ああ、相手は魔族だからな、兵士に無駄死にはさせれん。それに小隊と言っても精鋭部隊だ」
なるほど……。
そして移動待ちの間、俺はエリカに聞いた。
「閣下もくるみたいだけど、強いのか?」
「修平には、閣下が弱くみえるのか?」
「そう言うわけじゃないけど……結構いい歳だから軍師的な感じかと思ってさ」
「そうだな、歳は70前、おまけに隻腕。地位も准将と聞けばそう思うのかもしれんな?」
「隻腕? 片方義手なのか?」
「ああ、利き腕を先の戦いで失ったらしい」
「マジかよ……」
「だが、閣下は強いぞ。准将なのも天下りで元は帝国の総帥だった人だ。まぁ、さらに言えば伝説レベルで英雄と言われていた人だな」
「そんなにかよ……」
「閣下は魔族とは因縁があってな、40年程前に魔族と大きな戦を交えているのだ」
「それで英雄?」
「正直閣下が居なければ帝国すら危なかったらしいからな、それもあってベルム大佐ははかなり憧れと共にライバル視している部分がある」
なるほどな……。
俺たちは軍部から移動し西門の駐屯所に着く。
門の周辺はどちらも広い平地が広がっている。
そうして、時間が経つにつれファルムスの精鋭達が門の前に集まってくる。
正直ここまで大事になるとは考えておらず、その物々しい雰囲気に俺はドキドキしていた。
だが、時間が経つにつれそれは次第に慣れ、俺はエリカのテキストを読んでいた。
「修平さんですか?」
そう、こえをかけてきたのはくすんだ鎧を纏う好青年だ。
「あ、はい……」
「良かった、私青鎌小隊の隊長をしているランツェルと言います」
屈託の無い笑顔を向け爽やかに言った。
どう考えてもベースが陰キャラの俺には眩しい。
「くっ、光属性か……」
「いえ、水属性です! なんですかその凄そうな属性!」
「いえ……」
「修平さんも水属性、なんですよね?」
「あ、今勉強中で……」
「このテキスト懐かしいなぁ」
ランツェルさんは精鋭部隊を纏める位だからやっぱりすごいのだろう、だがそれを全く鼻にかけない雰囲気に凄く好感が持てた。
こうして、駐屯所の人達と話しながらその日は何もなく終わった。
いつくるかわからない恐怖が少し和らいでいる気がした。
「修平、公国の軍部に向かうぞ……」
エリカの勢いに従い、俺達は竜車に乗り込む。
公国の軍部は以前俺たちがエリカの装備を返しに行った場所。今更何故軍部に……?
「修平……一つ頼みがある」
「なんだよ?」
「今回の件、あくまで魔族に攻撃されたと口裏を合わせてくれないか?」
「口裏を合わすも何も、現にそうじゃないか?」
エリカは少し黙り、
「とりあえずは魔族の目的が修平だと言わないでいて欲しい」
そう呟いた。
彼女の様子から、軍部に匿ってもらうつもりなのだろう。その際多分だけど、エリカが狙われているのと俺が狙われているのとでは対応が変わるのだろう。
「わかった。エリカの言う様にするよ。所で魔族とはなんなのだ?」
「簡単に言えば異種族だ。我々が精霊ドライア様の庇護下にあるとするならば、彼等は魔王イフルの下にいる別の種族」
「そうは言っても、帝国なんかは種族がバラバラに見えるのだけど?」
「魔族は見た目の特徴だけではない。心臓の代わりに魔石で動く。つまり生物とはまた違うものなのだ」
なるほど……そう言えば俺が疑われた時も似たような事を言っていたな。
「だけど、それぞれ干渉しないルールを建てているんだろ? なんで魔族は来たのだろう?」
「分からん……だが、魔王が修平に興味を持ったからなのは間違いないだろうな」
魔族と同じ髪の色。異世界から来たと言うだけで理由は充分なきがする。
「奴らについては軍部で閣下に聞くのがいいだろう……」
そうして、揺られる事3時間。
俺たちの乗った竜車は夕方には軍部についた。
「少佐! お久しぶりです!」
「今は少佐ではない。が……迷惑をかけた。すまない」
門の入り口にいた兵士にエリカはそういった。
「それで……今日は?」
「閣下に相談があってな……もちろん事前にアポは取っている」
「少佐……あ、いやエリカ様、戻られるんで?」
「残念だが、そういった話ではない」
そう言うとエリカは迷いなく、バーレンハイム准将の部屋に向かい、ノックした。
「失礼します」
「ホ、まさかこんなに早く私の部屋で話す事になろうとはな……」
「閣下……申し訳ございません。申し出を受け入れていただき感謝致します」
「それで? 魔族と一戦交えたそうじゃないか? 怪我がない様でなにより」
「はい……ですが、修平が居なければどうなっていたか……」
「なるほど……それで、相手の名はフェレスと言ったとか?」
「はい、連絡した通りです」
「修平殿、そのフェレスとやらに面識は?」
「ないですね……というかこの世界にエリカと会った人以外で面識がある人自体居ないですし……」
「ふむ……目的は赤翼か、異世界の男、はたまた管理者の孫か……よくもまぁ、原因になりそうな者が揃ったものだ」
准将は、左手で地図を広げるとエリカに言った。
「ここの西門の駐屯所を使う。わしと青鎌の小隊で駐屯させる。援軍も要請しておくがとりあえずはそこで構えよう」
「小隊? 援軍要請するのにまたなんで?」
「ああ、相手は魔族だからな、兵士に無駄死にはさせれん。それに小隊と言っても精鋭部隊だ」
なるほど……。
そして移動待ちの間、俺はエリカに聞いた。
「閣下もくるみたいだけど、強いのか?」
「修平には、閣下が弱くみえるのか?」
「そう言うわけじゃないけど……結構いい歳だから軍師的な感じかと思ってさ」
「そうだな、歳は70前、おまけに隻腕。地位も准将と聞けばそう思うのかもしれんな?」
「隻腕? 片方義手なのか?」
「ああ、利き腕を先の戦いで失ったらしい」
「マジかよ……」
「だが、閣下は強いぞ。准将なのも天下りで元は帝国の総帥だった人だ。まぁ、さらに言えば伝説レベルで英雄と言われていた人だな」
「そんなにかよ……」
「閣下は魔族とは因縁があってな、40年程前に魔族と大きな戦を交えているのだ」
「それで英雄?」
「正直閣下が居なければ帝国すら危なかったらしいからな、それもあってベルム大佐ははかなり憧れと共にライバル視している部分がある」
なるほどな……。
俺たちは軍部から移動し西門の駐屯所に着く。
門の周辺はどちらも広い平地が広がっている。
そうして、時間が経つにつれファルムスの精鋭達が門の前に集まってくる。
正直ここまで大事になるとは考えておらず、その物々しい雰囲気に俺はドキドキしていた。
だが、時間が経つにつれそれは次第に慣れ、俺はエリカのテキストを読んでいた。
「修平さんですか?」
そう、こえをかけてきたのはくすんだ鎧を纏う好青年だ。
「あ、はい……」
「良かった、私青鎌小隊の隊長をしているランツェルと言います」
屈託の無い笑顔を向け爽やかに言った。
どう考えてもベースが陰キャラの俺には眩しい。
「くっ、光属性か……」
「いえ、水属性です! なんですかその凄そうな属性!」
「いえ……」
「修平さんも水属性、なんですよね?」
「あ、今勉強中で……」
「このテキスト懐かしいなぁ」
ランツェルさんは精鋭部隊を纏める位だからやっぱりすごいのだろう、だがそれを全く鼻にかけない雰囲気に凄く好感が持てた。
こうして、駐屯所の人達と話しながらその日は何もなく終わった。
いつくるかわからない恐怖が少し和らいでいる気がした。
0
あなたにおすすめの小説
転生したおばあちゃんはチートが欲しい ~この世界が乙女ゲームなのは誰も知らない~
ピエール
ファンタジー
おばあちゃん。
異世界転生しちゃいました。
そういえば、孫が「転生するとチートが貰えるんだよ!」と言ってたけど
チート無いみたいだけど?
おばあちゃんよく分かんないわぁ。
頭は老人 体は子供
乙女ゲームの世界に紛れ込んだ おばあちゃん。
当然、おばあちゃんはここが乙女ゲームの世界だなんて知りません。
訳が分からないながら、一生懸命歩んで行きます。
おばあちゃん奮闘記です。
果たして、おばあちゃんは断罪イベントを回避できるか?
[第1章おばあちゃん編]は文章が拙い為読みづらいかもしれません。
第二章 学園編 始まりました。
いよいよゲームスタートです!
[1章]はおばあちゃんの語りと生い立ちが多く、あまり話に動きがありません。
話が動き出す[2章]から読んでも意味が分かると思います。
おばあちゃんの転生後の生活に興味が出てきたら一章を読んでみて下さい。(伏線がありますので)
初投稿です
不慣れですが宜しくお願いします。
最初の頃、不慣れで長文が書けませんでした。
申し訳ございません。
少しづつ修正して纏めていこうと思います。
中身は80歳のおばあちゃんですが、異世界でイケオジ伯爵に溺愛されています
浅水シマ
ファンタジー
【完結しました】
ーー人生まさかの二週目。しかもお相手は年下イケオジ伯爵!?
激動の時代を生き、八十歳でその生涯を終えた早川百合子。
目を覚ますと、そこは異世界。しかも、彼女は公爵家令嬢“エマ”として新たな人生を歩むことに。
もう恋愛なんて……と思っていた矢先、彼女の前に現れたのは、渋くて穏やかなイケオジ伯爵・セイルだった。
セイルはエマに心から優しく、どこまでも真摯。
戸惑いながらも、エマは少しずつ彼に惹かれていく。
けれど、中身は人生80年分の知識と経験を持つ元おばあちゃん。
「乙女のときめき」にはとっくに卒業したはずなのに――どうしてこの人といると、胸がこんなに苦しいの?
これは、中身おばあちゃん×イケオジ伯爵の、
ちょっと不思議で切ない、恋と家族の物語。
※小説家になろうにも掲載中です。
第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。
黒ハット
ファンタジー
前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。
異世界召喚されたけどスキルが地味だったので、現代知識とアイテムボックスで絶品料理を作ったら大商会になっちゃいました
黒崎隼人
ファンタジー
手違いで剣も魔法もない異世界に召喚された、しがない日本のサラリーマン、湊カイリ。
彼に与えられたのは、無限に物が入る【アイテムボックス】と、物の名前が分かる【鑑定】という、あまりにも地味な二つのスキルだけだった。
戦闘能力は皆無。途方に暮れるカイリだったが、異世界の食事が絶望的に不味いことを知り、大きなチャンスに気づく。
現代日本の「当たり前」の知識は、この世界ではとんでもない「宝」なのだと!
「醤油?味噌?そんなものがあれば、この世界の食文化はひっくり返るぞ!」
ひょんなことから出会った没落貴族の美少女・リリアナと共に、カイリは現代知識と地味スキルを駆使して屋台から商売をスタート。
絶品料理で人々の胃袋を掴み、さらには便利な生活用品を次々と発明していく。
伝説の神獣の幼体「フェン」やドワーフの鍛冶師など、頼れる仲間たちも加わり、彼らが立ち上げた「サンライズ商会」は瞬く間に大躍進!
迫り来る悪徳商会や腐敗した貴族の妨害も、現代のマーケティング術と知恵で痛快に打ち破る!
これは、平凡なサラリーマンが異世界の常識を覆し、食と生活に革命を起こして一代で大商会を築き上げる、痛快成り上がりファンタジー!
美味しい料理と、もふもふな相棒、そして仲間との絆。
人生、逆転できないことなんて何もない!
異世界転生したおっさんが普通に生きる
カジキカジキ
ファンタジー
第18回 ファンタジー小説大賞 読者投票93位
応援頂きありがとうございました!
異世界転生したおっさんが唯一のチートだけで生き抜く世界
主人公のゴウは異世界転生した元冒険者
引退して狩をして過ごしていたが、ある日、ギルドで雇った子どもに出会い思い出す。
知識チートで町の食と環境を改善します!! ユルくのんびり過ごしたいのに、何故にこんなに忙しい!?
異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。
【あらすじ】
異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。
それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。
家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。
十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。
だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。
最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。
この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。
そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。
そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。
旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。
☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。
☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
異世界と地球がダンジョンで繋がった ー異世界転移者の私ー
白木夏
ファンタジー
2040年の初春、突如として地球上の主要都市に謎のダンジョンが出現した。
その特異性は明らかで、人口密集地を中心に出現し、未開の地には一切現れないという法則性を帯びていた。
人々は恐怖に震えつつも、未知なる存在に対する好奇心を抑えきれなかった。
異世界転移した最強の主人公のほのぼのライフ
主人公はあまり戦ったりはしません。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる