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第88話 洪水被害
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夜明け前までかくれんぼをしたら、遊び疲れて眠くなってきた。
うとうとし始めると、グレイさんが優しく笑って抱っこしてくれた。
『眠かったら寝ていいぞ。オレが側にいるから、安心して寝てくれ』
「ありがとうミャ、グレイさん。おやすみなさいミャ……」
『ああ、おやすみ、オレの可愛いシロちゃん』
グレイさんはぼくの顔に顔をこすりつけながら、伏せをした。
ぼくは眠気に負けて、グレイさんの腕の中で目を閉じた。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
次に目を覚ますと、お日様が登っていてすっかり明るくなっていた。
しまった、寝坊した!
朝になったら、ヨモギ茶を確認しに行こうと思っていたのに。
お日様は真上まで登っていないから、まだ朝ではあるらしい。
ちょっと寝るつもりだったのに、ぐっすり眠っちゃったな。
グレイさんもまだ寝ているらしくぼくを抱えて、寝息を立てている。
腕の中から出ようと身じろぐと、グレイさんが目を開ける。
『おはよう、シロちゃん』
「おはようミャ、グレイさん。起こしちゃって、ごめんミャ」
『いや、構わない。シロちゃんの可愛い寝顔をずっと見つめていたんだが、いつの間にかオレも寝落ちしてしまったようだ』
「ぼくはやることがあるから、集落へ戻るミャ。またミャ」
『ああ。何かあったら、またいつでも来てくれ』
お互いに手を振り合って、その場で別れた。
グレイさんと会った後は、必ず毛づくろいをして臭いを消してから集落へ戻る。
トマークトゥスの臭いが付いていると、みんなを怖がらせちゃうからね。
必要以上に毛づくろいをやりすぎると毛が抜けすぎたり、毛を飲み込んで毛球症になっちゃうから気を付けないと。
毛球症予防に、鼠麦と狗尾草を食べておこう。
ネズミムギとエノコログサは、野生の猫が猫草としてよく食べる雑草。
ちなみに、ネズミムギもエノコログサもイネ科の植物なんだよ。
肉食動物の猫が何故イネ科の植物を好んで食べるかは、今も良く分かっていない。
毛づくろいが終わったところで、集落の水飲み場へ向かった。
水飲み場に置いておいたヨモギ茶には、たくさんの猫が集まって飲んでいた。
サビさんが、ぼくに気付いて話し掛けてくる。
「このお水は、シロちゃんが作ったのかニャア?」
「そうですミャ」
「茶トラ先生が作るお薬と同じ匂いと味がして、とっても美味しいニャア。ありがとうニャア」
他の猫たちも、「ありがとうニャー」と笑顔でお礼を言ってくれた。
みんなに喜んでもらえると、やっぱり嬉しい。
ハーブティーは薬じゃないけど、飲むと健康になれる。
カフェインは含まないし、リラックス効果もあるから良く眠れる。
集落の猫たちには、いつも元気でいて欲しいな。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
それから毎日、川に流れ着いた流木を再利用する目的で木の器を作り続けた。
作るのにとても時間が掛かるから、1日1個しか出来ないけど。
器がたくさん出来れば、ハーブティーもたくさん作れる。
器に出来ない流木は、石斧で適当な大きさに叩き割っておく。
叩き割った流木はしっかり乾燥させて、薪として使う予定だ。
これで今年の冬は、焚火であったかく過ごせるぞ。
ぼくが木の器を作っている間に、キャリコには薬草集めを頼んでいる。
キャリコは時々、間違えて薬草じゃない野草を採ってきちゃうことがあるんだけどね。
間違えても怒らずに、優しく指摘するようにしている。
茶トラ先生とキャリコにも、ハーブティーの作り方を教えた。
水出しハーブティーの作り方は簡単だから、ふたりともすぐに覚えてくれた。
これでぼくがいなくなっても、ふたりがハーブティーを作ってくれるだろう。
キノコの見分け方は、難しいから教えなかった。
毒キノコを間違えて食べて、食中毒を起こしたら大変だからね。
キノコの専門家のアグチ先生は、どうやって見分けているのかな?
ぼくが旅へ持って行く分だけ、こっそりと干しキノコを作って籠に入れておいた。
これで、また旅へ出られる。
冬になる前に、もう一回旅へ行きたい。
今から旅へ出れば、冬になる前に集落へ帰って来られるだろう。
次の旅は、他の集落の洪水被害を確認したい。
これまでに訪れた集落の猫たちは、無事だろうか。
洪水の被害状況を見ているから、心配で仕方がない。
悲惨な被害状況を見たら、知らなければ良かったと思うかもしれない。
今もどこかで、苦しんでいる猫たちがいるかもしれない。
ぼくに助けられる命があるなら、救いたい。
洪水の後は、感染症が流行しやすい。
洪水でどこかから運ばれてきた泥の中に、たくさんの細菌が含まれているからだ。
泥が傷口に入ったり舐めたりすると、細菌感染症になる。
細菌感染症は、ブドウ球菌感染症、細菌性食中毒、細菌性肺炎などの病気のこと。
川も泥が混ざって濁るから、水も飲めなくなる。
いくら猫が水を飲まない動物とはいえ、水を飲まないでいられるのは1日程度。
特に夏は、水が飲めないと熱中症になる。
水を飲まないと、下部尿路疾患になる。
下部尿路疾患は、膀胱炎、尿路結石症、慢性腎不全などの病気。
慢性腎不全は、猫の死因第1位の有名な病気。
慢性腎不全は、キランソウの集落の猫たちが罹っていた。
あの時は冬で、川の水が冷たくて飲めないことが原因だった。
考えれば考えるほど他の集落の猫たちが心配で、居ても立ってもいられなくなる。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
まずは、お父さんとお母さんに相談をすることにした。
ふたりは風通しの良い涼しい場所で、仲良く毛づくろいをしていた。
近付いて行って、話し掛ける。
「あのね、お父さん、お母さん。この間、大きな洪水があったでしょミャ? 他の集落の猫たちが無事か、確認する為にまた旅へ出たいミャ」
「シロちゃんは、相変わらず優しい子ニャー」
「私たちは、シロちゃんが行きたいところなら、どこまでも付いて行くニャ」
お父さんとお母さんは、ニッコリと笑って頷いてくれた。
ぼくも笑顔で、「ありがとう」と言って、ふたりにお礼の毛づくろいをした。
その日の夜、グレイさんにも相談をしに行った。
「グレイさん、また一緒に旅へ行かないミャ?」
『もちろん、行くに決まっている。ずっと待ちかねていたぞ。旅に出れば、いつでもシロちゃんの側にいられるからな』
グレイさんはしっぽをブンブン振って、喜んでくれた。
グレイさんはイチモツの集落の周りで息をひそめて隠れているより、旅をして走り回っている方が好きだもんね。
3匹がついて来てくれれば、旅へ行ける。
グレイさんが守ってくれることが、何よりも心強い。
ぼくひとりじゃ、イチモツの集落の縄張りから出ることも出来ない。
猫なのにひとりじゃ狩りも満足に出来ないなんて、猫失格だなぁ。
でもぼくは命を奪うより、命を救いたい。
それが、お医者さんとしての使命だから。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
|翌朝。
集落へ戻ると、茶トラ先生に旅へ出ることを伝えた。
茶トラ先生はいつものように優しく微笑んで、頭を撫でてくれる。
「イチモツの集落は、ワタシたちが守るニャ~。シロちゃんは、他の集落の猫たちを助けてニャ~」
「シロ先生! 帰って来たばかりなのに、また行っちゃうニャウッ? とっても寂しいニャウ。弟子として、もっと色々教えて欲しかったニャウ」
キャリコは抱き着いて、別れを惜しんでくれた。
ぼくはキャリコを抱き返して、頭をポンポンする。
「寒くなる前には、帰ってきますからミャ。それまでキャリコさんが、この集落の猫たちを守って下さいミャ。帰ってきたら、みんなで一緒に焚火をしましょうミャ」
「焚火って、なんですニャウ?」
「それは、帰ってきてからのお楽しみですミャ」
「だったら、早く帰ってきて下さいニャウ! ずっとずっと、待っていますニャウッ!」
ぼくたちがまた旅へ出ると聞いて、集落の猫たちがお見送りに来てくれた。
4度目の旅立ちとなれば、みんなも慣れたものだ。
猫たちは「いってらっしゃいニャー」と、笑顔で手を振ってくれた。
ぼくとお父さんとお母さんも手を振り返して、イチモツの集落から旅立った。
集落の外でグレイさんと合流し、4匹の旅は再び始まった。
うとうとし始めると、グレイさんが優しく笑って抱っこしてくれた。
『眠かったら寝ていいぞ。オレが側にいるから、安心して寝てくれ』
「ありがとうミャ、グレイさん。おやすみなさいミャ……」
『ああ、おやすみ、オレの可愛いシロちゃん』
グレイさんはぼくの顔に顔をこすりつけながら、伏せをした。
ぼくは眠気に負けて、グレイさんの腕の中で目を閉じた。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
次に目を覚ますと、お日様が登っていてすっかり明るくなっていた。
しまった、寝坊した!
朝になったら、ヨモギ茶を確認しに行こうと思っていたのに。
お日様は真上まで登っていないから、まだ朝ではあるらしい。
ちょっと寝るつもりだったのに、ぐっすり眠っちゃったな。
グレイさんもまだ寝ているらしくぼくを抱えて、寝息を立てている。
腕の中から出ようと身じろぐと、グレイさんが目を開ける。
『おはよう、シロちゃん』
「おはようミャ、グレイさん。起こしちゃって、ごめんミャ」
『いや、構わない。シロちゃんの可愛い寝顔をずっと見つめていたんだが、いつの間にかオレも寝落ちしてしまったようだ』
「ぼくはやることがあるから、集落へ戻るミャ。またミャ」
『ああ。何かあったら、またいつでも来てくれ』
お互いに手を振り合って、その場で別れた。
グレイさんと会った後は、必ず毛づくろいをして臭いを消してから集落へ戻る。
トマークトゥスの臭いが付いていると、みんなを怖がらせちゃうからね。
必要以上に毛づくろいをやりすぎると毛が抜けすぎたり、毛を飲み込んで毛球症になっちゃうから気を付けないと。
毛球症予防に、鼠麦と狗尾草を食べておこう。
ネズミムギとエノコログサは、野生の猫が猫草としてよく食べる雑草。
ちなみに、ネズミムギもエノコログサもイネ科の植物なんだよ。
肉食動物の猫が何故イネ科の植物を好んで食べるかは、今も良く分かっていない。
毛づくろいが終わったところで、集落の水飲み場へ向かった。
水飲み場に置いておいたヨモギ茶には、たくさんの猫が集まって飲んでいた。
サビさんが、ぼくに気付いて話し掛けてくる。
「このお水は、シロちゃんが作ったのかニャア?」
「そうですミャ」
「茶トラ先生が作るお薬と同じ匂いと味がして、とっても美味しいニャア。ありがとうニャア」
他の猫たちも、「ありがとうニャー」と笑顔でお礼を言ってくれた。
みんなに喜んでもらえると、やっぱり嬉しい。
ハーブティーは薬じゃないけど、飲むと健康になれる。
カフェインは含まないし、リラックス効果もあるから良く眠れる。
集落の猫たちには、いつも元気でいて欲しいな。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
それから毎日、川に流れ着いた流木を再利用する目的で木の器を作り続けた。
作るのにとても時間が掛かるから、1日1個しか出来ないけど。
器がたくさん出来れば、ハーブティーもたくさん作れる。
器に出来ない流木は、石斧で適当な大きさに叩き割っておく。
叩き割った流木はしっかり乾燥させて、薪として使う予定だ。
これで今年の冬は、焚火であったかく過ごせるぞ。
ぼくが木の器を作っている間に、キャリコには薬草集めを頼んでいる。
キャリコは時々、間違えて薬草じゃない野草を採ってきちゃうことがあるんだけどね。
間違えても怒らずに、優しく指摘するようにしている。
茶トラ先生とキャリコにも、ハーブティーの作り方を教えた。
水出しハーブティーの作り方は簡単だから、ふたりともすぐに覚えてくれた。
これでぼくがいなくなっても、ふたりがハーブティーを作ってくれるだろう。
キノコの見分け方は、難しいから教えなかった。
毒キノコを間違えて食べて、食中毒を起こしたら大変だからね。
キノコの専門家のアグチ先生は、どうやって見分けているのかな?
ぼくが旅へ持って行く分だけ、こっそりと干しキノコを作って籠に入れておいた。
これで、また旅へ出られる。
冬になる前に、もう一回旅へ行きたい。
今から旅へ出れば、冬になる前に集落へ帰って来られるだろう。
次の旅は、他の集落の洪水被害を確認したい。
これまでに訪れた集落の猫たちは、無事だろうか。
洪水の被害状況を見ているから、心配で仕方がない。
悲惨な被害状況を見たら、知らなければ良かったと思うかもしれない。
今もどこかで、苦しんでいる猫たちがいるかもしれない。
ぼくに助けられる命があるなら、救いたい。
洪水の後は、感染症が流行しやすい。
洪水でどこかから運ばれてきた泥の中に、たくさんの細菌が含まれているからだ。
泥が傷口に入ったり舐めたりすると、細菌感染症になる。
細菌感染症は、ブドウ球菌感染症、細菌性食中毒、細菌性肺炎などの病気のこと。
川も泥が混ざって濁るから、水も飲めなくなる。
いくら猫が水を飲まない動物とはいえ、水を飲まないでいられるのは1日程度。
特に夏は、水が飲めないと熱中症になる。
水を飲まないと、下部尿路疾患になる。
下部尿路疾患は、膀胱炎、尿路結石症、慢性腎不全などの病気。
慢性腎不全は、猫の死因第1位の有名な病気。
慢性腎不全は、キランソウの集落の猫たちが罹っていた。
あの時は冬で、川の水が冷たくて飲めないことが原因だった。
考えれば考えるほど他の集落の猫たちが心配で、居ても立ってもいられなくなる。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
まずは、お父さんとお母さんに相談をすることにした。
ふたりは風通しの良い涼しい場所で、仲良く毛づくろいをしていた。
近付いて行って、話し掛ける。
「あのね、お父さん、お母さん。この間、大きな洪水があったでしょミャ? 他の集落の猫たちが無事か、確認する為にまた旅へ出たいミャ」
「シロちゃんは、相変わらず優しい子ニャー」
「私たちは、シロちゃんが行きたいところなら、どこまでも付いて行くニャ」
お父さんとお母さんは、ニッコリと笑って頷いてくれた。
ぼくも笑顔で、「ありがとう」と言って、ふたりにお礼の毛づくろいをした。
その日の夜、グレイさんにも相談をしに行った。
「グレイさん、また一緒に旅へ行かないミャ?」
『もちろん、行くに決まっている。ずっと待ちかねていたぞ。旅に出れば、いつでもシロちゃんの側にいられるからな』
グレイさんはしっぽをブンブン振って、喜んでくれた。
グレイさんはイチモツの集落の周りで息をひそめて隠れているより、旅をして走り回っている方が好きだもんね。
3匹がついて来てくれれば、旅へ行ける。
グレイさんが守ってくれることが、何よりも心強い。
ぼくひとりじゃ、イチモツの集落の縄張りから出ることも出来ない。
猫なのにひとりじゃ狩りも満足に出来ないなんて、猫失格だなぁ。
でもぼくは命を奪うより、命を救いたい。
それが、お医者さんとしての使命だから。
🐾ฅ^•ω•^ฅ🐾
|翌朝。
集落へ戻ると、茶トラ先生に旅へ出ることを伝えた。
茶トラ先生はいつものように優しく微笑んで、頭を撫でてくれる。
「イチモツの集落は、ワタシたちが守るニャ~。シロちゃんは、他の集落の猫たちを助けてニャ~」
「シロ先生! 帰って来たばかりなのに、また行っちゃうニャウッ? とっても寂しいニャウ。弟子として、もっと色々教えて欲しかったニャウ」
キャリコは抱き着いて、別れを惜しんでくれた。
ぼくはキャリコを抱き返して、頭をポンポンする。
「寒くなる前には、帰ってきますからミャ。それまでキャリコさんが、この集落の猫たちを守って下さいミャ。帰ってきたら、みんなで一緒に焚火をしましょうミャ」
「焚火って、なんですニャウ?」
「それは、帰ってきてからのお楽しみですミャ」
「だったら、早く帰ってきて下さいニャウ! ずっとずっと、待っていますニャウッ!」
ぼくたちがまた旅へ出ると聞いて、集落の猫たちがお見送りに来てくれた。
4度目の旅立ちとなれば、みんなも慣れたものだ。
猫たちは「いってらっしゃいニャー」と、笑顔で手を振ってくれた。
ぼくとお父さんとお母さんも手を振り返して、イチモツの集落から旅立った。
集落の外でグレイさんと合流し、4匹の旅は再び始まった。
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