語り部は王の腕の中

深森ゆうか

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賢王の裏側5

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「あ、あ、駄目……お、う……!」

  ボヤけた頭で抵抗したが、手足に力の入らないエステルの無駄な足掻きだ。
  倒れるように二人、寝台に沈む。
 「いい加減、観念してくれ……。貴女の身体は、もう私を受け入れている」
  向かい合わせになり、アレシュはエステルを寝台に押し付け、そう言い放った。
  低い囁く声は今にも爆発しそうな欲望を、ギリギリで抑えているに聞こえる。
  アレシュの表情も、低く唸りをあげて襲いかかろうとする獅子にも見え、エステルの身体が冷え始めた。
 「王よ、お願いですから……! 手遅れにしないで……キャッ!」
  大胆に足を広げられ、腿の付け根を押さえつけられてしまう。
 「手遅れ……? それは八年前に言うべきだったね。今更、遅い」
 「――やぁ……! お…う!」
  アレシュはそう吐き捨てると、エステルの股間に顔を埋めた。
  エステルにとって、思いもよらないアレシュの行為に、混乱しながらもその姿に衝撃が走った。
 「何を……? そんな、汚い場所に……!」
  アレシュの見事なプラチナブロンドが乱れ、自分の股の間に埋まっている。
  男らしく成長したことを証明している広く、しっかりとした肩幅と腕がエステルの視界を埋めた。
 「お止め下さい! ……そんなこと、しないで……!」
  焦り、身を捩る彼女の太腿をアレシュはがっしりと掴み離さない。
 「……汚くない。貴女を汚いなどと、思うはずもない」
 「ひゃっ……!」
  ザラリ――とした舌の感触が冷たくて、エステルは身を縮める。しきりに舌先が蕾を弄んでいる。突き、押し潰し、まるで早く咲けと囃しているかのように。
 「はあ、ああ……ぅ……ん」
  アレシュの舌が、大胆な動きを繰り返すようになる。
 「ああ……凄い。こんなに溢れて……蕾も赤く膨らんで、今にも花が咲きそうだ」
 「お……う……ぅ……あ」
  エステルはもう抵抗しようにも出来ない。指よりも柔らかな舌が、丹念に彼女の秘所を愛しみ快楽へと導いている。
  今まで、男女の営みの世界を書物でしか知らないエステルには、昨日からの『教育』は激しく、あまりにも強烈だった。
  アレシュが弄ぶ自分の秘所から時々、ピリピリと全身を駆け巡るのは何なのか? 痺れにも似ているが、もっと甘くてもっと強い。
  雷を落とされたように、無意識にピクピクと小刻みに身体を揺らす。
 「あ……あっ……」
  それは身体を突き抜けるわけでなく、蓄積していく。
  その場所に溜まれば溜まっていくほど、ジリジリとしたもどかしさがも溜まっていった。
 (――何なの……? この感覚は?)
  何とかしてほしい。解消してほしい。
 「お……う、や、ぁ……も……」
  知らずに涙が溢れる。呼吸と共に漏らす声まで、泣くのを我慢しているように震えていた。
 「可愛いよ、エステル……。いやらしくて美しくて。私に『女』としての顔をもっと見せてくれ……」
 「いやあ……そんな……」
  いやらしい顔なんて見せたくない。短い間ではあったが教え子であって、弟のようだったアレシュに。
 「ご褒美に――この滴るエステルのを、残らず綺麗に吸い付くしてあげよう」
  アレシュが顔をあげると寝台に設置されていた数多い枕を二つほど取り、エステルの腰に当てた。腰が浮いたお陰か自分からも、薄茶に照らつく恥毛につながる腿の付け根が見える。
  上がった息のエステルと目が合ったアレシュは、目を細め微笑む。
  エステルだけでなく、女性なら誰でも、見ただけで恋に落ちる笑み。
  こんな淫らな行為の中でも、彼の微笑みは美しい。
 (いいえ、美しいだけじゃない……)
  妖艶だ。

 「――ひぃや……あ! また……!」
  再びアレシュの舌が、ぐちょぐちょに溶けた蜜壺へと侵入していく。ジュッジュッと強く吸っては時々、舌ですくうように舐め回す。
  それは中へ――指と共に作り出している蜜壺に入り、掻き出すように蹂躙していた。
 「ああああ……! 止め……! 止めて……! あ、あん! ああん!」
  エステルの拒絶の言葉も空しく、寝台の空気を彩るのは、彼女の下肢から放たれる淫靡な音だ。
  舌と指で、中を何度も擦られる。アレシュの口から漏れた愛液が、尻の割れ目を伝い背中までも濡らす。
  ――いつの間にか、エステルは全裸にされていて。
  訳の分からない、雷のような強烈な刺激に何度も身体を痙攣させた。
 「凄いな、貴女は……何て育てがいのある人なんだ」
  欲望が含まれたアレシュの言葉に、エステルは首を振る。
 「い……や、み……ない…でぇ」
  涙でぐちゃぐちゃになった顔を両手で隠しても、直ぐに彼に払い除けられた。
 「駄目だ、よく見せなさい。私の指や舌で乱れ泣く貴女を、もっと見たい……!」
  アレシュはエステルの足を自分の肩に乗せると、彼女の尻を引き寄せる。
 「ああ、この体勢は良い。貴女の表情と、貴女のいやらしい場所がよく見える」
 「あ、ああ……やめ……て」
 「こんなに濡らして?」
  アレシュの手が尻の割れ目を通り、背中まで伝う。
  たったそれだけのことなのに、エステルは爪先まで痙攣した。
 「敏感になりすぎたようだね。まだ二回目だ……名残惜しいがここまでにしよう」
  ホッとした。
  良かった、これ以上されたら狂ってしまったかもしれない。この腹の底に溜まっている痺れは、それを引き起こすものに違いない。
  エステルは、自らアレシュの肩から足を下ろす。

 「私の、この憤りを何とかしなければ……」
  アレシュの言葉にエステルは、彼の視線の先を見て思わず凝視してしまった。
  赤黒い生々しい肉の突起。
  矛のように形作り、それ自身に意思があるかのように天井を向いている。
 「あ、あ……」
 「見るのは初めてだろう。男は欲情すると、こう膨らむのだ」
  ――これが? 
  奇妙な形だ。世の女性達は、こんなものを受け入れているのか。
  絶句して動かないエステルの股を掴んだアレシュは、間に自分のそれを挟み込む。
 「な、何を……?」
  自分の股に挟まれた、生々しい肉の矛。エステル側から、彼の先端が見え隠れしている。
 「王……? 一体……?」
  何をするのか見当がつかないエステルは目を開き、じっと見いる。アレシュは、そんな彼女の眼差しに
「すぐに分かる。動くよ……」
と微かに笑いかけると、腰をエステルの腿にぶつけ始めた。
 「や……ぁ! あ!」
  激しい動きに思わず下がるエステルだったが、アレシュが引き戻し、太股を抑える。
  股の間に己の楔を挟み、前後擦っていた。
 「な、何を……!」
 「本当なら貴女の中へ入って思う存分、汚したいが……貴女がまだ私を受け入れてはくれてまい。だから――最後の一線は越えないよ」
  そう苦し気に、アレシュは良い放つ。
  挟まれ、擦られた楔はますます熱を帯び、膨張していく。
 「あ……あ……」
  空恐ろしさを感じる一方で、また、お腹からジワリと熱いものが生まれてくる。
 「エステル……」
  アレシュはエステルを回転させ、四つん這いにさせた。
 「やっ……ん!」
  そうしてまた彼女の股に己のを挟み、擦りあわせる。
 「擬似体験だがな……!」
  激しい前後の動きに、エステルの尻とアレシュの腰がぶつかり合う。
  パンパン、と弾けるような音が部屋中に鳴り響いた。
 「い、ひっ……!」
  アレシュの手が愛しげにエステルの尻をまさぐり、自分の楔の代わりにと指が蜜壺に侵入する。
  せっかく落ち着き始めたざわついた痺れが、再び暴走を始めた。
  股に擦られるアレシュの楔の形に熱いものを感じながら、自分の体内で差し抜きされる長い指。
 「あ、あ、あん……!」
  また、甘い嘶きを出してしまう。
 「気持ちが良いか……?」
  掠れたアレシュの声さえも、エステルの耳には快感を促すものになっていた。
 「わか……りま、せ……!」
  ブルブルと震える下肢は、何を意味しているのか?
  エステルには分からないが、それが先程感じた『狂い』の物と似ていて怖い。
 「い、いや……怖い……やめ……」
 「……達っせそうだな」

  ――達する?

 「――あぁ!」
  中が急に圧迫感に満たされる。
 「いゃ……、何を……?」
 「まだ狭い……、馴れてもらっている」
 「裂け……て、しまいます……!」
 「指を一本増やしただけさ。直ぐに馴染む」
ゴリゴリと中を抉りながら出入りするアレシュの指に、エステルは恐怖した。
 (こんな……! 慣れるなんて!)
  ――だが、アレシュの言う通りだった。直ぐに中が潤いで、彼の指を包む。
  更に深い痺れが増して重なり、快感が生まれてきた。
 「あ、ぁあ……ん!……っ」
  再び脳が溶けだす。
  内腿を擦るアレシュの、猛々しい楔が熱い。
  蜜壺を掻き回す指も熱い。
  エステルは、その熱に浮かされて、ただ切なく声をあげる。
 「あ……、ぁああん……、ぁ……」
  鎮まっていた身体の奥にあった甘い痺れが、限界まで溜まっていった。
 「あ、ぁふれ……る……!」
  一瞬、目の前が真っ白になった。
  ブルブルと下半身が震え、知らずに下半身に力が入る。
 「――あ、そんなに力強く誘うとは……」
  同時、後ろからアレシュの低い唸り声が聞こえ、内腿に挟まれた楔が収縮する。
 「あ、あぁ……」
  初めての身体の反応にエステルは、クタリと倒れるように前に顔を埋めた。
 「エステル……」
  ヌルリと粘着な感触をエステルの内腿に残し、アレシュの物が引き抜かれる。内腿には白濁した液体が、ベトリと付着していた。

  これが何なのか――エステルだとて、ここまでされたら分かる。

  だが、もうエステルの精神は消耗して、怒りも動揺も悲しみも起こらなかった。

  顔を敷布に埋めたそのままに、意識を閉じた。



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