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過去はとうに過ぎ去って2
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夜の『教育』は、その後も行われることはなかった。
代わり、早朝に二人で乗馬をし領地を駆け巡っていた。
ヴェルディ川を架ける橋の向こうは、道が舗装されて商業施設が建ち並び、橋から離れた場所の運河の岸辺には、川で採れる魚を樽にいれ保存食にする工場がある。
王宮があるこちら側は、森林に軽く手をいれて森林公園のようにしているという。
アレシュ王は馬乗りをしながら、王公領を案内・説明してくれていた。
エステルは――徐々にこの状況を受け入れ始めていた。
王妃になることは、覚悟も何も出来ていない。
ただ、周囲に流されているだけだと、自分自身理解している。
だが反面――許されるなら、このまま王の傍にいても良いだろうか、とも思っている。
(……惹かれている)
毎日こうして顔を合わせ、昔の幼い少年だった頃のアレシュ王とはもう違う。心身共に成長をした、猛々しいくも凜然とした姿に。
甘い魅了な顔立ちに浮かぶ微笑み。
その全てが、自分に全身でぶつかって愛を注いでいる。
――いつか若気の至りだと、相応な女性を愛し始める時が来る……。
少し前の自分なら、そんな代理のような関係はお断りだった。
(……その時が来るまで、王の傍にいても良いかしら?)
何度も自答自問してしまう。
(『王妃』の席は空けといて、私はそれまでの彼の好い人でいたい)
いずれ、話し合わなければ。
そう決意するもエステルの自分の決意に、胸がシクリと傷み、訳もなく涙が溢れては、誰にも分からぬようそっと指先で拭うのだった。
◆◆◆
王宮に着てから、既に一ヶ月が過ぎていた。
アレシュ王も強引な『教育』などもせずに常にエステルを敬い、一人の女性として接している。
エステルは、この穏やかな時間が至極気に入っていた。
あのまま、毎晩アレシュ王が来室して王の手で身体を開かれ続けていたら、自分は気が触れていたかも知れないと、身が震える。
(――そう、そうなのに)
あの二夜の事を思い出す度に、濁った泥沼に沈んでいく恐怖を覚えるのに。
一方で、王の腕や指の感触が、堪らなく欲しくなる。
熱い指先で自分の身体の奥を開かれ、湿った厚い舌が、纏う物を無くした自分の身体を伝う。
彼の火に熱したような楔と化した男の下部。それが自分の内股を擦り上げて――果てた。
同時、自分も果ててしまったことも――あの感覚が「達する」と言うことなんだと、後から知った。
恐ろしくて必死に避けようとしていたあの感覚がそうだったのだと、エステルは納得して受け入れたのだ。
「……」
たった二夜なのに。
王の指の形、
王の熱い手のひら
欲情に支配された身体の逞しさ。あの硬さと質量と形
全て覚えてしまった。
分かってる。もう、七年前に自分が、この腕の中に抱いた幼い少年ではない。
一人の男。
なのに――心だけ、エステルを慕っていた、あの頃のままに見える。
(不均衡だわ……)
そして自分は――大人の彼を求めている。
(身体だけを求めている……?)
自分の浅ましさを消したくてエステルは、よりいっそうに一日の『王妃教育』に励んでしまう。
そんな心とは裏腹の自分の行動に板挟みにあい、一人苦しんでいた。
そう過ごしてまた日が経ち、エステルにとって一日緊張を強いられる日がきた。
貴族達の娯楽の一つである狩猟に、参加することになったのだ。
エステルは王の婚約者としての参加に、心臓が破裂しそうだった。
「何、始まってしまえば皆、周囲に構ってなどいられなくなるほど夢中になる。最初だけだ。後は女性達だけでピクニック気分で楽しんでなさい」
そうアレシュは言うが――
(その、女性同士というのが……)
大変なんだと、エステルは溜息をついた。
乗馬用とはいえドレスなために、横乗りでゆったりと馬を走らせる女性群は、獣を探す犬の後を躍起になって追っていく男性達の後ろ姿を見送る。
アレシュと言えば、親しげにダニヘル伯と肩を並べて馬を走らせていた。
隣のダニエル伯は白髪混じりの、五十台初めくらいの齢に見えるが、伸びた背筋に堂々とした馬上での姿は、若々しく見える。
(そうだわ。立ち姿も堂々として、妙齢の男性の魅力に溢れていたわよね)
と、先日アレシュ王から紹介された時を思い出した。
「エステル様、この辺りならティーセットを広げられそうですわ」
そして――自分の横に付き添ってくれている、品の良い笑みを浮かべ話しかけてくれる中年の女性は――
「ダニヘル伯爵婦人、そうですわね……」
と、伯の奥方である婦人に、エステルはそう同意した。
伯爵夫人は付き添ってきていた従者達に手招きをし、持参してきた折り畳みのテーブルや椅子を木陰に設置させる。
すると遠巻きに見ていた他の貴族の女性達も争うように、付き人にエステル達の近くに場所取りを命じ出した。
唖然と見ていたエステルに夫人は、
「そ知らぬ振りですわよ。目が合えば微笑みを返して差し上げればよろしいわ。でも、頭を下げてはいけないわ。格下だと馬鹿にされますから」
と、そっと耳打ちをする。
馬を従者に任せて夫人と椅子に座れば、侍女達がお茶の支度を始めている。
「さあ、後はわたくし達は男達が仕止めてきた献上品を待つばかり。それまでゆっくり会話に花を咲かせましょう」
ハキハキと述べる夫人の声は余裕と自信に溢れていて、それでいて押し付けることなく、スルリとエステルの中に入っていく。
ダニヘル伯はアレシュ王の亡き母妃の生家であり、伯は母の実兄であった。アレシュ王はダニヘル伯爵夫婦を信頼して、よく相談を持ちかけているらしい。
エステルの件も事前に相談をしていたらしく、夫妻は快く彼女の後見人を引き受けてくれた。
――そして今も、こうして夫人から社交界での切り抜け方を伝授してもらっている。
実際、彼女が傍にいてくれると助かる。エステルを傷付けようとする女性が、近付くことがないからだ。
今回の狩猟会で、ダニヘル伯爵夫人の社交界の実力がハッキリと分かり、エステルはただ目を開くばかりであった。
「でも、驚いたわ。王が初恋の相手を忘れられなくて、熱心に求婚をして願いを叶えてしまうんですから」
ダニヘル伯爵夫人が朗らかに笑いながら、紅茶に口をつける。
「そんな……私……まだ、ハッキリとは返事はしておりません」
エステルは正直に告白すると、夫人はそれは楽しそうに頷いた。
「そうね、それが良いわ。お返事は焦らして、殿方を焼きもちさせた方が良くてよ。簡単に『はい』なんて言ってはいけないわ。例え王でもね。自分を安売りなんてしては駄目よ」
「――そんな意味ではありません」
エステルは苦笑いしながら「違います」と首を振る。
「あら? では何かしら?」
夫人は目をパチパチさせて、身を乗り上げてくる。
「……ただ、王の情熱に流されているだけなのです。私はまだ自分はどうしたいのか、王の気持ちをお受けするべきか……舵を無くした小舟のように、湖に浮いている気分なのです。王の心を掻き乱して、惹き付けている訳ではないのです。……早く王の興味が私から、他の若い女性にいって欲しいと願っております」
「エステル様、自分を見下し過ぎですわ。貴女は魅力ある女性です」
「ダニヘル伯爵夫人……」
テーブル越しに視線を合わせる。夫人の灰色の瞳には、からかいや悪戯の色は見られない。深い慈愛の光が見えるだけ。
ふっ、と夫人が口許を緩め言葉を紡ぐ。
「わたくしも最初はね、反対でしたのよ――いえ、貴女の生まれや王との歳の差で反対したわけではないの。だって詳しく聞いたら『七年前から会っていない、手紙のやり取りさえもしていない』と言うのよ。お互いに気心も知れて、分かりあっている仲なら良いわ。……だけどね、いきなり連れてきて『結婚します』だなんて国同士の顔も知らない者同士の婚姻だって、事前に約束ごととか取り決めするのに、それでは相手が不憫だわ! って王に進言したのよ」
だけど、と夫人は喉を潤すために紅茶を一口飲んでから、再び話し出す。
「王とエステル様の二人ご一緒にいるお姿を見て、気が変わったのよ。だって二人の間に七年の隔たりを、まるで感じなかったから。ずっとお会いしていなかったなんて考えられないほど、しっくりしていてその場に溶け込んでいたわ……」
「……そんな風に見えましたか?」
意外だった。
確かにここ最近、王の強引さは、なりを潜めている。彼が作る穏やかな時間は、エステルの性に合ったものだ。
(――まさか、王が私に合わせてくれていた?)
ハッと気付き、エステルは跳ねるように椅子から立ち上がった。
「エステル様? どうなさったの?」
「ごめんあそばせ! 急用を思い出しまして……!」
ダニヘル伯爵夫人に慌てながらも会釈をすると、アレシュ王を探し出した。
代わり、早朝に二人で乗馬をし領地を駆け巡っていた。
ヴェルディ川を架ける橋の向こうは、道が舗装されて商業施設が建ち並び、橋から離れた場所の運河の岸辺には、川で採れる魚を樽にいれ保存食にする工場がある。
王宮があるこちら側は、森林に軽く手をいれて森林公園のようにしているという。
アレシュ王は馬乗りをしながら、王公領を案内・説明してくれていた。
エステルは――徐々にこの状況を受け入れ始めていた。
王妃になることは、覚悟も何も出来ていない。
ただ、周囲に流されているだけだと、自分自身理解している。
だが反面――許されるなら、このまま王の傍にいても良いだろうか、とも思っている。
(……惹かれている)
毎日こうして顔を合わせ、昔の幼い少年だった頃のアレシュ王とはもう違う。心身共に成長をした、猛々しいくも凜然とした姿に。
甘い魅了な顔立ちに浮かぶ微笑み。
その全てが、自分に全身でぶつかって愛を注いでいる。
――いつか若気の至りだと、相応な女性を愛し始める時が来る……。
少し前の自分なら、そんな代理のような関係はお断りだった。
(……その時が来るまで、王の傍にいても良いかしら?)
何度も自答自問してしまう。
(『王妃』の席は空けといて、私はそれまでの彼の好い人でいたい)
いずれ、話し合わなければ。
そう決意するもエステルの自分の決意に、胸がシクリと傷み、訳もなく涙が溢れては、誰にも分からぬようそっと指先で拭うのだった。
◆◆◆
王宮に着てから、既に一ヶ月が過ぎていた。
アレシュ王も強引な『教育』などもせずに常にエステルを敬い、一人の女性として接している。
エステルは、この穏やかな時間が至極気に入っていた。
あのまま、毎晩アレシュ王が来室して王の手で身体を開かれ続けていたら、自分は気が触れていたかも知れないと、身が震える。
(――そう、そうなのに)
あの二夜の事を思い出す度に、濁った泥沼に沈んでいく恐怖を覚えるのに。
一方で、王の腕や指の感触が、堪らなく欲しくなる。
熱い指先で自分の身体の奥を開かれ、湿った厚い舌が、纏う物を無くした自分の身体を伝う。
彼の火に熱したような楔と化した男の下部。それが自分の内股を擦り上げて――果てた。
同時、自分も果ててしまったことも――あの感覚が「達する」と言うことなんだと、後から知った。
恐ろしくて必死に避けようとしていたあの感覚がそうだったのだと、エステルは納得して受け入れたのだ。
「……」
たった二夜なのに。
王の指の形、
王の熱い手のひら
欲情に支配された身体の逞しさ。あの硬さと質量と形
全て覚えてしまった。
分かってる。もう、七年前に自分が、この腕の中に抱いた幼い少年ではない。
一人の男。
なのに――心だけ、エステルを慕っていた、あの頃のままに見える。
(不均衡だわ……)
そして自分は――大人の彼を求めている。
(身体だけを求めている……?)
自分の浅ましさを消したくてエステルは、よりいっそうに一日の『王妃教育』に励んでしまう。
そんな心とは裏腹の自分の行動に板挟みにあい、一人苦しんでいた。
そう過ごしてまた日が経ち、エステルにとって一日緊張を強いられる日がきた。
貴族達の娯楽の一つである狩猟に、参加することになったのだ。
エステルは王の婚約者としての参加に、心臓が破裂しそうだった。
「何、始まってしまえば皆、周囲に構ってなどいられなくなるほど夢中になる。最初だけだ。後は女性達だけでピクニック気分で楽しんでなさい」
そうアレシュは言うが――
(その、女性同士というのが……)
大変なんだと、エステルは溜息をついた。
乗馬用とはいえドレスなために、横乗りでゆったりと馬を走らせる女性群は、獣を探す犬の後を躍起になって追っていく男性達の後ろ姿を見送る。
アレシュと言えば、親しげにダニヘル伯と肩を並べて馬を走らせていた。
隣のダニエル伯は白髪混じりの、五十台初めくらいの齢に見えるが、伸びた背筋に堂々とした馬上での姿は、若々しく見える。
(そうだわ。立ち姿も堂々として、妙齢の男性の魅力に溢れていたわよね)
と、先日アレシュ王から紹介された時を思い出した。
「エステル様、この辺りならティーセットを広げられそうですわ」
そして――自分の横に付き添ってくれている、品の良い笑みを浮かべ話しかけてくれる中年の女性は――
「ダニヘル伯爵婦人、そうですわね……」
と、伯の奥方である婦人に、エステルはそう同意した。
伯爵夫人は付き添ってきていた従者達に手招きをし、持参してきた折り畳みのテーブルや椅子を木陰に設置させる。
すると遠巻きに見ていた他の貴族の女性達も争うように、付き人にエステル達の近くに場所取りを命じ出した。
唖然と見ていたエステルに夫人は、
「そ知らぬ振りですわよ。目が合えば微笑みを返して差し上げればよろしいわ。でも、頭を下げてはいけないわ。格下だと馬鹿にされますから」
と、そっと耳打ちをする。
馬を従者に任せて夫人と椅子に座れば、侍女達がお茶の支度を始めている。
「さあ、後はわたくし達は男達が仕止めてきた献上品を待つばかり。それまでゆっくり会話に花を咲かせましょう」
ハキハキと述べる夫人の声は余裕と自信に溢れていて、それでいて押し付けることなく、スルリとエステルの中に入っていく。
ダニヘル伯はアレシュ王の亡き母妃の生家であり、伯は母の実兄であった。アレシュ王はダニヘル伯爵夫婦を信頼して、よく相談を持ちかけているらしい。
エステルの件も事前に相談をしていたらしく、夫妻は快く彼女の後見人を引き受けてくれた。
――そして今も、こうして夫人から社交界での切り抜け方を伝授してもらっている。
実際、彼女が傍にいてくれると助かる。エステルを傷付けようとする女性が、近付くことがないからだ。
今回の狩猟会で、ダニヘル伯爵夫人の社交界の実力がハッキリと分かり、エステルはただ目を開くばかりであった。
「でも、驚いたわ。王が初恋の相手を忘れられなくて、熱心に求婚をして願いを叶えてしまうんですから」
ダニヘル伯爵夫人が朗らかに笑いながら、紅茶に口をつける。
「そんな……私……まだ、ハッキリとは返事はしておりません」
エステルは正直に告白すると、夫人はそれは楽しそうに頷いた。
「そうね、それが良いわ。お返事は焦らして、殿方を焼きもちさせた方が良くてよ。簡単に『はい』なんて言ってはいけないわ。例え王でもね。自分を安売りなんてしては駄目よ」
「――そんな意味ではありません」
エステルは苦笑いしながら「違います」と首を振る。
「あら? では何かしら?」
夫人は目をパチパチさせて、身を乗り上げてくる。
「……ただ、王の情熱に流されているだけなのです。私はまだ自分はどうしたいのか、王の気持ちをお受けするべきか……舵を無くした小舟のように、湖に浮いている気分なのです。王の心を掻き乱して、惹き付けている訳ではないのです。……早く王の興味が私から、他の若い女性にいって欲しいと願っております」
「エステル様、自分を見下し過ぎですわ。貴女は魅力ある女性です」
「ダニヘル伯爵夫人……」
テーブル越しに視線を合わせる。夫人の灰色の瞳には、からかいや悪戯の色は見られない。深い慈愛の光が見えるだけ。
ふっ、と夫人が口許を緩め言葉を紡ぐ。
「わたくしも最初はね、反対でしたのよ――いえ、貴女の生まれや王との歳の差で反対したわけではないの。だって詳しく聞いたら『七年前から会っていない、手紙のやり取りさえもしていない』と言うのよ。お互いに気心も知れて、分かりあっている仲なら良いわ。……だけどね、いきなり連れてきて『結婚します』だなんて国同士の顔も知らない者同士の婚姻だって、事前に約束ごととか取り決めするのに、それでは相手が不憫だわ! って王に進言したのよ」
だけど、と夫人は喉を潤すために紅茶を一口飲んでから、再び話し出す。
「王とエステル様の二人ご一緒にいるお姿を見て、気が変わったのよ。だって二人の間に七年の隔たりを、まるで感じなかったから。ずっとお会いしていなかったなんて考えられないほど、しっくりしていてその場に溶け込んでいたわ……」
「……そんな風に見えましたか?」
意外だった。
確かにここ最近、王の強引さは、なりを潜めている。彼が作る穏やかな時間は、エステルの性に合ったものだ。
(――まさか、王が私に合わせてくれていた?)
ハッと気付き、エステルは跳ねるように椅子から立ち上がった。
「エステル様? どうなさったの?」
「ごめんあそばせ! 急用を思い出しまして……!」
ダニヘル伯爵夫人に慌てながらも会釈をすると、アレシュ王を探し出した。
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