前世を思い出したら超絶ドアマットヒロインになっていたんですが。

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レイヴン父

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癖のあるプラチナブロンドの髪。小さな傷が所々に見られる痩せた頬。それでも綺麗に整った鼻や唇の形から容姿の良さが伺える。

「………」
「クレインさま…?」

シーツがもぞもぞと動いているのが見えるが、捲って起き上がることはない。
長年使われていなかった母の寝室に横たわる女性は今もクレインの名を呼んでいる。

「気分は…痛いところなどはないだろうか」

こちらの都合で振り回している女性に「気安く名を呼ばないでくれ」とは言えず、歩けない者を追い出すようなことも出来なくて、当たり障りない言葉をかける。

一瞬固まった女性は、見えていないにも関わらず微笑んでクレインに顔を向けた。

「ふふっ…最近凄く調子がいいんです。これもクレインさまが良くしてくださったお陰ですね…ありがとうございます」
「えっ、あぁ…ならいいんだが」
「もしかして…クレインさまのご兄弟の方ですか?」
「………」
「違っていたら申し訳ございません、声や口調が似ていたので…」

クレインの声は、容姿もだが父とよく似ている。背後から声をかければ勿論だが、訓練場で父と鉢合わせすれば、指示や連絡に騎士達が戸惑って場所を間違えることがある。それくらいには似ていた。

二三言で違いに気付く彼女は耳が良いのだろうか…

先程の父の顔が浮かぶ。

間違いなく、父はこの女性を大事にしている。そしてこの女性も多分…好いているのだろう

「私がクレインだ」と言おうとして躊躇ってしまった。

「ごめんなさい…1人でお喋りしちゃって」
「いえ…クレイン、とはよく話をされていたのですか?」

沈黙に耐えられなかったらしい女性が謝るので、クレインは気まずくなりなんとなく思い浮かんだことを質問した。

「…いいえ、クレインさまはお話はあまり得意ではないようで…」
「……」
「だけど、優しく頭を撫でてくれるんです。寝返りしたいって思うと優しく体に触れてくれて…私の心が読めてるのかな?なんて思って聞いてみたら、「いや、なんとなくそう思っただけで…不快だっただろうか。すまない」って」

その時のことを思い出したのか、くすくすと笑う彼女はとても幸せそうに見える。

「今考えると…それが一番長いクレインさまの言葉な気がします」
「……」
「初めの頃は、次はどんな痛いことをされるんだろうって諦めていたんですよ 、お貴族様ですし…私のような稀な者の使い道は、ひとつくらいでしょう?」
「そ、れは…」
「いいんです、既に体験していますから…それにクレインさまには最初から伝えられていたので…でも、だんだんクレインさまになら…って思うようになったんです」
「……」
「あはは、はしたないと思いますよね」
「…いや」
「むしろ、なんで私こんな身体なんだろうって、クレインさまを見ることも触ることもできないのが悔しいって思ってるんです」
「……」
「すみません、こんな話しちゃって」
「……大丈夫だ」
「ふふっ、本当にクレインさまと似てますね、いっぱい話しすぎちゃいます」


父は何故こんなにも残酷なことが出来るのだろうか
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