アニンバイツ

第1章 メリュジーヌ本部脱出編

10.ふたりの傷

敵の閃光の先にある物を、見抜く

そして、  急接近する勝呂。

『なっ！  貴様！  
まさかクラックマンか！』
暗視レンズをつけた   男が問う。
恐らく目の前のこいつが 神奈を撃ち抜いたやつだろう…

勝呂は  自由に使用可能な
両腕のうち、
遠心力で敵の  フルアーマーを 
爆裂させる程の威力を持った右手の  拳を振り上げた。

男の上半身が  勝呂の右手の周りを円を描くかのように回転        
そのまま真っ二つに裂けた。

が、  男の 口から  
出たのは血ではなく光だった。
『それで  神奈を！！』
男の口からは 超高濃度の  
電光が放出され勝呂を貫いた。

かと思われたが  右手を腹部に当て  そのまま
電光に含まれる電力を吸収し、  回転し、得た摩擦エネルギーを
瞬間的に電力に加算。

勝呂の足の回転率は   時速６０キロをゆうに超え  そのまま  電光と  摩擦で発火現象を起こした拳を   男の顔面に  打ち付けた。

オレンジ色の光と共に勝呂の  
髪の毛が 焦げるが  回転で得た力を利用し  それで 風を巻き起こし  消化。   

右手は勝手に回復するため
瞬間的に 高質化させた、  
両目を 回復。  すぐさま、 神奈のいるエレベーターへ戻った。


敵が周りにいない事を確認すると 
傷が塞がりつつある 神奈を  
背負って
メリュジーヌ社本部を
裏口から出た。  
すでに無数の死体が
転がっていたが対戦車用硬化型リムジンは 無事だった。

エンジンをかけ、  
神奈を助手席に乗せ
メリュジーヌ社の  門を出た。

『ふぅ、、終わったぜ、、
すまねえ、な
一つ借りができちまったな、
神奈。』
神奈は  もうすっかり
元気なようでニヤニヤと  運転する   勝呂を冷やかした


『どさくさに 紛れて 胸揉むわ、  キスするわ
なんですか、  いくらなんでもセクハラですよ鞍馬センパイ～   そんなに気があるんですか～？   』

『いや、あれは不可抗力で、、』
勝呂はその情景を思い出しまたもや赤面する
が、  冷やかしていたはずの神奈の頬もほのかに紅く色づいていた。


『まあ、  助けてくれたんで、あんな必死に…だから  許します、  今回は。』

下に俯き  口を尖らかしながら つぶやく
神奈の  顔は  熟れたりんごの様に紅潮していた…


が、それに、勝呂は気づかぬまま

 一言、礼を言うと

ひたすらに  車を走らせた。