32 / 43
32☆
しおりを挟むとは言ったものの……
クロードは執務室から窓の下を眺めるとリリーと庭を散歩するフォルテナを監視して視線に気付いたフォルテナの側で作業をしていた庭師を目で殺しておいた。
(妻に近寄るなよ?)
クロードはフォルテナを見ただけでもガチガチと硬くなる男性器を手で押さえると椅子に座る。
「申し訳ございません。旦那様……どうしても旦那様のご確認が必要なものがございまして……」メイソンが申し訳なさそうに書類を持ってきたのでクロードは慌てて手を振ると『メイソンは悪くない』『迷惑を掛けてすまない』と手帳に書いた。
『三日間は執務に集中しよう』
「クロード様」
今日の執務が終わりフォルテナの部屋に向かうと駆け寄ってくる妻をクロードは受け止めた。男性器が容易に膨らんでいく……
柔らかいフォルテナの触り心地をあまり堪能し過ぎないようにしているとフォルテナはキュッとクロードを抱きしめ返した。
クロードはフォルテナの首すじに唇を寄せるとソファに押し倒す。す、少しだけ……少しだけ……
「あ……クロード様ぁ……」
クロードはフォルテナに濃厚なキスをするとフォルテナの下着越しに男性器を押し付けた。
その時クチャ……と音がしたのでフォルテナを見ると彼女は顔を手で覆いながら「私も……我慢しておりますゆえ……」と小さな小さな声で言った。
クロードは苦しんでいた。
まだ禁欲初日……夜隣に眠る妻がかわいらしくてかわいらしくて眠ることができない……
彼女は既に寝ており、すぅすぅと小さく寝息を立てている。
ガッチガチに起ち上がる陰茎を思いっきり上下に扱きたい……
クロードは下着の中に手を入れると硬く勃ち上がる陰茎を握る。タラー……と裏スジを愛液が伝っていく……
これを塗り拡げて触ると心地が良いに違いないのだ。
「私も……我慢しておりますゆえ……」
クロードは歯を食いしばるとフォルテナが昼間に言ったことを思い出し(約束……約束……)と心の中で繰り返し唱えると手を胸の上に組んで眠りについた。
「ハァ……」
クロードはガチガチに勃ち上がり続ける男性器を見つめて執務室でため息をついた。
「ぼっちゃま?」メイソンがこちらを向いたのでなぜだろう……と顔を見た。
「あ」
クロードは思わず口を押さえる。
話せないのに……クロードがメモを書こうと手帳を広げると「ぼ、ぼっちゃま!ぼっちゃま!」とメイソンが取り乱し始めた。
いかん、これ以上近寄られると……勃起がバレる!
「メイソン待って」
クロードが思わず口を開けた時音が出た。
「……なんだ?」
「ぼっちゃま……」
メイソンの涙声でクロードが顔を上げると「こ、声が……お声が……ぼっちゃま……」とメイソンは机に突っ伏して泣き崩れた。
「……」
クロードは立ちあがると「あ……」と声を出した。
「あー、あー、あー」
耳を塞ぎ何度も声を出した。
「メイソン……声が」
クロードがそう言うとメイソンはハンカチで顔を拭きながら「はい……ぼっちゃま。声が戻って来られました」と笑いながら言った。
「フォルテナ殿!フォルテナ殿!!」
クロードは執務室を飛び出すとフォルテナの部屋まで走った。
「だ、旦那様?」
リリーが扉を開けて目を丸くしている。
「リリー?誰だった?男の人だわ……私、あまり旦那様以外とはお話をしないように……」
フォルテナの声がしたのでクロードはリリーに入室することを告げて中に入った。
「クロード様?……?」
フォルテナがキョトンと扉付近に立っていたのでクロードは「フォルテナ殿!俺は声が出るようになりました!」と元気よく告げた後フォルテナを抱きしめた。
「え?声が?今ですか?」フォルテナは言葉を失っているのか、そう言うとパクパク口を数回開けた。
「はい」
「……ええと……もっと何か……ドラマチックな展開の時に話せるようになったりするものではないのですか?」
「……?例えば?」
「……私が崖にぶら下がっていたり……」クロードはフォルテナの言葉に思わず大きな声で笑った。それを見てフォルテナは目を丸くしている。なんで笑うの?と
「あなたが崖にぶら下がるような状況に俺はしません」クロードはひとしきり笑った後、目尻を手のひらで拭うと呼吸を整えながら言った。
「そう?」
「はい、あなたの盾に……俺がなりますから」
俺が君を危険に晒すはずがないだろう。
フォルテナはなんだか頼もしい様子のクロードを見てニッコリ笑うとフォルテナは手を首に回し、クロードがそれに顔を寄せた。
「ふふ……クロード様はそんな声でらしたのね」
「イメージと違う?」
「いいえ……素敵な声……それに」
「それに?」
「私のこと『フォルテナ殿』と呼んでらしたのね」フォルテナはそう言うと柔らかく笑ってクロードにキスをした。
「……変だろうか……」
クロードが少し顔を染めて俯いた。
「いいえ……私のこと、名前で呼んでくださっていたのね……?ねえ?私もクロード様とお呼びしても?」フォルテナがクロードの鼻先に自身の鼻を寄せる。
クロードは少し顔を傾けながら「勿論。喜んで……」とフォルテナの薄く開けた口に自身の口を寄せると舌を差し込んだ。
166
あなたにおすすめの小説
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
愛された側妃と、愛されなかった正妃
編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。
夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。
連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。
正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。
※カクヨムさんにも掲載中
※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります
※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
王子を身籠りました
青の雀
恋愛
婚約者である王太子から、毒を盛って殺そうとした冤罪をかけられ収監されるが、その時すでに王太子の子供を身籠っていたセレンティー。
王太子に黙って、出産するも子供の容姿が王家特有の金髪金眼だった。
再び、王太子が毒を盛られ、死にかけた時、我が子と対面するが…というお話。
婚約者の番
ありがとうございました。さようなら
恋愛
私の婚約者は、獅子の獣人だ。
大切にされる日々を過ごして、私はある日1番恐れていた事が起こってしまった。
「彼を譲ってくれない?」
とうとう彼の番が現れてしまった。
私に告白してきたはずの先輩が、私の友人とキスをしてました。黙って退散して食事をしていたら、ハイスペックなイケメン彼氏ができちゃったのですが。
石河 翠
恋愛
飲み会の最中に席を立った主人公。化粧室に向かった彼女は、自分に告白してきた先輩と自分の友人がキスをしている現場を目撃する。
自分への告白は、何だったのか。あまりの出来事に衝撃を受けた彼女は、そのまま行きつけの喫茶店に退散する。
そこでやけ食いをする予定が、美味しいものに満足してご機嫌に。ちょっとしてネタとして先ほどのできごとを話したところ、ずっと片想いをしていた相手に押し倒されて……。
好きなひとは高嶺の花だからと諦めつつそばにいたい主人公と、アピールし過ぎているせいで冗談だと思われている愛が重たいヒーローの恋物語。
この作品は、小説家になろう及びエブリスタでも投稿しております。
扉絵は、写真ACよりチョコラテさまの作品をお借りしております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる