前世を思い出したら超絶ドアマットヒロインになっていたんですが。

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レイヴン父

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「だいたいメアさんは精霊が見えるの?」
「いや、まだ聞いていない」
「はぁ?」

部族が古代文字と関わっていると知って、魔法研究員すらも恐れて手を出さない古代文字の資料を読み漁ったクレインは、それをメアに言い出せなかった。

旗やお守りなどに描かれているものが花や動物の名前など、ただの単語で呪術とは関係のないものであることは分かっているがメアを危険に晒してしまいそうで怖くなる。

「危ないことはさせたくない」
「貴族の集まりに参加させようとしてるやつが言える台詞じゃないぞ」
「貴族らに紹介するわけではない…」
「エスコートするのなら同じでしょ…はぁ、それで?精霊のこと話さないの?」
「……精霊について話したことで、メアが興味を抱いて一人で遺跡に行ったらどうする」
「あーっもう…じゃあどうやって「精霊の愛し子」って証明するのさ?」

ユリウスが立ち上がり、侍女を下げたために放置されて冷めきった紅茶を乱暴に注ぐと一気に口に含む。

「メアと一緒に精霊の森に行く」
「ぶっ」

「まぁ…何事ですか」
「あははっ」

紅茶を噴き出したユリウスは女性2人の注目を浴びてもクレインから視線をそらさなかった。

「面倒事はごめんなんだけど…場合によってはお前の首を切る事になる」
「それは困るな」
「お前が言ったことは今すぐにでも切れる内容なんだぞ」

精霊の森は帝国外だ。その森を抜けた先には中立国があり、過去に帝国が侵略を試みたことがある。表向きは戦争以外の物流に関する協定を結んだ話し合いでの解決、となっているが実際は動かなかった中立国の不戦勝だ。

大半を森に囲まれ、森の中を突っ切れば中立国すら見つからず、行方不明者や武器を捨て逃げ帰るものばかり。迂回して海沿いから攻めてみるも高波や潮風によってたどり着く前に装備や食べ物が駄目になる。誰1人万全の状態では戦えなかった。

協定を結んでからは、森で迷うことはなくなった。海が荒れることも滅多になく、今では海沿いに露店があったり、観光客や行商人が行き交っていて賑やかだ。

精霊の森はその森の中の朽ちた遺跡に囲まれた場所にあるらしい。らしいとは中立国から伝わった話で、帝国側の人間が誰も見たことがないからだ。

「ただでさえ中立国は精霊を神聖視しているのに…帝国人がその精霊の森に勝手に足を踏み入れるなんて信用問題に関わる。駄目だ。精霊を怒らせて災害なんかが起きたらどうするんだ」
「メアは森の住人だ。それに中立国の精霊学者と精霊を崇める教団に連絡はとった」
「森自体がどっちの国のものでもないのっ!言ってること分かるっ?」
「ユリ、まずは服を着替えて」

ティタニアの言葉に紅茶で染まった自身のシャツを見たユリウスは更に深い溜息をついてから侍女を呼んだ。
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