転生先から戻されたのは戦国時代だった

鮪鱚鰈

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北条新九郎氏政

北条新九郎

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 覗き込む女たちは産婆である

 やがて母と思われる人物・・・口の中が黒い・・・・お歯黒か・・・本で読んだことはあるが・・・
やがて母は私を覗き込む・・

 そしてもう一人の女性に俺を託した
その女性はおもむろに乳を出し俺に吸わせてきた・・・理性があるのに拒めない、転生の時にも味わったこの感覚だ・・・

そして乳を吸う、本能のままに・・・俺の母と呼ばれる女性はそれをほほえましく見ている

「ミズ様・・・元気なヤヤコでございます!」

 ミズ・・・母の名前らしい・・・これはどう見ても昔の日本だ・・・それも戦国時代くらいだろうか・・江戸だろうか・・・

ズカズカズカ!と一人の男が部屋に入ってくる、周りにいた女はみなひれ伏しだした。
相当な身分なのだろう!

「でかしたぞ!ミズ・・・・でかした・・」

男は母を抱きしめた耐えている

「氏康さま・・・男の子でございます!・・あの子が帰ってきました」

「うむ・・この子にも新九郎の名を授けよう。忌名としてもいい、かつての九郎義経様のような勇ましい子に育つであろう!」

「はい」

どうやら俺の前に生まれた兄は死んでしまったらしい・・兄の名を継いだというのか・・縁起が悪いような気がするが。この時代は縁起が悪い名前を幼名にする場合もある・・・

そして氏康・・・間違いでなければ・・位の高い氏康・・・そして俺の祖先でもある氏康といえば

相模の獅子 北条氏康・・・そして母ミズは瑞渓院・・これは戒名で本名不詳だったな・・今川氏親の娘か・・・
となると俺は北条氏政ということなのか・・・

こうして俺は新しい世界に生まれ変わった
北条新九郎氏政として・・・

 戦国時代では、俺の世話はほとんどが女中が行う。

 乳母である八重は伊勢家の未亡人である、八重が俺の面倒を見てくれている。
八重の子は又七郎といい俺付きの家臣となるらしい・・

この辺が歴史とどうなのか、分からないが母が俺を育てるということはほとんどしない・・
時折気の向くままに八重に連れられ母の元に行く。

 俺は、何も話せないままに色々なことを試す

まずステータス

これは前世界同様に使えたが

北条新九郎氏政
レベル ----
生命値 35
魔力 ----

どうやらレベルという概念がない世界・・やはり地球なのだろうか

そして

スキル
亜空間収納 (可能)
召喚術(魔力のある召喚は不可能)
空間移動(魔力の概念がないため不可能)

そして覚えた魔法もすべて使用不可であった。魔力の概念がない・・つまりこの世界には魔力はないのである。
その中で魔力を使わない亜空間収納・・使えるのか・・

試しに手を伸ばし亜空間収納をあける・・・目録がずらっと並ぶ・・・

まじか・・・・・戦国時代にこれは反則なのではないのか?

何せ金銀鉄銅、ミスリル、アダマンタイト。オリハルコンまであるし、前世界の伝説クラスの武器や鎧まである・・・


「きゃ~!新九郎様の手が消えている!」

八重が悲鳴を上げながら俺を見る

おっと・・・
俺は亜空間から手を戻す・・・

「きゃきゃ!」

「あら・・・見間違え立ったのかしら・・・新九郎様・・・なんてかわいらしい・・・お乳のお時間ですよ」

うむ・・・いただこう・・

八重も夫が死んでしまったがまだ若い・・話だと伊勢家は北条家の親戚筋である・・だが乳母になることで子の又七郎の将来を優先した形か・・・それなりに美人だ・・・歯が黒いが

八重に育てられながら4年目・・母は妹の七と弟の源三を生んだ 源氏にあやかった三男坊か・・・そんな意味合いか・・確か北条家は平家の出だがな・・・

5歳になると剣術の稽古も始まる、正直、前世界で散々戦ってきた俺にとって剣術など難しいことではない。

そして俺付きの又七郎を鍛えに鍛えまくる。

「新九郎様・・・もうこの辺で・・・」

「又七郎!甘いぞ!そんな事で、この北条家を守れるか?」

「ひぃ・・・」

そんな生活をしていると、ある噂を聞いた

「玉縄で生まれた姫君は髪が青いらしい・・・綱成殿も大変じゃな・・まるで異国の娘のようだという」

「遠山の娘も赤髪の娘らしいぞ!阿修羅のように気性が荒く、すでに剣術で兄をも負かすと聞いた!」

家臣の話を聞いてピンとくる

サラとアギラ・・・この世界に来ていたか・・・

メリッサもきっと来ているはずだ・・・・


--------------

6歳の折 評定で小田原に来ていた叔父の綱成殿を捕まえる・・・

「ツナシゲどの!」


「おう!新九郎!大きくなられたな!なんでも剣術が凄いと聞く!うーん康成にもその力がほしい物だ!あいつは怖がりだ・・・」

「いえ・・・ヤスシゲにも聞きましたが・・・かみの青いむすめがいると聞きます・・・その・・新九郎は会いたいと思います」

「ほぅ・・・新九郎・・・碧に会いたいのか・・・ふむ・・・・・悪くない・・・いや良縁ではないか・・・よし」

何かを勘違いした綱成は小田原の館に引き返す!

「おう!綱成殿どうなされた!急いで・・・」

「済まぬ網景殿!妙案でしてな!・・善は急げじゃ!・・・いや良縁は急げじゃ・・・」


綱成にぶつかりそうになった家臣は江戸衆の遠山網景

「おかしなものだ・・・うん!?新九郎殿ではないか!大きくなられたこれで北条も安泰であるな!それに剣術に優れると聞く・・・よかったら今度うちの紅の相手でも・・・いやはや、あいつはお転婆でな・・・女のくせに剣術が強すぎる・・・この間など兄を滅多打ちにしおった・・・あれじゃ嫁の貰い手・・・嫁の貰い手・・・・・!これは妙案!」

「父上まってくだされ!新九郎殿!ごめん!」

網景も館に引き返し、子の政景はそれを追いかけた。

今回の評定は嫡男となった新九郎氏政のお披露目でもあった

同年代の子たちも一緒にお披露目になる

小田原城の城前にて評定衆が集まる

「ほうじょうしんくろううじまさにございます、ひょうじょうしゅうのみなさまがた・・よろしくおねがいいたします・・」

父の氏康はその挨拶を見て、うんうん頷づいている

母の瑞もほほえましく見ている

「しんくろうさま、腰の物でございます」

又七郎が片膝をつきながら日本刀を渡す

「うむ」

そしてそれを受け取り腰に差す・・子供サイズの小さな刀である



氏康は立ち上がり

「うむ・・今日より氏政と呼ぶ・・坂東に我が北条家の力を見せつける、氏政頼むぞ!」

「はい、父上!」


家臣団から拍手が起きた


「時に氏康様!」

「なんだ周勝、」

声を上げたのは大道寺周勝、重鎮である

「氏政殿は剣術に優れると聞きます、どうでしょう?お披露目しては・・相手は・・政繁、相手してみるか?」

「父上!まだ氏政様は6歳・・・すでに元服している私が相手しては・・・」

「構わぬ!政繁、相手してくれるか」

「氏康様がそう申されるなら・・・」

大道寺政繁・・・一説によるとあの猛将、前田慶次郎とも矛を合わせたといわれる人物か・・・

成るほど・・12歳にしては大きな体・・・

「父上!では」

「うむ、政繁は若人の中では一番の使い手だ、胸を借りてみよ!」

「はい・・父上!」


木刀を構える、確かに又七郎とは比べ物にならない威圧感を持つ

「氏政様!ごめん!」

 政繁の剣筋が振り下ろされる、それをいなすが流石に力が違う・・この世界では6歳児の体である・・・

だが剣をいなされた政繁は驚愕の表情を浮かべた・・・同年代ですら政繁の剣をいなす者などいない
それどころか二の太刀、三の太刀すらいなされる、そして所々で来る反撃の鋭さは六歳児ではありえない


 政繁の計算では最初の太刀で動きを止めて二の太刀で勝負を決める予定であった・・・
しかし目の前の六歳の男はそれをいなし鋭い反撃を織りなす・・・そしてそれは逆に政繁の余裕を失わせ・・追い込まれていく・・・剣筋が読めないのだ・・・関東上泉の流派では考えられない太刀筋はすぐに政繁の首元にその木刀を宛がわれていた

「まいりました・・」

政繁はふるえながら声を出す

「「「おおおおお・・」」」」

家臣団から歓声が上がる

「次はお前だ政景!」

「父上・・・無理です・・・私は政繁殿に一度も勝ったことがありませぬ・・・」

「ううーんやはり・・紅には氏政様しかおるまい・・・」

その時同年代の一人の男が立ち上がる

「俺も相手したい!父じゃ、いいか!」

「おう!氏康様!ぜひこの新七郎にも!」

「うむ!伊豆衆の若人の力を見せてみよ!」


俺の前に今度は清水新七郎という男子が立つ、年齢は俺の一つ上・・・

俺が新九郎でこいつが新七郎か・・・なんか名前負けしているが


新七郎は七歳児とは思えない怪力の持ち主だった・・・

政繁も力は強かったが力はこの新七郎の方が断然強いだろう・・・豊臣家に敗れた北条家だが・・面白い人物は多くいる物だ

「まいった・・・」

新七郎の首元に木刀を突き刺しやっと、まいったした・・・

「もう一番!」

だがこの男こりない・・・

「これ!新七郎また今度じゃ!・・・済みませぬ氏康様」

「構わぬ・・・伊豆衆にも強き武士もののふが育っているな


「ふーん・・・やはりいい!碧には氏政様がぴったりだのぅ・・」

「氏政様しかおらん!紅を操れる男は氏政様しかおらぬぞ!」


今回の評定の後

北条碧と遠山紅との縁談が氏康に持ち込まれるのであった

碧と紅と会うのは一年後の事である 















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