アニンバイツ

飲杉田楽

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第3章 殲滅作戦始動編

22.出動②

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実際  彼らは  違法ドラックを大量に摂取し、異形徒ながらも  理性を保ち戦場で戦った
骸兵士  である。

もはや、  五臓六腑が焼き焦げ火を噴きながら生命を維持している彼らの その肉体たちはそれぞれいわば強制的に個々の活動に取り組んでおり
止まることを許されない
全身に通うはずの血液はもうすでに止まっているものの
その代理の役割を任せられた
どす黒い循環液らが発火し 
彼らの体内で蠢いて
彼らの中に眠る 
生存本能を呼び覚まそうとしている

彼らは人間を超越したパワーを、持っている
異形徒はアニンバイツのなりそこない
だが、彼ら、テンペストは
アニンバイツをも凌駕する持続型変性力を
兼ね備えている。
彼らは 人を貪り喰らうことで  
今の体を維持している。

つまり  、  少年の顔を しているように見えても実際は  50を越えた男であったりする
というわけだ。
雨音は  テンペストについての資料を 見てため息をついた。

『ねえねえ、 これ本当にやるわけ?
 鞍馬ちゃーん  』
義姉妹である  二宮姉妹。
姉である  雨音  のキャラを  違う意味で受け継いだ 妹の  神奈は 勝呂を遠回しに煽ったり挑発したりするが、
雨音は  すこし違った。

実際、  雨音と  勝呂は  初対面だった。
勝呂自身、雨音の身元は知っていても
どう接するべきか迷っていたわけだが、、


『 怖いなー  お姉さん怖いなー  ねえ?
怖いんだけど~?守ってくれる?
てか君つよいの?  わたしより?
しんじられなぁぁい アハハハハ~』
勝呂は  考えることを止めた
この女に情けはいらないと  肝に命じた

『  なんだよ   そんなに心配なら気は引けるが
一回手合わせするかい?  お嬢さん?』

雨音は  爆笑した
『なに、 それ  アハハハハッ  なんの冗談?
小童如き に  手合わせしてやるほど暇じゃなくってよ、、  まあ年は同じくらいかしらねえ?  けど、  場数が違うわよ、
  あんた、 腕無し  に  まけてるんでしょう?
たしかに奴は化け物だけど  負けず劣らず
の 私と  一度死にかけたアンタと
どっちが強いかは歴然としているわけじゃない?  それでもやるの?』

雨音の黒髪が揺れる  
しかし、
雨音は黒髪ではない。  
能力発動時  水色に発色するのだ。

水圧操作型禁接人種 の  雨音は  
遠隔攻撃を得意とする。
そのため、近接格闘を主とする  
勝呂にはかなり ハンデがあった。

そしてなにより、 
今  雨音の 髪色は
水色になりかかっていた。
風に揺れて 軽やかに踊る
その黒髪の毛先は水色に
染まっており、
すでに攻撃準備が整いつつある

一方の勝呂は 構えもなにもせずただ
缶コーヒーを飲み  睨んでいた。
…が  右腕は稼働を止めてはいなかった

火花が散り  後から  破裂音がこだました

赤いハイヒールと  
赤黒く焼け爛れたような右腕が  
風を切って 衝突する。

一瞬空間が歪み、
ジリジリと焦げ臭さが煙となって漂う。

両者は何歩か、間合いとり再び
戦闘体制に入る。
無論  
雨音のハイヒールは
水のバリアがはってあり
触れたものを水圧で斬り刻む

一方の グロテスクな姿に変貌を遂げた
右腕は硬質化しており  
ハイヒールから繰り出された
水圧断絶破  の 衝撃を吸収し、
一気に跳ね返した

瞬時に間合いを取った雨音と
その一瞬で、 間合いを詰め  拍手を
当てる構えを取る 勝呂

黒い電灯が 折れ  勝呂の
後頭部目掛けて落ちる  が
ほんの一瞬で  その電灯は  
綺麗に灰となり砕け散った破片が
勝呂の右腕にまとわりつき 
ガラスを纏った鉄の拳を
錬成させた
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