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45話 sideクリス
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朝は豪華な朝食を食べて学院に向かい、他の生徒と同じように授業を受ける。
朝夕に行われる部屋授業は、2人の異様な圧に教師達の授業も熱気に溢れ、俺も考えられないくらい勉強する羽目になった。
結果、年の終わりのテスト結果がどエライ事になってしまった。
「ふははははは、これで名実ともに赦しを得られます」
「頑張った甲斐がありました!」
「クリス様も、ドンマイ!」
いやいやいやいや!
おかしいでしょ!
たった1年学んだだけのヤツが、張り紙のワンツーになるとか……どう考えてもおかしいから!
ちなみにドンマイな俺は12位だ。
そもそもが学年も違うから、むしろよくやったと褒めてくれ。
他が幼少期から家庭教師に絞られてる貴族がほとんどなことを思えば、本当に上等な結果なんだぞ。
お前らに、かわいそうな子を見る目で慰められる必要は、断じて無い。
「ほら、お前ら浮かれるのもいいけど、そろそろ食堂行かないと兄さんが食べ終わってしまっていて、今日は会えないかもな」
どうしても兄さんに会いたいだろう?
特に、今日は。
「そ、それは大変だ」
「急いでサリス様のために『今日のオススメ』を確保しておかなければ」
食事時には兄さんが合流することも多く、その時兄さんに魔力の補充をしながら、兄さんを補充する2人。
普段の時でさえ、兄さんに会えないとわかりやすくへこむ2人だ。
今日はどうしても会いたいに決まっている。
僕も慌てて移動を始めた2人を追いかけた。
遅れて食堂に行ってみれば、兄さんがちょうどやってきたところだった。
「3時間ぶりのサフィ様も素敵ですね。席のご用意もできてますよ」
「会えない間もサリス様ことが頭からはなれませんでした。はい、あーん」
「いや、自分で食えるし」
いつもすごいテンションだが、今日は輪をかけてすごい浮かれようだ。
なんていうか、兄さんにあと何時間かしたら地獄が待っていることを知らせた方がいいだろうか。
でも、言い出したの兄さんで、約束を守ったのはコイツらなんだよな。
「それにしても、なんかご機嫌だな」
兄さんもコイツらの浮かれようが気になったようだ。
「はい。いいことがあったのです」
「帰りましたらご報告しますから、時間を頂いても?」
「おー、いいぞ」
あああ、地獄へのカウントダウンが始まったよ。
僕知らないからね。
あー、でも兄さんが苦しまなくてもいいように、準備だけはしておいてあげないとなあ。
☆
「ただいまー」
リクとカランが時間を欲しいと言ったからか、兄さんが早めに帰ってきた。
「では今日は我々もこれで終わりにしましょう」
教師達もそそくさと教材を片付ける。
それ、いらん気遣いってやつだけどな。
「え、と。どうしたんだ?」
いつもと違う様子に、兄さんが戸惑っている。
「サリス様」
「おう?」
「私達、サリス様との約束を果たしました」
「約束?」
「おおおお覚えておいでですよね!!」
「あ、う、うん」
兄さんが迫力に負けて思っきし頷いた。
もう救いようが、ない。
「何にしようか悩んだのですが、俺からのお願いは、また一緒に寝たいっていうことです」
「う、うん?」
あー、まだ兄さんわかってないな。
「ぜひ私も、そこに混ぜてください」
「う、うん」
「じゃあ早速準備して参りますから、お待ち下さいね」
兄さんからの許可を得たと理解した2人は部屋の方に走り去っていった。
「ク、クリス。どういうことかわかるか?」
兄さんは未だに何か思いついていないらしい。
まあ、確かに1年も前のことだしね。
「前に兄さんが約束したこと覚えてないかな?勉強したくない兄さんの代わりに、頑張って10番以内に入ったらあの風呂の出来事を許してやって、さらにお願いを聞いてあげるって言ったこと」
「あー、ああ、言ったかも」
ポンと手を打って納得した兄さん。
でもこれから起こることには気づいてないんだろうな。
アイツらのお願いが、そんな可愛いものじゃないって。
「だからね兄さん、これ僕からのお見舞いっていうか激励っていうかね。あげるから、まあ、その、頑張って?みたいな」
ガラス瓶に入った、少し硬めなプルプルしたゼリー玉だ。
あの2人には手に入れることが難しい高級品だ。
「ん、ありがとう。っていうか、これ何?」
やっぱり兄さんは知らないか。
「兄さんは知らなくても、カラン達が知ってるからちゃんと渡すんだよ」
「おう、わかった」
小さく頷くと、兄さんはカランとリクがいるであろう部屋に向かった。
「これで兄さんも年貢の納め時かなあ。いいよな、兄さんは」
いいよな、カランとリクも。
お互いがお互いを求めていて、きれいにパズルがハマった関係だ。
僕の方は、当てが外れてしまったからなあ。
シルベール様が、思っているような美しい人ではなかったのだ。
いや、見た目はバッチリ美少女だし可愛いけどね!
でも聞こえてしまったのだ。
兄さんを詰る言葉が。
正直、ガッカリした。
夢を見ていた分、落胆は大きかった。
それでも、それでも嫌いになりきれない僕もどうかとは思うけどさ。
彼女、顔だけは可愛いから、本当に!
僕もリク達みたいに、男でもいけたらよかったのかなと思うこともある。けど、それだって兄さんより可愛い男なんていないし。
僕、なんで兄さんと血が繋がってるんだろう。
兄弟じゃダメだ。絶対幸せなんかになれないもんな。
堂々と兄さんを手に入れられる、あの2人が羨ましい。
兄さんは、性格も気持ちいいくらい真っすぐだし、顔も本当に可愛いし。
そもそもがストーリーが狂った以上、シルベール様と結ばれるわけもない、か。
普通に考えても、身分が違い過ぎるからなあ。
浄化しまくって、この国を住みやすくする。
それに異存はないけど、このまま迎えるノーマルエンド。
なんだか思っていたよりも面白くないもんなんだな、異世界転生ってさ。
まあそれでも、兄さんが幸せそうにしていてくれたら楽しいか。
あー、何時間くらい経ったら部屋に帰ってきても大丈夫なんだろ。
兄さんが死んじゃわないように、途中で止めた方がいいかもしれないし、2時間もあればいいか?
いや、2人だし倍?
あー、くっそ羨ましいわ。
朝夕に行われる部屋授業は、2人の異様な圧に教師達の授業も熱気に溢れ、俺も考えられないくらい勉強する羽目になった。
結果、年の終わりのテスト結果がどエライ事になってしまった。
「ふははははは、これで名実ともに赦しを得られます」
「頑張った甲斐がありました!」
「クリス様も、ドンマイ!」
いやいやいやいや!
おかしいでしょ!
たった1年学んだだけのヤツが、張り紙のワンツーになるとか……どう考えてもおかしいから!
ちなみにドンマイな俺は12位だ。
そもそもが学年も違うから、むしろよくやったと褒めてくれ。
他が幼少期から家庭教師に絞られてる貴族がほとんどなことを思えば、本当に上等な結果なんだぞ。
お前らに、かわいそうな子を見る目で慰められる必要は、断じて無い。
「ほら、お前ら浮かれるのもいいけど、そろそろ食堂行かないと兄さんが食べ終わってしまっていて、今日は会えないかもな」
どうしても兄さんに会いたいだろう?
特に、今日は。
「そ、それは大変だ」
「急いでサリス様のために『今日のオススメ』を確保しておかなければ」
食事時には兄さんが合流することも多く、その時兄さんに魔力の補充をしながら、兄さんを補充する2人。
普段の時でさえ、兄さんに会えないとわかりやすくへこむ2人だ。
今日はどうしても会いたいに決まっている。
僕も慌てて移動を始めた2人を追いかけた。
遅れて食堂に行ってみれば、兄さんがちょうどやってきたところだった。
「3時間ぶりのサフィ様も素敵ですね。席のご用意もできてますよ」
「会えない間もサリス様ことが頭からはなれませんでした。はい、あーん」
「いや、自分で食えるし」
いつもすごいテンションだが、今日は輪をかけてすごい浮かれようだ。
なんていうか、兄さんにあと何時間かしたら地獄が待っていることを知らせた方がいいだろうか。
でも、言い出したの兄さんで、約束を守ったのはコイツらなんだよな。
「それにしても、なんかご機嫌だな」
兄さんもコイツらの浮かれようが気になったようだ。
「はい。いいことがあったのです」
「帰りましたらご報告しますから、時間を頂いても?」
「おー、いいぞ」
あああ、地獄へのカウントダウンが始まったよ。
僕知らないからね。
あー、でも兄さんが苦しまなくてもいいように、準備だけはしておいてあげないとなあ。
☆
「ただいまー」
リクとカランが時間を欲しいと言ったからか、兄さんが早めに帰ってきた。
「では今日は我々もこれで終わりにしましょう」
教師達もそそくさと教材を片付ける。
それ、いらん気遣いってやつだけどな。
「え、と。どうしたんだ?」
いつもと違う様子に、兄さんが戸惑っている。
「サリス様」
「おう?」
「私達、サリス様との約束を果たしました」
「約束?」
「おおおお覚えておいでですよね!!」
「あ、う、うん」
兄さんが迫力に負けて思っきし頷いた。
もう救いようが、ない。
「何にしようか悩んだのですが、俺からのお願いは、また一緒に寝たいっていうことです」
「う、うん?」
あー、まだ兄さんわかってないな。
「ぜひ私も、そこに混ぜてください」
「う、うん」
「じゃあ早速準備して参りますから、お待ち下さいね」
兄さんからの許可を得たと理解した2人は部屋の方に走り去っていった。
「ク、クリス。どういうことかわかるか?」
兄さんは未だに何か思いついていないらしい。
まあ、確かに1年も前のことだしね。
「前に兄さんが約束したこと覚えてないかな?勉強したくない兄さんの代わりに、頑張って10番以内に入ったらあの風呂の出来事を許してやって、さらにお願いを聞いてあげるって言ったこと」
「あー、ああ、言ったかも」
ポンと手を打って納得した兄さん。
でもこれから起こることには気づいてないんだろうな。
アイツらのお願いが、そんな可愛いものじゃないって。
「だからね兄さん、これ僕からのお見舞いっていうか激励っていうかね。あげるから、まあ、その、頑張って?みたいな」
ガラス瓶に入った、少し硬めなプルプルしたゼリー玉だ。
あの2人には手に入れることが難しい高級品だ。
「ん、ありがとう。っていうか、これ何?」
やっぱり兄さんは知らないか。
「兄さんは知らなくても、カラン達が知ってるからちゃんと渡すんだよ」
「おう、わかった」
小さく頷くと、兄さんはカランとリクがいるであろう部屋に向かった。
「これで兄さんも年貢の納め時かなあ。いいよな、兄さんは」
いいよな、カランとリクも。
お互いがお互いを求めていて、きれいにパズルがハマった関係だ。
僕の方は、当てが外れてしまったからなあ。
シルベール様が、思っているような美しい人ではなかったのだ。
いや、見た目はバッチリ美少女だし可愛いけどね!
でも聞こえてしまったのだ。
兄さんを詰る言葉が。
正直、ガッカリした。
夢を見ていた分、落胆は大きかった。
それでも、それでも嫌いになりきれない僕もどうかとは思うけどさ。
彼女、顔だけは可愛いから、本当に!
僕もリク達みたいに、男でもいけたらよかったのかなと思うこともある。けど、それだって兄さんより可愛い男なんていないし。
僕、なんで兄さんと血が繋がってるんだろう。
兄弟じゃダメだ。絶対幸せなんかになれないもんな。
堂々と兄さんを手に入れられる、あの2人が羨ましい。
兄さんは、性格も気持ちいいくらい真っすぐだし、顔も本当に可愛いし。
そもそもがストーリーが狂った以上、シルベール様と結ばれるわけもない、か。
普通に考えても、身分が違い過ぎるからなあ。
浄化しまくって、この国を住みやすくする。
それに異存はないけど、このまま迎えるノーマルエンド。
なんだか思っていたよりも面白くないもんなんだな、異世界転生ってさ。
まあそれでも、兄さんが幸せそうにしていてくれたら楽しいか。
あー、何時間くらい経ったら部屋に帰ってきても大丈夫なんだろ。
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いや、2人だし倍?
あー、くっそ羨ましいわ。
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