イヤゲモノには礼状を ~ サレ妻の子どもたちは幸せな未来を選ぶ ~

イチモンジ・ルル

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第1章 イヤゲモノ

返せ

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 カンナは、翔太が離婚したのと同じ頃、日本を出たという。
 次の「より条件のいい男」を探してのことだろう。
 迷いのない生き方には、ある意味感心する。

 そんなわけで、「専業主婦を養ってやった恩を返せ! お母さまが要支援になったんだ、お前が面倒を見ろ!」と、翔太は吠えるように長文を書き殴って送ってくる。
 まるで、「俺は捨てられたのに、お前は楽しく暮らしているのが許せない」 とでも言わんばかりに。

 離婚のときにお願いした弁護士への依頼を継続しているのは、養育費の督促だけが目的ではない。
 手紙を開封せず、そのまま送り返してもらうためだ。

 余計な手間がかかるが、仕方ない。
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