アニンバイツ

飲杉田楽

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第3章 殲滅作戦始動編

24.深淵の入り口①

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オールバックにしてアロハシャツを着こなしている 男は ブレーキを踏んだ。
アスファルトにゴム製のタイヤが
唸りを上げる音が車内にも響き渡る
これまでのスピードを無効化するために踏まれたブレーキによって 車体を急停止するが
その際 ゴムとアスファルトの間には
摩擦が起こり アスファルトは 橙色に
発光する。

『ここに違いねえぜ。』
アロハシャツの男が フロントガラスから
その光景を睨んだ
その目はまるで獰猛な肉食獣が
獲物を見つけたかのような目だったが
どうも現代には存在しないような
現実離れした 眼光を解き放っていた。

どんよりと うな垂れた雲たちが 
太陽の光を遮り始める
しかし、その雲は自然な雲ではなく
人工的な雲、、、
雲というより煙だった。

大きな筒状の建物から排出される
ドス黒いその噴煙達が  空へと舞い上がる
あまり 歓迎ムードを漂わせてはいない
そこは 港がみえる 工業地帯だった。

いくつもの巨大クレーンが
そびえ立つその光景は圧巻であった
磯の香りと鉄と油のような重くきつい
臭いが鼻腔を襲うが
オールバックの男はそんなもん
知るかとばかり

車を止めて
2人を 車から出した

『~ったく  遅えよ  やっとかよ』
キレ気味に そして ふてくされた顔つきの
勝呂が強めにドアを閉める

一方
後方からカツカツとハイヒールを鳴らすしながら雨音は  ニコニコと笑いながら
氷の 剣を錬成させた

『勝呂鞍馬…  気を抜いてると死ぬわよ』

冷たい目を雨音みて  鞍馬は
気だるそうに返答した

『あいあい、わかってるよ、
わかってますよ
もうお出ましかよ
もう少し空気読めよな、、』

鞍馬は手袋をはめながら首を曲げて
ボキリと  首の骨を鳴らした

『あーあ、 車壊れたらまぁた怒られるわ~
最悪、 くっそ、だからやなんだよな
お前らとの仕事はよ
ほんと、  さっさと昇進して
引きこもりになりたいよ  俺ァ、、』

憂鬱そうな顔したオールバックの男は
髪をワシャワシャとかき乱し髪を無造作に乱し始めた
キチッとタイトに固まっていたはずの髪型は疲れ果てたかのようにうなだれていくが男の手さばきによって一瞬のうちに髪が逆立ち始め再びオールバックへと変貌したが、 それは先ほどのタイトに固めたものではなく明らかに逆立っていた

そして ポケットからスポーツ用の
頑丈なメガネを取り出しかけると
アロハシャツを脱ぎ捨てて
猫背の姿勢になった
服の繊維から黒い泡ぶくのようなものが吐出していき
それは複数の棘のようなものを生成しながら大きく増幅していく
押しつぶし押しつぶされてを繰り返しながらその黒い粒子を帯びた棘のようなものがツノのようなものへと変貌し  背中から
黒い触手のようなものを
放出させた

次の瞬間それは  白く発光していき
ギラギラと不穏な赤色の玉を
浮かばせた

『さあてと、、  俺んの
俺んのォォォオオオ、 すんばらすぃ
お翼を披露してやったんだから
感謝しろよォオオ

醜いアヒルの子たぁああチィィイイイ!』
そう雄叫びをあげながら
髪を立てあげた男の名は
 

ドグマ・アルゴンティ。

通称、  千の翼竜  

彼もまた トレーダー社の中では
名前を知らない者の方が少ない
超大物級の アニンバイツである
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