アニンバイツ

第３章 殲滅作戦始動編

21.出動①

高速道路 
とあるパーキングエリアにて、

対戦車用 ワンボックスカーが駐車スペースの端、言わば草むらの中に ひっそり と存在していた。
そのワンボックスからおおよそ10メートルもない地点に存在する古びた自動販売機の前に、佇む
2人の 男女…
男の方は 180程の身長を持ちながらも
細長いわけではなく、  それ相応の筋力も兼ね備えていた  
しかしながら、  彼自身、 体重…というものと身長が全くもって比例していない。
毎月の健康診断ではいつも 異常  と
記される始末だ。

一方  女の方は
  至って  小柄であり
ながら  可愛さというよりかは大人っぽい
体つきであったが、  大して 主張している部分が目立つ様子はない。


彼女自身、 晒しを巻くことをルーティンとして確立させているため、  魅力的なその身体は
外見では全く予想もつかない。
しかし、 その代わり  俊敏な動きと
可動領域の拡大 が  大幅に増大した
と自負している。
そんな彼女に  缶コーヒーを奢って投げつける
男  は   目立ちすぎる  
異様な赤色の
トレンチコートを
羽織っていた。
しかし、  
コート自体は長いため、身長が高くないと中々  身につけるのは難しい。 
だが、男にとっては 安易だった
180越えの身長を持つ男にとっては
そのコートは丁度いいサイズだった。

そんないかにも目立つためのみで
コートを羽織っているかのような

目が冷酷無慈悲さを異様なまでに
醸し出しているかのような
男の名は   
勝呂  鞍馬 (スグロ クラマ)

そして  その横でコーヒーを舐めるように
見つめる  残念な美人は  
赤いミニスカートに
黒いジャケット、
そして  きわめつけは  
黒タイツと  赤いハイヒールだった。

動きづらさ では 
抜群かもしれない
その格好に身をつつむ   彼女は   
勝呂の同僚でもあり、

二宮神奈の   
義姉妹でも ある


二宮  雨音    (ニノミヤ   アマネ)
であった。
トレーダー社に雇われているのは
神奈や 勝呂のみではない。
トレーダー社   叢雨支部 (ムラサメシブ)
からも  アニンバイツ達が集ってきていた。

本部から  社長である才蔵による
電報が届き、
内容を確認した トレーダー達は
各地方にある 手付かずの 
奇襲族壊滅作戦に当たった。

テンペスト本部は海を渡る必要があるため、
かなりの時間を要する。
国内に上陸したテンペスト撃滅作戦は
2日後を予定しており、
勝呂達も  テンペスト のアジトへ
集結する予定である。

テンペストは  昔、 
改造人間として
製造された兵士達のことだったが、
 
いつまにか、  
パンデミック時に
ウイルスに感染し、  ゾンビのように
人を貪り食う  バケモノ…
異形徒 と化した者達   のことを指していた。